光と影のつづれ織り

写真で綴る雑記帳

「全員巨匠!フィリップス・コレクション展」ブロガー内覧会から

2018年11月06日 | アート 西洋画

 11月1日(木)「全員巨匠!フィリップス・コレクション展」のブロガー内覧会に行ってきました。

 展覧会のフライヤです。 

 

 

 

18時から受付開始で、少し早く着いたため、三菱1号館美術館の外観をスマホで撮影。

 

 

 

 最初に、この美術館のミュージアムストアの代表の方から、「フィリップス・コレクション 1/12再現ミニチュアギャラリー」の紹介。

下の写真の下段に並んでいる作品のミニチュアがそれで、全部で64種類。 今回の展示では、こうしたグッズにも力を入れているようです。

 

 

 

なんと、フィリップス邸のなかをミニチュアで再現! 国内の作家に制作を依頼したとかで、精巧なつくりに驚きました。

 

  

 

 

 さて、展示の紹介です。  展示順は、フィリップス・コレクションの作品取得順というのがユニーク。 

見終って、なるほどと思いました。

作品キャプションの左上の数字が、フィリップス・コレクションのカタログ番号、中段の白抜き数字が

作品取得年にもとづく展示順の番号です。  モネがトップです。

 

 



ドーミエです。 コレクションの創始者、ダンカン・フィリップスは、ドーミエが気に入っていたようです。

 

 




クールベの「地中海」。  色合いがいい。

 

 

 

 

  

 

 シスレー、雪の風景が、うまく表現されている。

 

 

 


シャルダンの作品。 フィリップスが特にお気に入りの作品です。 私は、西洋画の写実的な静物画には、関心がない

のですが、この作品にはサムシングを感じます。

 

 

 

 フィリップス・コレクションは、ボナール作品を多く所蔵しているようで、今回は4点、出品されている。 

10月7日にボナール展(国立新美術館)も見たので、最近、一番見た画家になります。

 

 

 

 

 クールベのこの作品、岩山のマッシブさ、爽やかな色合いがいい。

 

 

 

  

 

コレクションの創始者 ダンカン・フィリップスとその邸宅(現美術館)

          ↑ 1920年頃                                      ↑ 1900年頃    

 

 

 

展示作品の間に、フィリップス邸での展示状況と、ダンカン・フィリップスの言葉が掲げられています。

このブログでは、邸宅内での写真を中心にフォローします。

 

 

 

 

 セザンヌの自画像。 自画像を描くとき、照れとか見栄とか、俗人は気になると思うのですが

セザンヌはストーレートに描いているように感じる。

 

 

 

 

 ボナールの2点目。

 

 

 

 

 

 三菱1号館美術館で、一番大きな展示室。ここで担当学芸員の安井裕雄氏のトーク。(ナビゲータは「青い日記帳」のTakさん)

ブロガーも50人近くが参加。 写真左側の壁面には、撮影禁止の作品が多く、その中にマイベストのピカソの塑像作品《道化師》がありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

ルソーの絵は、ミントガムを噛んでいるような気になる。

 

 

 

 ボナール3点目。《棕櫚の木》

 

 

 

 ボナール4点目。《開かれた窓》

 

 

 

 ゴッホ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セザンヌ。  何でもない静物や、風景をアートにする表現力に感嘆・脱帽。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ダンカン・フィリップスの妻マージョリーは、画家で、作品の購入決定に大きな影響力があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モランディの作品は、初めて実物を見ました。 確かに、芸術作品として後世に残りますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャコメッティの《モニュメンタルな頭部》も、すごく存在感がある作品でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 マティスの作品で、紹介を終わります。

 

 

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「巨匠たちのクレパス画展 ー日本近代から現代までー」と、東アジア文化都市2017京都「アジア回廊 現代美術展」の中原浩大展示パートから

2018年07月19日 | アート 西洋画

少し前に事前案内記事を書いた「巨匠たちのクレパス画展 」のプレス内覧会に、ブロガー招待で行ってきました。 

 ◆会 期: 2018714日(土)~99日(日)

◆会 場: 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
   

会場入口前のポスター。 

 

 

今回の記事は、この展覧会に次の展示を付け加えました。

◆東アジア文化都市2017京都「アジア回廊 現代美術展」の中原浩大の展示パート

理由は、幼少期のお絵かきを考えてみたためです。

 

 

まずは、巨匠たちから

熊谷守一、らしい作品です。     ※美術館より特別に写真撮影の許可を頂いてます。

 

  

 

 クレパスの開発と普及に重要な役割を果たした、山本鼎の作品。  1934年制作なので、84年ほどたっているが、退色は無いように思います。

 

 

 

  

 

クレパスの直線的なタッチが面白い。

 

 

 

  

 

 これは、油絵にみえます。 色調もきれいです。 クレパスで表現できるんですね。

 

 



クレパスは石膏デッサンにも合いそうです。






 速いクレパスのタッチが力強い。

 





 猪熊弦一郎は、クレパスを下絵に使っていたんですね。 

この絵のモデルは、猪熊弦一郎の奥さんで、当時としては大胆な、タンクトップの服を着ていると、サクラアートミュージアムの清水主任学芸員の解説。

 

 



朝井閑右衛門の画風には、ピッタリです。

 

 

 

 

 軽快なタッチがいい。

 

 

 

                                                                                                                                                                                                                                      

伊勢正義の人物画(油絵)は、端正な感じが好きですが、クレパスを使っても同じですね。

 

 

 

 

 小磯良平、さすがですね。 クレパスの特性を活かしながら、しゃれた構図とデッサン力で作品にしている。

 

 

 

 

 小磯良平のこちらの作品には、サクラアートミュージアムの清水主任学芸員が、女性の頬や首筋のグレーの陰を絶賛していました。

私にはブルーグレーのその陰も含めて、肌色の美しさが素晴らしいと思いました。 これをクレパスで出せるとは。

 

 

  

宮本三郎のクレパス画も独特ですね。 



 

 

