光と影のつづれ織り

写真で綴る雑記帳

横尾忠則 寒山百得展を観て

2024年09月21日 | アート 現代美術

2023年10月、下の作品写真を、四国のブログ友の記事で見つけました。

作品の説明が無かったので、私は、すぐコメントを送りました。


トップの絵は? (te-reo)
2023-10-18 14:08:20
トップの絵に驚きました。
国宝の、久隅守景「納涼図屏風」を本歌取りしてい
ますね。なかなか、いい作品だと思います。 外国
人作家の作品と思われますが、作家名、展覧会名を
教えていただくと、嬉しいのですが。


その日、返信がきて、東博・表慶館で開催中の、横尾忠則の寒山百得展です。・・・!

 

なんと、横尾忠則の寒山百得! 外国人作家だなんて、お恥ずかしい限りでした。

前週の10月13日に、都現代美術館で横尾忠則の特集を観ていたのですが・・・・

 

 

で、2023年11月15日(水)に東博・表慶館へ。

公式サイトから

本展は、現代美術家・横尾忠則が、寒山拾得を独自の解釈で再構築した「寒山拾得」シリーズの
完全新作102点を一挙初公開するものです。このシリーズは、寒山と拾得という、中国、唐の時代に
生きた伝説的な2人の詩僧をテーマとしたものです。彼らはその奇行ぶりから「風狂」ととらえられ、
日本、中国では伝統的な画題となりました。

新型コロナウィルス感染症の流行の下、横尾は、寒山拾得が達した脱俗の境地のように、俗世から
離れたアトリエで創作活動に勤しみ、まさに時空を超越し、あらゆる世界を縦横無尽に駆け巡りま
した。描き出された寒山拾得からは、めくるめく物語が紡ぎ出されています。画家活動の最大の
シリーズとなる「寒山拾得」は百面相のように、観る人にさまざまな問いを投げかけることでしょう。

 

 

 

 

 

では作品を  作品名は、制作した年月日になっています。

〈2021-09-03〉

寒山の手にするお経は、トイレットペーパに、拾得の箒は掃除機に変身!

ン? トイレットペーパがない、大変だ―(トイレの中のように焦る) ン、右端かな

幸せそうな二人の周りには、やばそうな人も。

たどたどしく見える筆運び、横尾忠則が、朦朧体と名付けたもの。

実は、2015年に横尾忠則は突発性難聴になり、続いて右手も腱鞘炎に。

感覚もぼんやりし、手も不自由な動きになり、それで描いたものだから・・・

 

〈2021-9-9〉  

大谷翔平が描かれています。 

見聞きすることが、脳裏からキャンバスに。

 

 

 

〈2021-9-17〉  

横尾忠則は、武蔵と小次郎の決闘場面を、小さい頃に描いていて

自分で傑作だと思っています。 そのイメージが寒山拾得に置換わった。

 

 

<2022-01-29>

長谷川利行も、真っ青! このタッチ

掃除機もトイレットペーパも、もーどうでもいい感じ。

 

 

 

<2022-02-06>

赤い絨毯シリーズの始まり。

 

〈2022-03-24〉

マネの ”草上の昼食” にワープ。

看板は、虎に注意だって  

 

 

〈2022-03-28〉

横尾忠則の小説<原郷の森>から、意味ありげな文句が抜粋されて、会場の壁に貼られています。

  

 

 

 

 

<2022-04-14>

 

 

<2022-05‐01>

そして、納涼図屏風モチーフの本作品。

この作品では、腱鞘炎が一時回復したのか、朦朧体が影を潜め、見やすい。

夢ですが、トーハクで、本作品と、納涼図屏風を並べて見てみたい。

 

 

 

 

<2022-05-14>

  

 

  

 

 

 

<2022-06-23>

組んず解れつ、の曼陀羅が面白い。

 

 

会場の表慶館と、マッチしていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<2022-09-13>

東京オリンピック(2021年)の、アーティスティックスイミングの残像かな。

寒山拾得って・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<2022-12-01>

ポスターのメインヴィジュアル。

サッカーのワールドカップの時期だったので、サッカーボールだ。

 

 

<2022-12-29>

 

 

 

 

<2023-01-03>

 

 

 

 

 

<2023-01-15>

これで101作品目で、寒山拾得の、原スタイルに戻った。

ただし、衣が山水画!

 

 

<2023-06-27>

シリーズ完了と思ったら、会期直前に追加された一作。 

うーん、風神雷神図を思わせる構図、朦朧体のタッチも素晴らしい。

横尾忠則と寒山拾得百得展、色々な経緯があって、開催されたのですね。

現存作家の個展を、東博で開催するのは初めてだとか。

東博の意気込みに拍手です。 

最近のニュースとして、神戸での巡回展を終えて、本作品はすべて、東博に寄贈されることに。

(このニュースが、本ブログを書くきっかけでした)

となるとトーハクで、納涼図屏風と、横尾忠則版を並べて見られるのも、夢ではないかも。

50年後、100年後のトーハクで、人々はこの作品をどう見るのだろう? 考えると楽しい。

 

コメント (2)
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アブソリュートチェアーズ展、続きとその他

2024年04月07日 | アート 現代美術

 

前回の記事(アブソリュートチェアーズ展)の、最後に掲載した写真です。

吹き抜けのホールの、地階から見上げたもので、椅子をヒトデ状にして吊り下げた作品と、左下に

彫刻の一部が写っています。  

 

 

 

1階から撮ったものが、こちらです。

アブソリュートチェアーズ展の第5章に属する作品です。

5-3 ミシェル・ドゥ・ブロワン 《 樹状細胞Dendritic Cell 》  2024
会議椅子、ワイヤー、他  直径300.0cm

作者のドゥ・ブロワンが、2005年に発表した作品を発展させ、滞在制作した新作とのこと。
人体の表面を覆う免疫細胞の一種からインスピレーションを得たらしく、「コミュニティの
象徴である椅子が等間隔に並び、外部に対し閉じた球体の形状は、人間の集団が取る防御的
姿勢や集団免疫を想起させるかもしれない」と話している。


2005年に発表した作品

 

 

 

続いては、地階にあった彫刻作品です。 アブソリュートチェアーズ展とは、無関係です。

背景は加工しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トップの写真の、左下に写っているのが、この彫刻です。  背景は加工しています。

 

 

 

埼玉県立近代美術館は、1982年の開館当初から優れたデザインの椅子を収集し、常時数種類を館内に

設置し、「椅子の美術館」として親しまれている。

実際に、いくつか座ってみましたが、デザインもさることながら、座り心地も、納得できるものでした。

 

 

 

 

以上、常設展にあたるMOMASコレクションが、展示の端境期で無かったのが残念でしたが

楽しめた美術展でした。

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アブソリュートチェアーズ展 を観て

2024年03月31日 | アート 現代美術

アブソリュートチェアーズ展を2月29日(木)に観ました。

(2/17~5/12   埼玉県立近代美術館)

現代アートの流れを、椅子を通して観るイメージで、面白かった。

さっそく、パンフレットから

 

 

1-1  マルセル・デュシャン 《 自転車の車輪Bicycle Wheel 》1913/1964 
シュヴァルツ版/Schwarz edition, ed. 6/8 木製の台所用スツール、自転車の車輪 /手を加えたレディメイド
 京都国立近代美術館   (本作品は撮影禁止のため、ネットから)

 

 

1-2 高松次郎 《 複合体(椅子とレンガ)Compound (Chair and Brick) 》
 1972  椅子、レンガ   The Estate of Jiro Takamatsu

 

 

 

1-5  岡本太郎 《坐ることを拒否する椅子 Chair Refusing to Seat Anyone》 
1963/c.1990 陶 5個/5 pieces 
甲賀市信楽伝統産業会館・・・信楽焼のミュージアムが所蔵!

 

 

 

 

1-6  ジム・ランビー 《 トレイン イン ヴェインTrain in Vain 2008 》
木製椅子、ハンドバッグ、鏡、油性ペンキ サイズ可変
公益財団法人アルカンシエール美術財団/原美術館コレクション

 

 

 

 

 

 

 

2-1  工藤哲巳   《愛L'amour》  1964 
椅子、綿、合成樹脂、電子回路図、毛髪、ビニールチューブ、彩色された木箱、ベル、オーディオテープ
 倉敷市立美術館
(本作品は撮影禁止のため、ネットから)

鋭い表現だけど、気味の悪さもハンパじゃない。

 

 

 

 

2-5  アンナ・ハルプリン 《 シニアズ・ロッキングSeniors Rocking 》 2005/2010
映像/Video 監督:リュディ・ガーバー 28分  
 Courtesy of ZAS film AG

微笑ましい映像でした。

 

 

 

2-4  ハンス・オプ・デ・ビーク 《 眠る少女Sleeping Girl 》 2017
ポリエステル、アルミニウム、塗料
タグチアートコレクション/タグチ現代芸術基金

第2章の展示作品ですが、スペースの関係か、第4章の展示室にありました。

 

 

 

 

3-3 クリストヴァオ・カニャヴァート(ケスター)
《 肘掛け椅子Armchair 》   2012  鉄 
国立民族学博物館

 

 

 

 

3-5  アンディ・ウォーホル  《電気椅子Electric Chair》 1971
シルクスクリーン、紙 10点/10 pieces
滋賀県立美術館

撮影禁止のため、パンフレットから

 

 

 

 

 

3-7  渡辺眸 WATANABE Hitomi 《 東大全共闘 1968-1969》
1968-69/2014 ゼラチン・シルバー・プリント
 作家蔵  

(本作品は撮影禁止のため、ネットから) 7点のシリーズ作品の一つ。

 

 

 

 

 

 

会場光景

 

4-1  宮永愛子  《waiting for awakening -chair》- 2017
  ナフタリン、樹脂、ミクストメディア


 

 

 

 

4-3  名和晃平 《 PixCell-Tarot Reading (Jan. 2023) 》 2023
   ミクストメディア

  ガラスビーズのツボ刺激で、座り心地いいかも。

 

 

 

 

 

 

4-2  潮田登久子USHIODA Tokuko  《 マイハズバンドMy Husband》 1978~1985年頃 
   2021 ゼラチン・シルバー・プリント
    作家蔵

10点のシリーズ作品の一つ。

本シリーズ作品は撮影禁止でしたが、2023年2月に観た、潮田登久子写真展”永遠のレッスン”で、展示があり

その時撮った写真を、引っ張り出してきました。 写っているのは潮田登久子の夫 島尾伸三と、娘のまほちゃん

この写真展も良かったので、記事にしたいと思っているのですが。

 

 

4-4  YU SORA 《 YU Sora my room》  2019
   布、糸、綿 110.0×260.0cm
   作家蔵

  四つの作品が並んでいるのですが、作品名など、同一ですので、省略。


 

 

右端の作品の背景を加工。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5-1  オノ・ヨーコYoko ONO  《 白いチェス・セット/信頼して駒を進めよ White Chess Set / Play It by Trust 》
   1966/2015 木製チェス台、2脚の木製椅子、32ピースのチェス(すべて白塗装)サイズ可変
   タグチアートコレクション/タグチ現代芸術基金

 

 

 

 

5-2  ローザス  《 Re: ローザス!》 2013-2024(継続中)
  映像/Video 施工統括:カタルシスの岸辺 Installation director: KATAKISHI
  サイズ可変
  www.rosasdanstrosas.be

  

 

 

 

 

5-5-6  ダイアナ・ラヒム  《 インターベンションズInterventions》 2020-
   インクジェットプリント、フォトマット紙
    作家蔵

 

 

 

 

5-4 スッティー・クッナーウィチャーヤノン  《ステレオタイプなタイ/黒板Stereotyped Thailand / Black Board 》
2005 チョーク、黒板

以下は椅子のキャプション(「学校用机」シリーズより) 2005 椅子に彫刻
ステレオタイプなタイ/自分を舐めろ 
ステレオタイプなタイ/五頭目のアジアの虎(
ステレオタイプなタイ/エレガントな中指1(
ステレオタイプなタイ/エレガントなファシズム(
ステレオタイプなタイ/ワントォーンさんが二隻のボートに足を掛けて
 森美術館

 

 

最後に、吹き抜けのホールの写真を

彫刻を含めたレビューは、続編で。



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杉本博司「本歌取り―日本文化の伝承と飛翔」展(姫路市立美術館)を観て

2022年12月12日 | アート 現代美術

12月14日追記しました。 追記部分は緑色

2022年10月22日(土)、姫路市立美術館で

杉本博司「本歌取り―日本文化の伝承と飛翔」展を観てきました。

えっ、東京から姫路!・・・と訝りますよね、実は翌10月23日に

亡母の13回忌を、滋賀県の米原で予定していて、引出物の調達で

22日は大阪へ行く手筈にしていました。 その後、この展覧会を

思いだし、時間は間に合うので、姫路まで足を伸ばすことにした

のでした

22日、12時20分に姫路駅到着、タクシーで姫路市立美術館へ直行。

 

早速、展示室に入ってすぐの光景を

中央の彫刻  兵庫県指定文化財 <性空上人坐像> 
       平安時代中・後期(10-11世紀)一木造、彩色、彫眼 書寫山圓教寺

右側の掛軸  杉本博司 <性空上人像>
       2022年 ピグメント・プリント、和紙

 

本展のテーマにちなみ、本歌と”本歌取り”した作品をパースペクティブに撮ってみました。

背筋が冷たくなったのは、性空上人坐像の虫喰いの傷跡を見て。

 

          
杉本博司は、狩野永徳筆の安土城図屏風※に執心で、誰も見たことが無い屏風なのですが

想像で本歌取りして、姫路城の屏風を作った。・・・うーん


杉本博司 <狩野永徳筆 安土城図屏風 想像屏風風姫路城図> 2022年 ピグメント・プリント、和紙
※安土城図屏風
・1580年(天正8年)狩野永徳筆で、織田信長の命により安土城とその城下町が描かれている
・1585年(天正10年)3月 天正遣欧使節により、ローマ教皇グレゴリオ13世に献上されるも現在は
 所在不明 

 

 

展示室の様子。 暗くて、この写真でシャッタースピードは1/8秒、感度6400です。

撮影は一部を除いてOKでしたが、キャプションに載っている本歌にあたる画像は

撮ってはいけないとのことで、キャプションの撮影が不自由でした。

 

 

ここで、本展のパンフレットを。

 

 

 

 

 

 

展示に戻って、国宝 紅白梅図屏風の本歌取り。 右下に見える梅の花びらは、須田悦弘の木彫り

 

 

ここで、本歌を。

この写真は、2017年3月3日、熱海のMOA美術館リニューアルオープン展で撮ったものです。

確かリニューアルの設計も杉本博司で、月下紅白梅図も展示されていました。 その写真も

るのですが、本展の暗い照明下での写真のほうが迫力があります。

 

 

月下紅白梅図の部分拡大図。 花びらの細かいところに、微妙な陰影があって、唸ります。

 

 

本歌の紅梅部分図。

 

 

 

<廃仏希釈>

明治時代の汚点というべき、廃仏希釈。 ミクストメディアの杉本補作の三天王像が並んでいましたが

・・よく分かりませんでした。 ウシオ電機の電球???

