【2015年1月追記】
最近(2014/2015シーズン)、なぜかこの記事のアクセスが増えておりますので追記。この記事は2009年、6年前のものです。この時点の”新型(H1N1)”はすでに季節性インフルワクチンの一部を構成しており、この記事を参照しても実用上あまり意味がありません(歴史上こういうことがあったという記録として興味深い記事ですが)。
インフルエンザワクチンは接種するのが正解です。
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(以下、2009年時点のオリジナル記事)
従来の季節性インフルエンザを接種したら、新型インフルエンザに感染しやすくなる という報告がカナダから上がっています。
- CBCの報道。従来の季節性ワクチンを接種したら、新型インフルエンザに感染するリスクが高くなるという予備研究結果。
- まだ予備的なものであると但し書き付き。
- カナダにて4グループのデータ。合計で2000例対象。過去、季節性インフルエンザワクチンの接種受けたことのあるケースでは、より新型H1N1に感染しやすかった。
Four Canadian studies involved about 2,000 people, health officials told CBC News. Researchers found people who had received the seasonal flu vaccine in the past were more likely to get sick with the H1N1 virus.
- 理論的には、細菌やウイルスに暴露したとき、免疫系を刺激して抗体を産生する。この抗体が、他のウイルスの侵入を容易にすることがある。デング熱がその一例。
- この研究成果から、(カナダ当局による)季節性ワクチン接種勧奨に対する疑問が呈されている。カナダ全体で、季節性インフルエンザワクチン接種キャンペーンを短縮、遅延、あるいはいっそ廃止してはと当局が議論。流行のほとんどが新型である以上、季節性インフルワクチン接種のキャンペーンを行うのは時間と資源のムダではないかと。
- ケベック州当局では、ある種のグループ、たとえば、健常青年の季節性インフルワクチンキャンペーンを中止あるいは延期を実際に検討している。
- 最後に、「うちには赤ちゃんがいるから毎年、(季節性)ワクチンを受けているわ。でも、(今年は)新型H1N1にかかるリスクになってしまうってわかったから、打たないわ。ただ、罹らないように注意する。それだけ」と主婦の声を紹介。
季節性インフルワクチンを打ったら新型にかかりやすくなる(かも)。。。
さらに症例数が増えれば↑の(かも)が取れそう。。。
これは、これから重要になってきそうなデータですね。
医科学的にも重要ですが、日本の季節性ワクチン生産量も(有精卵を新型ワクチン製造に回さねばならぬ以上)減ってくる今年、(優先順位などの交通整理が無い季節性ワクチン)希望者殺到で混乱・・・という事態を回避するためにも、しっかり報道してゆかねばならないニュースです。
マスコミの皆さまにおかれては↓元ソースをプリントアウトし精読ください。
ソースは9月23日付CBCニュース↓
http://www.cbc.ca/health/story/2009/09/23/flu-shots-h1n1-seasonal.html
Seasonal flu shot may increase H1N1 risk
<追記>
ここ最近、この9月24日付記事のアクセスが突出しているようです。
それ以降も新しい情報がどんどん出てきております。ぜひ最新ページもご覧ください
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/
この件には、カナダ政府も反応しており、続報やフォローアップ記事が出てきております。 より新しい情報へのリンクは↓ですので、あわせてアクセスください。
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/4c08b596ce8cef529b98257873524021
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/3914414030764e02c68c5d9b087fdbbe
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/7830d39fa91c493eb1571b09e00435f6
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/ee4064e3152f2d8d85f880d79f8d94e3
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/8c614dc690dfe5b72ab93a9216a7eaf4
「生存競争」なんて、新型インフルエンザ・ウイルスがソ連型インフルエンザ・ウイルスを食べるわけでもなく、新型インフルエンザ・ウイルスによってエサとなる人間や豚が激減するわけでもないので、その「生存競争」のメカニズムが私にはわからなかったので信じてなかったのです。でも、実際には過去の事例と同じく新型インフルエンザ流行時にソ連型インフルエンザが駆逐されたみたいでした。
