逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

アナログ停止まで、あと3日、アメリカ連邦政府停止まで、あと12日

2011年07月21日 | 経済

8月2日のアメリカのXデーが近づきつつある。
大ベストセラー『金持ち父さん貧乏父さん』の著者でハワイ在住の日系四世ロバート・キヨサキは、極近い将来に『大恐慌か、ハイパーインフレーションがやってくる。』もしくは、『戦争が起きる。』ので今すぐ『銃を買え。』と主張、『私は食料、水、武器、 金と銀、そして現金を準備している。』金融崩壊の発生で、『クレジットカードシステムが決済できなくなり、世界はシャットダウンする。』ハイパーインフレと信用崩壊で『スーパーマーケットの供給は3日ともたない。』とアメリカの崩壊を予想している。
もう無茶苦茶で、ほとんどウルトラバイオレンスムービーのマッドマックスか、世紀末覇者ラオウの北斗の拳の舞台設定と同じ社会ですね。

『トリプルAの格付けのままで破綻したサブプライムローン』

アメリカの格付け会社各社が、アメリカ国債の最高ランク(トリプルA)の格付けを見直すと言っていますが、これを如何解釈するべきか。
あのアメリカ製金融工学のサラ金とネズミ講の合体した、必ず最後には破綻する構造の悪質極まる金融詐欺に近い『サブプライムローン』でさえ最高ランク(AAA)に据え置いたままであった。
自分(アメリカ)に優しく、他人には厳しい。
金融詐欺紛いのジャンク債を、『最優良債権だ』とアメリカの格付け会社は主張していたのです。
格下げしたのは破綻してからであり、アメリカの全ての格付け会社は破綻寸前でも何の警告も出していない。
この悪しき前例を考えれば、ジャンク債(ゴミ)のサブプライムローンよりも米国債が危ないと解釈出来るが、それなら今回のドル(米国債)の格下げのニュースは驚愕すべき事柄で、本来なら新聞社は号外を出すべきなのです。
米国債はゴミ(ジャンク債)以下の『クソである』とアメリカの格付け会社が判断したことになるのか。
今現在、アメリカで絶対に起こらない事が起きつつあると考えるべきでしょう。
日本国で最近大流行しているインチキ臭い『想定外だった』ではなくて、アメリカでは本当に『想定外』の事象が進行しつつあるのです。

『文科省モニタリングポストと同じアメリカ格付け会社』

今の日本政府が行っている放射能値の測定方法は、モニタリングポストの設置場所によって測定高さがまちまちであり信用度は低い。
モニタリングポストの数値は他の場所との放射線量の比較を行う為の目安ではなくて、同一地点での放射線数値の変化を調べる目安とするべき代物である、と発表している当の文科省が言っている。
間違っても、測定方法が違う別の場所との数値の比較に使うのは、何の意味も無いのですね。
同じことがアメリカの格付け会社の行っている、各国の国債の『評価』にも言えます。
評価基準が違うので、他と比べても意味が無く、同一国の上がり下がりを調べる目安程度なのですね。
それなら間違いなく『ドルは危ない』ことになります。
何ともインチキ臭いアメリカの格付け会社(単なる一営利企業)の評価などよりも、ずばり為替の数値や、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場の動きが一番正確に値打ちを表していると考えるべきですが、何故か日本では誰も絶対に行わない。
理由は簡単で為替相場やCDSで評価すると『円は一番安心』となり、それは今の世界最悪の財政危機だから『消費税増税だ』とのマスコミや財務省の宣伝広報とは大違いで、誠に都合が悪いのです。
しかし世界の投資家は日本の考え方とは正反対であり、これは経済学云々以前の大人の常識の範囲である。
自分の大事な財産を投資するのに(格付け会社などの)不確かな情報では絶対に動かないのです。
アメリカですが矢張り大統領選挙やそれと同時に行われる連邦議会選挙との関連はあると思いますが、今の動きは実に不気味で予断を許しません。

『国家存亡の危機に逆に上昇する日本円』

ただ不思議なのは日本の今の『円高』の動きですよ。
1990年のバブル期絶頂期に140円台だった円が、バブル崩壊後の深刻な不況に突入した時、1995年阪神大震災の10兆円超の大損害で経済はダブルパンチの国難が日本を襲っている時に史上初めて80円の大台を割る『超円高』になっている。
未曾有の国難で上がる通貨は世界では例が無く、これは日本の『円』だけなのです。
これが何を意味するかですが、資本主義の景気とは必ず循環する性質があるのに、世界で日本だけは特別で20年間も消費不況のデフレ経済で眠っている(凍死寸前?)のです。
この国家存亡の未曾有の危機の通貨『円』上昇の意味は、国家の危機のショック療法での『日本国民の覚醒』を世界が考えているからではないでしょうか。
それ以外には『国難時の通貨上昇』と言う摩訶不思議な合理的な原因が、今のところ思いつかないのです。

