ゼミでの発表を聴く、同じ宮城学習センターの宗教学ゼミに所属するEさんが当該ゼミで指導をうけた事柄を基に分析研究したものでフランスの画家アンリ・マティスの「ロザリオ礼拝堂」に見る文化的統合と革新性というテーマについて述べられた。
西洋の宗教画や彫刻は写実的なモノが多く、例えばバチカン市国のシステーナ礼拝堂のミケランジェロの傑作やラフェーロなど著名な画家が描く宗教画は写実が主流であった、マチスは日本の版画の影響を受けたといわれ濃淡での表現から線描へとスタイルを替え、色彩までもモノクロで表現するなどあらゆるものを削ぎ落とした究極の表現で
己の表現を主張した。それは一見日本における仏画や水墨にも通じるものがある精神性を突き詰めればつき詰めるほど余分なものは省きシンプルな中に無限の創造性を観る者自身に委ねる。ここに西洋と東洋の文化的統合性を見出した点と絵画の革新を図ったという点で評価できると思う、こうした点に着目した発表者を流石だと感じた。