「料理道具屋にようこそ」
著者:上野歩
著者は様々なカテゴリーの「プロフェッショナル」「職人」を描くのが得意なようで…本書の他にもなかなか興味深いラインナップが。
第一章:卵焼き
…主人公ミチカが実家に帰って来て、どうにか再起動し始める。そのザックリした舞台とキャラの紹介も兼ねた一編。
本チャンの物語は二段構えになっていて、実はこのタイトル…。
第二章:世界一のパティシエ
…シンプルに「道具の材質」がカギ。(小声)未だにオレ、「シリコン」を信用できないでいる。
このミステリー要素は本書中でも白眉のデキ。ちゃんと冒頭に伏線を明記してある辺りクセモノ←
91ページ、シレッとエグい事が…。
第三章:キュウリサンドイッチ
…それに気が付く人がそっちに気が付きませんか?…つか人としてアレ。
第四章:おにぎり型
…コレはキャラが極端(特に後半)でどうも受け入れられなかったなぁ(いや、分かるんだけど。そういう人もいるし)。
第一章同様「タイトル部分」がストーリーの後ろ半分に掛かる。…前半の園部さん、モノ凄い一生懸命感が溢れ出てる。
第五章:ペッパーミル
…ペッパーミルのメカニカルな解説部分がやたら面白い。コレが「本来の道具の目的」と「物語のキモ」にキッチリと絡んでいるから尚更。
どうでもいいが映画の「カクテル」を連想したのはきっとオレだけではあるまい(読めば解る)。
第六章:お弁当
…各所に散りばめられたカケラをつなぎ合わせて大団円に導く構成は見事。
人って意外と色々苦労してるんだよ…。
個々のキャラクターに想像だにしない強烈な裏設定が浮かび上がって来て時々、本筋を忘れてしまいそうになる。
一冊だけで終わらすには詰め込み過ぎじゃなかろうか。
んなワケで続編希望。
「満足度:◎」
◎:オススメ
◯:まずまず
△:好きな人もいるかも
×:読まない方が…
※:絶版キボンヌ