cafe de sou-ryu

ほっと一息
ちょっと休憩しませんか?

巡る想い

2010年03月22日 18時41分36秒 | I think so …
こんばんは。
本日の京都はとてもいいお天気で暖かく、
まさにお出かけ日和でした。
…残念ながら、今日はお仕事だった宗流。
カレンダーの明日の黒い数字を赤く塗り替えたい所ですが、
願望で祝日には変わりそうにないので断念しました^^;
今からもう既にGWが待ち遠しい宗流です。



さて。
ぼちぼちとみなさまのお住まいの地域では、
桜の蕾もほころび始めた頃でしょうか?
今日、開花宣言を迎えた地域も多いのでしょうね。
この連休中で、京都の桜も少し花が開きかけてました。
今日は幾分気が早いのですが「桜」のお話です。



以前も少しお話をした事があるのですが、
宗流の会社の隣には小学校があります。
そこは私や私の母親、そして母と同級生である
うちの会社の社長が卒業した母校でもあります。

会社はちょうどその校庭に面したお隣さんで、
そこに植えられた大きな桜の木がよく見えます。
子供の頃から見慣れた木ではありますが、
私は花の季節を毎年楽しみにしています。


その桜の下で、去年の春一つの再会がありました。
私の働く会社は古い京町屋で、母屋以外に
あと二棟にそれぞれ仕事場が分かれています。
ある日、私は別棟の仕事場へ用事があり表へ出たのですが、
穏やかな春の陽射しの中、咲き誇る桜があまりにきれいで
しばらくその下で花に見とれていました。

その時、不意に後ろから名前を呼ばれました。
驚いて振り返ると、一人の背の高い男性が
自転車の脇に立っていました。
私はすぐに誰だか分からず立ち尽くしていたのですが、
「久しぶり」とにっこり笑う顔に、懐かしい記憶が蘇りました。


彼は小学校、中学校時代の私の同級生。
当時はちょっと大人びた雰囲気をまとった、
とても頭がいい絵の上手な男子生徒でした。

私は小・中学校と偶然彼と同じクラスの事が多く、
不思議といつも席が近かったせいか、よく話をしたように思います。
また、私は今もそうですが小学生の頃は特に小柄だったせいか、
その当時から背が高かった彼は、よく自分の上着の前を開けて
面白がって私を後ろから抱え込んでふざけていました。
大人になった今なら怒ってしまいそうな話ですが、
何の思惑もない子供の頃は、笑って済ませられたのですから
当時はホントに呑気だったなぁと思います。


私たちは久々の出会いに再会の言葉を交わし
お互いの近況を語り合いました。
そして、彼は校庭を指さすと、
「あれがうちの娘」と少し照れくさそうに笑っていました。
そこには、とても小柄な女の子がお友達と
楽しそうに遊んでいる姿がありました。


私たちはお互いに仕事の途中だったので
ほんの数分で短い会話を終えてその場を離れましたが、
その日は一日気持がほのぼのとしていた事を覚えています。
時の砂の中に埋もれていた記憶は、長い時間を経て
その端っこをちらりと不意に顔を覗かせる事がある、
そんな瞬間を見たような気がしました。
その日は今も春のいい思い出の1つとして、私という本の1ページに
桜色の栞が挟んである、そんな風に感じています。



今年も桜の季節が巡ってきます。
校庭の桜は、長い長い時間同じ場所で咲き続け
その花の下にたくさんの思い出をたたえています。

楽しい思い出
切ない思い出
忘れられない思い出…
木の梢が茂るように、その下に数を増すそれぞれの思い出たち。
私も、私の母も、そしてその同級生やその家族、
またそこを巣立った百数十年分の生徒の数だけ
その木の下には人の思いがあるのでしょう。
そんな思いを慈しむように、今年も桜の木はその場所で
蕾をほころばせ始めています。


瞼を閉じてもその視界が淡い桜色に染まるような春の日。
今年はどんな物語がその下に加わるのでしょうか。
それらをきっと桜の木は、優しい風に揺れながら
静かに見守っているのでしょうね…。


それでは、連休明けも張り切ってまいりましょう!!



宗流


和装小物 宗流
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