認知症や高次脳機能障がいの訓練方法に
“誤りなし学習”という方法があります。
これは訓練や日常で、誤反応を可能な限り排除する関わり方です。
例えば父親が日付けが分かりにくくなったとします。
「お父さん。今日は何月何日か言ってみて」
これはよくある誤った関わり方です。
この質問の後父親が日付けを間違えて答えたとします。
そうすると、誤った日付けを自分の口で言う事により、脳に誤った日付けがフィードバックされてしまい、より日付けの感覚がくるってしまいます。
脳は自分が発した言葉に1番影響されてしまいます。
また誤る事で自尊心は傷ついてしまいます。
記憶が残りにくくなった方へ
「昨日の夕飯何だったか言ってみて」
これもよくありません。
脳は優秀なので、問いに対して必ず答えを出そうとします。
脳の器質的異常による認知症や高次脳機能障がいの方でも同じです。
つまり夕飯を聞かれて思い出せないとしても無回答を選ばずに、記憶を作り出してしまう事があります。
聞いている方は“もうボケてきたな”と思うかもしれませんが
当人は脳が作り出した答えなので、自分が正しいと思います。
この様に現実とのギャップが広がる可能性があります。
正しい関わり方は
“今日は3月31日で、もう3月も終わりですね”
“昨日、一緒に食べたカレーライスは凄く美味しかったね”
のように、正しい事実をどんどん伝えていきます。
動作でも同様で、服の着方が分かりにくくなった方に
服を渡して、“さあ、着てみましょう”と着る練習を促すのではなく
苦手な行程はどこなのか援助者が分析して
エラーを回避できるように関わります。
日常生活で簡単な事ができなくなり、それを突きつけられながら生活するのは精神的にもよくありません。
失敗から学べるのは客観的に自分を見れる事が大前提です。
援助者も尊敬する方や大好きな両親などが認知症になるとショックが大きく、否定したくなり、つい強く関わってしまいます。
気持ちは凄くよく分かりますが、
認知症や高次脳機能障がいになってしまった当人が1番辛い事を念頭において関わりたいですね😊