結果の出た後の今から考えると、もしかしたらその原因は新型インフルでは集団免疫未獲得で感染しやすく、集団として先に新型インフル感染したためソ連型インフルエンザに対してもある程度有効な免疫(交差免疫)ができてソ連型に感染しにくくなったのが原因なのかなと、推測しています。
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尚、私の「キャンセルの必要はありません」・「新型のピークは11月末までに来ると想定されますので、12月以降は従来型(季節性)インフルエンザの比率が高まると思われます。」発言(2009-10-02)のために不要な季節性ワクチンをされた方、すみませんでした。
そうこうしている間に今度は次女が新型に罹ってしまいました。。。治ってまだワクチンがある病院があったらできるだけ早く打ちたいと思います。
ご意見ありがとうございました。
それにしてもワクチン流通状態変ですね。生産量2割減というのは聞くけど、例年の2割減って感じじゃないですね。どこかで滞っているのか・・・
さて、4週間空けるのが望ましいが、2週間でどうだろうかという事ですが、初回接種から2週間程度である程度免疫は出来、そこで刺激ということで何らかの効果は期待できそうです。が、表立ってお勧めするのは厳しいかなと。「私ならやむを得ずそうするかも」というあたりが精一杯かと思います。
2回目の接種時期と打つべきか否かについて悩んでいます。
10/22、季節性インフルエンザの1回目予防接種を済ませました。(2回目の予約はできませんでした。)
2回目の接種時期は4週間あけることが免疫効果を上げるには望ましいようですが、そろそろどこの病院も在庫がなくなるようなので、4週間に満たなくても重症化防止に効果があるならば、まだ2週間にも満たないのですが近々に打ってしまおうかと悩んでいます。
感染を防ぐというよりも、重症化を避けたいと考えています。尚、4歳の次女は昨年季節性に罹っており(型は忘れてしまいました。。。)免疫が残っているのかもしれません。また6歳の長女は10月中旬に新型に罹りましたが、季節性インフルエンザには罹ったことがありません。
ご意見頂けましたら幸いです。
これからもコチラのサイトで動向を拝見させていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
理想的じゃないですが、1回だけでは無意味と断言することはできません。実際のところ、ケースバイケースです。1回だけでも抗体価はある程度上がります。ただ、そのある程度が感染防御に足るまでかどうかは、上がる人もいればそうでない人もという理解で良いと思います。ですので、1回では意味なしという事はないです。
ワクチン入荷数の都合でその病院では「1人1回限定」と言われ、子どもの2回目接種先をアチコチ探していますが見つかりません。
1回の接種でも効果は得られるのでしょうか。
今のところ2回目の接種先が見つからなくても1回だけでも受けさせようと思っていますが・・・不安もありお尋ねしました。
お返事をいただけると助かります。
(誤)尚、新型の流行時期と季節性(従来型)ワクチン接種時期が重なる可能性が高いので、予防接種時に、幼児用マスク着用が可能ならさせて行ってください。
(正)尚、新型の流行時期と季節性(従来型)ワクチン接種時期が重なる可能性が高いので、予防接種時に幼児用マスクが着用できないなら、季節性(従来型)ワクチン接種の予約をされてない場合には勧めません。季節性(従来型)ワクチン接種に行って新型インフルに感染すれば本末転倒だからです。(ただし、個人病院等で他に誰もいない時に接種できるならマスクなしでもかまいません。)
尚、現在は幼児用マスクが品薄で、私がネットで探した範囲ではイオン通販に3才以上用(7枚で198円、ただし、通販購入では送料必要)のがあったきりで、2才児用のは見つかりませんでした。
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2.(2009-10-02 21:28:11)コメントの補足
コメントで紹介したMSN産経ニュース・1月17日付記事の「鶴川サナトリウム病院」の季節性インフルエンザ感染とワクチン接種の件ですが、あのニュースだけでは昨シーズンのワクチンの効果を考えるためのデータが不足してますので、鶴川サナトリウム病院HP
http://www.ims.gr.jp/turukawa/
があのニュース記事と同日付で発表しているPDFファイル「当院におけるインフルエンザ集団発生に関する件」↓も参考にしてください。
http://www.ims.gr.jp/turukawa/090117.pdf
>当院におけるインフルエンザ集団発生に関する件
>・・・・・(中略)・・・・・
>集団発生の状況については、1 月17 日までに入院患者様75 名が
>罹患致しました。インフルエンザワクチン未接種例は
>75 名中9 名でした。
>・・・・・(中略)・・・・・
>尚、病院職員につきましては1 月3 日の発生から
>連日数名ずつの発生が見られ、合計24 名罹患しましたが、
>現在終息していない者は4 名です。
>24 名中3 名がインフルエンザワクチン未接種でした。
>・・・・・(中略)・・・・・
>職員は335 人中307 人(91.6% )が接種しております。
>患者様は471 人中418 人(88.7% )が接種しております。
とても詳しく教えてくださり、ありがとうございます!