 

 

神代-現代 ミクストメディア
広目天   杉本博司補作

離れて展示されていた本歌の四天王像は、文化庁所蔵で撮影禁止。

 

 

 

 

 

 

杉元博司が、現代美術作家として世界的に評価を確立した<海景>シリーズの写真です。

 

 

 

 

 

 

承久の乱で、隠岐に配流された後鳥羽上皇の和歌を本歌とした海景。

手前の海面が、風を受けてうねっていますが、ブログ画面では判りづらいかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数理模型の下部を接近撮影。 ピントが合わないけど、それが良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本歌です。 Webより

未定義

 

 

 

 

蔓が活けられていますが、さすがに須田悦弘の木彫りは無いよね、と思ったら

木彫りでした。 利休の竹花入れに似合うこと。

須田悦弘 <屁糞蔓 掃溜菊> 2015 木彫り彩色

 

 

掛軸の表現は、洋でも調和するのが新鮮。

 

 

本展が契機で新たに知った美術用語 ”シミュレーショニズム”

 シミュレーショニズムとは、広告やメディアをとおして周知されたヴィジュアルや、誰もが知って
いる名画など既存のイメージを「盗用」することで、
オリジナルを意図的に変換させたア-ト。

本来であれば、芸術において邪道とされるコピーや模倣を、表現の手段として用いたアートで、日本
の作家でいえば、森村泰昌、福田美蘭、村上隆などの作品に多い。

 

シミュレーショニズムの概念がわかると、↓の作品もなるほどとなります。

 

 

 

 

 

 

大明神の明の字が????

 

 

 

杉本博司の本歌取り展の作品紹介は以上です。

シミュレーショニズム、悪いイメージの盗用芸術という言葉よりも、本歌取りといえば

馴染みやすいのは確かです。 だけど、本歌を超えてビビッとくる作品を産み出すのは

容易じゃないですね。

 

 

以下は姫路市立美術館の庭園の彫刻など

中谷芙二子は、高名な物理学者の娘さんなのですね。そして霧の彫刻は

大阪万博の頃から始めたシリーズだなんて・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サッカーのゴールポストのような霧の噴射装置が左右にあり、霧(高圧ノズルからの人工霧)

が漂いはじめました。(1時間おきに10分間ほど放出)

 

 

 

市立美術館も、白鷺城に負けずにクラシカルです。

明治時代の建物(明治末~大正2年建築・旧陸軍第10師団の兵器庫、被服庫)を

保存活用したものとか。

短時間で見終えて姫路駅まで歩き、カレーで小腹を満たし、新快速で大阪に向かいました。

コメント (2)
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東京国立近代美術館 所蔵作品展から 「建物を思う部屋」 (2021.12.24鑑賞)

2022年01月28日 | アート 現代美術

東京国立近代美術館の鑑賞、次は4階から3階へ。

3Fの会場マップです。公式サイトからお借りしました。

3F

6-8室 1940年代-1960年代 昭和のはじめから中ごろまで
9室 写真・映像
10室 日本画

 

階段を降りる途中、踊り場でオッ!となります。

「建物を思う部屋」の上部が、ガラス越しに見えるのです。 

 

 

3階の入口から見ると

 

 

入口方向を観ると

2020年の12月に設置されているので、もう何度も観ているのですが、何度見ても、とても面白い。

脳に気持ちいい・・・おかしな表現ですが、実感。

本作の収蔵・展示に携わられた、当時、東京国立近代美術館主任研究員・保坂健二朗氏(現在は

賀県立美術館ディレクター(館長)は、

「コンセプチュアル・アートの代表作であるルウィットの『ウォール・ドローイング』は、国内

美術館には収蔵されてなく、この作品は『ウォール・ドローイング』の特徴をよく表したもの

なので、それを常設として展示できればと考えていました。

この作品はとても単純なルールによってつくられていますが、機械的なものには見えない。円弧

同士が連続したり円弧と非直線がつながったりと、隣のグリッドとリンクすることで多様な展開が

生まれている。しかもそれは、壁のプロポーションが変われば、また違う展開になるのです。

・・『多様における統一』というのが、クラシカルな美学における美の定義。そうした美の本質

抽象的なドローイングからわかるというのは非常に面白いし、『これぞ美術』だと言えるでしょう」

(美術手帳MAGAZINE NEWS / REPORT 2020.12.25から引用)


とのこと。保坂健二朗さんは7年前の企画展

「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展ーヤゲオ財団コレクションより」

で感激したのですが、図録も素晴らしかった。 加えて今回は、素晴らしい置き土産を残してくれ

した。 

 

作品の詳細は、東京国立近代美術館公式サイトの説明を引用させていただきます。

 

ソル・ルウィット| ウォール・ドローイング#769 2020年12月22日~公開
(所蔵品ギャラリー3F|建物を思う部屋)

ソル・ルウィット《ウォール・ドローイング#769 黒い壁を覆う幅36インチ(90cm)のグリッド。
角や辺から発する円弧、直線、非直線から二種類を体系的に使った組み合わせ全部。》
1994年、水溶性パステル、水性塗料、鉛筆・壁

Courtesy the Estate of Sol LeWitt, Massimo De Carlo and TARO NASU Copyright the Estate of Sol LeWitt.
撮影: 木奥恵三

ソル・ルウィット| ウォール・ドローイング#769 について

 当館では2018年度にソル・ルウィット(1928–2007)のウォール・ドローイングを購入し、
この作品がこのたび(2020年12月)所蔵品ギャラリー3階の「建物を思う部屋」に完成しました。

 1960年代からニューヨークを拠点に、ミニマル・アート、コンセプチュアル・アートの代表的
作家として活躍したルウィットは、生涯に1200点以上のウォール・ドローイングを制作しました。
しかしこれらは、必ずしも彼自身が描いてはいません。彼は次のように述べています。
「アーティストはウォール・ドローイングの構想を立て、その設計をする。それを具現するのは
ドラフトマンである(アーティスト自身がドラフトマンを兼ねるも可)。プランはドラフトマンに
よって解釈される。プランの範囲内で、プランの一部としてドラフトマンによってなされる決定が
ある。ひとりひとりがそれぞれにユニークなので、同じ指示をあたえられても解釈が異なり、違っ
たふうにおこなわれるだろう」(『アート・ナウ』1971年6月号)。
この言葉通り、彼のウォール・ドローイングは、彼(あるいは彼のエステート)が指定するドラフ
トマンによって実現されます。いわば作曲者と演奏者のような関係が、そこに生じることになりま
す。そしてまた、このようなシステムをとることによって、彼の作品は制作の主体の在り処や、観
念と実体との関係など、アートの根幹について見る者に問いを投げかけるのです。

 さて、このたび当館の壁面を飾るウォール・ドローイングは、その題名が示す通り約90×90cmの
矩形をひとつの単位として、その矩形の中に16種類の円弧、直線、非直線が2つずつ組み合わされ、
全部で120通りのパターンによって構成されます。図形が反復とずれによって生み出すリズムは、ま
るでミニマル・ミュージックを視覚化したような心地よい刺激を私たちの眼に届けるでしょう。

 この作品はこれまで1994年パリ、1996年マドリッドで開かれたソル・ルウィット展で制作された
ことがありますが(各展覧会終了後に消去)、今回は下記の方々により制作されました。

ドラフトマン:趙幸子
アシスタント:石村正美
       平川淑子

 

ソル・ルウィット《ウォールドローイング#769》制作過程 Installation of Sol LeWitt, Wall Drawing #769

ソル・ルウィット《ウォールドローイング#769》の制作過程を記録したものです。1か月に及ぶ制作
過程がスライドショー(5分)でご覧いただけます。

https://youtu.be/AM5fSBTIpIY

 

私も制作過程を展示室液晶ディスプレイで観ました。 一部撮影したもの↓

  

制作されたドラフトマンは京都に住んでいる女性で、日本ではただ一人とか。

茶室の壁がこの作品だったら・・・など、私はいろいろ妄想していました。

東京国立近代美術館に、貴重なお宝がまた一つ増えました。 是非、ご鑑賞を

次回は、6室から紹介予定です。

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カミーユ・アンロ|蛇を踏む展を観て #4  東京オペラシティアートギャラリー

2021年09月23日 | アート 現代美術

132カミーユ・アンロ|蛇を踏む展を観ての続きです。 

”花に翻訳された本の図書館” の次の作品は

 

《フランス革命史》  ジュール・ミシュレ(1798 - 1874)

原著の「フランス革命史」は7巻構成。日本では、抄訳が普及。中公文庫(上下)

フランス王国に起きた資本主義革命(ブルジョア革命)ですが、抄訳も読んだことがありま

せん。

キャプションに書かれている著作からの抜粋フレーズを読むと

”どこからきたのか、この熱気を帯びた言葉が空中にひろがって以来、気温が変わり・・・”

うーん、味気ない歴史書ではないですね。

そういえば、昔、歴史の授業で、講談のように面白おかしく、見てきたかのように講義する

先生がいた・・・面白くて眠れなかった。 

 

さて、生け花作品ですが、てっぽうゆりが権力を奪取したブルジョア階級でしょうか、赤いカーネーションは

一般市民で、倒れたアネモネ(枯れて雄しべだけ残った姿)は、打倒された貴族と高級聖職者たちでしょうか。

しかも、アネモネの頭部が落下していて、ギロチンを連想。

3色旗も意識してますね。

 

 

 

《人間の条件》  ハンナ・アーレント(1906 - 1975)

映画「ハンナ・アーレント」(2013年)は見てないのですが、ハンナ・アーレントがドイツ出身の

ユダヤ人で、哲学者、思想家、あることは知っていました。

ナチズムが台頭したドイツから、フランスに亡命(1933)、さらにフランスがドイツに降伏すると

アメリカ合衆国に亡命(1941)。

その後、彼女は1951年「全体主義の起源」を表し、政治現象としての全体主義の分析と、その悪を

人びとが積極的に担った原因について考察しています。

『人間の条件』(1958年)は、彼女が、全体主義に対抗る手段を論じた著作ですが、 本は読んで

ません (◞‸ლ) )

要約を読んだだけで申し訳ないのですが、人間の行動分析に深みが無いし、独善的な匂いを感じ、首

を傾げる内容に思えました

 

生け花作品は、蓮などが用いられていますが、枯れて、殺伐とした印象です。 アンロの本に対する

印象も、こんな感じだったのかな。

 

 

《ヘブン》 川上 美映子

作品に入る前に、9月2日(2021/9/2)、カミーユ・アンロのインタビュー記事を発見しました。

(美術手帳2020年4月号) インタビューアーは、著名なキュレータの三木あき子さん。

読むと本展で?に思っていたことなどが、わかってきました。

?の一つは、日本の現代小説が多く採り上げられていること・・・アンロはニューヨーク在住のフランス

なのに、こんなに読んでいるの?・・・・アンロはインタビューのなかでこう述べています。

”本展準備に際して、日本の現代小説をモチーフに新しいいけばなの作品をつくろうということになり推薦

してもらった本のリストに川上弘美の『蛇を踏む』(1996)がありました。読んでみたら、とても気に入り

、私の仕事とのつながりを感じました。タイトルは、運や不運についての問いや変容の概念、罪の感覚との

関係、間違いや危険性、偶然性など、冒険の始まりを感じさせる素晴らしいものだと思いました。ぜひにと

選んだタイトルではあったのです。”

そして、川上 美映子の《ヘブン》については、

──新作については、具体的にどのようにつくられたのでしょうか?

