転校生がうちのクラスにやって来た。
Aという名の男子だった。
クラスは同じで、席は俺の隣。
すぐに仲良くなれた。
お互いの家族の話していたときに、Aには死に別れた姉がいたことを打ち明けてくれた。
神経系の難病で、意識はあるんだけど身体は動かなくなっていって、最期の数年間は寝たきりで、動けなかったらしい。
とても重い話を初対面で打ち明けてくれた。
心を許してくれた証拠だろうから、良い友達になれそうだと思った。
その日の放課後に、Aの家に遊びに行くことになった。
Aの家は新築で、よくある小さな建売住宅だった。
両親とも共働きで、昼間家にはずっとAが1人なんだという。
しばらくAの部屋でゲームをして遊ぶ。
でもすぐに飽きてしまって、Aな前の学校の話を聞いていた。
そんな話から、俺は何の気なしに
「そういえば、Aの死んだお姉さんのことなんだけど。」
という言葉を言うと、Aの顔色が変わった。
「もう、その話はいいだろ!」
怒っているようだった。
やっぱ、深追いしちゃまずいことなのだろうか。
その日は、気まずくなってしまって、俺は帰ることにした。
次の日から、また何事もなくAとは仲良く友達として接することが出来た。
ただ、一週間経ったある日のこと。
Aが、急に学校を休んだんだ。
先生によれば、前の晩、寝たきりだったAのお姉さんが自宅のベッドで亡くなったのだという。
たこ焼きには目がない俺は、早速行ってみることにする。
そのお店に入ると、店そのものは小汚く、現時点で俺以外の客はいない。
本当に美味しいのだろうか?
これで本当に美味しければ、隠れた名店と言えるだろう。
まずは1パック注文してみる。
出されたたこ焼きにパクリとかじりついてみるが、
なにこれ?
微妙にタコっぽい物は入っているのだけれど、
1パック食べてみても、タコは入っていなかった。
これじゃ詐欺みたいなもんだ。
俺は、おやじに強めに言う。
俺「おやじ!大きいタコ入りたこ焼きを謳っておいて、1個もタコが入っていなかったぞ!これはどういうことなんだ?」
おやじ「お客さん、それは大きな誤解ですよ。」
不愛想で頑固な主人が一人で切り盛りしていた店だった。
接客態度はお世辞にも良いとは言えない主人。
でも、味は客を満足させるものだったため、席は常に埋まっていた。
ある日のこと。
主人が病いに倒れてしまった。
病いは、快方に向かうことなく、主人は息絶えてしまった。
ラーメン屋は、一人息子が受け継いだ。
息子は、ラーメンの修行を必死にしたのだが、父のようなセンスはなく、店の人気は下降線。
「あの店は、味が落ちた。」
「先代が美味すぎたからな。」
という良くない評判と共に、日に日に客足は減る一方。
だが、突然に、店の味が昔と同じ(先代の味)に戻ったのだった。
すると、客は増加し出し、以前ような活気ある店内の雰囲気に戻っていった。
同時に、店にはおかしな噂も流れた。
先代の主人が死ぬ間際、息子や弟子達の前で、こう言ったというのだ。
「俺が亡くなったら、俺の骨を使って出汁をとれ!」
さっきからやけに歯が痛い。
痛みで夜も眠れないほどだ。
これは、早急に歯科に行った方がよさそうだ。
厄介なのは、この辺はド田舎で近所に歯科がない。
いや、正確に言えば一か所だけある。
ただ、その歯科はあまりにも外観がボロボロであまり治療を受けたくないのが本音だ。
俺は痛みと相談した。
耐えられないほどの痛みだ。
我慢できそうにない。
歯科に行くか。
次の日の朝一で歯科に行ってみると、医師にこう言われた。
「こりゃひどい。すぐに抜歯しないといけません。でも、うちじゃできないんですよ」
俺は答えた。
「なんでだよ。夜も眠れないくらい痛いんだよ。つべこべ言わずに抜歯しろよ!」
「本当にできないんですって」
「うるせー。抜歯しないと殴るぞ」
「そう言われましてもね。これかなり腫れてますし、歯の半分が中に埋まってるんですよ。歯茎も切るし、歯も割らないといけないし、抜くのに一時間以上かかるだろうな」
「一時間くらい全然いいから。殴られたくなければ、早くしろ!」
「仕方ありませんね。今、当院には麻酔がないんですよ。それでもいいんですね?」
「いいから早くしろ。え?え?うん」
ある刑事は優秀なネゴシエイターだった。
人質などを捕って立てこもった犯人と交渉する技術、彼の腕は一流で世界一と言ってもいいほどの刑事だった。
彼のやり方はとてもシンプル。
犯人の家族について話をして、自然と降伏させるような方法だった。
どんなに凶悪なテロリストでも、涙を流しながら武器を捨てて降伏してくるものだった。
ある日のこと。
刑事はその日休みで、デパートへと買い物に来ていた。
そのデパートで、たまたま凶悪な殺人犯が立てこもりを始めた。
その日の朝に、人を殺した犯人だった。
警察は、朝の殺人やデパートの立てこもりには気が付いていない状態。
犯人は、非常に興奮しており危険だ。
刑事は、自分が説得を試みようとした。
こういった事件は日常的に解決していたので、自信があったのだ。
犯人の年齢は若く、突発的な犯行に思えた。
相手の気持ちを落ち着かせながら、普段通りやれば大丈夫だと思えた。
しかし、交渉は失敗してしまったのだった。
そして、犠牲が出た。