新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

トランプ大統領で医療界・研究者の憂鬱

2016-11-12 00:07:57 | 政治的動き

「トランプ大統領」で、これまでパイプのなかった研究界で囁かれているあれやこれや。

  • これからトランプがどう動くのか本当にわからない。ひとつ明るい話は、トランプの朋友のニュート・ギングリッチ氏が科学研究に好意的で昨年NIHの予算倍増を口にしていること。
  • これからの焦点は、科学技術面でトランプのアドバイザーが誰になるかということ。
  • これまでトランプ氏とパイプを築いてきた科学者はほとんどいない。ひとつの懸念は彼が過去ラジオでの発言「NIHのことはいろいろ聞いている。それはヒドイらしいね」と語っていること。
  • もうひとつの懸念は、彼の排外主義的姿勢。カナダ人科学者は、自分はカナダに帰るだろうと言い、欧州に戻るとツイートしている者もいる。海外からの医学生が今後来てくれるかどうか。海外からの人材が来てくれなくなったら、現在のレベルを維持するのが難しくなる。
  • トランプ自身は、高技能を有する人物の入国は制限しないと言っている。しかし、外からやってくる人々に対して疑念と怒りを向ける国に来たいと思うだろうか。
  • 合理的な政策には、エビデンスへの敬意が必要だ。しかしたとえば、トランプ氏は共和党内の選挙戦で、「小児の定期ワクチン接種で自閉症が起こるかも」と発言している。

う~ん、これは難題です。もともと研究者コミュニティの人間は不動産王とパイプはない時点で不安なわけですが、「ワクチン自閉症説」を口にし、国外から人の流入を嫌がりそれを支持する国民の多いなかで、海外人材が入ってこなくなれば研究コミュニティも、臨床の不人気科も、かなり困ったことになりそうです。

いま日本の閉塞状態をどうするかの議論のなかで、「外国人労働者の拡大は、国力維持に不可避」という論もあるわけですが、その正反対の事象、外国人(しかも高レベル)がどんどん流出するとどうなるのか・・・という壮大な社会実験にもなってしまいそうです。4年後どんな絵になっているのでしょうか。あるいは、いったん極端に振れた振り子は、そんなに経たないうちに戻ってくるのでしょうか。

ソースはSTAT
https://www.statnews.com/2016/11/09/scientists-trump-new-reality/

Fearful of a Trump administration, many in research call for a ‘tutorial’ for the president-elect

 

これからこの人が頼みの綱になるのか・・・ニュート・ギングリッチ氏


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