takubonpapa blog

 日常の出来事や感じたこと、Mac、バイク、キャンプ、さだまさし等について書いてます。

十歳の夏まで戦争だった 若松丈太郎

2018-08-04 20:10:40 | 最近読んだ本
 若松丈太郎という有名な詩人が福島に住んでいるということを知ったのは、恥ずかしながら2年前の夏にアーサー・ビナードさんの講演を聞いたときでした。
 今回この本を手に取ったのは、船引パーク内に入っている書店に平積みされている本の中で一冊だけ田舎の本屋にはおよそ似つかわしくない(失礼)異彩を放っていたからです。コールサック社の本が置いてあること自体に驚き、こういう本を平積みにした本屋さんに敬意を表さなければならないと思ったからでした。

 印象操作によって仮想敵をつくりナショナリズムを煽って太平洋戦争を引き起こし、310万人もの自国民を犠牲にした愚かさ、悲惨さが短い言葉から伝わってきます。竹槍と松の根から抽出した燃料でアメリカと戦おうなどと無謀なことができたのは、元寇以来の神風や神である天皇を国家元首とする神国日本という、教育勅語による洗脳教育のなせる技だったのでしょう。戦前天皇のために死ねと教えていた教師が、戦後もそのまま教師として居座って、教科書を墨で塗りつぶし全部ウソでしたと言った教師に対して、終戦の前と後でころっと態度を変えた大人たちを見る若松少年の冷ややかなまなざしが目に浮かびました。

 今の日本については、司馬遼太郎げ描いたような明治というものに郷愁を抱く戦後生まれの軍国少年たちが政治の中枢にいて、立憲主義を否定することに怒りを表明しています。 現行憲法は主権者である国民が国に対して、国がやらなければならないことと国がやってはならないことを規定しているのに、改憲勢力は国民の義務を拡大し相互扶助を基本として権利を制限するという、憲法の理念をアベコベにしていることについて痛烈に批判しています。
 それにしても、1954年生まれのたれ目たれ頬のでかい男の「ゲームじゃなしに本物の戦争をたのしめますよぉ。最高指揮官はもちろん我が輩がさせていただきます。」という揶揄は傑作でした。
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