逝きし世の面影

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歴史的事実の尊重 「靖国参拝」と怨霊信仰と敵国条項

2016年08月13日 | 政治・外交、憲法と天皇制
『「歴史的事実の尊重を」=閣僚靖国参拝で米国務省』2016/08/12-時事ドットコムニュース

【ワシントン時事】米国務省のトルドー報道部長は11日の記者会見で、今村雅弘復興相が靖国神社を参拝したことについて「歴史的事実を尊重することが重要だ」と指摘し、慎重に対応すべきだという立場を示した。
 報道部長は、安倍政権の他の閣僚による靖国神社参拝の可能性に関しては「日本政府に問い合わせてほしい」と述べるにとどめた。 
 国務省はこれまで、歴史問題をめぐる日本と中韓両国の対立について「癒やしや和解を促進するようなやり方で歴史問題に臨むことの重要性を引き続き強調する」(トナー副報道官)と繰り返している。
(2016/08/12)時事通信

『眠っていた国連憲章第77条の敵国条項が生き返る?』

ロシア(プーチン大統領)は千島列島の帰属問題(いわゆる北方御領土)について『日本は歴史的経過を尊重せよ』(謙虚に歴史に学ぶべきた)と繰り返していたが、今回のアメリカ政府の『日本は歴史的事実を尊重せよ』との慇懃な警告も内容的にプーチンと同じ態度で、意味するところは『日本が無条件降伏した(米英ロ仏中の連合国軍が勝った)という第二次世界大戦の結果を覆すな!』である。
何とも恐ろしい話ですが、以前の『癒しや和解の促進を、』などの発言とは次元が根本的に大きく違っている。
日本語では別々の国連と連合国ですが英語表記ならUNでまったく同一。国連憲章の敵国条項ですが、77条には具体的に国名を書いていないが意味するところはWWⅡの『敗戦国』(ドイツと日本)だったのである。(戦争の敗北は選挙やスポーツと同じで、次の戦いで勝たないと時間が経っても負けた結果は覆らない)

『とうとう堪忍袋の緒が切れたのか?最後の一線を越えたアメリカ』

大日本帝国憲法に復帰(戦前回帰)しようと画策するビューティフルジャパン『美しい国』の安倍晋三など日本の右翼国粋主義に対して、とうとうアメリカ政府の堪忍袋の緒が切れたのだろうか。(海外では靖国神社は『戦争神社』と報道されている)
ただし、今回アメリカ国務省までが誤解しているが幾ら中国韓国など近隣諸国に批判されても自民党などの首相や閣僚の靖国参拝(いわゆる公式参拝)が繰り返されている原因ですが、これは靖国神社の松永宮司により東条英機などA級戦犯が1978年(昭和53年)に合祀されたことで天皇参拝が中止された代替品である。香港などで売っている安物の偽ブランド品のようなお粗末な詐欺話なのです。(脱法行為ではあるが所詮はインチキな紛い物で本物ではない)

『靖国神社へのA級戦犯合祀で途絶えた天皇公式参拝』

本来の靖国神社の存在にとっては天皇参拝こそが重要だが、半世紀近く何十年も参拝が行われない。この為に仕方なく日本政府の首相や閣僚の公式参拝の詐欺的な苦し紛れのパフォーマンス程度で誤魔化しているのが実体である。
今のように天皇参拝が無い靖国神社とは、タコが入っていないタコ焼きとか餡が入っていタイ焼きと同じで、その存在自体がインチキ臭いのである。
天皇のために死んだものを『軍神』として現人神の天皇が拝むとの世界に例が無い摩訶不思議なシステムが靖国神社の売りなのですが、今の靖国神社の宮司は徳川宗家の出身なので戊辰戦争で負けた彰義隊や会津藩も祀るべきだと主張している。
亀井静香や徳川康久宮司は、靖国神社は官軍である長州藩中心の慰霊施設で、長州閥は天皇の政治利用(玉座を胸壁とし詔勅を弾丸として)権力を拡大して世界大戦に大敗する。今の靖国神社は長州藩の『氏神様』程度であり、『靖国神社には勝者も敗者も無関係に、会津藩など奥羽列藩同盟、彰義隊、西郷隆盛など国を想い尊皇の心で命を落とした人々は全てお祀りするべきだ』と主張する。
靖国神社は1879年(明治12年)に戊辰戦争の戦死者を祭った東京招魂社(1869年 明治2年)を、現在の『靖国神社』へと名前を変えた、という皆が知っている『公認の靖国神社の歴史』ですが、実は東京招魂社以前の誰も知らない、もっと古くて忌まわしい『裏の歴史』が隠されていた。

