この小説は、自分の元夫とその周囲の人物が描かれて、作家自身最後の作品
であろうと書いていますが、これからも頑張ってほしいものです。
「明るい詐欺師」と杉(佐藤愛子)が形容する辰彦(夫)は、知らぬ間に誰もが心許してしまうような人物です。
文学に関しては尊敬の念を持って結婚したとはいえ、金銭感覚がなく大きな借金を抱える夫に、離婚後も黙って放っておけない杉。
本の最後には、これまでいろいろあった親子3人が、大きな土鍋の煮込みうどんを食べる場面、佐藤愛子らしいユーモア溢れる文章に作者の人間愛を感じました。