一般的に、犬に比べて猫の避難はハードルが高いようです。
例えば、熊本地震の際、避難所に同行避難した犬は156頭ですが、
猫は17頭だけです(環境省調べ)。
地方では外出自由な猫が多く、家屋の損壊などで
屋外へ逃げてしまったり、
放した家もあったと考えられますが、
都市部の震災時、猫を外に放すのはNGです。
猫の日常の安全のために完全室内飼育を推奨しておりますが、
子猫の時から室内で飼われている猫は野生の本能を失くし、
しかも震災下でパニックになり、落下物で怪我をしたり、
行方不明になる可能性があります。
(東日本大震災後、雪の中をさまよう猫
原発警戒区域では猫が大繁殖した)
🐱ハードル・その1 猫が捕まえられない!?
愛猫はすんなりキャリーケースに入ってくれるタイプですか?
隠れて固まりますか?逃げ回るタイプですか?
震災時、同行避難や避難の待機をする際、
パニックになって捕まえられない猫をどう捕まえるか?
猫の性格や行動によって方法は異なります。
猫にはしつけやトレーニングよりも、
習性に合わせて飼い主が対処すると言った方が
合っていると思います。
激しい揺れに驚いた猫は倒れた家具の隙間などに逃げ込んで
しまうかもしれません。
まず必要な作業は、猫が逃げ込んだら捕まえられない場所を
日ごろからすべて封鎖しておくこと。
ベッドの下や手の届かない家具の上や隙間など…
愛猫は怖がったとき、どこに隠れますか?
猫は奥まった狭い場所を好みます。
押入れやカーテンの裏は猫に人気の隠れ場所です。
キャリーケースは病院を思い出すので嫌がる猫も多いですね。
ケージに避難する猫なら問題なし。
クローゼットに隠れる癖のある猫でしたら、
深さのあるフタつきの段ボール箱を中にセットしておきます。
お気に入りの敷物を底に敷いて寝床にしてあげましょう。
(猫が嫌がらないならキャリーケースを)
家具の転倒がない安全な部屋の隅にセットしておくのも一案です。
猫は段ボール箱が好きなので、隠れる(飛び込む)確率は高いです。
猫が箱から飛び出さないよう注意しながら洗濯ネットに入れてキャリーケースへ。
揺れで開いた家具の中や抽斗に隠れる猫もいますので、こちらも洗濯ネットで。
猫は洗濯ネットの中で落ち着いています。
この猫は4kgですが、もっと大きな猫や、
捕まえにくい猫には通販で購入できる特大の
目の粗い洗濯ネットがおススメです。
診察時や、キャリーケースからケージに移す際にも重宝します。
熱い時季の熱中症には注意が必要です。
(洗濯ネットを蹴とばして遊んでいます😊)
隠れず、逃げ回るタイプの猫は、捕まえやすい部屋へ、
オヤツなどで誘導します。(1人より複数人で対応した方がスムーズです)。
地震で物が散乱して大変になりますので、なるべく家具の無い部屋があれば、
そちらへ誘導します。ここにも段ボール箱を置いておき、
入らない場合は、部屋の隅などへ行かせ(怖いのごめんなさい、猫のため)
1人が抑え、もう1人が洗濯ネットを頭からかぶせるようにして入れ込みます。
顔の前に洗濯ネットやキャリーケースを差し出すと、自分から飛び込む猫もいます。
最初は手こずっても、何度かやっている内に猫も人も捕物帳に慣れて来ますので、
ワクチン接種(避難には必須)や健康診断で定期的に捕まえ、
移動や異なった環境に慣れさせておきましょう。
今までで一番感心したのは、焚き木の山に一体化して
寝そべっていたキジトラでした。
保護色で焚き木の一本に見え、目の前にいたのに見つけられず…。あっぱれ!
(🐱大阪北部地震のネコ11態 ↓ 笑えるけど、笑えないケース💦)
*記事の写真9番は、塞いでおいた方が良い場所です。
経験したことのないような地震の揺れに遭った場合、
猫が普段とは違う行動をとることは十分考えられます。
まずは猫の名前を呼んで、どこにいるか探してください。
首輪を嫌がらない猫なら、鈴や、GPS付きの迷子札を着けておけば
居場所探しに役立ちます。
家が無事で避難する必要がなければ、猫が隠れている場所の近くに
水やエサ、トイレを置き、猫が自分から出て来るのを待ちましょう。
大阪北部地震では時節柄、窓を開けていた家も多く、
揺れに驚いた猫が網戸に飛びつき、
外へ飛び出してしまったケースが多々あったと報道されました。
マンションの上階だとゾッとしますね。
ドアや窓や網戸には必ず脱走・飛び出し防止策を施してください。
猫は地震に怯えているので、落ち着かせるためにも、
先ずは飼い主が冷静になって対処する必要があります。
怖がっている猫にひっかかれたり咬まれないよう気をつけましょう。
捕まえられない猫の捕まえ方、ぜひ妙案をお寄せください。
⑩ネコの避難はハードルが高い!? その2 につづきます。
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