アンロ 
そのプロセスはとても刺激的でした。最初に、私が本のなかで重要だと思った一節と、本から受けたイメージ

のキーワードを挙げました。 その後、先生(草月流の)とキュレーターから、本の内容と結びつく植物(和名、

由来、文化的背景など)の提案を受け、植物のリストを共有しました。

例えば、『ヘヴン』(川上未映子著、2009)という学校でのいじめを描いた本には棘のある植物を使いました。

棘はマゾヒズムや痛みとの関係で重要です。

『蛇を踏む』では数珠玉をつないで花材にしました。主人公の女性が数珠屋に勤めていることを示しています。

意味についてやりとりを重ねたあと、フォルムについても少しだけ考えを出しました。

『石に泳ぐ魚』(柳美里著、1994)は自分でドローイングも描きました。流れに逆らって泳ぐ魚のように、横

に行こうとする線など。”

長くなりますが、生け花作品の制作の考え方も述べています。

”いけばなの作品に決まったシステムはなく、つくり方はその都度異なります。かなり自由にいけてもらう場合も

あれば、こちらからより具体的なイメージを伝える場合もあります。そこが面白いところで、ルールはあるけれど

、そのなかでの自由度、即興性があります。基本は、あまり綺麗にしないこと、少し「壊された」感というか、収

まりが悪いことが決まりとしてあります。

いけばなには技術の習得という概念がありますが、私はいけばなの作家ではないので、その概念はアンビバレント

で、不器用なかたちを大事にすることもあります。また、なかには、私が個人的にあまり好きではない本も含まれ

ています。例えばピエール・ロチには、植民地時代の精神を感じたので、絵葉書のような、いかにも完璧ないけば

なという感じの不自然さを意識しました。”

 

なるほど!華麗・端正な生け花が無いのは、意図的だったんだ。

川上未映子《ヘブン》もこれまた読んでないのですが、つい最近、他の方のブログで、川上未映子《夏物語》の

感想を読んだり、ウィキで調べたりして、大阪人のエネルギーが溢れる作家だなーという印象を持ちました。

生け花作品も、からたち、麦、ひな菊を用いて、面白い作品。

 

 

 

続いても川上未映子、2008年に芥川賞を受賞した《乳と卵》

未読なのでウィキからあらすじを転載

”豊胸手術を受けるため、大阪から母巻子と娘の緑子が「私」の住む東京にやって来た。
重なる要因で
気を病んでいて豊胸手術しか眼中にない巻子と、反抗期の緑子のコミュニケーション手段は
「筆談」だった。緑子は思春期に入り初潮を迎え、胸が膨らみ、陰毛が生えて来る自分の身体への不安や
巻子への批判を、日記に書いたり筆談で巻子に伝える。
巻子の妹である「私」は、巻子の悩みや、親子の会話を見て心配しつづける。ある日、巻子は豊胸手術の
カウンセリングを受けに行き、帰ってこなかった。 それがもとで、母子間で感情をぶつけあう葛藤劇に
発展する。互いに卵を頭にぶつけあい、泣きながら口論する巻子と緑子。ここに来てようやく親子に邂逅
があった。”

原文の一部を読みましたが、大阪弁のセリフが連綿と続き、しかも「」などの文章記号がない独特の文体

がユニークでした。

さて、いけばな作品・・・、うんうん、なるほどです。 おもろいやん!

 

 

 

 

《ドミトリイ》  小川洋子(1962~)

『ドミトリィ』は、1990年に文芸雑誌『海燕(かいえん)』(12月号)で発表された小川洋子の短編小説です。

同時期の短編『妊娠カレンダー』は第104回(1990年下半期)芥川賞を受賞。

作家・小川洋子は名前は以前から知ってはいましたが、読んことはありません。

私が通う絵画教室の先生とも繋がりがあり、何かと関心は持っていました。

さて、『ドミトリィ』(学生寮)ですが、要約を読んでも、ストーリーは・・・というのも作家自身が、小説を

書くときに一番重要視していない要素は「ストーリー」だとし、「とにかく描写につきる」という作風なんです。

作品は、不穏な雰囲気に包まれているのですが、丁寧な描写で、普通のホラー小説とは一線を画している。(←

いろんな方の読後感想から) これが作家の個性であり、力量なんだと思います。

 

いけばな作品キャプションにある著作の一節 

”死んでいるものしか食べられないと思っていたのよ、あなた”  言い直すと ”生きているものも食べられるのよ”

ドキッとします。 たしかに「シロウオの踊り食い」といって、生きたまま食べることもありますが・・・

そして、いけばな作品、うっ、気味悪っ!

作品の植物は、ミモザアカシア・・・春に明るい黄色の花を咲かせる花が・・・ああああ・・・緑の毒蜘蛛に見える。

もう一つのニューサイランがよく分からない・・・絡みついた髪の毛のような草のこと?

でも、この表現は面白い! カミーユ・アンロと草月流の先生方にパチパチパチ(拍手)

 

 

 

 

《マルコヴァルドさんの四季》 イタロ・カルヴィーノ(1923‐85) この本は1952年~1963年に書かれた。

何も知らずに、この作品のタイトルを見て、長ったらしくて退屈な外国小説どろうな・・・と思ったのは私の

大間違いで、なんと、岩波少年文庫の単行本で、春夏秋冬での季節ごとになっていて全部で20の短編集。

内容は(「BOOK」データベースより)

”都会のまんなかに暮らしながらも、心うばわれるのは、季節のおとずれや生きものの気配。大家族を養うため

家と会社のあいだを行き来するマルコヴァルドさんのとっぴな行動とユーモラスな空想の世界が、現代社会のあ

りようを映しだします。小学5・6年以上”

読書感想をいろいろ読ませていただくと、”シュールで風刺的で愉しい! 読むほどに作品の情景が浮かび上が

りどっぷりその世界に浸れる・・・とか、結構エスプリの利いたものがあったり、日常の生活の何気ないこと

から事件が始まったりして楽しめます。最後に作者の親切な解説があり、また本の挿絵もぴったりな感じ・・”

うーん、私好みの本のようなので、図書館で借りて読もう!


いけばな作品もシュール!  山の稜線のような草、中央部のブレーキディスク? それに突き刺さる草(ドラセア?) 面白い。
 

 

 

 

《闇の奥》 ジョセフ・コンラッド

やはり読んでませんので、ウィキから概要を。

”『闇の奥』(やみのおく、Heart Of Darkness、1902年出版)は、イギリスの小説家ジョゼフ・コンラッドの代表作。西洋植民地主義の暗い
側面を描写したこの小説は、英国船員時代にコンゴ川で得た経験を元に書かれ、1899年に発表された。 ランダム・ハウス、モダン・ライブ
ラリーが選んだ「英語で書かれた20世紀の小説ベスト100」に選出されている。闇の奥というタイトルはアフリカ奥地の闇でもあるが、人間
の心の闇、西欧文明の闇をも含意していると考えられる。

 

以下の文は、Web上のいろんな方の読後感想を寄せ集めてみたものです。 何となく本の概要がわかります。

”また本作は、フランシス・フォード・コッポラ監督による名作映画『地獄の黙示録』の原案作品であり、『闇の奥』の「象牙貿易」を「戦争」
に置き換えたのが『地獄の黙示録』だと言えよう”

”「闇の奥」地に住んで象牙貿易を仕切っている、カリスマ的な謎の人物クルツは、じつは、もともとは「理想主義者」であったことが、物語の
最終盤で明かされる。つまりクルツは「闇の奥の闇の世界」に入ることで、「闇」に浸食されて「変貌」してしまったのである。”

”コンラッドは、「暗黒大陸の奥地で展開された、西欧世界の闇」を通して、さらに私たち「人間の心の奥にひそむ闇」を描いたのではないか。
象牙集め、イコール、現地人の信仰集めに偶然成功を果たし、神である事の孤独と不安にさいなまれたクルツの死にザマ。それはスペイン、イ
ギリス、
フランスの、その後を象徴する寓話でもあるのだが、これが100年前の予言書となりえたことを、コンラッド自身は知らずにいたか
と思うと、感慨深い。”

 

いけばな作品は、おおおおお!  迷彩模様の花生け、オレンジの葉、枯れた葉、気味悪く噴出したような細い葉

心の闇を表したものか。 でも、オレンジの葉は、崇高な光もあることを示したものだと思いたい。 

続く

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カミーユ・アンロ|蛇を踏む展を観て #3  東京オペラシティアートギャラリー

2021年08月28日 | アート 現代美術

カミーユ・アンロ|蛇を踏む展を観て」は、前記事をアップして7カ月以上、間が空きました。

ちなみに以前の記事は

カミーユ・アンロ|蛇を踏む展を観て  東京オペラシティアートギャラリー    2020/12/21

カミーユ・アンロ|蛇を踏む展を観て #2  東京オペラシティアートギャラリー 2021/01/17

時間がかかる理由は、”花に翻訳された本の図書館”という作品設定のため、内外の本と、その周

辺を調べるのに時間がかかっていたのです。 このままだと、いつアップできるのか分からない

ので、解説をかなり省略してアップすることにしました。 調べだすと、ついつい深入りしてし

まう困った癖があるのです。

 

それではカミーユ・アンロ|蛇を踏む展を観ての続きです。 

”花に翻訳された本の図書館”の次の作品は

《チャタレイ夫人の恋人》 D・H・ローレンス

1928年(昭和3年)に発表され、当時の英国社会における身分制度を大胆に扱ったものの、猥褻文書と見なされ、内外で

激しい論議の的に。日本でも1950年(昭和25年)伊藤整による翻訳本の出版が発禁処分となり、最高裁まで争われた。 

この作品も私は読んでいません なので、小説の概要をウィキペディアから引用(少し要約)します。

”炭坑の村を領地に持つクリフォード准男爵の妻となったチャタレイ夫人だったが、夫は陸軍将校として第一次世界
大戦に出征、戦傷により下半
身不随となり、復員後は2人の間に性の関係が望めなくなる。
その後、夫人
は日々の生活に閉塞感を強めていった。
クリフォードは跡継ぎを作るため、チャタレイ夫人に男性と関係を持つよう勧める。その相手の条件とは、同じ社会
階級で、子供ができたらすぐに身を引くことができる人物
であることだった。 夫人は、自分はチャタレイ家を存続
させるためだけの物でしかないと嘆く。
そんな彼女が恋に落ち男女の仲になったのは、労働者階級出身で、妻に
裏切られ別れ、かつて陸軍中尉にまで上り詰
めたが上流中流階級の周りになじめず退役し、現在はチャタレイ家
の領地で森番をしている男、オリバー・メラーズ
だった。

メラーズとの秘密の逢瀬を重ね、人間性の開放に触れた夫人は、クリフォードとの離婚を望むようになり、姉のヒル
ダと共にヴェニスを旅行中、メラーズの子供を妊娠していることに気がつく。
一方領地では、戻ってきた
メラーズの妻が、メラーズとチャタレイ夫人が通じていることに感づき、世間に吹聴して
回っていた。 メラーズは森番を
解雇され、田舎の農場で働くようになる。
帰ってきた夫人はクリフォードと面談するが、クリフォードは離婚
を承知せず、夫人は邸を去ることになった。”

 

で、生け花作品ですが、 なんとなんと!
剝き出しのベッドスプリングに、枯れたような植物(アンスリウム)がのっている・・・

 

アンスリウムが綺麗に咲いた画像(例下の写真)を想像すると 、チャタレイ夫人とメラーズの、弾むような

愛の高揚を表しているのかも・・・



ところで、この小説を調べていて、驚いたことがあります。

作家のD・H・ローレンスは、小説以上に凄い不倫愛をしていた。!

以下、次の文献を参考にして、その概要を調べてみました。

D.H.ロレンスのドイツ体験
著者 倉持 三郎
雑誌名 東京家政大学研究紀要 1 人文社会科学
発行年 1996 出版者 東京家政大学

フリーダ・ロレンスとオットー・グロース
著者 倉持 三郎
雑誌名 英語英文学研究
発行年 1998-09 出版者 東京家政大学文学部英語英文学科

◆1912年3月、ローレンス(26歳)は就職相談で大学の旧師ウィークリーを訪ね、彼の妻フリーダ と出会う。
ローレンスは.すでに3人の子供のいる31歳の恩師の妻に理想の女性を発見し,駆け落ちのような形でドイツ

向かうことになった.

◆フリーダの父は,ドイッの男爵であった。 そしてフリーダには姉と妹がいた。
姉エルゼは,心理学と経済学の教授!であるが、夫がいるのに、連続して二人の男と同棲し、ほかの男の子供さ
え生んだ.しかし、離婚はしていない。
妹も同様である。浮気な生活を送っているが離婚はしていない。
フリーダも同様で、駆け落ちの5年前、里帰りしたときに、エルゼとともに、オートー・グロースという精神医学
者でアナーキストに出合い、その思想を信奉し愛人となっている。エルゼが産んだ子はこのグロースの子である。
グロースは精神医学者フロイトの弟子といえたが、快楽の追求こそが唯一の価値と考え、貞操観念を否定していた。
しかし、麻薬中毒になっており、エルゼもフリーダも一緒にはならなかった。
この姉妹の生き方にロレンスは大変驚く.保守的で道徳的なイギリスの地方の女性とは全く違っていた。

◆ローレンスとフリーダが最初に会ったとき、フロイトのエディプスコンプレックスの話をしているが、二人に
とっては、精神的に共感するところがあったようだ。

◆フリーダが、ロレンスの死後出版した自叙伝『私ではなくて 風が……』の冒頭で、ロレンスに会う前に、一人
のフロイト派の学者(グロースのこと)と会ったことを述べている。

”私は、フロイトの著名な弟子と会ったばかりで、理論がまだ未消化のまま頭につまっていました。
この友人は、私のために多くのことをして
くれました。 私は、因習的な生活のなかで、夢遊病者のように暮らし
いました。この人が、私独自の意識を目覚めさせてくれたのです。
生まれ変わるということは冗談ではできません。それに、生まれ変わって、世間のほかの人たちとは違った、別の
本来の自己になること、
一それは、苦痛に満ちた過程なのです。
人々が、セックスについて語るとき、何のことを話しているのか分かりません。 セックスは、蛙のように、それ
だけでピョンピョン跳びはね
ているだけで、人生の他のこと、人間の成長、成熟とはまったく関係がないとでもい
うかのようです。人々がセックスと言うとき何のことか私
には分かりません。しかし、有り難いことに、セックスは、
私にとって
神秘です。
 いろいろな理論を生にあてはめても、ぜんぜん役に立ちません。セックスさえ自由ならば、世界はただちに天国に
変わるということを私は熱
狂的に信じました。”

 

以上、かいつまんで述べましたが、《チャタレイ夫人の恋人》は、ロレンスとフリーダの人生が濃厚に反映された小

だった。 

時代的にも女性の解放が謳われだした頃で、日本でいえば平塚らいてうの「青鞜」の発刊が1911年(明治44年)、白蓮

事件が1921年(大正10年)です。

さて、生け花作品に戻ると、ベッドのスプリングの意味・・・・フリーダの自叙伝に

”セックスは、蛙のように、それだけでピョンピョン跳びはねているだけで、人生の他のこと、人間の成長、成熟とは
まったく関係がない・・・”