『米国債を「現金化」して逃げるヘッジファンド』

米債券運用大手パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)の旗艦ファンドである『トータル・リターン・ファンド』は今年2月末現在で米国債・米機関債など米政府関連債券をすべて売却して現金化した。
1月末時点での保有比率が12%だった米国最大の債券ファンドPIMCOが米国債をすべて売っていることが全てを物語る。
このPIMCOと同じ債権の現金化を他のヘッジファンド会社も行っている模様で、アジア通貨危機の張本人であるヘッジファンドの雄ジョージ・ソロスが、運用する255億ドルの内の75%を既に現金化して運用していないと発表している。
欧州の債務危機や米国の連邦債務上限の引き上げ問題など世界の先行きに不透明感が広がる中、ヘッジファンド会社は軒並み株式や債券、通貨への投資額を減らしている。
6月時点のバンク・オブ・アメリカ(BOA)の調査では、現金の比重を高めている資産運用会社の割合は全体の約18%で、5月の6%から一月で2倍以上に増えている。
ヘッジファンドとは投資家から預かった現金を債権に投資して利ザヤを稼ぐのが仕事であり、ジョージ・ソロスが2兆円程度を何にも投資せずに現金として持っているだけなどは本来在り得ない椿事。
数々の修羅場を経験しているソロス氏(80)でさえ当惑しているのか4月の会合で、『現在の状況は金融危機のさなかよりもはるかに不可解で予測しにくい。』と述べ、『市場は本質的に不安定だ。』と指摘している。

『不思議過ぎる米ドルでの現金化』

ジョージ・ソロスや他のヘッジファンド会社が『金』などの購入ではなくてドル紙幣として現金化する動きは何を意味するのか。
これは巷間よく言われている『危ない時のドル買い』とは全く違う動きであることだけは間違いない。
何故ならそもそも、その『ドル』が暴落する可能性がある(危ない)のが『今回の危ない時』の正体なのである。
それなら海千山千の辣腕投資家ジョージ・ソロスがこんな簡単な事柄を見逃す筈が無く、ソロスはアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)発行のドル紙幣が安全との見通しがあると、何らかの根拠で判断したのだろうと思われる。
オバマ政権は8月2日のXデー回避の為には、共和党が優位の議会と債務上限の撤廃交渉の成功と、FRBによる米国債の全額買い付け(QE3)の承諾という、二重の難しい関門を突破しないと破綻は避けれない。
どちらか一つだけでは矢張り連邦政府の財政破綻は不可避なのであるが、議会共和党とFEBどちらの合意でもハードルが高く(無条件降伏か全面屈服?)到底オバマ大統領としては飲めない条件がついているのです。

『リンカーン紙幣以来150年ぶりの政府紙幣の発行か』

それならアメリカ憲法の規定(政府の貨幣発行権)に則り150年前の、暗殺されたリンカーン大統領と同じ方法である政府紙幣の発行(南北戦争の戦費を捻出)に踏み切らざるをえなくなる。
その場合にはアフガンでのドスタム紙幣と同じで、新旧の同じ紙幣が共存する不思議な事が起きるが、この場合にはオバマ大統領のアメリカ政府発行の新ドル紙幣は、今までのFRB(民間銀行団連合組織)発行の旧ドル紙幣の数分の一に下落することが予想される。
紙幣とは偽造防止の観点からおよそ考えられる最高水準の技術力で造られていてアフガニスタンの左翼軍事政権はソ連で印刷(発行)してもらっていたが、軍事政権の一翼だったウズベク人武装組織のドスタム将軍の裏切りでカブール政権は簡単に崩壊する。
アメリカの支援で出来上がったイスラムのムジャヒディン政権は内部抗争で崩壊し、その後タリバン政権が出来るが北部同盟のドスタム将軍は正規のアフガ二紙幣の原版を押さえて新紙幣を刷りまくる。
結果、アフガニスタンではドスタム紙幣の値打ちが暴落してしまう。
この偽札に限りなく近い何の裏付け(債務保証)も無い正規紙幣(軍票?)であるドスタム紙幣と、オバマ大統領の政府紙幣とは同じ性質のものであり、これではハイパーインフレは確実でアメリカ経済の大混乱は不可避である。
この時旧ドル紙幣(FRB紙幣)は相対的に値上がりするので大儲けできる可能性があるとヘッジファンドは考えているのだろうか。

