羽花山人日記

徒然なるままに

COP26

2021-11-16 19:50:32 | 日記

COP26

COP26が閉会した。採択されたグラスゴー合意では,世界の気温上昇を1.5℃に「抑える努力を追求する決意」と記載されているという。

「抑える決意」,「抑える努力をする決意」,「抑える努力を追求する決意」と,「決意」に込められた意図はだんだん薄まっている。しかし,これが現実であり,問題の難しさをあらわしているように思える。

一昨日,テレビのニュース番組を見ていて,COP26における合意採択が報じられたしばらく後で,日光華厳の滝と東照宮ライトアップが報じられていた。わたしはなんとなく違和感を覚えた。この二つのことは,実は関係しているのに,無媒介に並列して報道されている。片やエネルギーの節約を言い,もう一方で電力の消費増が言われている。ちょっとこじつけかもしれないが,こうした「関係の無関係化,あるいは無自覚」とも言うべきことが,CO2・気温上昇問題を考える鍵になるのではないだろうか。

1972年のローマクラブをはじめ,経済成長が気温上昇の動因となっていることが指摘されるようになってから半世紀が経過し,SDGsが設定されるようになった。しかし,どうしたらそれが達成できるかは,まだ明確に示されていないように思う。ベストセラー『人新世の「資本論」』の著者斎藤幸平さんも,脱成長のコミュニズムを謳いながら,そこに至る過程についてはあいまいである。

熱力学の第二法則によれば,すべての動的過程からはエントロピーが生まれ,CO2が発生する。電気自動車や水素エンジンでCO2の発生を抑えても,機械を作り,水素や電気を得る過程ではどうしてもCO2は発生してしまう。それを小さくする努力をしても,生産量が増えればCO2も増大する。

われわれの営為のすべてが,地球の気温につながっているのだ。この関係を正しく自覚することが大切だと思う。「地球にやさしく」という合い言葉で,いろいろなことが提案されるが,実はそれが地球への負荷を新たに起こしていることがしばしば見られる。

喫煙の害が指摘され,公共の場から煙草が追放されるようになり,大手を振って喫煙ができない社会的雰囲気が醸成された。喫煙と癌の関係ほど,営為と地球温暖化との関係は簡単ではないが,個々の営為に二酸化炭素の値札がつけられて,欲求をコントロールし,人々の行動の指標とするようなことはできないだろうか。

 

秋深まる

土浦市乙戸沼公園にて11月15日撮影

コメント (3)
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