『天皇公式参拝とは無関係だった明治以前の靖国神社』

明治維新の5年も前の1863年(文久三年)の下関戦争(馬関戦争)で英仏蘭米の四国連合艦隊に大敗した長州の奇兵隊戦死者を高杉晋作が祀った桜木招魂場が今の靖国神社の前身だった。(この歴史的事実は何故か日本のタブー中のタブーとして封印されている)
日本独自の怨霊信仰では、非業の死をとげた死者の魂は成仏出来ないのである。
野晒し状態の桜木招魂場の社殿が出来たのは2年後、第一次長州征伐の負け戦の後ですから、招魂場は靖国神社のように勝者である『官軍の顕彰』のために作られたものでは無い。
間違いなく、惨めに敗れ去った(恨みを呑んで死んだ)『敗者』の為の慰霊のための施設であり、(死者の呪いや祟りを恐れた)生残ったもの達によって『怨霊鎮め』を目的として作られていた。
この世に留まった成仏出来ない『怨霊』を慰霊しないと現世を彷徨い続けて人々に祟る恐ろしい『呪い神』となる。
もともとの出発点は『怨霊信仰』(慰霊)だったが、何時の間にか天皇を政治利用する長州閥政府によって国家神道の総本山の『靖国神社』(官軍死者の顕彰)として祭り上げられていったのである。

『日本独自の怨霊信仰として出発していた高杉晋作(奇兵隊)の桜木招魂場(現・櫻山神社)』

大宰府に左遷された菅原道真は恨みを呑んで死んだ為に祟り神となったが『天神様』として拝むことで、恐ろしい怨霊からの報復を防ぐことが出来るが、梅原猛は法隆寺(厩戸皇子などの聖徳太子信仰)も滅亡した蘇我氏系の上宮王家を聖徳太子として祀ったと考察しています。
平安時代に天皇制や政治を私物化した藤原氏ですが、消失していた法隆寺を再興した目的とは、上之宮王家の怨霊の封じ込めの『怨霊信仰』であった。
同じく高杉晋作が桜木招魂場(現・櫻山神社)に英仏蘭米の連合艦隊に大敗した長州の奇兵隊戦死者を祀った原因とは、(天皇とは何の関係も無い)日本独自の(祟り神の怒りを鎮める)『怨霊信仰』だった。
下関戦争(馬関戦争)で英仏蘭米に大敗した長州の騎兵隊戦死者を祀った高杉晋作の桜木招魂場こそが靖国神社の真の姿だったとしたら、第二次世界大戦で大敗した日本兵の怨霊鎮めの場であるとも解釈できる。
下関海峡を通る外国船を攘夷の長州藩が突然砲撃して開戦したのが馬関戦争である。同じく日本海軍の無謀な真珠湾奇襲攻撃で開戦したのが第二次世界大戦であるが、何れも結果は英仏蘭米等の連合国軍に大敗している。
自分から仕掛けた戦争での大敗北で、恨みを呑んで死んだ『敗者』の為の施設であり、無謀な戦争での死者の呪いや祟りを恐れたA級戦犯の孫の安倍晋三がお参りしているのですから(『崇敬の念』などというから勘違いするだけで)相違点よりも150年の時間差があるが共通点の方がはるかに多い。

『突然大問題になった「天皇生前譲位」を巡るあまりにも生臭い政治的な思惑』

天皇生前譲位や『8日15時』の『天皇のお言葉』報道ですが、明らかに右翼国粋主義の安倍晋三首相のお友達である籾井会長のNHKが主導していた。
それなら穿って考えれば、安倍政権が主導していたとも考えられるが、・・・
あの孫崎 享は 8月8日 『・・・NHKがリード。天皇の意向を伝えようとする社会部、抑えようとする政治部の確執・・』
金子勝は 8月9日 『・・天皇こそが現行憲法の平和主義の象徴だ・・・この逆転こそが日本の右傾化と保守リベラルの解体状況を象徴する。もはや自民党は保守ではない』
朝鮮日報など韓国のマスコミの論調は、天皇が政治的な権能を有しないことを強調したとして、これは元首化など憲法改正にブレーキをかけたものだと、『護憲派の天皇』との金子勝と同じような見かたです。
基本的に日本のマスコミ報道は8割以上の国民の支持を背景にしているので好意的評価ですが、読売社説だけは論外で、反対姿勢。
そこでまた最初の疑問に突き当たる。
NHKが天皇譲位報道を終始リードしていたのですが、それなら今の政府の意向なのか?
それとも逆に、安倍晋三の改憲の動きを牽制する目的なのか?