>ワクチンについては、・・・・本来は担当される小児科医に相談されるのが一番です。
おっしゃる通りですね。
実は、来週引越しをするので、引越し先で小児科を探してから相談する予定です。流行している都市部に引越すので、なるべくならワクチンを打ちたいと思っています。
水銀のお話しを聞き、早速、2歳の子供の母子手帳を確認した所、DPTやインフルエンザは、チメロサールが含まれたメーカーのものを接種していた事がわかりました。
0歳(現在10ヶ月)の子供は、別の病院で予防接種を受けたので、チメロサールが含まれていないメーカーの物を接種してしていました。こちらから希望したわけではないのですが、たまたまその病院がチメロサールが含まれていないメーカーの物を使っていたようです。幸運でした。
今後、予防接種を受ける時は、必ず確認しようと思います。
水銀について、とても気になったので少し調べてみたら、魚介類にも含まれているそうですね。妊婦になった時に取り過ぎないようにした方が良いと聞いたことを思い出しました。2歳の子供もマグロが好きなのですがあまり沢山食べさせない方がよいのかと考えてしまいました。濃度は、0.001~0.24ppmと報告されているようです。沢山食べると予防接種よりもはるかに多くの水銀を食事で取ってしまうことになってしまいますよね・・・。
最後に、麻黄湯が季節性インフルエンザに有効だという事や、リレンザを粉状噴霧器で噴霧をしてくれる病院がある事など、とてもいい情報を得る事ができました。ワクチン接種についてもとても参考になりました。本当にありがとうございました!深く感謝申し上げます。
ワクチンについては、感染した場合の担当される小児科医の治療方針と一体で考えた方が良いので、まだ予約されておられないなら、本来は担当される小児科医に相談されるのが一番です。(院内感染しないようにマスク着用して相談に行ってください。電話で相談できるなら電話で相談してください。)
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一応、私の意見を述べますけど、以下の回答は私がシロウトだという事に留意して読んでください。
[乳児のワクチン接種について]
1才未満の乳児は、生後半年程度は母親の免疫を引き継ぎ、その後も母乳で免疫を受け取るらしいので、インフルエンザ・ワクチン接種しないのが原則みたいです。
[新型ワクチン接種について]
2才児については、新型予防接種可能時期が12月で効果発現が流行のピーク後になる可能性が高いので、流行のピーク過ぎてたら十分注意して感染予防すれば新型ワクチンは接種しない方が良いと思います。
あなたの新型ワクチン接種可能時期は来年1月です。新型の流行のピークが一旦は過ぎていると思います。しかも、(妊婦用以外の)新型ワクチンには水銀系防腐剤が含まれる事と授乳の必要性を考えると、新型の予防接種はしない方が良いと思います。そのかわり、マスクをきちんと着用して外食や満員電車・満員バスや立ち話を避けてください。
[2才児の従来型(季節性)ワクチン接種について]
昨シーズンは、Aソ連型の多くがタミフル耐性でしたのでリレンザの吸入ができない幼児は通常の方法ではリレンザ投与ができません。
ただし、従来型(季節性)インフル感染直後の子供の患者には漢方薬の麻黄湯(まおうとう)が有効だそうですので、かかりつけの小児科医の先生が麻黄湯の処方される場合か、(ごく少数かもしれませんが)リレンザ吸入困難な幼児のためにリレンザを粉状噴霧器で噴霧してくれる医院が御近所にあるかもしれません。
(「鳥及び新型インフルエンザ海外直近情報集」HP記事↓参照)
http://nxc.jp/tarunai/?action=common_download_main&upload_id=610
結局、あなたのお住まいの地域に幸運にも、麻黄湯の処方か、リレンザを粉状噴霧器で噴霧をしてくれる医師がいれば従来型ワクチン接種も不要と思います。しかし、そうでない場合は、ワクチン接種は短期的観点からは若干の効果があるので、2才児の場合、従来型(季節性)ワクチンなら接種した方が良いと思います。
尚、新型の流行時期と季節性(従来型)ワクチン接種時期が重なる可能性が高いので、予防接種時に、幼児用マスク着用が可能ならさせて行ってください。また、季節性ワクチンでは水銀系防腐剤が添加されてないのもありますので、可能なら水銀系防腐剤無添加の季節性ワクチンを選択してください。
[あなたの従来型(季節性)ワクチン接種について]