クレパスでも山口薫らしいタッチが感じられます。色彩も軽やかでいい。 


 



國領 經郎のこの作品は、高橋由一の「鮭」を意識したそうです。

 

 

 

 

加山又造や山本文彦の作品、繊細な描き方になってきています。



 


左は大藪 雅孝 《果実 》      右は久野 和洋 《 林檎と南天》 ともに1996年の制作。 細かなディテールはクレパス画とは思えません。


 



左側:坂口 紀良 《窓辺の読書》 は2005年制作。イラスト調の表現も面白い。   右側:深井 隆 《青空》は、2004年制作。 タイトルとの繋がりが分かりませんが、色味が面白い。

 

 

 

 

 

船越桂の、この手の人物作品は、木炭で描いたものを過去に見ていて、そちらの方がよかったように思います。

 

 

 

 

 

 オーソドックスな風景画ですが、光を感じさせて面白い。

 

 



鴻池朋子の《Little Wild Things》は、2015年の作品。  切り貼りしていますね。 足が5本だ! 

 




左:福井 江太郎 《》 2014年    右:天明屋 尚《水炎舞》 2015年   現代の作家になると、クレパスを使っているようには思えない作品が多い。



会場では、”色彩紀行”として限定販売されたご当地クレパスセットが展示されていました。 

私にとっては、この絵が、クレパスのイメージです。

 

 

 また、1階ロビーでは、クレパス画体験コーナー【当日自由参加・無料】が設けられていて、夏休みに子供と絵を

描くのも面白いのでは。

 

 

 さて、巨匠たちのクレパス画、いろんな表現ができることを知りましたが、やはり子供のお絵かき道具というイメージが強い。

自分のクレパス画 ってどうだったかな?  とふと思ったとき、小さいときに描いたクレパス画は全く残ってない。

私は、小さい時、絵を描くのが好きで、ワラ半紙に鉛筆で漫画的な絵を描いていた。 母は、なんでもよく残しておくタイプで

20台の頃、帰省した時に古いキャビネットの引き出しに、その絵を巻紙のように丸めてゴムで止めてあったのを発見した。

懐かしい絵だった、それ以上に、母が私のそんな書き散らしをとっていてくれたことに、ジーンときた記憶がある。

学校で描いたクレパスや水彩画も、たぶん残していたと思うが、確かめる機会を逃して、8年前に母が亡くなり、その年に

故郷の家も整理したので、今は何も残っていない。

 そんなことを思った時、思い出したのが昨年開催された、

東アジア文化都市2017京都「アジア回廊 現代美術展」の、中原浩大の作品展示でした。

会期:2017年8月19日~10月15日   会場:二条城、京都芸術センタ)

既に終了した美術展で恐縮なのですが、内容は素晴らしく、ブログ掲載したいと思っていたのです。

しかし、記事ネタが山ほど溜まっていて、手がつかない状態のため、こういう機会に一部でも紹介できればと思った次第です。

メインは二条城の展示でしたが、京都芸術センタ(下の写真)もユニークな作品が多く素晴らしかった。

ちなみに、この京都芸術センタの建物は、近代建築の美が残る元明倫小学校をリノベーションしたもので、京都の中心部である

祇園祭の鉾町にある。

 

 


センタ内の渡り廊下・階段付近・・・うーん さすが。

 

 

 


中原浩大の展示室(元教室) 作品《Educational》のキャプションです。





中原浩大の子供時代の描画物。  黒い線で描かれたドローウィングの2枚は、子供時代とは違うと思います。

 

 

 

クレパス画が結構ありますね。  パープル色の新幹線や、青雪の富士など、面白いものもあります。

 

 

 

 

赤ちゃん(中原浩大の妹)が生まれたときの絵日記でしょうか。 それにしても素晴らしい絵と文章です。クレパスかな?

 

 

 

 

水彩、クレパス、版画も。 中原浩大は私より10歳若い世代なので、学校教育の場では、多彩なツールを使っているのが窺えます。

 

 

 


驚くのは、こうした絵や学習張を、よく残していたものですね。 本人の意思もあるでしょうが、両親の愛情の表れではないでしょうか。

 

 

 

 

こちらは、水彩が多い。 しかもうまい。 小学校の高学年での描画と思いますが、これだけ描けるとは。

 

 

 


左上がクレパス画で、他は水彩かな。 

 

 展示には、描画だけではなく、自然観察の学習結果発表や、手記風の文章などが並び、中原浩大が受けたEducationalが垣間見れるものでした。


さてさて、クレパス画展もこの辺で締めたいと思います。

 最後の写真は、内覧会が終わって、損保ビル42階の窓から、スカイツリー方向を撮ったものです。

 

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「ターナー風景の詩」展 内覧会に行って

2018年05月03日 | アート 西洋画

 4月23日(月)「イギリス風景画の巨匠 ターナー 風景の詩」プレス内覧会に行ってきました。

於:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館 http://www.sjnk-museum.org/ 

 

 

 


18時からギャラリートークが始まりました。

右端の方:スコットランド国立美術館群 総館長 ジョン・レイトン卿

左端の方:郡山市立美術館 主任学芸員 富岡進一氏(本展日本側監修者)

なお、撮影は主催者から特別の許可を得たものです。

 

 

 

展示構成

第1章 地誌的風景画

第2章 海景-海洋国家に生きて

第3章 イタリア-古代へのあこがれ

第4章 山岳-新たな景観美を探して




メインヴィジュアルになっている 《ソマーヒル、トンブリッジ》1811展示

中央の館の主から、館内を飾るために注文されたものだとか。 この館は今も残っているそうだ。 遠近を活かした構図がいい。

 

 

 

 

 《フォントヒル・アベイの東景、真昼》 

 

 



《ランカスタ-水道橋からの眺め》                                    《ヨークシャーのカーリーホール、家路につく牡鹿狩りの人々》

 

 

 

 

 

《ストーンヘンジ、ウィルトシャー》1829 エッチング、、ライン・エングレーディング   《ストーンヘンジ、ウィルトシャー》1827-1828 水彩、紙

左側の版画は、右の水彩画をもとに版画にしたもの。

 