スプリングが連想されたのもここかなと・・・さらに春の意味もあるしベッドの素材でもあるし・・・正解は作家本人

に聞かないとわかりませんが、意表を衝いたこの作品、悩ませてくれます。

 

 

次の作品は

《フライデーあるいは太平洋の冥界》 ミシェル・トウルニエ  1967年

18世紀の初めに書かれた、ダニエル・デフォーの『ロビンソン・クルーソー』に対し
トゥルニエによって書かれた20世紀の『ロビンソン・クルーソー』がこの本。
南海の孤島で遭難したロビンソンは、島を開拓し、食料の備蓄に努めるが、野生人フライデーの登場によって
その秩序は一瞬のうちに崩壊する。 文明と野蛮を双子のように描いた哲学小説。

と、本のPRに書かれていますが、これも読んだことがありません。

キャプションに書かれている

”彼のセックスが二本の枝の分かれ目に開いている苔のついた小さな穴の中に入った。”

えー!となりますが、調べると、ロビンソンは、島でたった一人で暮らすなかで、やがて、性的な欲望を植物

に行うようになる。 原文のその箇所は

”雷で打ち倒された木の上に裸になって寝そべり、幹を両腕で抱きしめた。彼のセックスが二本の枝の分かれ目
に開いている苔のついた小さな穴の中に入った。彼は幸せな夢うつつの状態に陥った。・・・”

カミーユ・アンロは、生け花でそれを直接的に表現しています。

日本の生け花では見たことも聞いたこともない、性表現・・・現代アートでは飄々と越えてしまった。

 

以上までは、今年の1月に下書きしていたのですが、次の作品以降は手付かず状態だったのです。

 

《サランボオ》

キャプションを読むと、またまた、エロティックな文章。

深入りしそう、ヤバいと思って、生け花作品を直感的に見ての感想に代えることにます。

秀吉の兜のようなチャボトウジュロが強烈、中央部の真紅も強烈です。(これもチャボ

トウジュロ?)。 アジサイの花は萎れていますが、綺麗に咲いていたとして、女性の

乳首に、そっと指が触れたとき、破裂するような痺れる感覚を表しているのかな?と。

 

 

 

《説明としてのコンポジション》

ガートルード・スタイン(女性1874 - 1946)を知らなくて、ちょっと調べてしまった。 

米国の著作家、詩人、美術収集家で、マティス、ピカソが有名になる前からのパトロンだとか。

画家たちと、相互に影響しあってキュビズムなどモダン芸術を推し進めた。

生け花作品は、ケイトウとソーセージの串刺しのような真紅の連なりが面白いと思う。 

でも、薔薇が見当たりません。 一応、中央部の拡大写真を貼りました。

キャプションの言葉、”さあ、始めるために始めようではないか” は、新しいものへ

取り組むムーブメントを表現したものか?  

 

 

《オデュッセイア》

これもまた、読んでいませんが

メロスの作といわれる古代ギリシアの叙事詩で、トロヤ遠征に大功をたてた英雄オデュッセウスが苦心して

故郷イタカの島にもどる物語と,夫の留守中,求婚者をしりぞけ,20年間貞節を守ったその妻ペネロペの物語。

生け花作品は、左側の白い小さな花が”スターチス” オデュッセウスを海岸で助けた王女だろうか、紫の優雅な

花が”カラー”この花は妻ペネロペか。右側のぶどう、オリーブの木を怪獣のよう。オデュッセウスを苦しめた

怪物たちか。花生けは、船をイメージかな。 キャプションにある言葉は、どの場面なのかわかりませんが、

冥界に行ったときのことかな?

 

 

 

《石に泳ぐ魚》

柳美里のこの小説、またまた読んでいないのですが、名誉・プライバシー権と表現の自由をめぐる事件となった

ことは、今回調べて初めて知りました。

事件は、小説「石に泳ぐ魚」の登場人物のモデルとされた女性が、顔面の腫瘍などを執拗かつ苛烈に描写された

ことなど、プライバシー・名誉・名誉感情が侵害されたとして出版の差止と損害賠償を求めた事件です。

訴訟は最高裁で、柳側敗訴が確定した。(2002年9月)

キャプションの文
”猫の爪を切るのは怖い。 痛がっているのか、嫌がっているだけなのか、よくわからないからだ。”

これは小説のどこかで書かれているのでしょうが、私はカミーユ・アンロが、柳美里に投げかけた言葉のように

感じました。

生け花としては、リュウゼツランが魚のように見えます。しかし、歪んだ負の感情などで、痛くて、どろどろと

したものを感じます。

次回に続く

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カミーユ・アンロ|蛇を踏む展を観て #2  東京オペラシティアートギャラリー

2021年01月17日 | アート 現代美術

カミーユ・アンロ|蛇を踏む展・・・生け花作品 <革命家でありながら花を愛することは可能か>

次の作品は

《光の領分》津島佑子

津島佑子も読んだことがない作家です。本の初版は1979年。

作品の概要(Webから)

”夫との別居に始まり、離婚に至る若い女と稚い娘の1年間。寄りつかない夫、男との性の夢、娘の不調、出会い頭の情事。

夫のいない若い女親のゆれ動き、融け出すような不安を、“短篇連作”という形でまとめ、第1回野間文芸新人賞を受賞した

津島佑子の初期代表作”

津島佑子が亡くなった時のニュースで、太宰治の次女というのを知りました。 

ウィキペディアによると、”父、兄、長男との死別から「不在の者」をモチーフに、人間関係における孤絶と連帯の実相を

追求し、高い評価を受けた。” とある。

生け花作品ですが、花材は椿とさんごみずき。 椿の花は無く、さんごみずきの枝も一部だけ赤くなって折れている、離別

で屈曲をイメージしてるのかな。

花器の形が面白いのですが、背景に溶け込んでしまって、形が活きないのが残念。

 

 

《永遠の愛を死の彼方に》 フランシスコ・ゴメス・デ・ケベード(1580-1645)

 スペイン文化の黄金時代を代表する作家、詩人。スペイン文学史上最大の存在感を持つ人物
の一人・・・とウィキペディアにある。 恥ずかしながら初耳の作家。

キャプションに書かれている

”灰となるも、意識は失われず、灰となるも愛は永遠に”・・・ワー、キザっぽくて、とても言

えない ・・・でも、一度ぐらいは言ってみたい

作品は石と、象の鼻のような花器

えっ、花は?・・・野暮かも。

 

 

 

 

《お菊さん》 ピエール・ロチ

うーん、なんと正統的な生け花、華やかで、気高い雰囲気。 ・・・でも花材は外国原産なので姿は和風でも

中身は西洋風という、西洋人から見たジャポニズムを揶揄したものか。

花器には、作家が描いたと思われる白いドローイングが意味ありげですが、よくわかりません。

花材のアルストロメリアは和名「百合水仙(ゆりずいせん)」
 
花言葉は、持続、未来への憧れ、エキゾチック、ピンク色:気配り

セイヨウサンザシはバラ科の落葉樹で、春に咲く花と秋に熟す実が美しい。
 花言葉は「華奢(きゃしゃ)」  「やわらかな気配り」「幸い」  「凛々しさ(りりしさ)」  「人の気持ちを引き立てる」
(キリストが処刑される際、セイヨウサンザシの冠をかぶっていたとされ、キリスト教圏においては神聖な樹木として保護されて
 きた歴史あり)

 

ピエール・ロチの「お菊さん」は、京都国立近代美術館 常設展(2019.9.8)で竹久夢二の絵を見て知りました。 

その箇所を以下に抜粋。

”「蘭燈」の楽譜の表紙絵です。 歌詞は

和蘭(おらんだ)屋敷に提灯つけば
ロテのお菊さんはいそいそと
羞恥草(はにかみぐさ)は窓の下
玉蟲色の長椅子に
やるせない袖打ちかけて
サミセン弾けばロテも泣く

フランスの作家ピエール・ロティが1893年に書いた「お菊夫人」をもとにした夢二の作詞。

ロティは、海軍士官として日本を訪れており、1885年には長崎に滞在し、現地妻を囲ったのだとか。

 

” 以上、抜粋終わり。

プッチーニの「蝶々夫人」を思い浮かべますが、「お菊夫人」の方が、10年ほど早く刊行されており

米国の作家ロングの「蝶々夫人」は、「お菊夫人」を原型に、より劇的にした作品のように思われます。

画家ゴッホも、「お菊夫人」を読んで、日本人の生活に感銘を受けたらしい。

 

 

次はエメ・セゼールの《奇跡の武器》

この作家も初耳で、調べると、フランスの植民地であったカリブ海のマルティニーク島(現在、フランスの海外県)出身で

黒人の詩人、評論家、劇作家、そして政治家。

詩集「奇跡の武器」は1946年に刊行されたシュルレアリスム詩集でシュルレアリスム宣言をしたアンドレ・ブルトンが序文

を書いている。

花材は扇椰子とプロテア

扇椰子は、太陽のフレアような葉。

プロテアは華やかでエキゾチックな花姿、南アフリカ原産の熱帯植物です。花言葉は、「自由自在」「華やかな期待」など。

ここではドライフラワーが使われているのかな。

アンロがキャプションに採り上げた ”私が、その反骨心と、握り拳と、縮れた髪をもって” を花材で表現してると思う。

 

 

 

《船を編む》 三浦しおん

原作については、「舟を編む」が映画になり、新聞の映画評を読んだだけで、何も知りませんでした。

概要をWebから引用

”出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書『大渡海』
の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。 定年間近のベテラン編集者。日本語研究に人生を捧げる
老学者。辞書作りに情熱を持ち始める同僚たち。そして馬締がついに出会った運命の女性。不器用な人々の思いが胸
を打つ2012年本屋大賞受賞作!”

キャプションの言葉 ”犬は動物の犬だけを意味する単語ではない”

なるほど、花材に雑草の”いぬたで”を使ってきましたね。でも、じゃのめ松に覆われてよくわからない。

たぶん、松の葉が言葉の大海を表し、裏に潜んだ意味をいぬたでが表している・・・と私は解釈。

この作品は、じゃのめ松の形、そして花器が渋くて、好きです。

 

 

 

 

《働き疲れて》チェーザレ・パヴェーゼ(1908-1950)

チェーザレ・パヴェーゼ(1908-1950)は、イタリアの詩人で小説家、文芸評論家、翻訳者。20世紀のイタリア文学

におけるネオリアリズモの代表的な作家の一人。・・・以上ウィキペディアからの引用。

作家も知らないし、詩集「働き疲れて」も全く知りませんし、Webで調べてもわかりません。

おまけにキャプションに書かれている言葉も理解しづらい・・・・調べ疲れて、生け花作品の印象だけを書きます。

セイヨウトチノキ、フランスではマロニエと呼ばれ、街路樹などに多い。この作品では葉も種も枯れ落ちて、寂しい姿。

粟も写真ではよくわからないのですが、濡れ手で粟の実を取った後かも。

花器の形は、兜のようで面白いけど、他と同じで、何かが足りない感じ。

 

 

 

 

《ゴッホの手紙 テオドル宛》 ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ

”ゴッホの手紙”という書物があるのは知らなかった。調べると、ゴッホの弟テオ宛の手紙が

約650通もあり、制作背景や、いろんな思索など、ゴッホの繊細な一面が窺われる書物のよ

うです。 私も借りるか買って読もうと思います。

で、生け花作品ですが、死や狂気を感じる。  一方、キャプションのゴッホの手紙の一節を読

と、繊細ですが健康などに気を遣う、温かい人柄を感じる。 アンロは、そうしたゴッホの

繊細な気性が、薄皮一枚で狂気に繋がっていることを表現したのか。

日本人が活ける生け花には、こういう作品は無いでしょうね。  

 

 

当初、さーっと生け花作品を紹介できると思ったのですが、思いのほか時間がかかっています。

で、今回はここまでにして、続きは次回にします。

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カミーユ・アンロ|蛇を踏む展を観て  東京オペラシティアートギャラリー

2020年12月21日 | アート 現代美術

作年の秋~冬に開催された「カミーユ・アンロ|蛇を踏む展」(東京オペラシティアートギャラリー)の紹介です。

ブログ未紹介の美術展は山ほどあるのですが、この展示を選んだきっかけは、ブログ友からの次のコメントでした。

”工芸品の花器は、花をいけて展示したら、さらに作品が魅力的になりますね”

・・・全く同感なのですが、美術館での展示では、難しいだろうな・・と、返信コメントで書いた後に、そうだ!

