博多住吉通信(旧六本松通信)

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寄付金と科学

2009年11月26日 | 科学
 ここ1週間ほど、行政刷新会議による科学研究予算の削減への抵抗の動きが広がっています。9大学学長の声明とか、ノーベル賞受賞者の反論ですとか。私に言わせればこういう日は遅かれ早かれやってくることは確実でしたから、そうした取り組みはもっと早くやっておくべきでした。私はここ5年ほど科学コミュニケーションの研究と実践に取り組んできましたが、それは納税者への説明の機会とすることが大きな目的の一つでした。
 
 それしても巨大科学はやはりコストがかかります。先週このブログで、アメリカでは巨大科学を民間人の寄付で支えている(場合がある)ことを書きました。もう一つ思い出したことがあるので紹介します。
 「コンタクト」という映画があります(1997年アメリカ ロバート・ゼメキス監督)。これはSETI(Search for Extra-Terrestrial Intelligence)をテーマにした映画でした。原作は宇宙科学者として著名な故カール・セーガン。
 SETIというのは簡単に言うと電波で宇宙人の存在を探索する試みです。1960年に実行されたオズマ計画が有名です。多くは電波望遠鏡で地球外の人工的な電磁波をキャッチしようという試みです(SETIにはこれ以外にもいろいろな手法がある)。
 映画の中で興味深い場面がありました。ジョデイ・フォスター演ずる主人公が、SETI推進の費用(具体的には大型電波望遠鏡の使用料)を募るため、企業を回って寄付金を集めている場面です。主人公はフリップカードを使って熱心にSETIの意義を企業の担当者に説明して回ります。努力の甲斐あって寄付を得ることに成功します。
 「宇宙人探索」という、恐ろしく成功の見込みの薄い、仮に成功したとしてもどんな利益が得られるか見当も付かない研究に企業が寄付金を出すなんてありうるのでしょうか。これはあくまで映画というフィックションの世界の話のように思えます。
 ところが現実世界のSETIでは、マイクロソフト社創業者の一人ポール・アレン氏が寄付した1350万ドルで製作されたアレン・テレスコープ・アレイ(写真 40台以上の巨大パラボラアンテナを設置)が2007年から稼動を始めています。嘘みたいな話ですが本当の話です。
 日本でも同じような文化を創ることができるでしょうか?これは重要な課題です。
写真はSETI研究所のホームページから引用させていただきました。
引用元 http://www.seti.org/Page.aspx?pid=570

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