 

 

 

 

 《カンバーランド州のコールダーブリッジ》1810展示                                

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《ボスカースル、コーンウォール》1825                        《風下側の海辺にいる漁師たち、時化模様》1802展示

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 ヴィニェット」と呼ばれる書籍の挿絵の形式の一つ。 ターナーは、挿絵の制作を多く依頼されている。

 

 

 

 

 

 ピクチャーレスク(絵になる)シリーズの版画。  紙の劣化にもめげず、版画が綺麗でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《モンテ・マリオから見たローマ》  イタリア旅行後は、色調が明るくなっているとのこと。

 

 

 

 《風景ータンバリンを持つ女》1840-50頃

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ボッカチオの庭(鳥かご》1830                        《ネッカー川対岸から見たハイデルベルク》1846

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《サヴォアの風景》1802-20                        《ノイハウスの船着場から見たトゥーン湖、スイス》1802

 

 

 

 ターナーを見たのは初めてです。  日本の竹内栖鳳にも影響を与えたイギリスの巨匠なんですね。

会場入り口には、記念写真コーナも設置されています。

 

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「生誕120年 東郷青児展 抒情と美の秘密」Web内覧会

2017年10月16日 | アート 西洋画

 2017年9月19日(火)「生誕120年 東郷青児展 抒情と美の秘密」Web内覧会に行ってきました。

 フライヤーです。 

 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館のHP  http://www.sjnk-museum.org/ 

 

頂いた図録の表紙がこちら。

 よくできた図録で、作品の図版以外にも資料などが充実し、東郷青児の来し方、当時の状況など

が詳しく、かつ、読みやすく、まとめられていました。 企画された方、6人の執筆者、特に中心

となって執筆・編集された中島啓子さん(東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館 主任学芸員)

に拍手を送りたいと思います。



 内覧会は18:30開始、美術館のある42階のフロアからの夜景が美しい。

 

 

 

 実は、私は東郷青児の独特の女性画には、アートとして興味が湧きません。

ですが、東郷青児がどうして日本の大衆やメディアの人気を得たのか、そこを知りたいと思っていました。

展覧会の趣旨も、東郷スタイルが成立したとされる1950年代までの画風の変遷をたどるもので、ぴったりでした。

 

 それでは、東郷青児の18~31歳まで


 変わった服装、イケメンの顔立ち、早熟で野心満々の若者に見えます。

繊細な感じもします。



左側の作品が二科展に初出品して二科賞を受賞した《パラソルさせる女》

日本の前衛は、この作品あたりからと言われており、18歳の青児が、その6年前、フランスで発足した未来派を

見よう見真似で取りこんだように思います。




1921年 24歳で渡仏。

渡仏後すぐの、左側の風景作品《ブローニュの森の風景》は、何の変哲もない感じで、右の女性像《巴里の女》もスタイル的には平凡な感じ。ただ、繊細な

優しさは、感じます。

 

 

 


渡仏2年後の作品。  右側の作品《帽子をかむった男(歩く女)》は未来派展に出品した作品。 技巧が上がってます。

左側は《明代像》東郷青児の最初の妻がモデル。 単純化して立体感を出す、東郷スタイルの兆しを感じます。

 




左端は《髪》1924年、 右は《ベッド》1925年 

東郷は1925年頃より、独自のスタイルを探求した。 ルーブル美術館にも頻繁にいったようだ。

色数や彩度が抑制されて、滑らかで、単純化した立体感のある絵がつくられた。


 

 

 

左は《ピエロ》1926年、 右は《サルタンバンク》1926年


《サルタンバンク》が、本人にとってパリでの最も充実した作品になった。    注 サルタンバンク:道化師、軽業師などの大道芸人 

《サルタンバンク》が出来上がったとき、東郷は嬉しくて、ピカソをアトリエに引っ張ってきて見てもらったそうだ。

ピカソから「自分の絵を見ているような気がする」と言われ、ギャフンと参ったと、後に感想を述べている。 藤田嗣治も見にきたらしい。

(左端で、そんな説明をしている方が、中島啓子主任学芸員)

 

 

 第2章 恋とモダニズム 1928~1930年代前半

1928年に帰国した東郷は、その年の二科展に滞欧作を特別展示し、評価された。

そして、翌1929年の二科展に出品したのが次の作品

左《窓》1929年   右《ギターを持つ女》

《ギターを持つ女》で、後に東郷はこのように述べている。

”僕はサンティマンタリズムをほかの人ほど軽蔑しない。絵を描く動機が、サンティマンによって発火されることが屡々あるのだ。

この繪はそれの代表的なものだらう。 僕は甘くトロケルような絵が描いてみたい。・・・”

なるほど! デザイン的な構図、イラスト的な単純化のなかに、中間色の美しい色調と相まってセンチメンタルなムードが漂う。

 

 

 

 

この1929年には、東郷は心中未遂事件を起こしている。 心中未遂の相手”盈子(みつこ)”とはその後、引き離され、事件を取材にきた 

宇野千代と同棲。 4年後、偶然、再会した東郷と盈子は、ついに一緒になり、人生を全うすることになる。 

二人が亡くなった後、二人の愛娘のたまみ氏は「女性を描くと、自然とうちの母親になっちゃう。 違う人を見て描いていても。 究極 

の愛といえばそうかもしれない。 彼が気が付いていたかどうかはわからないけど。」 

 

 

 

心中未遂が1929年3月30日、この《ギターを持つ女》や《窓》が第16回二科展に出品されたのが9月3日~10月4日ですので、これらの作品は 

心中事件前後に制作されたと思います。  私見ですが、東郷スタイルは、この《ギターを持つ女》が端緒ではと思います。

 

 

 

一方、1929年には、超現実派の作品も制作。

《超現実派の散歩》 1929年     色調が美しい。


 



 

 

 

 

1930年の作品《手術室》                       右は《静物(ゆりの花》1930年

 この《手術室》は東郷が気に入っていて、その後の展覧会に何度も出展しています。

 