『天皇生前「譲位」を何故か「退位」と呼んでいる安倍政権や右翼ジャーナリズム産経新聞の不思議』

なにも天皇でなくてとも二度も生死にかかわる大病を経験した82歳の高齢者が体力の限界を感じて後継者に役職を譲るのは当然な成り行きであり何の不思議もない。
ところが、生前であれ没後であれ、譲位だと皇太子が次期天皇になるが、安倍晋三の支持基盤である右翼国粋主義の頭が空っぽで目が節穴の低能連中ですが、なぜか今の皇太子の即位には反対していて長男ではなく二男への譲位を主張する者もいる始末。
この連中は雅子皇太子妃に対しても汚らしい罵詈雑言を浴びせていますが、雅子妃が『皇后陛下』になることへの拒否感は想像以上に強い。
天皇譲位を嫌がる理由ですが、実は次期皇太子が空席になることを懸念しているらしいのですよ。
今の皇位継承権の順番は長男の皇太子の次が次男(秋篠宮)で、3番目が次男の幼い子供なのですが、新しい皇太子が天皇の弟(秋篠宮)では『皇太子』がなくて『皇太弟』になるので都合が悪い(座りが悪い?)と考えているらしいが、今の皇室典範の皇位継承の順位は天皇が退位しようと死去しようと変えられません。気に入らない天皇は即位させないといっても、方法がありません。どうしてもなら、暗殺計画しかないのである。
今回産経新聞の熱心な読者のネトウヨ氏が、メディアが『生前退位』と表記するが退位というのは王政・帝政の廃止を暗示した言葉で実にケシカラン。わが国には『譲位』という言葉があるのだからそれを使ってほしいと書いているが、言われてみれば正にその通り。
ネトウヨの機関紙的な産経新聞が『退位』と表現していたとの指摘ですが、実に面白い。日本国内のマスコミですが、籾井NHKとか宮内庁筋の発言を報道するときは概ね『生前譲位』と表現していた。
対して『退位』の方は安倍政権筋の報道の時ですね。産経は安倍晋三に近いので『退位』なのでしょう。
毎日新聞でも8月11日の第一面の見出しは『生前退位特別法軸に 政府方針』と、この『退位』の文字が安倍政権寄りの表現であると匂わしています。

@magosaki_ukeru · 8月9日
戦前の右翼中「ゾルレン(あるべし)の天皇」と「ザイン(ある)の天皇」がある。ゾルレンの天皇を守るためザインの天皇を殺していいという考え方が出た」(鈴木邦男氏)。熱河作戦時、軍脅す。今その考えが日本会議、安倍首相の周辺に存在
と外務省国際情報局長や防衛大学校教官などを歴任した孫崎 享が、ツイッターで警告しています。
なんとも怖い話ですが、天皇制にとっての最大の危険は天皇制に反対する左翼の存在ではなく、間違いなく安倍晋三などの右翼ですよ。表面的には天皇制を支持しているふりをしているが、中身が逆さま。大義としての『弑逆』も有り得るのですから無茶苦茶である。脳内の仮想空間(バーチャル)と、現実(リアル)との混同で大混乱しているのですが、旧日本軍のようにリアルに優先するバーチャルでは必ず破滅が約束されている。

ただし、象徴天皇制を何度も強調した『8日15時の天皇のお言葉』の意味は、その中身よりも発表された日付(8日)が8月6日のヒロシマと8月9日のナガサキの真ん中であったことが最大の問題だったと毎日新聞の岸井 成格元主筆が語っている。暗にフクシマの放射能被害の末期的な深刻さを象徴していたのであろう。


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2 コメント

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Unknown (農婦)
2016-08-19 11:01:24
難しすぎて私には理解不能。左翼右翼の違いがハッキリ理解できない私です。だけど一応私も人ですが。すごく暗い私の連れ合いは明るくて、40年連れ添っていても一緒にいたいパートナーです。言い争いになったら、普通では離婚ものでしたが何故かお互い別れない、嫌いでもないし好きでもない、が、私はうちの連れ合いを尊敬してます。本当にくだらないコメントをしてしまいました、皆さんすみません。あーだけど、言い争いになると私は包丁を連れ合いに突きつけます、警察沙汰にならなかったのが幸い。

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日本の敗戦で、靖国神社の廃止を提唱していた石橋湛山 (宗純)
2016-08-26 13:32:13
農婦さん、コメント有難う御座います。

靖国神社と大日本帝国憲法とはピッタリなのですが、やはり今の民主主義社会の日本国憲法と靖国神社とは相性が悪すぎる。
帝国陸海軍が、未曾有の国難を日本にもたらし、その結果陸海軍は消滅した。
敗戦直後の時期に、石橋湛山は戦争を推進した靖国神社の廃止を提唱していますが、この石橋湛山に学ぶべきではないでしょうか。平和憲法と真っ向から対立する靖国神社ですが解体しかないでしょう。

『逝きし世の面影』の世界と、『最後の神』としての憲法9条
2008年02月26日 | 憲法
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/fe3e08a9b5244ba8e3bed83454a868da

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