水銀系防腐剤無添加の季節性ワクチンが選択可能なら接種時に新型に感染しないようにマスク着用して接種されるのが良いと思います。
[御家族の協力について]
御家族も外出時はマスク着用し、外食を極力避けるようにしてください。
また、あなたとお子さん以外の同居の御家族が感染された場合は寝室を別にし、食事時間をずらすか食事場所を別にし、自宅でも(就寝時・食事時・入浴時以外は)感染者はマスク着用するようにしてください。
そうですね、数%のリスクをどう考えるかですね。考え方がクリアになりました。ありがとうございます。
色々考えて、新型と季節性と同時摂取できたら良いなと思いました。可能かどうかは医師の判断によるとも書かれていましたので、問い合わせてみて
討してみようと思います。
>現在流行しているのは新型が”ほとんど”だとか”90何パーセント”だとかいう報道はあれど、100%だと言いきっている所はありません。
現在のインフルエンザウイルス検出状況については、私は下記のサイトをチェックしています。
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/swine-flu/2009-10/tokyo09-10.html#kensa
東京都では9/27までのウイルス検出状況は、新型が99.2%、AH1亜型0.8%という状況らしいです。
全国版では、以下の通り
http://idsc.nih.go.jp/iasr/prompt/graph/sinin2.gif
あくまで報告数なので、一応の目安としてですが、いつもチェックしています。
>「新型インフルエンザがパンデミック(世界的大流行)を起こすと、それ以前の季節性インフルエンザは消える」
はい、これは事実ですが、ただ、本日現在はそうなる前の過渡期で、それ以前の季節性が完全にゼロにはなりきっていないというのが悩ましいところです。現在流行しているのは新型が”ほとんど”だとか”90何パーセント”だとかいう報道はあれど、100%だと言いきっている所はありません。
ですので、その、少ないけれどゼロではない数字を「○%しかリスクが無い」と考えるか「○%もリスクがある」ととらえるか価値観を加味して検討されてはと思います。
なお、新型インフルワクチンの優先順位に該当される方は、そちらで新型インフル罹患リスクを減らせるので、本件の影響は少なめかもしれません。
0歳と2歳の子供をもつ母親です。
インフルエンザに関して色々情報を集めているうちに、こちらのサイトにたどり着きました。
以前TVで「新型インフルエンザがパンデミック(世界的大流行)を起こすと、それ以前の季節性インフルエンザは消える」という話をききました。
またさらに、こちらのサイトで従来の季節性インフルエンザを接種したら、新型インフルエンザに感染しやすくなるという報告がカナダから上がっていると知り、季節性インフルザ予防接種の予約を躊躇しています。
ウイルスの生存競争については、ここのサイトにも同じような意見の方の書き込みがあります。
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa5232003.html
浅見真規さまのコメントで
「新型のピークは11月末までに来ると想定されますので、12月以降は従来型(季節性)インフルエンザの比率が高まると思われます。」
との意見を読んで、やはり季節性のワクチンも受けたほうが良いのか益々悩んでいます。
お忙しい所、申し訳ありません。ご意見を伺えたらうれしいです。
季節性インフルの予防接種予定日までには、
まだ2週間近くありますので、色々な情報を
もとに検討をしたいと思います。
ありがとうございました。
しかしながら、昨日のアクセス、この記事自体が(記事単独)アクセス数1917pvに対しフォローアップ記事には2本あわせて349pv。 これは、多くの方(おそらくどこかのリンクからおいでいただいた?)が、24日付の情報”だけ”を手にされ、より新しい情報にアクセスできていないことを意味するのではと懸念します(常連皆さまには無関係と思いますが)。たとえば、少なくとも「重症化」の関連ではOKではという報道がなされていたりします。
というわけで、元記事の末尾に、フォロー記事へのリンク貼ってゆくことにいたしました。
まずは
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/4c08b596ce8cef529b98257873524021
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/3914414030764e02c68c5d9b087fdbbe