生け花を展示した美術展があった! と思い出して、この現代アーティスト・カミーユ・アンロの蛇を踏む展を採り

上げた次第です。 

でも、今度は花器が工芸品レベルではない・・・というジレンマが。

でもでも、生け花だけではないスケールの大きな美術展で、楽しめました。

ではフライヤーを。

※タイトルロゴが円形になっていますが、ウロボロス(自分の尾を嚙んで円形をなす蛇)を象徴しているとか。

 

本展の公式サイトのトップページのビジュアルは、《青い狐》(インスタレーション作品のタイトル)

 

規模の大きな展示で、四つの展示室に分かれていました。

A <革命家でありながら花を愛することは可能か>・・・・生け花の作品

B   <アイデンティティ・クライシス>・・・・ドローイング作品

C 《青い狐》・・・・ インスタレーション作品

D 《偉大なる疲労》・・・・映像作品 

 

作家カミーユ・アンロは私も初耳だったし、知らない方も多いと思いますので、公式サイトから、イントロダクションを

引用させていただきます。

 

生け花作品 <革命家でありながら花を愛することは可能か> の展示室光景

 

公式サイトのキャプションです。

 

 

それでは個別に紹介していきます。

作品数は39あり

作品番号1~25が2012年にオリジナル制作

作品番号26~31が2014年オリジナル制作(6作のうち2作は源氏物語と「美しさと哀しみと」川端康成)

作品番号32~39が2019年制作(すべて日本人作家の本がモチーフ)

 

展示トップは、展覧会名となった《蛇を踏む》 川上弘美が1996年上半期の芥川賞を受賞した作品です。

 

その小説の出だしは

 ”ミドリ公園に行く途中の藪で、蛇を踏んでしまった。〔…〕蛇を踏んでしまってから蛇に気がついた。秋の蛇なので動きが遅かったのか。
 普通の蛇ならば踏まれまい。蛇は柔らかく、踏んでも踏んでもきりがない感じだった。
 「踏まれたらおしまいですね」と、そのうちに蛇が言い、それからどろりと溶けて形を失った。煙のような靄のような曖昧なものが少しの間
 たちこめ、もう一度蛇の声で「おしまいですね」と言ってから人間の形が現れた。
 「踏まれたので仕方ありません」
  今度は人間の声で言い、私の住む部屋のある方角へさっさと歩いていってしまった。人間の形になった蛇は、五十歳くらいの女性に見えた。”

私はこの小説を読んでいませんが、不思議な出だしです。 あらすじを読むと、この後、主人公のヒワ子が仕事から帰ると、知らない女性が食事
を作って待っていた。その女は「わたし、ヒワ子ちゃんのお 母さんよ」と言う。食事を終えると女は蛇の姿に戻り、天井に住み着いた…

 

 

花器と花材の部分を拡大

花器で蛇を表現していますね。 使われている花材も、「とりかぶと」や「へくそかずら」などが用いられています。

青紫の「とりかぶと」は、綺麗ですが猛毒の植物、邪悪な蛇の毒を表現しているのかな?

「へくそかずら」は、勝手に生い茂る、ガーデニングの厄介者とか。 成長して他の植物に絡み付き、駆除しにくくなる。

蛇に住みつかれた厄介さを「へくそかずら」で表現しているのかな?

以上は、この記事を書くときに調べてわかったことですが、実際に展示室で観たときは、”なんか変な作品”という印象でした。

 

花器は面白いと思いました。 ちなみに、この展示会の新作花器制作は大原光一氏とクレジットがありました。

アンロの思いが詰まった花器だろうと思います。 

 

さて、生花の問題です。 私が本展を観たのは2019年11月3日(日)、オープンから18日後になります。

下の写真は、別のWebサイトのもので、恐らく開会直後のものだと思います。 トリカブトの花が、活き活きとしています。

展示場の係員に聞くと、生花は草月流のメンバーの方がメンテしているとのことでしたが、当初の姿を完全に保持するのは至難

の業でしょうから、これは割り切って考えるしかないですね。 あるいは、生け花のそうした儚さを、作家も意図して表現して

いるかもしれない。

それから、過去のオリジナル作品を再現するとき、季節の関係や、地理的問題で花材が揃えられない場合もあるとのこと。

その場合は代替品をあてがうとのことですが、何かと絵画などとは違う難しさがあるようです。

 

 

 

次は《死者の書》:古代エジプトで冥福を祈り死者とともに埋葬された葬祭文書。 パピルスなどに、主に絵とヒエログリフで

死者の霊魂が肉体を離れてから死後の楽園アアルに入るまでの過程・道しるべを描いた書。・・・ウィキペディアからの引用

花材はパピルスとカラテア。  カラテアは熱帯アメリカ原産の観葉植物ですが、この作品ではあえて枯れた葉を選んだのかな?

 

 

 

意味は分かりません。 花器が残念に思いました。

 

 

 

次は《火山の下》

 

 

 

私の会場での印象は、火山を遠景で見たものかな?でしたが

 

Webで調べると、こんな解説が (作家本人とキュレーターのセミナーを聴いたMutonさんのブログから)

”これは《火山の下》、マルカム・ラウリーの小説を引用したもの。オリジナルの作品はエンジェルヘアーを使っているが、日本の展示ではすすきを使っている。

この小説を読んだことがないために、セミナーで聞いた話そのままになるのだけど、舞台はメキシコ、テキーラが関係している。酒に溺れた男を竜舌蘭で表現し

女をエンジェルヘアーで表している。なんとも言えない、男の女への執着、竜舌蘭はテキーラの原料になる。花を咲かせるのは100年に一度と言われていた。

そんな竜舌蘭に例えられたテキーラに溺れ、女に執着する男、エンジェルヘアーに例えられた女。写真で見たエンジェルヘアーよりも、もっと焦燥したかのよう

な佇まいを見せる。ストレートで分かりやすい表現だと思う。

ストーカー男が女を掴んで、包み込む。そうした言葉を生花として作品として提示している。”

 

うーん、聞かなきゃわかんないよー。 でも、分かる分からないは別にして、面白い作品。

 

まだまだあるので、続きは次回に。

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大竹彩子展 ”GALAGALA"

2020年12月06日 | アート 現代美術

2020年9月17日(木) 大竹彩子展 ”GALAGALA" を観ました。

会場の渋谷PARCOミュージアムは初めて。 渋谷駅からスマホ地図片手に歩くも、なかなか

たどり着かない(通り一つ間違っていた!) 

女房からは帰宅時間の厳命があったので焦る。

やっと着く、お洒落なビルで、出入りはほとんどヤング・・・入るのに戸惑いを感じた。

そんなこんなで、4階のPARCOミュージアムの前のポスター、なんか色っぽい・・・(*^。^*)

 

そもそもこの展覧会を知ったきっかけは、”ROADSIDERS' weekly ”という都築響一氏主宰のメルマガ。

9月16日号で、都築響一氏よる展示の紹介記事があり、面白そうだったのです。(作者の大竹彩子が案内)

 

ところで、大竹彩子、現代アーティスト大竹伸朗の長女なんですね。 

都築響一氏と大竹伸朗が、昔からの友達だった関係で、大竹彩子の生まれたときから、都築響一氏は

知っていたとのこと。 小さい頃は剣道少女だったとか。

そんな話も載った”ROADSIDERS' weekly ”からの引用を含んで、紹介したいと思います。

 

会場に入ってすぐは、COLLAGE WALL


ROADSIDERS' weekly ”からの引用写真

 

大竹彩子は以前から写真をコラージュした作品を作っていて、このセクションでの作品は、2018年に

訪れたベトナムと香港で撮ったものが素材。

一つ一つの作品は、本の見開きのように二つの写真を並べたもので、大竹が興味を持ったものを撮っ

ているので、私には作者の意図とかは全く分からないのですが、壁全体から受けるカラフルなリズム

には美しさを感じた。 

ちなみにタイトルは左端上から右にHANOI0057/HOCHIMINH0716 、 HOCHIMINH0433/HOCHIMINH0768 、HANOI0115/HOCHIMINH0516 ・・・以下略    

すべて2020年制作、大きさは594 x 841

 

入口に掲げられていた大竹彩子のステートメント 

 

そして次のコーナ

おお、なんと斬新な屏風!  色合いも面白い。 (原画を高精細デジタルプリントで拡大したものとか)

PURPLE PEAKS 2020
1,303x1,620

 

次が、ペインティングのセクションで、左端の作品が屏風の原画です。

大竹彩子の解説(ROADSIDERS' weekly ”から)

「その先に並んでるのが去年、ディーゼル アートギャラリー でやった「コスモスディス

コ」からの延長線ですが、今回はもっと大きいサイズのキャンバスにも挑戦してみました。

こないだ(7月31日)、新宿にオープンしたアディダスの旗艦店に作品を展示してもらったと

きに、小さな原画から大きく引き伸ばしたものだったので、今度は自分の手で大きな絵を描い

てみたいなと思って。」

ROADSIDERS' weekly ”からの引用写真

 

 

個別に観ていきましょう。

PINK HEAD 2020                                           TRIANGULAR VISION 2020
727x606

 

DEEP GREEN LAND 2020                                       LIGHTNING CAPTOR 2020
727x606

 

 

 

BLUE BLUE CARPET 2020  727x606                   RED SPACE 2020  727x606

 


                                  

 

GAL SSS 2020
1,940x1,303

 

 

BLACK CRATER 2020           LUMINOUS FLOWER 2020      GALATOGALA 2020    TWIN NEON MOONS 2020  
すべて910x727             

 

上の写真、右から2番目の作品(メインビジュアル)を大きなサイズで

 

 

 

 

ROADSIDERS' weekly ”からの引用写真

大竹彩子の解説(ROADSIDERS' weekly ”から引用)

「こちら側の壁面には今回初めて挑戦した50号、80号、100号の大きいサイズが並んでます。これまでは
女の子の顔とか髪の毛にフォーカスしてたんですが、それよりもからだを中心に描いたらどうなるだろう
と思って。
ヌードに関しては、ロンドン滞在中から美術館で石像のスケッチをしたり、古本屋で女優のブロマイドや
ピンナップ写真を集めたりしていて。クラブとか行くより、図書館のアーカイブを探してるほうがずっと
楽しかったし。
今回は父が宇和島からヴィンテージのヌード写真集を送ってくれて、「こういうの好きだろ、描けばいい
よ」って。それでテンション上がりました(笑)。下品にはしたくないっていう、自分なりのルールはあ
るんですけど。


なぜかいつも、描くのは女の子ばかりなんですよね。ずーっと、男の子を描くという習慣がなくて。
小さいころから描くのはセーラームーンとかだったし、学生の時もファッション誌を見て描いたりしてた
から。女のひとのからだのかたちだったり、メイクや髪型で変化する表情や姿がおもしろいんですよね。

色彩は・・・・・・写真も色に反応して撮ってるところがあるし、ペインティングは去年のディーゼルか
らで、やっぱり単純にカラーで描いてると気持ちが上がるんですよね。それにこんなご時世だから、展示
も明るい気持ちになる空間ができたらいいなと思って。むかしから横尾忠則さんのサイケデリックなポス
ターとか見ていたので、カラフルであることに抵抗は特になかったかな。」


作品《GAL E 2020 (1,303x1,620)》の前に立つ作者大竹彩子

ROADSIDERS' weekly ”からの引用写真

 

 

GAL A 2020
1,167x910

 

 

 

GAL B 2020
1,167x910

 

 

GAL D 2020                                            GAL C 2020
1,455x1,120
1,455x1,120

うーん、ヴィンテージのヌード写真が素材というのは、なるほどですね、でも、絵としては、物足りない気がするのですが

一方で、不思議なインパクトがあります。

ほとんどの作品が売約済みになっていました。!

 

帰宅時間を気にして、15時1分に入って、15時9分に出るという短時間の鑑賞でしたが、面白い個展でした。  

最後にCOLLAGE WALLの別サイドの作品を。

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ピーター・ドイグ展を見て

2020年09月21日 | アート 現代美術

2020年9月17日(木)都心の美術館を、四ケ所巡ってきました。

最初は、東京国立近代美術館(MOMAT)のピーター・ドイグ展です。

本展、開催後、数日でコロナにより休止(2/29~)となり、どうなるかと心配でしたが6/12より再開。

終了日も延長(6/14→10/11)されました。 主催者や関係者の熱意に感謝いたします。

 

下の写真は美術館前の看板。  中国語のピーター・ドイグ=彼得・多伊格に (´∀`)

 

展示は3章構成になっていました。

■第 1 章︓森の奥へ 1986〜2002 年

 

 

 

いいなーと思った作品をピックアップ。なお、写真撮影はOKでした・・・企画展では珍しい! 作家ドイグさんのはからいでしょうか。 


<ブロッター> 1993 油彩、キャンバス  249 x 199 cm  リバプール国立美術館 ウォーカー・アート・ギャラリー

 

絵具、厚塗りです。 わかりやすくするため、中心部を拡大。

 

 

ピーター・ドイグの作品を初めて見たのは、下の写真の右側の<カヌー=湖>でした。(「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」)

そのときは、なんでこんな作品が数十億円もするんだ!・・・と訝しく思ったのですが、展覧会図録掲載のコレクション・オーナーのルーム写真(この作品がかかっている)

を見ると、うーん、いいね・・・


エコー湖 1998 油彩、キャンバス 230.5 x 360.5 cm テート                                                           カヌー=湖 1997–98 油彩、キャンバス 200 x 300 cm ヤゲオ財団コレクション、台湾

 

 

 

この作品、2015 年のクリスティーズ・オークションで、約 2,600 万⽶ドル(当時約 30 億円)で落札されたとのこと。

作品価格の情報は鑑賞の本道から外れる? しかし下賤な私には、できれば知っておきたい要素の一つです。


 
<のまれる>  1990 油彩、キャンバス   197 x 241 cm   ヤゲオ財団コレクション、台湾


 

水平に分割した画面構成が多いですね。  キャプションには、ドイグの作品への言及などが書かれていましたが、キャプション写真は敢えて省きました。


<ロードハウス>  1991 油彩、キャンバス    201 x 250 cm    ヤゲオ財団コレクション、台湾

 

 

メインヴィジュアルの<ガストホーフ・ツァ・ムルデンタールシュペレ >です。  独特のムードを感じます。


<ガストホーフ・ツァ・ムルデンタールシュペレ >  2000–02 油彩、キャンバス    196 x 296 cm    シカゴ美術館

 

会場風景

 

 

■第 2 章︓海辺で 2002 年〜

 

 

この作品、暑い南国の風景・色調に、シュールに描かれた人物が妙にマッチして面白い。


<ラペイルーズの壁>    2004 油彩、キャンバス   200 x 250.5 cm     ニューヨーク近代美術館

 

 

会場風景

 

 

 

作家のアトリエ(=スタジオ)で、映画作品の上映会をやっていたので、この人物は自画像かな。


 <夜のスタジオ(スタジオフィルムとラケット・クラブ)>   2015 油彩、キャンバス    296 x 200 cm    個人蔵

 

 

この作品、大きくはないのですが、迫力がありました。 好み。


<無題(肖像)>  2015 油彩、麻    59 x 43 cm    作家蔵

 

 

会場風景

 

 

 

 

 

 


