新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

照会・お便りetcはこちらへどうぞ
opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

新型コロナの性交感染はあるのか? ノーマルなら? オーラルなら? アナルなら?

2020-03-16 10:16:50 | 新型コロナウイルス/COVID-19/SARS-CoV-2/武漢肺炎

先週出演していたある番組で、「セックスしてて新型コロナになることあるの?」と聞かれました。その雰囲気は「性交感染の有無を問う」というより、濃厚接触の流れで一般的なものでしたので「唾液までふくめ飛沫で感染する可能性は大いにあります」というのが答弁になりましたが、では、「性交感染の有無を問う」質問ならどうするか。。。

また、エボラでもジカ熱でも、世間が忘れた頃に世の中を震撼させてきたのが「半年後の精子内残存問題」で♂⇒♀の性交感染事例の発生です。エボラでは学校に出入りするおばちゃんのケースがありましたね。

そんな折、MedrVIXにペーパーがあがってきました。やっぱり同じこと思いつく人、いるもんだなあと。

  • 武漢の女性重症化例35例。性交相手の感染率は42.9%
  • 膣サンプル(including vaginal discharge, cervical or vaginal residual exfoliated cells)採取、肛門サンプル採取しpcrとともに、性交渉歴聴取。
  • 結果、膣からは検出されず。肛門からは1例検出。
  • おそらく、膣には、(SARS-CoV-2の侵入門戸である)ACE2が無いためではないかと推測。
  • したがって、ノーマルセックスによる♀⇒♂への性交感染のエビデンスは得られなかった。しかし、それ以外の性交によっては、また、濃厚な接触によっては、無視してはならない。

当面は、「膣性交による狭義の性交感染はなさそうですが、肛門性交では可能性否定できません。当然濃厚な接触はありますから、性行為パートナー間自体は42.9%というのが数字になります」という答弁になりましょう。

エボラやジカで震撼させた「半年後の精子内残存感染問題」は(当然のことながら)報告になるのは7月以降ですので、また何か出てきたら紹介します。

【追記】
新型コロナウイルスの侵入門戸として注目急上昇中のACE2(アンギオテンシン変換酵素2)の分布は気管支・腸管・心・腎などです。膣ではない。
http://jsv.umin.jp/journal/v56-2pdf/virus56-2_165-172.pdf#search='ace2+%E7%99%BA%E7%8F%BE%E9%83%A8%E4%BD%8D'

【追記】
新型コロナの侵入門戸が「舌」にあるのではないかとFBに書き込まれている(独拠点の日本人)研究者がおられます。証明されたわけではありませんが傾聴に値すると思います。すると、オーラルセックスのリスク⇧ということになります。
https://www.facebook.com/masanori.nakayama.9?comment_id=Y29tbWVudDoyNzU2NDIyMTU3NzQ0NjA3XzI3NTcxNDAzOTc2NzI3ODM%3D

 

https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.02.26.20028225v2

Clinical features and sexual transmission potential of SARS-CoV-2 infected female patients: a descriptive study in Wuhan, China

Pengfei CuiZhe ChenTian WangJun DaiJinjin ZhangTing DingJingjing JiangJia LiuCong ZhangWanying ShanSheng WangYueguang RongJiang ChangXiaoping MiaoXiangyi MaShixuan Wang

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 新型コロナウイルスの生存時... | トップ | 小児のコロナウイルス感染の総説 »
最新の画像もっと見る

新型コロナウイルス/COVID-19/SARS-CoV-2/武漢肺炎」カテゴリの最新記事