AFP通信の報道によれば、米ニューヨークに本拠を置く国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は4月23日、「ターミネーターのような殺人ロボット」の禁止に向けたキャンペーンを英ロンドンで開始したそうです。厳密にいうとロボット兵器に搭載された人工知能が標的を自主的に選択し殺害を実行するシステムの利用の禁止という意味だそうです。過去9年間にアメリカがパキスタンで行った無人戦闘機による攻撃で原理主義系テロリストと目される3587人が死亡し、そのうち884人が無関係な民間人だったとみられる事実に踏まえたものだそうです(英国のNGO組織の調査結果)。但し無人戦闘機の攻撃は現時点では人工知能ではなく遠隔地にいる操縦者が行っているので、この定義からは外れるようです。
ソースです ⇒http://www.afpbb.com/article/politics/2940438/10631254#blogbtn
NGOのキャンペーンで実際に対人地雷やクラスター爆弾、失明をもたらすレーザー照射兵器の禁止などの実績があがっていますから、これは未来を先取りした良い提案だと思います。
実際に自律型で自走式の殺人兵器の可能性はあるのでしょうか。無人戦闘機や巡航ミサイルに人工知能を搭載すればすぐにでも実現できそうです(すでに実例もあるかもしれません)。しかし地上戦を想定した自力歩行型戦闘ロボットとなるとどうでしょう(まさにターミネーターのようなあれです)。この場合はエネルギー源をどうするかが問題になりそうです。ASIMOのような人間型ロボットを見て頂くと分かりますが背中に重いバッテリーパックを背負っています。あれでも短時間しか活動できません。最近のロボットは、梯子を登ったりいろいろなことができますがバッテリーの容量が限られてるので活動時間は短いそうです。ですから戦場を自由に走り回る戦闘ロボットは簡単には実現できそうにありません。
ロボットの表面一面に可塑式の太陽電池を貼り付けるのはどうでしょう?おそらくそれだけでできることは停止して感覚系を動かす程度ではないかと思われます。ちょうど太陽光で光合成する植物が自分ではほとんど動けないように。そういう植物型ロボットに何かをさせるというのはありかもしれません(定点監視とか)。こう考えてみますと60年近く前に鉄腕アトムのエネルギー源を原子力に設定した故手塚治虫さんの発想はかなり正確だったと思います。
HRWの今回の提言のポイントは、撃命令を人工知能にまかせて重大な戦争犯罪を引き起こした場合に命令者の責任を問えなくなるような事態を想定しているように思えますが、その場合は人工知能に判断をまかせると決定した人物またはグループの責任を問えばよいような気もします。