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6 コメント

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陰謀論的思考(笑) (愚樵)
2011-07-20 12:29:12
・宗純さん

円の暴落が始まるとすれば、投資家たちの「空売り」からですよね。空売りの目的は利益を得ること。で、利益を得るには値幅が大きいほどよい。つまり、もし、円を売り浴びせる予定があるなら、その直前までは高い方がいいわけです。予定している者たちにとっては。

もちろん、そんな予定があるかどうかは私の知るところではありませんが。
返信する
こんな話を聞きました (VMAX)
2011-07-20 13:17:39
 こんな話を聞きました。

 未曾有の大震災のあと、なぜ日本円が過去最高値を更新したのか・・・? これは以下のような背景があった と。

・国際金融資本家の集金マシンであるJPモル
 ガンが主体になって、100兆円規模の猛
 烈なドル売り円買いを仕掛けた。 結果、
 瞬間で76円台に。

・100兆円規模のドルを買った日銀は、そ
 の100兆円の資金でそっくり米国債を購
 入した。

・JPモルガンらは、その100兆円規模の資金
 を活用して、日本政府の円建て震災復興債を
 購入する。

・JPモルガンらは、この円建て復興債を証券化
 して、日本の金融機関に売りつけて利鞘を
 稼ぐ。

 まあ真意のほどは不明ですが、何か大きな出来事がある度に、100兆円規模で金を巻き上げられる日本という国。そのことに気づくことが永遠にない ように見える日本人。
 閣僚も日銀総裁も、逆らえば中川昭一のように一瞬で殺害されるから、為す術もない。
 いままでも、そしてこらからも日本は世界のATMなのですね。
返信する
景気が悪いと、必ず下がる約束事 (宗純)
2011-07-21 11:11:17
愚樵さん、コメント有難うございます。

今インドの自動車メーカーのタタ自動車は20万円台の世界で一番安い車を販売しています。
ニクソン大統領の固定相場の金との兌換紙幣だった時代の円は1ドル360円だったのですね。
この時代には二座席のスポーツカーの日産フェアレディZがアメリカでは3000ドルカーとして大人気を博したらしい。
1ドル80円ならたったの24万円ですよ。360円なら108万円。
日本国内価格は100万円を超えていて当時の平均年収の3倍以上の高級車で、日本の庶民には手が出ない。
ところがアメリカでは二輪バイクと同じ値段で、この3000ドルの日産フェアレディZが手に入る。
アメリカの高校生が免許を取って最初に買う車がこの日本製のフェアレディZだったのですよ。
それで今でもアメリカでは根強い人気がありフェアレディZのファンクラブまであり何十年も前の車を連ねて曝音を響かせていいるらしい。
日本ですが、20年間も景気が低迷しています。この場合には必ず通貨が大幅に下落して仕舞うのが約束事なのですね。
ところがこの経済の法則が日本だけは働かない。

インドネシアやタイとは大違いで、日本経済はGDPが500兆円規模なので誰かが空売りを仕掛けても無理があるでしょう。
まあアメリカがNATO諸国に呼びかけて連合国として攻撃してくれば話は別ですが、それは第二次世界大戦の構図ですね。
それに空売りとは、行ったからと言って必ず利益が出ると限らないのですよ。
これは相場が上昇の時は単に持っているだけでパイが大きくなるので自動的に儲かるのとは違い、空売りは必ず買い戻しが必要で、その時の差額が儲けになるのですね。
これは操作が結構難しくてジョージ・ソロスでも失敗して大損しています。
返信する
16年前の時点では、間違いないでしょう (宗純)
2011-07-21 12:06:06
VMAXさん、コメント有難うございます。

神話というよりも、その話は阪神最震災の後に初めて円が80円を割り込んだ1995年の時の『裏話』ですね。
当時は史上最高値の円高に日本だけが為替介入を行って大量のドル買い円売りを日銀一人が行って大損をしています。
ようは、世界中を相手に日本銀行が抵抗して戦ったのですが、これではまるっきり第二次世界大戦の大日本帝国と同じ話で勝てるはずが無いのですよ。
逆に考えると16年前の当時の日本国には無茶苦茶をする、それだけのお金の余裕があったのですね。
今回ですが前回の出来事に少しは懲りたのか、単独介入ではなくてアメリカなどとの協調介入です。
世界の多くの有力国の介入しても80円台を割るのですから、これが介入が無い場合を考えればもっと円高になっている計算になるでしょう。