  

 第3章 泰西名画と美人画

1930年代半ばは、東郷の画業と人生の転機となった。

仕事では、1933年に帰国した藤田嗣治との交流を通じて、富裕層を顧客に持つ百貨店と

の繋がりを得、同時期に、東京火災(現:損保ジャパン日本興亜)から継続して仕事を受

けるようになった。

私生活では、1933年に明代との離婚が成立し、翌年の秋には心中未遂の相手であった西崎

盈子と再会、宇野千代とも別れて1939年に盈子と結婚した。


 

 

 

 

 

 

 

一方、雑誌と全集の刊行ブームに沸いていた出版界で、東郷は帰国直後から仕事を受けた。 

大衆化時代に簡潔で洗練された東郷のデザインが表紙や挿絵に採用された。

 東郷自身も翻訳を手掛けたり、劇場の舞台装置の設計をしたり、積極的にデザインの仕事を受注した。

森永やカルピスなど広告宣伝に力を入れた企業も、東郷に宣伝の顧問やデザインを依頼した。

 

 

 

 

東郷が美人画と称した一連の少女シリーズ

左《扇》1934年                 中央《テニスコート》1934年         右《黒い手袋》1933年

 



雑誌の表紙 右端のしおりは1934年、 左の3誌は1935年の刊行。

 

 

 

 第4章 復興の華

戦後の東郷の仕事は、二科会の運営と、出版物に加え、建築の装飾がが重要な位置を占めるようになる。

出版では、戦時中、抑圧されていた官能的表現を渇望した時代の雰囲気が伝わってくる。

 

 

 

 

 

 

1950年、新聞メディア系の週刊誌の表紙にも・・・・東郷の大衆への知名度は、高かったことが窺える。

 

  

 

 1952年、京都で大壁画を制作している。 

  

 



左は壁画の下絵で《平和と団結》1952年  東郷は《女とリボン》の題にしたかったが、注文主の朝日側がつけた題らしい。

 右は《渇》1953年  1952年に日本は主権を回復したが、東郷は、戦争が残したものがひしひしと痛感され、一方、東西冷戦で世界を

おおう大きな不安が胸中にあって、こんな絵が生まれたと述べている。

 

 

右から、反時計回りに《四重奏》1955年、 《白い花》1956年、 《バレリーナ》1957年

 

 

 右から、反時計回りに《脱衣》1958年、 《望郷》1959年、 

 

 

  右から、反時計回りに《干拓地》1966年、 《レダ》1968年、 《若い日の思い出》1968年、

左端の 《若い日の思い出》は、安田火災のカレンダー(1969年)で、東郷は1960年代以降、二科展出品作において貧困などの社会的テーマや

アフリカや西アジア諸国のエキゾチズムなどに挑戦を続けたが、戦前から東京火災(その後、安田火災、損保ジャパンに)は、叙情的な女性像を

独自に東郷から購入して、カレンダに掲載するようになり、可憐な女性像の画家という東郷像が浸透する一因になった。


東郷は、絵画に対する理論とか理屈、更には哲学的な態度とかは、糞くらえで、感情をよりどころとして、描きたいように描いた。

特に女性に対して、甘くとろけるような抒情的な絵を好んだ。 そうした個性は、実際の女性関係にも顕れ、心中未遂事件などを

おこしたが、逆に、メディアなどに多く取り上げられ、東郷青児の名前が広く知れ渡ることとなった。

泰西名画調を欲求する時代とも合致し、人気、知名度がスパイラル状に上がっていった。 芸術性という点では、疑問はあるが

絵肌の技巧は、一級品であることは間違いない。

昭和という時代に、西洋画界のスターの道を歩んだ画家の展覧会だった。



見終って、42階の窓から景色を見る参加者。  ここの柱に東郷の絵を架け、スポットライトを当てると、いいだろうな。

 

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国吉康雄展

2016年11月27日 | アート 西洋画

ブログネタが溜まって大変。 少しずつ吐き出していきます。

もう半年近く前の展覧会、横浜・そごう美術館の国吉康雄展。 6月12日(日)撮影。

 

国吉康雄は、以前、国立東京近代美術館でみて、好きな作家の一人になりました。

最初の展示コーナだけ、撮影OK。 国吉康雄のアトリエにあったものです。

 

 

 

 

ミスターエースの完成作品  国吉の作風が変わった晩年の作。 

 
 <Mr.Ace ミスターエース>
1952年 油彩 116.9×66.1 福武コレクション蔵

 

色彩にこだわりのあった国吉の言葉。

 

 

 

 描く姿が洒落ている。

 

 

 

 

上の写真の完成作品で、国吉の傑作、実物を見てぶるっときました。 


<デイリー・ニュース Daily News> 
1935年 127.0x83.8cm 油彩/カンヴァス シンシナティ美術館蔵
(webサイトから引用)

 

 

自画像になりますが、後ろの絵の女性が絵ではなく、そこにいるように見え、微妙な空気感が漂っている。

 

 

 

 静物や女性像の作品が多い。

 

 

 

マティスとも交友関係があったのかな?

 

 

 

 

味のある線です。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1906年、16歳で岡山から単身、アメリカに行き、肉体労働などをしながら1910年には、ニューヨークで美術を学び

1917年に画家活動を始めた。 これはその頃の作品。 

官能的だけど、純粋さや気高さも感じる。

 

 

 

 

 

 

1922年頃から、アメリカでも素朴派画家として注目を浴び、ヨーロッパの模倣ではないアメリカ画家として受け入れられた。 

 

 

 

アトリエで制作中の写真。 
雰囲気があっていい。 写真も撮っていた国吉だから、セルフタイマーで撮った写真のような気がします。

 
(webサイトから引用)

 

1951年の作品、<通りの向こう側>

  

 

国吉がアトリエから撮った風景写真

 

 

 

全体をとおして、1930年代の作品が好きだな。
この作品は官能的だけど、愁いに沈む表情、全体的な色調の美しさが素晴らしい。

(webサイトから引用)

