今は殆ど無いだろう臼を使って杵で搗くめんどうな餅つき私が故郷の家を出るまではこれが当たり前だった。せいろと言われるふかし器にもち米を入れて竈で薪を焚き蒸し、蒸しあがったら臼に移して最初は杵で捏ねる、捏ねあがったら杵を振りかぶって餅を搗くのだが時々向きを変えて均一につかなければならないので主に女性が杵が振り下ろされる前に餅の位置替えをしなければならない手に水を付けて素早くひっくり返す、搗き手とあいどりの呼吸が合わないと難しく大概は夫婦でやることが多かった。搗きあがった餅を素早く丸めて鏡餅を作る。臼はもう使わないので逆さにしてそこに注連縄と鏡餅を飾り正月を迎える、こうした懐かしい年末風景をテレビで観た。だいぶん前から餅つき機が使われ、最近はスーパーから買ってくるのが当たり前の世の中になった。
薪を使う竈に臼に備えた鏡餅と注連縄こうした風景が何処の家でも見られたものだ。