前回のフィギュアを作っている最中に、殴り込み前の道行きのフィギュアの希望があったので急きょ並行して着流し姿を作り始めた。健さんは体格も着こなしも理想的なのでうまくできるか自信はなかったが何とか形にはなったのではないかと思う。
「昭和残侠伝」シリーズでは準レギュラーの池部良が殴り込みに同行する毎回のシーン。テーマ曲が流れ否が応でも盛り上がるところ。前作の唐獅子牡丹バージョンほど見た目に派手さはないが、それだけに誤魔化しのきかない造形となった。わずかなドレープと着崩した感じ。かなり面倒だったが着物の縞小紋も入れてみた。そして帯のラインで全体を引き締めた。思えばこの角帯は博多織なんだろうなぁ。
今回の造形で新たに挑戦したことといえば着物の襟の部分。通常だと体はそのまま一体型抜きするところだが、襟の部分だけ別パーツにして襟の中が覗けるような立体的な構造にしてある。これは塗装しながら組み立てないといけないのでかなり変則的な構造になっている。覗いてみるとさらしを巻いているのがわかる。少し新しいことにも挑戦してみたかった。
鞘付きのドスを左手に持たせたが、右手に刀袋を持たせたバージョンも作ってみた。
今回は着物の色に悩んで取り敢えず青系(ミデイアムブルー)とグレー系の2種を試した。
これだけでも十分と思ったがせっかく唐獅子牡丹の絵を描いたので、台座にさりげなく唐獅子牡丹の筋彫りを配してみた。 これらの連作はまさにコロナ自粛のステイホームの期間に製作したものだった。
思えば無口でクールなそれでいてアクションに長けているヒーローのイメージは昭和に育った我々が憧れたものだった。それはマックイーンやイーストウッド、健さんに共通のもので映画のクライマックスでは観る者それぞれの鬱屈した日常を発散するものだったのかもしれない。人々がまだ素直でひねくれていなかった良き時代。自分は今でもそこに価値基準を置いている。
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