 

テーブルとスイカの静物、国吉の色調は、クニヨシブラウンとかクニヨシホワイトと呼ばれ
独特の渋くて奥深い感じがします。

関連画像

<西瓜 Watermelon>

1938年 101.6x142.2cm  油彩/カンヴァス 国吉康雄美術館蔵
(webサイトから引用)

 

 

この展覧会のタイトルになった作品。 見る人にいろんな解釈を与える。 国吉本人は、作品の解説はしない主義で、見る人に任せている。

それと、40年代の作品は、以前と色調などが変わったのがわかります。

Girl No,1

<少女よ、お前の命のために走れ>
1946年   カゼイン、石膏パネル  35.5cm×50.8cm   福武コレクション蔵

 

 

最後の展示コーナで、修復された<CROWN クラウン>が展示されていました。

珍しく水彩の作品です。 マスクの表情がやはり凄い。 

<CROWN クラウン>
1949年   グワッシュ・紙   152cm×205cm   福武コレクション蔵

 

 

この国吉展には展示はなかったのですが、国立東京近代美術館 で鑑賞して、ブログで紹介した作品を最後に載せます。

 

 

 

 

 

 

  

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メアリー・カサット展 夜間特別鑑賞会

2016年07月04日 | アート 西洋画

7月2日(土)、横浜美術館ブロガー招待企画 ”メアリー・カサット展 夜間特別鑑賞会”

に行ってきました。

 

 

微笑ましい母子像が中心でしたが、下図のような印象派の香りが溢れる作品もありました。

 

 

写真はメアリー・カサット70歳のときのもの。 裕福な家庭に生まれ、生涯独身でした。

※会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

 

 

第1章 画家としての出発

《バルコニーにて》は29歳の時の作品。 17歳のときに画家になる決心をし、パリなどで学び、24歳の時にサロンに初入選、

その後アメリカに戻ったが、27歳のとき渡欧し16世紀イタリアの画家の研究や、プラド美術館などで巨匠たちの絵を模写している。

そうした影響が感じられる作品です。 ただ、全体を見終って感じるのは、この絵の白い服を着た女性が、男と媚びた視線を交わして

いるのが特異的に感じられます。  母子像とか日常の生活をモチーフにした作品がほとんどなので、こうした男女関係を匂わす作品

はほかにありません。

 

 

同じく初期の作品。 右側は《刺繍するメアリー・エリソン》1877年 油彩、キャンバス フィラデルフィア美術館蔵

 

 

第2章 印象派との出会い

ドガの作品からインスピレーションを受けて、印象派風の作品に変貌していくカサット。

 

左《庭の子どもたち(乳母)》1878年 油彩、キャンバス                  右《浜辺で遊ぶ子どもたち》1884年 油彩、キャンバス                  
ヒューストン美術館蔵                                      ワシントン・ナショナル・ギャラリー

 

 

1880年代にはドガやピサロとともに銅版画の制作に熱中したりしています。

 

                              

 

 

第2章Ⅰ 近代都市の女性達

1877年には、両親と姉(腎臓病を患っていた)がパリにきて、一緒に住むようになる。

パリでは、劇場での鑑賞がブルジョワジーの新しい娯楽となり、社交場ともなった。 右側の《桟敷席にて》1878年 油彩、キャンバス ボストン美術館蔵

は、カサットの傑作のひとつ。


左の肖像画なども印象派風  《扇を持つ婦人(アン・シャーロット・ガイヤール)》1880年 油彩、キャンバス 個人蔵 

 

 

カサットに影響を与えたドガの作品も展示されていました。
右側の作品は《踊りの稽古場にて》1884年頃 パステル、紙〈厚紙に貼り付け) ポーラ美術館蔵

 

 

 

 

第2章Ⅳ 家族と親しい人々

初期の母子像である右側の作品、《眠たい子どもを沐浴させる母親》はニコッとなります。 また、色合いがいい。

左側は、姉リディアを描いた作品。《タペストリー・フレームに向かうリディア》1881年頃 油彩、キャンバス  フリント・インスティテュート・オブ・アーツ蔵

 

続く作品群ですが、ぶれてしまいました。

 

 

第3章 新しい表現、新しい女性

 

 

展示されていた日本の浮世絵、歌麿もありましたが、ぶれ写真でボツ。

 

 
                          

 

浮世絵の影響を受けた、多色刷り銅版画の連作。 

 

特に上の右側の作品が素晴らしかったので、Webサイトから転載。(会場では、一点撮りの撮影は不可だったため)

 

 

 

 

第3章Ⅲ シカゴ万国博覧会と新しい女性像

 

 

 

 

左側が《果実をとろうとする子ども》1893年 油彩、キャンバス ヴァージニア美術館蔵

右側が、メアリー・フェアチャイルド・マクモニーズの《そよ風》 1895年 油彩、キャンバス  テラ・アメリカ美術基金

 

 

 

 

 

 

第3章Ⅳ 母と子、身近な人々

この頃から俄然、母子像が多くなります。

左《団扇を持つバラ色の服の女》1889年頃 パステル、紙 東京富士美術館蔵  右《犬を抱くラズベリー色の服の女性》1901年頃 パステル、紙 ハーシュホーン美術館蔵

 

 

 左《ジェニーと眠そうな子ども》1891-92年 油彩、キャンバス テラ・アメリカ美術基金蔵  右《ジェニー・カサットと息子ガードナー》1895-96年 油彩、キャンバス ニュ-アーク美術館蔵

 

 《母の愛撫》1896年 油彩、キャンバス フィラデルフィア美術館蔵 

 

 

 

 1926年、86歳で亡くなります。   ドガと交わした手紙は亡くなる前に、すべて燃やしたそうです。

画家であることと、結婚は両立しないと思い定めたのでしょうが、母子像を描くカサットを思うとき、切ない感じが湧いてきます。

 
                                                    右の作品《クロシェ編みのお稽古》1913年 パステル、紙  個人蔵

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プラド美術館展 ブロガー・特別内覧会

2015年11月23日 | アート 西洋画

11月11日(水)18:30~「プラド美術館展」ブロガー・特別内覧会に行ってきました。

 