口に含んだだけで飲んでいない、風邪薬の飲んで体調を崩したのだと弁明していますが本当だったとしたら大問題です。
世界では、日本の政治家として漫画首相の麻生太郎などはすぐに忘れられるが中川昭一はドラッグ・ミニスターとして長く記憶される筈です。
一部イスラム原理主義国以外、日本でも外国でも酒は禁止されていないが、何処の国でも例外なく危険な薬物は禁止されている。
へべれけ会見時に周りにいた財務省の役人や、その後のバチカン観光時の不祥事の外務省のキャリア官僚(バチカン大使)によると酒の臭いはしなかったし足元もしっかりしていて泥酔とは思わなかったとマスコミに語っている。
彼等の証言が正しいなら何かの『薬物』ですよ。
それなら飲酒の何十倍も問題であろう。
しかし、多分証言内容は嘘。
官僚と言うものは基本的に組織を『守る』のが仕事なんですよ。
いつも何時も今まで何度もしてきたように、嘘でも何でもよい。その場をつくろって問題大臣を守ろうとしたのでしょう。
政界での中川昭一のあだ名がそのものズバリの『サケ』です。
本人は今でも風邪薬だと言い張っているが、素人目には正直に『サケを飲んでいました、スミマセン』と言った方がみんな納得すると思うのですが・・・・庶民の常識は通用しない世界のようです。
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とても丁寧なお返事をありがとうございます (コムロ)
2011-07-21 14:14:01
コメント欄も読んだ後です。副島隆彦さんの「日米振り込め詐欺大恐慌」、「売国者たちの末路」(植草一秀さんとの共著)を是非読んで下さい。中川さんが何故、どのように嵌められたのか詳しくあばかれています。副島さんの福島原発事故の放射能被曝に対する対応は、専門家の危険性の警告に耳を貸さない、子どもたちの健康と未来を博打の駒にしてギャンブルをするが如くの信じがたい程におかしなものですが、何か言えない理由があるように考えています。それ以外は、副島さんは現在の日本の言論人のトップに位置する方だと今も思っています。植草一秀先生は私が最も尊敬している方です(勿論面識はありませんが)。事実分析の参考資料に加えて頂き、訂正すべき点は訂正して頂きたいです。また、話は飛躍しますが小出先生が原発問題で一貫しておっしゃっている事は、危険極まりない原発を今すぐ全て止めたとしても、今の人間の技術では安全な処理が不可能な核燃料廃棄物(100万年おもりが必要だそうです)が、2005年の段階で既にドラム缶70万本になってしまっているという事です。先日もコメントしましたが、宗純さんは十分わかっておられると思いますが、説明不足や言い回しの不適切さが出てくるのが、読者に誤解を招きかねずとてももったいないと思います。
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余り全面的に信用しない方が・・・・ (宗純)
2011-07-21 16:47:57
コムロさん、コメント有難うございます。

亀井静香の経済ブレーンだった植草一秀はともかく副島隆彦を信用するのは止めた方が無難でしょう。彼は思い込みが激しくて論理的でないし間違いが多い。
アポロ11号のビデオ映像の胡散臭さは有名なのですが、だからと言って全部が嘘と言うのも無理がある。
当方のブログではアポロ11号・宇宙開発のカテゴリーの特集でこの問題で詳しく論証しています。
また、2011年04月07日 | 放射能と情報操作
福島第一原発正面「放射能は危険ではない」
では、福島隆彦君本人も記事に取り上げています。
佐藤優や天木直人や植草教授など、権力に抵抗して酷い目にあった、あるいは権力と衝突した人々の主張ですが、一部分は確かに見所があるのは事実ですが主張の全部だと思ったら大失敗しますよ。
今回の記事で言えば佐藤優は未曾有の大災害などでは必ず日本円は暴落するとの見通しを書いているのですね。
ところが現実には正反対になる。
原因は矢張り、基本的に彼は経済学の知識がお粗末なのです。
同じことは天木氏にもいえて、初歩的な間違いを幾つもしているのですね。
外務省の裏話的な内容なら十分に見所があるが、残念ながらそれ以外ではたいしたことは無いのですが本人にその自覚が無い。
護憲派の多くの人々が佐藤優や天木直人や植草教授などを、何の疑いも無く全面信用している様をはらはら心配しながら眺めています。すこし用心が足りないのではないでしょうか。

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