シロウトの私が、管理人で医師の勝田先生のコメントの真意に反するコメントをするのもなんですが、私の見解を述べておきます。
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すでに季節性インフルエンザ予防接種の予約されてるならキャンセルする必要はないと思われます。(尚、現時点ではインフルエンザの大部分は新型ですが、新型のピークは11月末までに来ると想定されますので、12月以降は従来型(季節性)インフルエンザの比率が高まると思われます。)
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今日、このブログで紹介されたニュース記事にありましたが、季節性ワクチン接種と新型インフルの重症化が無関係という事は、「抗体依存性感染増強」という現象が起きていない証拠です。そのため、現時点での季節性ワクチンの予防接種は、今シーズンだけ考えれば新型インフルの感染にも悪影響は無いと思われます。(重症化だけでなく感染しやすくなる危険も今シーズンだけ考えれば無いと思われます。)
しかし、私は、あのカナダのCBCの「季節性ワクチン接種が新型感染リスクを上昇させるかもしれない」のニュースで紹介された報告に科学的根拠がある可能性は否定しません。なぜかというと、季節性ワクチン打たなかった人の多くは過去に季節性インフルに感染・発症し、それによってワクチン接種より強固な気道粘膜の免疫を獲得したため、大幅に異なる新型インフルにも若干有効だった可能性があるからです。ちなみにカナダのワクチンのタイプがどのようなものかは知りませんが、日本と同じ皮下接種型の季節性インフル用の不活性ワクチンは血中抗体のみで気道粘膜の免疫は獲得できない(注1)ので、わずかの変異にも効果が低くなり、そのため大幅に異なる新型インフルエンザには無力なのです。
*****
そういうわけで長期的観点から季節性ワクチン接種に反対する人もいるようです。ただし、あなたのお子さんが3才で「リレンザ」の吸入が困難(注2)なので「リレンザ」の吸入が可能になる年齢までは季節性ワクチン接種にも若干のメリット(注3)はあると私は考えます。(昨シーズンは季節性インフルエンザのAソ連型の大部分がタミフル耐性だったので、通常の方法では「リレンザ」吸入できない3才児は季節性インフルエンザでも平熱回復に数日を要する可能性が高いからです。ただし、従来型インフルエンザの発症初期の子供の患者には漢方薬の「麻黄湯」が良く効くという報告もありますので、季節型ワクチン接種が絶対必要というわけではありません。その場合には、漢方に詳しい医師か薬剤師さんに相談される事を勧めます。)
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(注1)北海道大学・人獣共通感染症リサーチセンターHP記事↓
http://www.czc.hokudai.ac.jp/epidemiol/research/#takada3
>ウイルス感染症に対する粘膜ワクチンの研究
>・・・・・(中略)・・・・・
>注射によるワクチンは血中抗体の産生を誘導するが感染局所の粘膜の
>免疫応答を誘導しない。
国立感染症研究所HP記事↓
http://www.nih.go.jp/niid/topics/influenza01.html
>インフルエンザワクチンについて
>・・・・・(中略)・・・・・
>7.インフルエンザワクチンの問題点
>・・・・・(中略)・・・・・
>(6)現行のインフルエンザワクチンは皮下接種されています。
>しかし、不活化ワクチンの皮下接種では、インフルエンザウイルスの
>感染防御に中心的役割を果たすと考えられる気道の粘膜免疫や、
>回復過程に重要であると考えられる細胞性免疫がほとんど誘導されません。
(注2)仮に、リレンザ吸入での複雑な操作は母親のあなたが補助をするとしても、咳き込んでる状態で、あなたの指示で3才児のお子さんが、「息を吐く」→「息を止める」→「(吸入器に口をつけて)息を吸う」という事が困難と思われます。ちなみに、リレンザは薬剤粉末が患部に到達しなければ効果がほとんどないので、吸入せずに飲めば効果はほとんどないそうです。
(GlaxoSmithKlineのサイト↓の「動画」及び「添付文書」参照)
http://glaxosmithkline.co.jp/healthcare/medicine/relenza/index.html