 

小型の作品が主体になっています。  右側のヒエロニムス・ボスの《愚者の石の除去》は48.5×34.5cm

 

 

 

1点撮りが禁止されていましたので、会場光景として撮っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 肖像画や宗教画が多いなか、静物を描いた展示が左に。

 

 

 

静物の作品の精緻な表現は見応えがあります。

 

 

風景画も出てきました。 西洋画も出発点は、教会や貴族の邸宅に飾るものだったので、宗教画や肖像画に偏っていましたが、やっと画家の意志で

題材が選べるようになった。

 

 

 

 

 

参加ブロガーが集まった、やや広い展示室。 

 

全般に小さな作品で、精緻な表現が多く、静謐なムードの展示作品でした。

私は西洋古典絵画の技法と、そこから産みだされる静謐・神秘的なムードは好きですが、宗教的な題材が多いとうんざりします。

 

出口に、来場記念の撮影ポイントが設置されていました。 

 

 

 早めに会場をでて、東京駅に向かう交差点に立つと、古いビルと新ビルの夜の顔が美しい。

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博物館に初詣(2015.1.3) 黒田記念館

2015年01月28日 | アート 西洋画

黒田記念館リニューアルオープンで初めて黒田記念館に入りました。

 

昭和3年に完成した建物。  黒田の遺言で、財産の一部を美術の奨励事業に使うことになっていたため、できた建物

 

2015年の公開日
第1回:2015年1月2日(金)~1月12日(月・祝)
第2回:2015年3月23日(月)~4月5日(日)
第3回:2015年10月27日(火)~11月8日(日)

 

黒田の代表作を収めた特別室の写真(撮影OKでした)

 

 

 

 

 

「智」のアップ 

 

 「感」のアップ

 

 

 「情」のアップ

 

 

 教科書に載っていた有名な「湖畔」

 

 

 

 特別室の光景

 

 

 

 

 

 

 

この「読書」の色調はいいですね。

 

 

 

 

 

 最後に素描を。

 

こじんまりした記念館です。  開館のスケジュールを確認して、ご覧になってください。

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国立西洋美術館(2014.9.13) 絵画#2

2014年12月19日 | アート 西洋画

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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国立西洋美術館(2014.9.13) 絵画

2014年12月15日 | アート 西洋画

2014.9.13に行った国立西洋美術館の紹介は、彫刻とゴヤの版画で、終わっていましたが

メインの絵画がまだでしたので、遅くなりましたが紹介します。

当日の2階、展示場です。 祝日でしたがゆっくりと見れました。  左端で覗き込まれるように見られている絵が、次の写真です。

 

パリスの審判 ン?と会場では思ったのですが、調べるとギリシャ神話で、3人の女神のなかで誰が一番美しいか・・・トロイヤ王の息子で羊飼いのパリスが

判定を下す話です。  後にトロイ戦争の発端になった話です。  そういえばトルコ旅行で、トロイの遺跡を見たときにガイドが説明していたのを思い出しました。

3人の女神の部分より、谷あいの山岳風景がいい・・・山水画の雰囲気がある。

  

 

 

ブグローの名前は初めてでした。  19世紀後半のフランスのアカデミズム絵画の重鎮で、画家としてエリートコースを歩み、名声を博したが

印象派などの美術革新運動のあとは、忘れ去られてしまった画家となったが、20世紀末に再評価されるようになったとか。

確かに技巧は抜群、この少女の瞳や口元に長時間、モデルをさせられて反発する心情が映っている。

 

 

 

時代順に展示されてます。

 

 

クールベは独特の雰囲気があります。 好きでもない、嫌いでもない絵なのですが。

 

 

 

 セザンヌはキャプチャーを見なくても、わかります。 強い構図、色彩の統一感、リズミックなタッチ ウーンです。

 

 

 

1階を鳥瞰。

 

 

 

 ピサロも肩の力を抜いたいい作品が多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ジョルジョ・デ・キリコー変遷と回帰展

2014年12月02日 | アート 西洋画

11月4日(火)デ・キリコ展のWeb内覧会に行ってきました。

少し間が空きましたが、印象をまとめるには、記憶が蒸留されて、却っていいかも。

写真撮影は禁止だったので、パンフレットからご紹介します。

 

入口のコーナにあった作品。 

全体に色あいが好きです。 キリコの絵は、中学校の美術の教科書に載っていたのが最初で、その後、雑誌等で知っていたという程度。

形而上絵画とかのネーミングはどうでもいいと思うのですが、実物を見た今回、色使いがうまいなと思いました。

 

   

 

 

次が、「古典主義への回帰」と題されたコーナ。 キリコはこんな絵も画いていたんだと驚きと感心。

 「母親のいる自画像」の空の色は素晴らしかった。  

 私はキリコの、この時代の絵が好きです。  個性的な素晴らしい作品を残したと思います。

 この時代の絵を見れただけで、十分、来た甲斐がありました。

 

Ⅲでネオ・バロックの時代があるのですが、これはパスします。

Ⅳは、下記の通り、新形而上絵画となるのですが、色合いは相変わらず素晴らしい・・・・でもなにか物足りなさを感じます。

 

キリコ夫妻の晩年の写真がありました。壁にかかっている絵は、夫妻が大事にしていたと思いますが、ネオ・バロック時代の作品が多そうです。

展示会にも、これらの作品が来ていました。 

 

 

 キリコを概観するにはピッタリの展示会です。  会期末まであと3週間ほどですが、お勧めします。

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バロットン展 三菱1号館美術館

2014年08月04日 | アート 西洋画

7月27日(日)三菱1号館美術館で開催されているバロットン展を観てきました。

 

初めて聞く名前でしたが、良かったですね。

最初に掲げられていた《トルコ風呂》  一見、前に観たバルテュスと雰囲気が似ていると思ったのですが

よく見ると、精緻な描画やマチエールは、バロットンのほうが素晴らしい。 好きな絵が多かったですね。

《トルコ風呂》 1907年 油彩 カンヴァス 130.5×195.5cm ジュネーブ歴史・美術博物館

 

