間もなく卒業式シーズン今は歌われなくなった蛍の光や仰げば尊しの出典についてサークルで講師より解説を聞いた。
いずれも作詩者不詳と言われているが文部省唱歌はその制作にあたっていた文部省音楽取調掛として複数の人たちが作詞した。当時は著作権が存在
しなかったので作詞者名を出さず文部省唱歌作詞作曲者不詳とした。当時日本では西洋音楽の作曲は未知のもので多くは讃美歌などのメロディーを使ったようだ。
蛍の光はスコットランド民謡、仰げば尊しの原曲はアメリカの学校の卒業式で歌われたものだという事が10年前に解き明かされた。唱歌の詞を書いたのは宮中御歌所に連なる歌人達が和漢洋才の知恵を働かせ讃美歌を巧く取り込みながら唱歌の詞を作った、つまり近代日本の隠された勅撰和歌集であったともいえる。『唱歌という奇跡 讃美歌と近代化の間で』安田寛著 文春新書
仰げば尊しはその歌詞が現代にそぐわないと敬遠され歌われなくなったがその中の立身出世を勧めている「身をたて名をあげやよ励めよ」の正しい解釈は漢籍 「孝経」からの出典でその意味は「身を立てようと思えば、まず孝道をしっかりと行い、さらに世の道徳を大切に実践していると、自然と世間の評判になり名を揚げることになる。その結果、そのような人物を育てた両親の名誉となるのだという。