「歌川国貞展」トークショー&ブロガー内覧会に行って きました。 (1月20日(土)静嘉堂文庫美術館にて)
浮世絵は東京国立博物館などでよく見ます。 なかでも、北斎、歌麿、広重、国芳、春信の印象は強いのですが
国貞、さて? って感じでした。
最初のトークショーも楽しめました。 トークショー終了後の写真です。写真左から
ナビゲーター:Takさん(ブログ:青い日記帳主催)
ゲスト:太田記念美術館 主席学芸員 日野原 健司さん
静嘉堂文庫 主任司書 成澤麻子さん(静嘉堂文庫の蔵書20万冊が頭の中にはいっているとか)
右端は、写真撮影だけ同席した 静嘉堂文庫美術館 館長の河野元昭さん。 饒舌館長として有名。
トークショ-のポイント、
1 歌川国貞 について。
江戸時代で一番の人気絵師だった。
美人画、役者絵を得意とした国貞は万を超す作品を残している。20代半ばから79歳で亡くなるまで
人気が 持続した、生涯現役の人。
比較すると、喜多川歌麿は十数年、安藤広重は三十五年程度、東洲斎写楽は一年足らず。それに比べて
五十年ものあいだ、人気が持続した。
2 静嘉堂文庫のコレクション
歌川国貞の作品を約四千枚所有。
特徴として、画帖仕立てになっているものが多い。これは三菱財閥・岩崎家の女性陣がファッションを
楽しむため、見易いように画帖仕立てにしたのでは?と成澤さんの推測。 本当の理由は不明とのこと。
(私見ですが、購入側と画商側の双方にメリットがあったからではないでしょうか? 兄弟関係にある
東洋文庫の広重等の浮世絵も画帖になっていました。)
裏表に作品が貼ってあるので、美術展での展示には不向きだが、逆に、退色せずに保存できているメリッ
トも。(江戸時代の色彩顔料には、植物性のものが多く、光に弱い)
3 余談
ゲストの日野原さんが国貞の浮世絵を持参しており、見せていただきましたが、値段が3万円ぐらいとの
こと。 作品数が多いためか、市場価格は意外と安い.
会場風景です。 なお、撮影は特別に許可をいただいています。
最初に、江戸時代の女性の化粧光景。この展示ケースの向こうに、実物の鏡台や柄鏡、髪形、かんざしや櫛などが展示されています。こちらはポーラ文化研究所蔵で撮影禁止でした。
女性がメークに取り組む真剣さは、江戸時代も今も同じなのでしょう、中澤主任司書の解説に、参加した女性陣は盛んに頷いていました。
キャプションは右端の絵が27で、右から左の順になります。
女性の風俗画が続きます。 国貞のスナップ感覚は鋭い!
「江戸自慢 両国夕涼」の襦袢と団扇のデザインなど、細かいところまで神経が行き届いていてますね。
浮世絵が、当時のファッションメディアの役割を果たしていたのも頷けます。
当時の生活風俗がよくわかる描写です。
成澤さんが展示場に入る前に、「国貞の浮世絵は芸術として見ないで、生活風俗を見るつもりで鑑賞してください」
と述べられました。 まさに生活風俗ですが、描くものを絞り、人や動物の一瞬を見事に切り取っている・・・芸術
ですね。
左の芸者の身支度、右のかかあ天下の様子、着るものは変わっても、現代の風俗といささかも変わりはありません。
キャプションにもある通り、この「星の霜当世風俗」シリーズは、国貞の絶頂期ですね。
真ん中の絵、蚊がわかるまで、拡大してみました。 紙燭で蚊を焼く!
調べたら、紙燭(油をしみこませたこより)で蚊を焼くユーチューブの動画もありました。
で
右の「星の霜 当世風俗(行燈)」も素晴らしい。
拡大してみました。 艶めかしさと、生活感が同居して、いい味わいです。
三枚続きの作品などの展示。
錦絵のビジネスモデルを図解した作品。 細かいところも手を抜かず、描いている。
双筆って初めて知りました。
国貞と広重、両者の得意である風景と風俗をミックスした、面白い企画です。
役者絵 実に丁寧な仕上げで、画業を永く続けられたのも、分かる気がします。
最後に、マイベスト「歳暮乃深雪」を。
国貞、気に入りました。
前期(1/20~2/25)と後期(2/27~3/25)で、作品がかなり入れ替わるので、後期も見に行く予定です。
なお、静嘉堂文庫と、五島美術館、世田谷美術館をめぐるバス(=3館めぐるーぷ)が、土日休日に運航
されています。 静嘉堂文庫と、世田美のアクセスはあまりよくないので、おすすめです。