 

 

バロットンの特徴は、本展の総合監修者キ・コジュヴァル オルセー美術館長のメッセージが的確です。

以下、本展公式Webサイトから引用。

 

大きなサイズが見つからなくて残念ですが、メインビジュアルにもなった《赤い絨毯に横たわる裸婦》

は、じっくりと溜息が出てきました。

《赤い絨毯に横たわる裸婦》 1909年 油彩 カンヴァス 73×100cm ジュネーブ、プティ・パレ美術館

 

 

 

晩年の作品では女性の描き方も少し変化しています。 

冷たい炎が熱い炎になっていますが、ドレスのマチエールの精緻なことなど、変わらないですね。

《赤い服を着たルーマニア女性》 1925年 油彩 カンヴァス   オルセー美術館

 

 

少し屈折した性格が感じられる自画像。 冷たい炎です。

《20歳の自画像》 1885年 油彩 カンヴァス 70×55.2cm ローザンヌ州立美術館 

 

 

この絵、日本的様式美が感じられ、なじみやすい。  バロットンの蒐集した浮世絵(国芳など素晴らしい作品)も展示されていましたから、なるほどと思えます。

《月の光》1894年 オルセー美術館

 

この絵も一風変わった絵で、幽霊のような足は、やはり浮世絵の影響かな。

 

 

この絵は、部屋に飾りたくはない絵なのですが、浮世絵と西洋画が融合したような

気になる絵です。

 

《日没の最後の光》 1911年  カンペール美術館

 

この絵は強いオーラを感じました。

《海からの帰還》 1924年 ジュネーブ歴史・美術博物館 

 

 

木版画も多く展示されていて、白と黒の対比、線のシンプルだけど微妙なうねりなど、素晴らしいものがあります。

 

バロットン展、じつは、ブロガー特別内覧会の案内を6月にもらっていたのですが、応募しなかったのです。

知らない名前で、公式サイトの見どころを見ても《貞節なシュザンヌ》など、あざとそうな絵だなと思ったからです。

しかし、さすがオルセー美術館長が光をあてようとする画家、今後、大いに評価が上がっていくでしょう

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東京富士美術館 収蔵品展 ルネッサンスから現代まで、明治の着色写真  

2014年06月15日 | アート 西洋画

 東京富士美術館の西洋絵画収蔵品です。  過去何回か見ていますので、お馴染みの作品が多いのですが、写真撮影は今回が初めて。

 「行政長官の肖像」と題された本作品、500年前の作品ですが、時を超えた迫力があります。

行政長官の肖像 
1507年頃油彩、板 50.0×35.0cm

ジョヴァンニ・ベリーニ (1430頃-1516)  イタリア

 

  

 この肖像画もいい雰囲気があります。

ザクセン選帝侯ヨハン・フリードリヒ豪胆公の肖像
1533年  テンペラと油彩の混合技法、板から移されたカンヴァス   37.8×39.5cm

ルーカス・クラーナハ(父)(1472-1553)  ドイツ

 

 

 

 数少ないラ・トゥールの作品です。   静謐のなかに深い精神性・・・云々の説明があるのですが、私はそこまで感じなかったなー。

煙草を吸う男
1646年 油彩、カンヴァス  70.8×61.5cm

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール  (1593-1652)  フランス

 

 

 

知らなかったのですが、 ピーテル・ブリューゲルの父の作品の模作なんですね。 模作は5点ほどあって、この絵ともう一点は、場所が屋外に変わっている。
この絵も、知らないで見ると、いい絵なのですが、やはりオリジナルの絵を見たいですね。

農民の結婚式 

  • 1630年  油彩、板  73.0×104.0cm

ピーテル・ブリューゲル(子) (1564-1638)

 

 

ナティエの貴婦人を描いた肖像画は、国立西洋美術館でも見ましたが、同じようなポーズ、顔だちですね。
この絵は、仮面を持っています。 当時は仮装舞踏会などが盛んだった。

フェルテ=アンボー侯爵夫人
1740年 油彩、カンヴァス 145.0×115.0cm

ジャン=マルク・ナティエ (1685-1766) フランス

 

 

 

絵としては、平凡な感じがするのですが、犬のポーズや表情が可愛い。

少女と犬 
1780年頃  油彩、 カンヴァス  77.5×63.5cm

ジョシュア・レノルズ (1723-1792) イギリス

 

 

 この絵は、ガラス面の反射があって、くっきりと見えませんが、肌の静脈が透けて見えるような精細な描写に脱帽。

 

漁師の娘
1872年  油彩、カンヴァス  116.0×87.5cm 
ウィリアム・アドルフ・ブーグロー (1825-1905)

 

セザンヌは平凡な風景でも、アートな絵にする天才です。 

オーヴェールの曲がり道
1873年頃  油彩、カンヴァス  59.7×49.0cm

   ポール・セザンヌ  (1839-1906)

 

 

巧い絵描きですね。 

 

古代ローマのスタジオ

1874年  油彩、板  64.0×93.5cm 

ローレンス・アルマ=タデマ (1836-1912)

 

 

 これは可愛らしいの一言。 

 

シルクのソファー
1879年 油彩、カンヴァス  129.5×84.5cm
ミケーレ・ゴルディジャーニ (1830-1909)

 

 

 シスレー晩年の作品。 描くことに喜びを感じていたのですね。

 

レディース・コーヴ、ヘイスティングス
1897年  油彩、カンヴァス   65.0×81.0cm 

アルフレッド・シスレー  (1839-1899)

 

 

 ボナールの絵もありました。 さすがに力があります。

 

若い女

1905年頃  油彩、カンヴァス   70.5×46.7cm

 ピエール・ボナール  (1867-1947)

 

 

名前は知らない画家です。  黄昏時の雰囲気が良かった。

  

