Truth Diary

鳥の凝り性

 町中の樹木が年々減少し本来の自然界で暮らしにくくなったカラスは人間と隣り合わせの生活を余儀なくされ居場所や営巣場所を街なかのビルや鉄塔・電柱など代えてしぶとく生活している、それが現代社会に不可欠の電気を停電させる原因となるなど、カラスと人間社会との軋轢が生じ、電気を供給する側の一部の人達にとっては2月から始まるカラスの恋の季節に戦々恐々しているのである。
 かく言う私も会社在職中は彼らを親の仇のように執拗に追いかけまわし、電柱に巣の片鱗でもあるとカラス夫婦には悪いが、早速巣落としをして繁殖活動を妨害したものであった。同時に彼らの生態に関する書籍文献論文などを読み漁り、鳥類の中でも極め付きの頭脳を持つ彼らとの知恵比べに対抗するべく奇策を繰り返してきた。
 前段が長くなったが、その中で文化鳥類学の視点から鳥たちの社会を描く面白いネイチャーエッセーを見つけたので紹介しよう。
 欧米のご婦人方の間で野鳥の繁殖期になると窓辺に彩りの美しい毛糸屑を束ねて置き小鳥たちがそれを巣作りに用いるのを楽しむ趣味がある。色彩感覚に富んだ野鳥のことで巣材としての資源にも優れた毛糸の屑は重宝がられる。ヒナが巣立ち終えると巣は放棄されご婦人たちは残されたカラフルな空き巣を集めてコレクションとして仲間同士で自慢し合うとか。これはなんと優雅な凝り性なのであろうか。

 どこの世界にも凝り性な人はいるものであるが、江戸中期の平和な時代には上級武士や裕福な町人が生活のすべてに「豆腐は白河の大豆でなければダメ」とか「水は調布の湧水でなければ茶は点てられない」などと凝りに凝ったものである。お金さえあれば叶わぬことのほとんどない現代は居ながらにして日本いや世界の品物が手に入る,カタログ販売ネット販売の繁栄はそのバロメーターと言えるであろう。
 鳥の世界にも凝り性なのはいるもので、巣の骨組みに白の針金ハンガーだけを使った芸術趣向のツガイが居たり。シジュウカラが巣の底に産座といって卵を抱き温める部分にタバコのフィルターばかりをほぐしたものを敷き詰めた物など拘り方は非常にマニアックで、獣毛や羽ので済むのになぜ無駄な労力を使って拘るのか鳥等の心理は到底理解できない。人間でいえばアソビ心、趣味嗜好の世界か。
 また私が体験した、せっかく作りかけた巣を落とされ、樹の下に積んであった剪定したばかりの桜の枝を運び突貫工事で一日で巣を完成させた凄いやつも見た事がある。なぜかカラスが気になる。昔のトラウマだろうか?

私らが設置した誘導偽巣に止まろうとするカラス君

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「たわごと」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事