こんばんは。
今日の京都は晴れたり曇ったりのお天気でした。
最近、すっきりと晴れる日が少ないようです。
季節の変わり目はこんなものでしょうか…。
本日は「絹について」第9回目です。
あと一回で10回になりますが、こんなに長くなるとは…
ご紹介した本人が一番驚いています。
さて、今日は織機(しょっき)のお話です。
前回までで糸の準備・図案のお話をご紹介しましたが
今回はいよいよ本格的な「織」作業の開始です。
以前の回でお話ししましたように糸の準備ができた経糸は
織機にセットされます。織る段階に入ると、そのセットされた経糸を
上げ下げし、その間に緯糸を通して生地が織り進められます。
その経糸を上げ下げする作業と、それを行う装置そのものを
「綜絖(そうこう)」といいます。
ちょっとイメージが分かりづらいかもしれませんので
恒例になりました(?)たとえを示させて頂きますと
マリオネット(操り人形)には、上から糸を体の各部分につなぎ
動かす部分を上げ下げしますね。
少し違うのかもしれませんが、綜絖とはそうした糸の上げ下げをする
操作であり、マリオネットの糸でもある大切な部分です。
その作業がマリオネットの動きにつながるように、
綜絖は織物を織るための糸を操る作業となります。
これは反物や帯などでそれぞれ用意された経糸の本数全てに
ひものようなものをつなげます。
例えば経糸が3000本あれば、3000本の綜絖が必要となります。
大変な作業となるために、これは綜絖のためだけの仕事
「綜絖屋」さんという職業があるくらいです。
そして綜絖と同じく、経糸の上げ下げを機に指示をする装置が
「紋紙」と呼ばれるものです。
これはボール紙のような厚紙に穴をあけ、その穴に織機の針が通り
その部分だけ経糸を上げることで地紋(模様)のある生地が織れるのです。
…これはたとえが難しいのですが、脚本のようなもの、でしょうか。
脚本家(紋紙)が細かな指示を役者(糸)にすることで
役者は細やかな心理描写や情景(模様)を表すことができる。
そんなところでしょうか。
この紋紙は、大きさとしては約35cm弱×4.5cmほどで
一つの図案に対して数百枚から千枚単位必要となります。
しかし、これは今では膨大な数の紋紙から、たった一枚の
フロッピーディスクに変わってきています。
これは「紋紙フロッピー」とよばれ、紋意匠図の情報が
コンピューターで読み込まれたものが入っています。
昔ながらの「織物」の作業が根強く残る和装業界の中でも
確かに時代の波が寄せているのは、こうしたところでしょうか。
しかし、データが様々なかたちのメディアに残される中
フロッピー自体も日常ではあまり見なくなった気がします。
もちろん和装以外のコンピュータ化された織機には
データだけでなく制御全てがコンピュータ化されたものもあるかもしれません。
ですが、こうした人の手がかかったものはなくなって欲しくない、
どれだけ便利になっても、人の手が加わった技術そのものに
価値や敬意を置く気持ちというものはなくして欲しくない。
そう思います。
宗流
和装小物 宗流
http://www.sou-ryu.jp
今日の京都は晴れたり曇ったりのお天気でした。
最近、すっきりと晴れる日が少ないようです。
季節の変わり目はこんなものでしょうか…。
本日は「絹について」第9回目です。
あと一回で10回になりますが、こんなに長くなるとは…
ご紹介した本人が一番驚いています。
さて、今日は織機(しょっき)のお話です。
前回までで糸の準備・図案のお話をご紹介しましたが
今回はいよいよ本格的な「織」作業の開始です。
以前の回でお話ししましたように糸の準備ができた経糸は
織機にセットされます。織る段階に入ると、そのセットされた経糸を
上げ下げし、その間に緯糸を通して生地が織り進められます。
その経糸を上げ下げする作業と、それを行う装置そのものを
「綜絖(そうこう)」といいます。
ちょっとイメージが分かりづらいかもしれませんので
恒例になりました(?)たとえを示させて頂きますと
マリオネット(操り人形)には、上から糸を体の各部分につなぎ
動かす部分を上げ下げしますね。
少し違うのかもしれませんが、綜絖とはそうした糸の上げ下げをする
操作であり、マリオネットの糸でもある大切な部分です。
その作業がマリオネットの動きにつながるように、
綜絖は織物を織るための糸を操る作業となります。
これは反物や帯などでそれぞれ用意された経糸の本数全てに
ひものようなものをつなげます。
例えば経糸が3000本あれば、3000本の綜絖が必要となります。
大変な作業となるために、これは綜絖のためだけの仕事
「綜絖屋」さんという職業があるくらいです。
そして綜絖と同じく、経糸の上げ下げを機に指示をする装置が
「紋紙」と呼ばれるものです。
これはボール紙のような厚紙に穴をあけ、その穴に織機の針が通り
その部分だけ経糸を上げることで地紋(模様)のある生地が織れるのです。
…これはたとえが難しいのですが、脚本のようなもの、でしょうか。
脚本家(紋紙)が細かな指示を役者(糸)にすることで
役者は細やかな心理描写や情景(模様)を表すことができる。
そんなところでしょうか。
この紋紙は、大きさとしては約35cm弱×4.5cmほどで
一つの図案に対して数百枚から千枚単位必要となります。
しかし、これは今では膨大な数の紋紙から、たった一枚の
フロッピーディスクに変わってきています。
これは「紋紙フロッピー」とよばれ、紋意匠図の情報が
コンピューターで読み込まれたものが入っています。
昔ながらの「織物」の作業が根強く残る和装業界の中でも
確かに時代の波が寄せているのは、こうしたところでしょうか。
しかし、データが様々なかたちのメディアに残される中
フロッピー自体も日常ではあまり見なくなった気がします。
もちろん和装以外のコンピュータ化された織機には
データだけでなく制御全てがコンピュータ化されたものもあるかもしれません。
ですが、こうした人の手がかかったものはなくなって欲しくない、
どれだけ便利になっても、人の手が加わった技術そのものに
価値や敬意を置く気持ちというものはなくして欲しくない。
そう思います。
宗流
和装小物 宗流
http://www.sou-ryu.jp