(注3)季節性インフルエンザのワクチンは、製造段階での流行株の変異予測が的中したシーズンは効果が比較的高く、予測がはずれたシーズンは効果が比較的低いようですが、平均すれば短期的観点では少しは効果があるようです。
ちなみに、昨シーズンは製造段階での流行株の変異予測がはずれたみたいで、昨シーズンの季節性インフルエンザのワクチンの効果は短期的観点でも低かったようです。
(季節性インフルにタミフル耐性株が少なかった頃の日本小児科学会の見解↓参照)
http://www.jpeds.or.jp/saisin.html#75
>乳幼児(6歳未満)に対するインフルエンザワクチン接種について
>-日本小児科学会見解-
>わが国では、1歳以上6歳未満の乳児については、インフルエンザによる
>合併症のリスクを鑑み、有効率20-30%であることを説明したうえで任意接種
>としてワクチン接種を推奨することが現段階で適切な方向であると考える。
(東京新聞HP記事↓参照)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2009020502000057.html
>なぜ効かない、インフルエンザワクチン? 「変異」追跡に遅れ
(MSN産経ニュース記事↓参照)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/090117/dst0901171908017-n1.htm
>病院で101人インフルエンザ感染 3人死亡、国内最大規模
>・・・・・(中略)・・・・・
>感染した患者77人のうち67人、職員24人のうち21人が
>インフルエンザのワクチンを接種していた。
ただの主婦なんてとんでもなく、新型インフル情報の最重要ターゲットは「主婦」と「経営者」であるとは、厚労省広報担当者も明言しているところです http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/540f9e579ebb6028af500920233c6b4f
さて、この危険性については、今、カナダ政府が必死に情報収集と分析をしています。まずは「季節性ワクチン接種と新型インフル”重症化”(本件の”罹患”とはずれますが)とは無関係」と発表しました。http://thechronicleherald.ca/Canada/1145333.html
来週には「いつまで待てばはっきりしそう」とのことで、今しばらくはアンテナ立てて推移を見守るということになります。
なお、(ペンネームどおり実際に)3歳と妊婦ということでしたら、どちらも「新型インフルワクチン」の優先接種対象ですから、そちらを接種により予防ないし軽症化が期待できます。また、現在流行中は多くが(ほとんど/90%以上/97%と色々な表現があり一定しませんが)新型であるという所見もあります(100%じゃないところが悩ましいのですが)。ここらあたりの数字に、ご自身の価値観(たとえば、○%もか、○%しかか)も加味して検討いただければと思います。
ただの主婦がコメントしていいかどうか迷ったのですが、質問させていただきます。
3歳の子供の季節性インフルエンザ予防接種の予約をしたばかりのころに、携帯でこの事を知りました。
正直、どこに問い合わせて良いか、季節性の予防接種を見合わせて、キャンセルしたほうがいいのか、打つべきなのか本当にわかりません。
厚生労働省は、同時接種を容認していますし。
もしコメントをいただけるようならよろしくお願いします。
勝田先生が27日の記事で紹介されたNATROMさんの日記
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20090926#p1
で、抗体依存性感染増強の概念を知り、調べたのですが、どうもデングウィルスの場合には感染しやすくなるというのは「いわゆる試験管実験」で食作用のある白血球の場合だけで、疫学調査は一回感染して抗体ができると二回目には重症化しやすくなるという事だけのような印象を受けてます。
現在、上記のウログで記事が紹介されてた長崎大学熱帯医学研究所の森田公一先生に門外漢が図々しくメールで質問しましたが御返事をいただけるかどうか不明です。
しかし、新型インフル罹患のリスクが上がる機序がもう一つわかりません。CBCの記事では、産生された抗体により、ウイルスや他の疾患に罹患しやすくなることがあるということですが、これは新型インフルに特異的ということなのでしょうか?他の感染症にも当てはまるようなら、過去既に話題になっていたと思うのですが。