黄昏の古路
1929年   油彩、カンヴァス  125.0×150.0cm

アンリ・ル・シダネル  (1862-1939)

 

以上ですが、撮影禁止の作品では、ユトリロ、ローランサンなど充実していました。  

 

このほかの展示で、[写真コレクション特集]明治の着色写真 も紹介。

渓谷の料亭の女性。 川の流れからシャッター速度は1~2秒かな。  海外のお客様向けの写真だったので日本的な光景を撮っています。

 柱廊の女性
1880年頃
日下部金兵衛 (1841-1934)

 

作者の日下部金兵衛は、英国人写真技師ベアトが、横浜に開いた写真館で着色技師として働き、後に独立して作品を製作した人。

この写真着色は見事ですね。

《丈の長い着物を着た日本女性》

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「官展にみるそれぞれの近代美術」展  府中市美術館

2014年06月02日 | アート 西洋画

5月24日(土)、府中市美術館で開催中の「官展にみるそれぞれの近代美術」展に行きました。

 

官展・・・国が主催する公募展ですが、日本のみならず、日本帝国として拡大したアジアでも行われていて

政治関係の問題はあるにせよ、芸術という観点でみると面白い、いい企画でした。

 

府中市美術館は4回目の訪問かな。  作品は撮影禁止ですがロビー風景を撮ってみました。

 

 

リーフレットが充実していたので、そこからの切り貼りで紹介します。

 

 

 

 

下の絵は、厳寒の長春(満州国での開催)絵画番号6

 

 

 

 

 

チャイナドレスとおかっぱの女の子、いいムードを感じました。

 

 

  

 

それぞれの国の文化の香りが感じられる作品に、見入りました。

日本画と西洋画しか日頃、見ないのでいい刺激でした。  残りの会期は少ないのですが、お勧めです。

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バルテュス展、ツイストダンス

2014年06月01日 | アート 西洋画

 5月18日(日)、バルテュス展に行ってきました。

3

 

展示は、バルテュス(1908-2001)の少年期から晩年までの作品、アトリエの再現、篠山紀信がバルテュスと家族を撮った写真

節子夫人のビデオなど多彩でした。

 

バルテュス11歳のとき描いた絵本「ミツ」(猫の名前ですが日本語名をつけています)の一場面。

大人びた巧さと、少年の純真さが同居しています。  当時、母の恋人であった詩人リルケが絶賛したそうです。

少年期にチヤホヤされると、性格形成には、あまり良くないと言われますが、全作品をとおして感じるバルテュス

の複雑な性格は、この絵本にも表れているように感じます。

 

バルテュス25歳の時の作品。 26歳で個展を開き、賛否両論だったようです。

絵としては、色彩などさすがですが、片方の乳房を露出した表現に、複雑さを感じます。

 《The Window》 1933 Oil on canvas (162.2 x 114.3 cm)

 

この絵は習作が展示されていましたが、当時、流行していたシュールの感覚で不気味さを

狙っています。

The Street  1933-35

 

展示の目玉的な扱いの作品です。 色彩や全体の構図は、独学とはいえ正統的な

趣き、マチエールがありアートは感じます。  ただ、当時も賛否両論が巻き起

こった少女のこのポーズ表現。  芸術と猥褻の垣根は、あってないようなもの

ですが、その論点で捉えるより、バルテュスの複雑な性格が反映されたものとして

見ると、スッキリとのみこめます。

《 夢見るテレーズ 》 1938年 油彩、カンヴァス 150x130.2cm メトロポリタン美術館

 

バルテュスの自画像。 自分の性格をよく捉えていると思います。 色彩がいい。

 《 猫たちの王 》 1935年 油彩、カンヴァス 78x49.5cm バルテュス財団(ヴヴェ、イエニッシュ美術館寄託)

 

 

会場には、彼が十代のとき描いたエミリー・ブロンテの『嵐が丘』の小説挿絵があり、その一場面の構図とよく似ています。

で、右のヌードの女性はバルテュスの恋の相手で後に最初の妻となるアントワネット・ド・ヴァトヴィル。 当時、ヴァトヴィル

には婚約者がいて、結婚するのですが3年後に、バルテュスが略奪結婚したとか。  事実の詳細はよくわかりませんが

そんな複雑さが顕われているような絵です。 ただ、完成度が低いように思われます。

 《 キャシーの化粧 》 1933年 油彩、カンヴァス 165x150cm ポンピドゥー・センター

 

 

数少ない風景画で気に入った作品です。

 《 樹のある大きな風景(シャシーの農家の中庭) 》 1960年 油彩、カンヴァス130×162cm ポンピドゥー・センター

 

 

晩年の作品ですが、迫力がありました。 バルテュスの1930年代前半の代表作 と比べると、奥深い表現手法ながらも、絞めるところはキリッと締めて

強い調子が生まれました。

 《 トランプ遊びをする人々 》 1966-1973年 カゼイン、油彩、テンペラ、カンヴァス 190 x 225cm ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館

 

この絵を見たとき、あれー最近、写真で見た構図と似ている・・・と頭をよぎりました。

 《読書するカティア》 1968-76年 カゼイン、テンペラ、カンヴァス(179×211cm)個人蔵

 

  その写真がこちらです。

原久路写真の「バルテュス絵画の考察」から 2010年に発表されています。

私が見たのは、バルテュス展に行く前、時期は忘れましたが本屋で見て、興味を引いた写真だった。

 

一方、こちらは篠山紀信。  会場内で、バルテュスや家族の写真の一つとして展示されていました。

モデルは、バルテュスの娘・春美さんです。  紀信もバルテュスの作法に倣って撮った。

 

バルテュスの絵から、写真へと拡張しましたが、拡張ついでに、ツイストダンス集団の写真を。

都美術館を出て、トーハクを短時間見て、帰途、上野公園を歩いていたとき、撮ったものです。 

 

 

中央の青いドレスの女性は以前から、見る娘ですが手前の二人の女性は初めて。 

 

 

 

 

 前回の撮影時もそうでしたが、米国人の観客数人が不思議そうな顔をして観ていました。 

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