<赤い男(カリプソを歌う)> 2017 油彩、麻 295 x 195 cm マルグリット・スティード・ホフマン            < 水浴者(カリプソを歌う)> 2019 水性塗料、麻 250 x 200 cm
                                               作家およびマイケル ヴェルナーギャラリー、ニューヨーク/ロンドン
                                                                                                                                                                                                                                    

 

誰かの作風に似ている・・・とは思いますが、だからと言ってこの作品にケチをつけるつもりは毛頭ありません。


<音楽(二本の樹木)>   2019 水性塗料、麻      70 x 81.5 cm     作家蔵

 

 

■第 3 章︓スタジオのなかで 
                 ーコミュニティとしてのスタジオフィルムクラブ 2003 年〜

 

このコーナの作品(上映会周知用ポスター)が、活き活きとして面白かった。

 

 

 


<お熱いのがお好き >  2003 油彩、紙               72.5 x 57.5 cm            ヴィーホフ・コレクション

 

 

 


<突然炎のごとく ジュールとジム>    2003 油彩、紙     57.5 x 72.5 cm    ヴィーホフ・コレクション

 

 

東京物語、見てないのです。見たくなりました。


< 東京物語>  2004 油彩、紙     73 x 57.5 cm      ヴィーホフ・コレクション

 

 

 


<マグダレンの祈り>  2003 油彩、紙     72.5 x 57.5 cm    ヴィーホフ・コレクション

 

 

 


<気狂いピエロ >   2004 油彩、紙    72.5 x 57.5 cm     ヴィーホフ・コレクション

 

 

おやおや、勝新が宇宙人のような顔に


<座頭市>  2004 油彩、紙     72.5 x 57.5 cm     リンギア・コレクション

 

 

北野武の97年ベネチア国際映画賞でグランプリを獲った作品・・・って、知らなかった。


    2005 油彩、紙      73 x 57.5 cm      リンギア・コレクション

 

 

作家蔵のポスター、気に入っていたのかな。


<邪魔者は殺せ>    2010 油彩、紙     85.5 x 60.5 cm    作家蔵

 

 

 


<真夜中のカーボーイ > 2009 油彩、紙      100.5 x 59.5 cm    作家蔵

 

 

 


<ストレンジャー・ザン・パラダイス>  2011 油彩、紙     93.5 x 61.5 cm     マイケル ヴェルナー ギャラリー、ニューヨーク/ロンドン

 

 

 

 


<熱いトタン屋根の猫>    2011 油彩、紙      85.5 x 60.5 cm    作家蔵

 

 

見終えて、ミュジアムショップ前の通路壁に掲げてあった展覧会ポスター(当初の会期)を撮影。

退色気味のポスターが、長いコロナとの闘いを暗示する。

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京都・富山アート巡り#5 アートフェア art KYOTO

2020年06月01日 | アート 現代美術

二条城に到着、東大手門前です。

外国人観光客が半分ぐらいいました。 時刻は16時ちょうど。

 

 

アートフェア京都の会場は、下のガイドマップの台所と御清所(おきよどころ)、そして東南隅櫓です。

ところで二条城とアート、意外に合うんです!

2,017年に開催された「アジア回廊 現代美術展」でも二条城が使われ、とても良かったのです。

そのときの写真は、ほんの一部しかブログアップしていないので、このシリーズが終わったら紹介するつもりです。


このガイドマップは、ROHM社ホームページの彩時記から引用させていただきました。

 

 

台所の建物内です。(土足は脱いでの見学) 

おー、いきなり来ましたね。 

 

 

現代の若者を象徴した、現代アート風なフィギュアです。

なお、紹介する作品のキャプションはわかるものは掲載していますが、ほとんどは省略しています。

チラ見で面白そうな作品を撮っており、その作品について販売員に説明を求めることは、申し訳なくて

できませんでした。(買う資力に乏しいので・・・)

 

 

 

何処かで見た記憶があるのですが、作品名や作者名は思い出せません。

 

 

 

所々にミニ扇風機が置かれています。 この歴史的建造物に当然ながら空調は無く、会場内は暑くて大変でした。

 

 

 

この↓宮永愛子の作品は東京のアートギャラリーで見ていました。

ナフタリンで作られていて、いつかは蒸発して無くなってしまうとか。

はかなさはあるのですが、見て涼しくなる面白い作品です。

 

 

 

この作風の絵も、どこかで見ているのですが、作者名など思い出せません。

 

 

 

納戸のような小部屋とその上にも作品。

 

 

 

 

 

 

森田りえ子の日本画。 

 

 

 

佐伯俊男のイラスト。  ん?この作風、どこかで見たな・・・と思い調べると、私が若い頃

雑誌「平凡パンチ」でときどき掲載されていたようです。

エロスとサディスティックな描写が強烈なのですが、グロさはなく、平明で独特な世界。

残念ながら、作者は2019年11月に亡くなったとのこと。 私達に近い世代が、だんだんと鬼籍

に入っていく・・・

 

 

 

こちらの左側の作品、写真家で有名な荒木経惟(あらきのぶよし)のドローイング作品。

ドローイング作品は初めてみましたが、面白いですね。書も独特の字体を持っているし、

やはり、天才アラーキーだ。

 

 

この写真も以前、何かのメディアで見て、次にどこかの美術館で見て、いい写真だなと印象に残ったものです。

今回は額装のガラスの反射などで、良さがわかりづらいですが。

 

 

御清所の障子戸から向こうに見えるのは、二の丸御殿。

 

 

 

二の丸御殿の入母屋造りには菊の家紋、徳川家から天皇家に所有が変わったとき、葵の紋から付け替えられた。

 

 

 

御清所の縁側と庭越しに見える二の丸御殿。 右端に井戸が見えるので、手前の四角い箱は貯水槽かな?

御清所というのは配膳をする場所とのこと。

 

 

 

皆さん、汗をふきふき鑑賞。

 

 

 

 

 

ガラス製の茶室

 

 

その内部。 掛け軸が英語!  

そういえばトム・サックスのティーセレモニー展でも、英語をカタカナ表記した掛け軸があった。

 

 

外に出て、作品ではありませんが、土蔵(米蔵)です。

 

 

城内の広いところで、作品制作パフォーマンスが行われていた。

 

 

 

東南隅櫓の会場です。  両サイドの筒状のものは冷風を出す装置です。

 

幽霊が掛け軸から、浮かび上がったように見えます。

作者は三原穂谷(みはらすいこく)。 

 

 

骨董の置物が建物にマッチしてます。

 

 

おー観音菩薩立像も。 鎌倉時代のもの。

 

 

織田信長の現代アートふう肖像画

 

 

ふーという感じで見終えて、出口へ向かいます。 相変わらず日差しが強い。

なお2回目のアートフェア京都は今年の春、行われる予定でしたが、コロナで中止でした。

季節のいい時期の二条城でのアート展は、お勧めです。

 

 

東大手門をくぐります。  時刻は16時50分。

 

 

 

 

 

 

コンビニで水分補給し、御池通を戻っていく途中で。  17時17分

 

 

京都駅地下街の食堂で、夕食は珍しいものをと思い、鶏天婦羅カレーうどん(880円)を。

でも失敗だった。 若い頃だったらペロリだったでしょうが、辛さに汗を拭き拭き、苦行となった。  時刻は17時40分

 

 

 

コンビニで酒・肴を買い、ホテルの宿泊階でエレベータを降りると京都駅構内が正面に。   20時19分

 

 

翌朝、同じところから撮ったもの。 朝8時41分発の特急で次の目的地、富山県立美術館に向かいます。  7時40分

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風間サチコ展「セメントセメタリー」を見て

2020年02月20日 | アート 現代美術

2月12日(水)はアート巡りの1日でした。

AM:東京都現代美術館(略称:MOT)
 ①「MOTアニュアル2019 Echo after Echo」
 ②「コレクション展第Ⅲ期」
 ③「オリンピックポスター展」

PM:④風間サチコ展「セメントセメタリー」(無人島プロダクション) 会期:2020年2月8日~3月8日

    ⑤竹内 優文 展(ギャラリーカメリア)

そのなかでも印象が強かった風間サチコ展「セメントセメタリー」をまず紹介。

 

無人島プロダクションの引き戸を開けると、えっ!墓室?!

正面の《コンクリート組曲》の作品群が副葬品の壁画っぽく、右奥に新作《セメント・モリ》のインスタレーション←まるで石棺!

 

 

神妙に《セメント・モリ》のインスタレーションを拝謁し、右を向くと

壁面の作品は、《存在の同じ家シリーズ》(1928年制作)にドローイングを描き加えた新作。 

石棺?の上に載っている墓標は、版木の原版!。

 

 

5枚の吊り下げられた木版画作品は、同じ原版から刷られていますが、中央の作品には、ドローイングが描き加えられて、ちょっと違う!

 

 

 

中央の垂れ幕作品の顔部分だけを撮ったもの。 白のドローイングで顔つきが、平維盛のような高貴で、かつ哀愁漂うイメージに変わっている!

 

 

そして墓標、 これ、版木の原版! 原版の上にセメントをところどころ薄く塗り重ねて、中国の古代墳墓の石刻画の感じ。 

 

 

《セメント・モリ》と対向する壁面には《セメントセメタリー》

なお、壁の下側のコンクリートは、昔の護岸堤防(今の護岸は1~2m運河側にせり出ています)

なんと作品にピッタリの会場なんだろう。

※無人島プロダクションの場所は、昨年・春までは清澄白河にありましたが、夏にこの場所に
 移転しています

 

《セメントセメタリー》これも新作。

石灰石の山が、段々と採掘されて、マヤの神殿のようになっていくのを、フロッタージュ技法で表現。

武甲山がモデルのようです。 私の郷里でも、福岡の香春岳(炭坑節に唄われたカワラダケ)が60年ほど前は

山頂付近が三角むすびのように削られていただけでしたが、10年ほど前見たときは、山体の2/3がすっぽりと無くなっていました。

本展のプレスリリースに、この作品の趣旨が要約されていましたので、以下に抜粋します。

”一見すると無機質な原材料にすぎないこの岩石は、数千万年の時間の中で、有機物の誕生と死滅の繰り返しによって生成された鉱物であり
そこには地球の歴史が含まれています。人類が天然資源と呼んで重宝している石油や石灰石が生成された悠久のスパンを思えば、私たちが
これらを消費した時間は一回瞬きする程度、ほんの一瞬にすぎないでしょう。屍の堆積に畏敬を抱かずに浪費し食い尽くす恐怖を、効率と
合理性で整備された近代的な風景が忘れさせます。山の形が変わるほど石灰岩を切り崩し、それと比例するように林立する高層ビル群は、
人類の栄華の象徴にも見えますが、同時にセメントの墓標とも言えるのではないか。本展「セメントセメタリー」で風間が提示する新作は
この矛盾と課題を鋭く指摘しています。”

 

 

さて、前後しましたが下の作品は、昨年秋・冬に黒部市美術館で展示された『コンクリート組曲』です。

行く予定だったのですが、オープンの日に台風19号が直撃し、その後、北陸新幹線がストップ、そうこうしているうちに

我が家のワンコが病で、行けなくなってしまった。 そんな意味で、見れてホッとした作品群です。

左から 『クロベゴルト』(KUROBE GOLD)『ローレライ』 『ファゾルト&ファフナー』 『侏儒の王国』 『新秩序』 『ヴァルハラ』 の計6点

風間サチコさんのブログ「窓外の黒化粧」から、この作品に関する思いを

”展覧会タイトル『コンクリート組曲』は一体どこに?とお思いの方もおられようが、ラインゴルトがニーベルングの指環の〈序夜〉であるように
クロベゴルトをコンクリート組曲の〈序曲〉と捉えていただいてよろしい。クロベゴルトに描かれた黒部川には、あたかも神のように自然をデザイ
ンしていく近代的な新秩序の栄光が輝き、水底には蹂躙された者の嘆きが沈んでいる。水や土砂を堰き止めるダム建造を可能にしたコンクリートが
新秩序を建設してゆくのである。”

 

 

《ゲートピアNo.3》(下の写真、左側の作品、右は原版)

ダムに沈む運命を免れたエジプトのアブ・シンベル神殿遺跡がモチーフなのですが

石窟の像は、黒部第三ダム(1936~1939年完成)の建設工事作業員がイメージされています。(多くは朝鮮からの出稼ぎ労働者)

大勢の犠牲者をだしたこの工事をヒントに、風間サチコさんはそのブログでこう述べています。

-窓外の黒化粧 2019年10月16日-

”〈ゲートピアNo.3〉を制作し、黒四完成で幕を閉じる〈クロベゴルト〉の栄光の陰でひっそりと歌われる鎮魂歌として飾ることに決めた。”

版画の立像の左から二人目は、ダイナマイトの発破作業員ですが、高温のトンネル工事では、多くの人がダイナマイトの自然発火で亡くなって

おり、原版では、その作業員の像を削って、社会への訴求と鎮魂としているように感じた。

 

 

 

 

 

《存在の同じ家シリーズ》(1928年制作)にドローイングを加えたもの。 うーん

原版でも、おどろおどろしい感じで一杯でしたが、今回のドローイング付加版は、それにカビや血痕模様が加わって

見ていて怖くなるのですが、どこかコミカルさも感じられる。 風間サチコさんのアク抜き芸を褒め称えたい。

 

元の版画は、こちら。(悪い予感のかけらもないさ展から)

 

 

 

入口方向の写真。 入口横の、家を描いた作品は、よく分かりませんでした。

 

 

無人島プロダクションのスタッフの方が、作品の説明のあと、この建物が以前は段ボール加工場だったこと、その前は木材倉庫だったらしいと

教えてくれました。

そして、天井中央に”変な刀のようなものがぶら下がっている”・・・と。 暗くて肉眼ではよく分からないので、カメラで撮ってみると

ほどけた麻縄のようなものを束ねている感じです。 吊るしている棒には何やら漢字が。 はてさて何だろう?

