運命と出会う瞬間

映画・小説・音楽・・なんでもありの気ままな感想

「今度は愛妻家」

2010年01月20日 12時43分16秒 | Weblog
舞台挨拶付、初日の「今度は愛妻家」を観た。かねてから、ポスターや中吊りの雰囲気から観たいと楽しみにしていたので嬉しかった。
映画は、後半、思いがけない展開になる。
そこへ導入していく、ほのぼのとした夫婦のバトルややりとりも、シリアスになった後半も、男である夫の嘘が満載だ。

なるほど、男というのは嘘をつきながら生きていくんだ。我が家の夫だけではない。
自分にも人にも真っ赤な嘘を重ねながら虚構を構築していくことが、子供という紛れもない、ホンモノを産まない男の性(さが)なのかもしれない。

そして、そんな男たちがもっとも苦手とするのが、嘘が通じない存在、女房だ。

もう、できれば消えていてほしい。自分がせっかく嘘で作り上げた素晴らしい作品を現実に引き戻して壊してしまいかねない存在が妻なんだから。
もちろん、もっとも嘘をつきにくく、だましにくい存在でもある。

映画では薬師丸ひろ子が、ときおり、さすが映画女優だ、と思わせるなんともいえない、いい表情で、豊川悦史扮する夫の周りでウロチョロしている。
「消えてくれ」、「消えるわよ」、「消えろ消えろ」。。。結末は言わない。一人でも多くの方に観てほしいから。

行定監督が語った。
「こういう、40代とか、が主人公の映画が減った。アニメ原作ばかり、10代20代の子達が主役っていう映画ばかりでは違うと思う、人生ってそういうもんじゃないと思う」。。。賛成だ。
大切なものは、時に重たい。楽しく心地よいだけではない、いやなら取り替えればいいと、殺してしまえばいいという、短絡的な犯罪がはびこるのは、社会の基本単位である夫婦という男と女が、価値のあるものの、重たさや面倒さに持ちこたえられなくなっているからではないかな。

石橋蓮司のオカマぶりも素晴らしい。内面が女性そのものの思考回路になっていた。