未知との遭遇
1月8日にNHKから放映された『クローズアップ現代 アマゾンに10年ぶりに出現した未知の人々「イゾラド」』をビデオで観た。
アマゾン川の上流、ペルーとブラジルの国境地帯の密林には、文明から隔絶されて暮らす人々の存在が確認され、免疫を持たない彼らへの伝染病の感染を防ぐために、ペルー政府は一定面積の森林を立ち入り禁止としてきた。
この森林に、川を挟んで接する集落の人々の前に、2014年「イゾラド」と名付けられた150名くらいの原住民が現れ、集落民は彼らにバナナを渡して、敵対者でないことを示した。また、言葉によってある程度意思疎通ができるようになった。
その後「イゾラド」は森林に姿を消し、消息は分からなかったが、昨年の6月に80名くらいの集団が姿を見せ、世界中を驚かせた。
番組は、四半世紀にわたって「イゾラド」を追い続けてきたNHKの菅井カメラマンの報告をもとに構成されている。
昨年6月に姿を見せた「イゾラド」の集落の人々への振る舞いは10年前と同様で、バナナを受け取り、森に帰っていった。
しかし、異変は10月に起きた。釣りをしていた集落の住民に矢が射かけられ、さらに、40名くらいの集団で現れた「イゾラド」の態度は敵対的だった。そして、彼らとの折衝に当たっていた保護担当官は矢を受けて瀕死の重傷を負った。
彼らは、「森の中で服を着ている奴は悪い奴だ」といい、カメラを見て「あなたたちも武器を置いてください」といったという。
集落では女性と子供を避難させた。NHKの取材班はちょうどこの時期に村に到着し、避難していた人々が帰ってきたのに出会った。
この原住民の変化の原因は推測によるものだが、保護区域には木の密伐採者が入り込んでいて、原住民が銃で撃たれ、その報復として密伐採者が殺されたのではないかと考えられている。それを裏付ける証拠も見つかっている。
この番組を観て、いろいろと考えさせられた。
「イゾラド」と文明人との出会いは、互いに未知との遭遇である。特に「イゾラド」にとってはその感が強かったのだろう。
服を着て言葉をしゃべる人間たちは自分たちにバナナを分けてくれ、その限りでは無害と考えられる。しかし、同じように服を着た人間が鉄砲で仲間を殺した。今までバナナをくれていた連中も服を着て武器らしきものをもっている。やはり危険な存在だ。ということになってしまう。
文明と非文明の接触の難しさが示されている。異文化の接触による悲劇としてあった、ヨーロッパからのコンキスタドール(征服者)による先住民の隷従、虐殺を想起する。現代の文明人はその悪を歴史から学んでいなければならない。
番組の最後で菅井カメラマンと話した漫画家のヤマザキマリさんも言っていたことだが、非文明人も文明に触れることによって、文明化していくことは避けられないだろう。すでに「イゾラド」の中には衣服をまとった人が見かけられている。
私たちは文明の中にどっぷりと漬かっているが、文明とは麻薬のようなものではないかとふと考えてしまう。
黎 明
自宅ベランダから撮影
STOP WAR!
黎明の写真は、何と素晴らしいことか!感激!
山人さんアドバイスを有難うございました。補聴器を着用していますが「左耳」が全く聞こえない為「右耳」のみで聴く音階は全く異なりますね、矢張り両耳で確り聴きたい思いです。