 

 

 

鑑賞を終わって、墓室外から外観撮影。 黒塗りの建物が無人島プロダクション。

 

 

近くの橋から、裏側を撮影。 中央部の赤い屋根の木造家屋になります。 運河は大横川、橋は架け替えのため工事中です。

運河の先に東京都現代美術館があります。 歩いて20分弱でした。

 

 

この場所の古い地図(航空写真)で、昭和38年(1963年)のものです。 

運河の両側は貯木で溢れています。 当時、木場近くの運河は、みんな同じ状態でした。

多分、運河沿いに製材・加工業者の倉庫や工場が並んでいたのでしょう。 しかし、1980年代の後半以降は

貯木が一切見えなくなります。 新木場などができたり、木材需要の低下が背景なのかなと思います。

ここは、木材の墓場でもあった。

最後にゲン直しに、映画「忍ぶ川」の深川、木場の風景を。

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「ドレス・コード?―着る人たちのゲーム」展(京都国立近代美術館)を観て

2020年01月13日 | アート 現代美術

 半年前になりますが、2019年9月8日(日)に京都、翌9日(月)は富山へとアート巡りをしました。

その中で、一番グッときた「ドレスコード? 着る人たちのゲーム」(京都国立近代美術館)をまず紹介します。

巡回展となっているので、早めに投稿しようと思ったのですが、10月14日に下書きを作成して以来、滞っていました。

↓展示会のチラシです。

 

 

京都国立近代美術館の4階展示室入口前の窓からは、平安神宮の大鳥居が真横に見えます。

鳥居の右奥には、今年、2020年3月21日にオープンする京都市京セラ美術館(リニューアル前は、京都市美術館)

 



カメラを右に振ると、粟田口方面が見えます。 

京の七口の一つで東海道の終点、三条大橋も近く江戸時代も人や荷の往来で賑わった。

 



カメラをさらに右に振ると、白川の流れや、東山の山や街並み。

 

 

 さて、展示は一部を除いて撮影禁止でしたので、撮影可の部分を。


この3作品は、目を惹きました。

コム デ ギャルソン/川久保 玲

ドレス  2018年春夏

川久保 玲のブランド、コム デ ギャルソンがパリ・コレクションで発表した作品。

左端の作品は、龍や鳥の絵が描かれています・・・16世紀に雪村が描いた水墨画!

中央は、高橋真琴が描いた少女マンガ

右端は、美しい花の絵のドレス・・・・と思いきや

 



上半身部に描かれた絵は、16世紀のアルチンボルトによる奇妙な肖像画、下半身部はミグノンの17世紀の静物画。

恋人がこんなドレス着て現れたら、どうしよう・・・

 各ドレスは、インクジェットでプリントされたものとか。

 

 

 

 この展覧会で、一番気に入ったのは、

都築響一(選)《ニッポンの洋服》 2019年 です。

公式サイトから引用

東京の若者たちの居住空間を取材した「TOKYOU STYLE」、一つのファッション・ブランドにのめり込んだ若者のコレクションと

その暮らしぶりを取材した「着倒れ方丈記」などで知られる都築響一。都築は学生時代から雑誌「ポパイ」や「ブルータス」などで

現代美術や建築、デザイン、都市生活などの記事を担当し、テレビや雑誌ではだれも取り上げようとしない、大多数の人々の普通の

生活に密着したモノやコト、そして王道から外れた多彩なアマチュアの異才を紹介してきました。

またニッポンのリアルな装いとして「お水スーツ」や「ヤンキー成人服」、「極道ジャージ」、「異色肌」といった、<業界が着せたい

服>ではなく<自分が勝手に着たい服>を追い求める人々を取材しています。・・・・・”

 

私は、都築響一を知りませんでした。  この展示をみて、そして都築の書いたキャプションを読んで 、一気にファンになりました。




 展示風景です。

《ニッポンの洋服》は壁面の写真パネルになります。前面に展示してあるマネキン人形が撮影不可のため、会場風景は撮れなかったのですが

熊本現代美術館(巡回展示中)のプレスリリースに、展示風景が掲載されていたので引用させていただきます。

 

京都国立近代美術館 展示風景 © 京都服飾文化研究財団、福永一夫氏撮影

 

 

では、《ニッポンの洋服》を見ていきましょう。

下の写真パネルの右端が《レディース》、中央から左側が《北九州市成人式》



 ↑こちらが、会場でのキャプション  


さらに詳しいキャプションが

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 として公式Webサイトに載っています。

このテキストは、素晴らしい。 一風変わったドレスコードの生い立ちが、ショートストーリーになって、脳内に蘇る。
写真をみると、「へぇー」となるのですが、テキストを読むと「リアルなんだ」・・・と唸ることになる。

ちなみに、上の写真の 《レディース》、《北九州市成人式》のテキストを以下に貼り付けます。

レディース

暴走族が路上の絶滅危惧種とするならば、レディースは絶滅種といえる。

1970年代に登場した暴走族とともに、ヤンキー雑誌も数種発売されていたが、ヤンキー少女をフィーチャーした初の雑誌『ティーン
ズロード』(ミリオン出版)が創刊されたのは1989年。いきなり編集部には仕事に支障を来すほどの電話、毎日段ボール箱ぎっしり
の手紙、ハガキが殺到する大反響を呼び起こした。編集部には専用の留守電が設置され、24時間電話を受け付けていたが、ほぼ一日
で数時間分のテープが埋まってしまうほど、全国から熱い読者の肉声が吹き込まれていた。その多くはヤンキー関連よりも、彼氏、
親、友達、シンナーの悩みなどのシリアスな内容。実際に購読していた読者が圧倒的に普通の子だったことを、よく示していた。

1990年の第5号では埼玉県東松山市のレディース「紫優嬢」が表紙を飾った。総長U子の紫のニッカにさらし姿とアイドル並みの容姿
はきわだっていたが、集合したメンバーの中で取材チームに強い印象を与えたもうひとりが「すえこ」。紫優嬢の最年少メンバー、当
時まだ13歳の少女だった。すえこはその3年後、15歳で紫優嬢4代目総長に就任、『ティーンズロード』史上でもトップクラスの伝説
的存在として、全国に知られるようになる。
すえこの壮絶な青春は2008年に自伝『紫の青春—恋と喧嘩と特攻服』にまとめられ、2011年には『ハードライフ』として映画化もさ
れている。『紫の青春』刊行時にリリースされた略歴はこんなふうに書かれていた——

 1975年、埼玉県に生まれる。中学1年生、ヤンキーになる。タバコや深夜徘徊、無免許暴走行為で補導される。中学2年生、レディ
 ース『紫優嬢』に入る。中学3年生、喧嘩や集会などレディース活動にあけくれる。15才、紫優嬢4代目総長になる。テレビ、雑誌
 などメディアでカリスマヤンキーとして有名になる。16才、レディース連合『北関東女魂連盟』の会長になる。傷害事件で逮捕。少
 年院に入る。17才、退院後、紫優嬢を破門になり、地元を追われる。18才、スポーツショップでアルバイトをする。覚せい剤で再逮
 捕。19才、結婚。出産。23才、離婚。運送会社で働きながら子育てをする。27才、お互い連れ子同士の再婚。28才、出産。30才、
 出産。4人の子供の母親として子育てに奮闘する。

中村すえこさんは2009年に少年院出院者の自助組織「セカンドチャンス!」を立ち上げ、現在まで作家、ソーシャルワーカー、食育
アドバイザーとしてさまざまな分野で活動を続けている。

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版

 

北九州市成人式

福岡市に次いで県内第2、そして九州でも第2の人口と経済規模を誇る北九州市。近年は暴力団排除条例がらみで物騒なイメージが先行
してしまっているが、もともと港湾都市の門司、石炭積出港の若松、軍都の小倉、八幡製鉄の八幡に戸畑と、国内有数の規模を誇る産業
を持つ5市が合併しただけに、潜在的なパワーはかなりのもの。それぞれキャラが強いだけに、市としてのイメージがまとまりにくいき
らいはあるが、九州全域でも最重要都市のひとつであることは間違いない。

2014年1月12日の朝、北九州市の中心である小倉の、北九州メディアドーム前は異様な熱気に包まれていた。パンチパーマと並んで(!)
小倉が発祥地である競輪用のレーストラックを備えたこの多目的ドームで、2014年度の成人式が開催されるのだ。
毎年、成人の日が近づくと「どこの成人式は荒れる」とか「暴走族が騒いだ」とか、お決まりの話題がマスコミを賑わすが、小倉の成人式
はその絢爛豪華にして独創的な衣裳で、ここ数年かなりの注目を集めるようになってきて、僕もようやく現地入りできたのだった。
式典開始の午前10時前から、ドーム前の広場は人、人、人、色、色、色で埋め尽くされる。カラフルという言葉ではとうてい追いつかない
、彩度マックスの色見本がぶちまけられた、巨大なパレット状態だ。

全身金色の羽織袴の男子軍団がいる。キャバ嬢のように盛り盛りのヘアに、極彩色の振り袖に、さらにラインストーンを貼りつけた娘がいる。
帯を前で結び、両肩をぐぐっと思い切りはだけた「花魁ふう」で、寒さに鳥肌を立てている子もいる。

車道では真っ白なストレッチリムジンや、貸しきった観光バスからハコ乗りで半身を乗り出したヤンチャものたちが歓声を挙げ、それをガー
ドマンたちが必死に追いかける。そういうあいだをテレビカメラや、新聞雑誌のカメラマンたちが右往左往、新成人たちは缶ビールを空けては
握りつぶし、タバコをふかし、久しぶりに会う同級生とハグしあったり、互いの晴れ姿を携帯で撮影しあったり。

気がついてみれば式典はとっくに始まっているのだが、この、つかのまの祝祭空間を離れがたくて、「早く受付してください~!」というガー
ドマンの声にも耳を貸さず、自分たちだけの時間を楽しんでいる新成人がたくさんいる。

すごい、ここは。音楽のない野外フェスのようだ。リーダーもない、規則もない、競争も勝ち負けもない、21世紀の傾奇者たちの勝手気まま
な祭りのようだ。

こういうのを見て、オトナたちはまた眉をひそめるのだろう。お調子者とか、馬鹿騒ぎとか、田舎者とか、九州の恥とか、そういう言葉でひと
くくりにしてしまうのだろう。でも祝祭空間の真ん中に立つ僕に、この場所は、お仕着せの伝統的な成人式衣裳を着せられて、お行儀よく政治
家や役人の挨拶を聞かされるどっかの成人式より、はるかに自由で、エネルギッシュで、独創的に思えて仕方がなかった。

こんなふうに個性的な成人式シーンが北九州の地で花開いたのは、実はここ10数年のこと。そのシーンを担ってきたのが、レンタル衣裳と写真
館を兼ねる『小倉みやび』だ。女の子の衣裳はさまざまな店からのレンタルがあるが、男の子の派手な衣装はほぼ『みやび』という、その小倉
本店に成人式のあと寄ってみた。

店内を覗いてみると、地味な洋服姿の中年女性が数十人、畳のフロアにぐったり座り込んでいる。新成人の帰りを待つお母さんかと思い、スタッ
フの方にうかがってみたら、なんと着付けの先生たちだった。成人式の当日はここ、みやび小倉本店に、午前1時半くらいからお客さんが続々
来店、午前5時にはすでに100人ほど、成人式開始までには400人くらいのお客さんをさばくそうで、そのために着付けの先生も50人近く駆り
出されているのだとか。

趣味の写真で生活したくて自力でスタジオを立ち上げ、いまでは『レンタルコスチュームみやび』と、撮影の『アートイン写観(しゃかん)』
を率いる船津敦さんのお話によれば——

ブライダルと成人式、このふたつは、式はしなくても写真だけは残しておきたいという、ニッチなニーズが昔からあったんです。成人式には
参加しないけど写真だけ、披露宴はやらないけど写真だけ、というお客さんですが、そういう方たちはまず、写真館に相談に来るわけです。
そういうときに、こちらに衣裳があればぐっと敷居が低くなるでしょ。
それで撮影用のドレスや振り袖を一点一点、少しずつ揃えていったのが、貸衣裳の始まりですね。そしたら衣裳が増えていくにつれて、どん
どんスペースが必要になってきて、それまでの八幡のスタジオが手狭になったので、小倉に移ってきました。やっぱり小倉は、北九州でいち
ばんメジャーな場所ですし。お客さんも、衣装選びから始まることが多いので、増やしていかないとならないし。

それでいまから10年ほど前なんですが、成人式の時期に、男の子のお客さんが来て、派手な紋付はないのかと言うんです。うちにあるのを見
せたけど、もっと派手なのがほしいと。普通のやつが着てるのじゃなくて、頭ひとつ抜けたいんだって。
それでいろいろ見本を見ながら相談
を始めたんですが、やっぱり別注だからお金かかるでしょ。そのころのレンタルの常識の、3倍ぐらいかかるよって言ったら、「無理します!」
って言うんです。19歳の男の子がですよ(笑)。
で、こっちも意気に感じたというか、「赤字だけど、やっちゃおう!」と。何度も京都に通って、従来にない生地を探してもらって、縫製の丈
や形も変えて、普通の紋付きよりゴージャスな、迫力の一着を作ったんです。白地に金柄が入って、丈はぐっとロングで、背広みたいなセンタ
ーベンツで・・・・・・。それは大変だったけど、おもしろくもあったので、そういうお客さんにはこれから、否定するんじゃなくて前向きに対応し
ようと。
だからいまの派手派手なのや、花魁スタイルみたいな着方もこちらの提案じゃなくて、お客さんの要望なんです。花魁については映画の『さく
らん』が起爆剤でしたね。とんがった女の子が「花魁やりたい」って言ってきて。
いまの子たちはいろんな情報を持ってますし、独自のファッ
ションセンス、メイクのセンスを持ってますよね。だからオトナが「こうあるべきじゃないか」と言ったって、若い子たちのこだわりとはすご
くジェネレーション・ギャップがあるんです。それを従来の写真館や衣裳屋さんはわからないから、お客さんから新しいニーズが来ても、対応
してあげないんですね。昔からのスタイルを守るだけなんで、着物も従来どおり、写真もレトロになっちゃうんですよ。
メディアドームで撮影したときは、もちろん本人に「写真撮らせて」と頼んでシャッター押すのだが、付き添いのお母さんとお話する機会もけ
っこうあった。ものすごい格好をした息子や娘を前にして、お母さんたちの反応は「困ったもんで」の苦笑ではなくて、100パーセント「いい
でしょ!」という肯定&応援の笑顔。なかには子供よりお母さんのほうが熱くなってる場合もあって、ヒップホップふうに言えば、すごくいい
ヴァイヴスが流れていた。

成人式の翌日、小倉から博多に移動して、おしゃれなイベントスペースでトークをしたのだが、そこで少しだけ成人式の写真を見せたら、北九
州出身の若者から「あんなの例外で、みんながそうなわけじゃないですから!」と抗議された。じゃあ、どれくらいの割合なの?と聞き返した
ら、「う~ん、6割ぐらい」。6割って!

銀座や表参道でもない、ミニ表参道みたいな博多でもない、やっぱり最先端は北九州のような、トップが上から目線で見下す場所にある。トッ
プの場所にいるから、メディアにはそれが見えない。でも、メディアが見ていなくたって、時代は変わっていく。

小倉みやび

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版

 
 
 次は《ロリータ》です。
ロリータのキャプションが写真中央右にありますが、これを拡大しても文字が判読しづらいため、手で打ちました。
詳細はテキスト完全版をお読みください。 なお、テキスト完全版では、タイトルが、ベイビーたちのマッド・ティーパーティとなっています。
 
《ロリータ》

映画『下妻物語』でフィーチャーされたロリータ・ファッション・ブランドが「ベイビー・ザ・スターズ・シャイン・ブライト」。
年に一度開催する「本部お茶会」はフルコースの食事にたくさんのお土産つき、このお茶会に出席するために、外国から来日した
ファンもいる。性別も国籍も関係なく、ロリータの世界観を愛する人たちが、みんな一つになった、この場所でつかの間の時間を
楽しんでいる。パーティが終わって、ここから一歩
外に出れば、またそれぞれの暮らす場所で、マイノリティである日常が待って
いるのであろう。
はるか彼方の、幻想のマリー・アントワネットの世界を夢見ながら、時の止まった世界に生きようとする女の子たち、女の子のこ
ころを持った男の子たち。ふわふわ
のコスチュームにくるまれた奥にある、だれにもさわれない硬質の結晶が、世間には見えてい
ない。
それはフリルとレースをまとった、完璧なパンク・スピリットなのだ。

                                                A Mad Tea Party for Babies

 

私も、10年ぐらい前に大阪駅前で、7、8年前に新宿駅で、ロリータファッションしかもバレリーナ風に脚をみせた、結構、高齢の

女性、男性を見ました。 その時は、唖然としたのですが、そうか、パンク・スピリットなんだ。

 



《ホームレス》

自転車に乗っている2匹の猫、本物の猫なんだ!




《極道ジャージ》

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 極道ジャージ

テキスト完全版の最後にあるリンクをクリックすると

イヤー、あるんですねアウトロー専用のファッション通販、ムショ割とか出所割などの値引きサービスまで!


《病みカワイイ

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 病みカワイイ

カワイイに”病み”をつける気分わかります。



タトゥー/スカリフィケーション

ドキッとしました。 ・・・これもドレスコード?


タトゥー/スカリフィケーション
撮影 都築響一 2019年

世界が憧れる刺青聖地であるはずの日本が「入れ墨で温泉入っていいのか」なんて議論にあけくれているうちに
、身体改造という世界のボディアート最前線は、はるか先を走っている。古代文明のなかで、邪悪な存在から身
を守る魔除けとして発達したタトゥーやピアスなどの装身具は、いまや全身を覆うパワフルでスピリチュアルな
ボディ・デザインとして——すなわち衣服とこころのあいだを結ぶ、からだにもっとも近い衣服として——機能
し始めているのだった。
四川省出身、北京でモデル兼スカリフィケーション(皮膚に付けた傷により、体に模様を施す行為)・アーティ

ストとして活動を始めた小愛(シャオ・アイ)は、日本人トライバルタトゥー・アーティストとの出会いから来
日、東京に拠点を移して活動中。全身を蛇の肌の文様で覆うことに決めて、いまも黒く塗りつぶすプロセスを続
行中だ。すでに両腕は真っ黒になって、年内には全身の「蛇化」が完成予定という。

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 タトゥー/スカリフィケーション


中国出身の小愛さん、テキスト完全版を読むと、驚くような展開の人生、才媛でもあり、意志の強

いこの方のタトゥー姿、もし、混浴の温泉に彼女が入ってきたら、私はどうするだろうか? 

カエルのように固まって沈んでしまうかも



《鶴と亀》

《鶴と亀》

写真提供:鶴と亀 

過疎の限界集落への問題提起でもなく、「都会を捨てた田舎暮らし」の夢を語るのでもなく、いまそこにあるイナカと
そこに住むジジババたちのファンキーな生きざまをリスペクト目線で追う、たぶん日本唯一のメディア、それが『鶴と
亀』。長野県飯山市に住む小林徹也・直博兄弟によって、2013年から発行されているフリーペーパーである。
鶴と亀』に登場するじいちゃんばあちゃんがもしも奇異に、突飛に見えるとしたら、それはメディアが垂れ流す年寄り
イメージに、こちらの目が曇ってしまっているということだ。延々とループする「お茶のみ」噂話に興じ、電動カート
で坂道を爆走し、温泉ランドでカラオケを絶唱し・・・・・・。ファンキーだったりドープだったりする『鶴と亀』の誌面が
ユーモアをまじえながら突きつけてくるもの、それはそのまま田舎のリアリティだ。

                                      The Cranes and Turtles of Okusinano

 

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 奥信濃の鶴と亀

 

 

《インディーズ演歌のロック・スピリット》  上2枚

《お水スーツ》               下1枚

 インディーズ演歌

撮影 都築響一  2015

ロックやヒップホップだけでなく、演歌の世界にも「インディーズ」という分野があって、それも演歌業界の中では
無視できない割合を占めているのだという事実を、僕はスナックや、健康ランドに貼りだされたポスターから知るよ
うになった。
「大ヒット」とか「テレビ出演」とか「メジャー」という言葉とは、ほとんど確実に一生無縁であるこ
とは、たぶん歌っている本人もわかってる。わかってるけど、歌ってる。歌わずにはいられないからだし、歌いつづ
けることしかできないから。 
そして「名も知らぬ演歌歌手」として生涯を終える。そんな彼らの、ロックを超えた
ロック・スピリットに、僕はなによりも「ブレない人生」の貴さを教わった。(上:ケニー池田、中:みどり・みき)

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 インディーズ演歌のロック・スピリット

 

夜の戦闘服・お水スーツ

撮影 都築響一  2009

スナックに欠かせないものはまず第一にママさん、お酒、カラオケマシン、それに「お水スーツ」だ。夜の酒場ではい
まだ「制服」的スタイルだが、お水スーツを取り上げるファッション・メディアはひとつも存在しない。
グルメ雑誌に
出てくる夜の酒場は、老舗バーとかだけど、いまだに日本のオトナの大半は、「今夜飲みに行く」といったら、それは
「スナックに行く」というのと同義語。なのにスナックのガイドブックや雑誌の特集がまったくないのと、そのいびつ
な状況はよく似ている。(写真 愛媛県宇和島市タイガー&ラビットかすみママと珠玉のお水スーツ・コレクション)


 

以降は、写真とテキスト解説のリンクのみで。(文字数制限に近づいたため)

異色肌ギャル》

 

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 異色肌ギャル



《ジュリアナ》

 都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 ジュリアナ・クイーン

 

《ラブドール》

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 ラブドール 永遠に眠れる森の美女

 


《ゴム祭》

 

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 ウグイス谷のラバーソウル

 

 


《週末ハードコア》

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 週末ハードコア




 

《地下アイドル》 

 

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 地下アイドル


以上、長くなってしまいました。 なお、本展は当初、京都と巡回で熊本の2か所の展示でしたが、最近になって

東京オペラシティ アートギャラリーでの開催も決まりましたので、紹介しておきます。

熊本市現代美術館  会期2019年12月8日(日)~ 2020年2月23日(日)

東京オペラシティ アートギャラリー 会期2020年4月11日(土)~ 6月21日(日)

東京展、どうしようかな?

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風間サチコ 2017年以降の四つの展覧会を回顧 #3 「不死山トビ子(復活)」 (無人島プロダクション『移殖』展 )、「風間サチコ(バベル)展」(『東京計画2019 vol.2』 ) 

2019年09月24日 | アート 現代美術

 風間サチコシリーズ3回目(ラスト)は、 

2019年3/28,29  無人島プロダクション『移殖』展から 「不死山トビ子(復活)」

 東京の江東区清澄白河にあった無人島プロダクションのギャラリーが、立ち退き移転となり、二日間開いた

お別れ展示会の作品の一つです。

 キャプションでも概要は分かりますが、より詳しくは風間サチコさんのブロブ

版画と版木を組み合わせて、水面に映った逆さ富士のようにみせる・・・アイデアが面白い!


                                                      キャプションの右横に写っているのは版木の側面。




次は、「風間サチコ(バベル)展」(『東京計画2019 vol.2』) ・・・・ギャラリーαM

2019年6月1日(土)、展示初日の晩に、風間サチコさんとキュレータの藪前知子さんのアーティストトークに行ってきました。

が風間サチコさん、右がキュレータの藪前知子さん(東京都現代美術館 学芸員)

 バックの壁面に《バベル》右側と、その下絵 左側


 

 

この展示の企画意図や、作品構想などは、 風間サチコさん、藪前知子さんのメッセージに詳しいので、チラシからスキャンして載せました。 ↓




戦前に作られた、東京の臨海都市構想 ”紀元2600年記念日本万国博覧会会場図” を説明する風間サチコさん。

 


 雑誌Newtonの、臨海副都心構想の記事を説明する風間サチコさん。  古い資料などいろいろ持っているんですね。

 

 


 

 

余談ですが、キュレータの藪前知子さんの胸のブローチには、”丙”の文字が!

風間サチコさんの黒い服は、いつものとおりですが、キュレータの藪前知子さんも、黒で合わせ、ブローチデザインも

ディスリンピックに関連させて、”丙”のイニシャルを使うなど、気を使ってますね。

ちなみに、藪前さんは、「山口小夜子 未来を着る人」展(2015年)のキュレータでもありました。

また、トーク中に、藪前さんが”近代の超克”という言葉を使ったのですが、風間さんは、近代の彫刻と受け取り、、暫く

やり取りがありました。 藪前さんが気がつき、説明していましたが、思想や芸術関係の言葉は、ときどき高尚な漢字語

が出てきて、わかりずらいところがありますね。




作品を観ていきましょう。

《バベル》 2019 和紙、油性インク 130×181


↓下絵。 このマンション群は、風間サチコさんが23年前の新聞の折込チラシを切り抜いてコラージュしたもの。

当時、制作するには手がかかりすぎると思って、制作しなかったが、今回のテーマをもらい、制作したとのこと。

当時の判断は正しくて、マンションのタイル一つ一つ彫るのは、とても大変だったようだ。




小品群です。

左上 :《脱腸構築》2015 AP:リノカット:和紙、油性インク                                                          右:《バベル(ロゴ)2019 AP:リノカット:和紙、油性インク
左下:《ディスりんピック》2015 AP:リノカット:和紙、油性インク




《点景H.L(新宿中央公園》2008 和紙、墨汁

平成のバブル崩壊後、ホームレスが寝起きするようになった新宿中央公園。(現在はいない模様)

都庁ビル、カラス、高射砲?枯れ木の枝が不穏な雰囲気を醸している。 でも、カラスの表情がかわいい。



《ディスリンピック2680》も展示されていましたが、柱が邪魔して全景は撮れませんでした。

 



《ディスリンピック2680》の中央部分、作家本人の解説を引用。

”規則正しい肉体鍛錬により、国家の未来を担う「母性の保護」に勤しむことを誓う巨大モニュメント『ディスリンポス山』には
煉獄のごとき(変な体操の)修行によって心身をステージアップさせ、山頂の地上の楽園=民族の花園を目指す少女たちの彫刻
が見える。民族の花園には国際優生学学会、ユージェニクスのシンボルツリーがそびえ立ち、民族浄化と国民の健全を祝福している。

 



縁起絵巻ふうの 《青丹記》2019 青焼きコピー用紙 各25.7×36.4

解説は、風間サチコさんのブログ「窓外の黒化粧」をどうぞ


参考までに、フジTV本社ビルの画像です。

フジテレビ 入社式 僕らの音楽 SMAP ゆず E-girls 谷村新司 さだまさしに関連した画像-01

 

トークの中で、風間サチコさんが、第1回TCAA賞を受賞したことが披露されたので、簡単に紹介。

”東京都とトーキョーアーツアンドスペース(公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館)は、昨年創設したTokyo Contemporary Art Award(TCAA)の第1回受賞者に
風間サチコと下道基行のふたりを選出したと発表した。
TCAAは、海外での展開も含め、更なる飛躍とポテンシャルが期待できる国内の中堅アーティストを対象とする新たな現代美術の賞。アーティストのキャリアにとって最適な時期に
最善の支援内容を提供する必要性を重視し、受賞者には、賞金300万円のほか、海外での制作活動支援、東京都現代美術館での成果・受賞展の機会、日英表記のモノグラフの作成など
3年間にわたる継続的な支援が提供される。”

さすがですね。 海外での制作・・・うーん面白そう、期待。

トークの後は、パーティがあったのですが、帰りの時間が迫っていたため、泣く泣く会場を後にしました。

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