光と影のつづれ織り

写真で綴る雑記帳

2022年11、12月に見たアート アラカルト

2023年01月02日 | 博物館レビュー

明けましておめでとうございます。

手が遅くてアート鑑賞記事が滞っています。

今回は、昨年11,12月に観た東京国立博物館、東京国立近代美術館などの展示から

アラカルト的に紹介します。 詳細は別途アップしたいと思いますが、また遅くな

りそうなので・・・

 

まず、11月6日(日)に行った東京国立博物館から

朝一番で行くと、トーハクのゲートに長い行列!・・・国宝展の行列です。

私は、国宝展のチケットは取れなかったので関係なかったのですが、指定日時予約

方式なのに、これでは、観るの大変だなーとチケット獲得意欲が失せました。

で、最初に述べておきますが、創立150年記念の各展示・・・素晴らしい!

国宝展を観なくても、そう思いました。

いつも以上に優れた作品が選ばれていた総合文化展

NHKが協賛制作した8K映像の迫力”救世観音””洛中洛外図屏風(舟木本)”

150年後の国宝展etc.

見逃した展示やピンボケ写真量産だったため11月26日(土)に再訪するのですが、

国宝展は諦めていました。・・・しかし、会期終了近くになって一週間の会期延長

が発表され、ようやくチケットが取れ、12月13日(火)に国宝展鑑賞。 

ただし、国宝展はほとんど撮影禁止でし

 

では、総合文化展(常設展)からいくつか。

みみずく土偶さんのお出迎え

 

 

 

根付け作品が凄かった。 トーハクの全所蔵品を展示しているかのようでした。

この「面づくし」、高さ3~4cmの作品なのに、各お面の表情が凄い。

 

 

マンモスの牙が素材だなんて!

 

 

外国作家の作品も面白い。

 

 

仏像コーナです。 この容貌!

 

 

この朱色は、愛欲の業火なのか・・・

 

 

 

クールな短刀


ピンボケですみません。

 

 

何十年か前の写真ですね。 私もこの付近からの撮影が好きです。

 

 

創立140年の広報から。 中谷美紀さんが美しい。

 

 

”時空をこえる8K”として、法隆寺 夢殿に納められた救世観音(造仏推定年代は629-654年)が凄いの一言。

実物を観たことも無いし、観ても大した感慨を持たなかったと思う救世観音がデジタルの力で、いきいきと

蘇っていた。 残念ながら救世観音のパートは撮影は禁止でした。

 

 

岩佐又兵衛作の洛中洛外図屏風(舟木本)を部分拡大して、当時の風俗の解説が楽しい。

 

 

一転、東洋館の中国書画コーナーで。 中国服?をまとった若い女性がいました。

 

 

普段は中国陶磁器を展示しているコーナーで、イスラム陶器の特集がグッド。

 

 

東洋館3Fの西域の美術コーナで数年に一度ぐらいで展示される舎利容器。

素晴らしいだけに、いつの日か現地に返還すべきと思うのですが、難しい

のでしょうね。

 

部分拡大

 

 

法隆寺宝物館から

 

 

 

 

法隆寺宝物館3Fから2Fに下りる階段で。 工事のシートが張られているのですが面白くて。

 

 

 

表慶館では”150年後の国宝展”

 

 

でました、ゴジラ。

 

 

回転ずしの機械が対象?と思ったら、湖池屋のポテトチップスが未来の国宝候補だって。

手塚治虫の漫画が候補になっていたのは納得。

 

国宝展の撮影可能作品で、金剛力士立像(平安時代12世紀)

 

 

 

11月26日 庭園の池で

 

 

 

ここから、11月26日(土)に訪れた国立西洋美術館

「ピカソとその時代」ベルリン国立ベルクグリューン美術館展から

ピカソ・・・本当に面白い、凄い。

 

 

クレーもいい

 

 

 

常設展ではハンマースホイの作品を

 

 

版画コーナも良かった。

 

 

 

12月13日(火)東京国立近代美術館の 大竹伸朗展へ

美術館2F屋上に設置された”宇和島駅”のネオンサインが、大竹伸朗らしくて面白い。

夜、ネオンが灯ったとこを観たいけど。

 

 

会場の入り口部分で

とりあえず、以上です。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京国立博物館 特集「木挽町狩野家の記録と学習」(2021.3.5撮影)

2022年01月05日 | 博物館レビュー

昨年の東京国立博物館の展示写真を見ていたら、2021年3月5日(金)に行った

特集「木挽町狩野家の記録と学習」を発見。

そうそう、これ、江戸時代の狩野家絵師たちの息遣いが伝わるグッドな内容でした。

将軍吉宗が、狩野家当主の絵(草稿)に、修正線を書き入れた! 絵もあったり

ふむふむ、と眺め楽しんだ特集を、遅きに失していますが反芻してみます。

ただ、記憶も少し曖昧になっているので、特集のパンフレットや「1089ブログ」(学

芸員の方などの投稿ブログ)などを参照し盛り込んでみました。

 

 

会場光景です。

 

 

 

奥絵師については、「1089ブログ」「奥絵師(おくえし)」の仕事と門人教育に分かりやすい説明がありますので

以下に抜粋させていただきます。 

〈posted by 金井裕子研究員(平常展調整室)
at 2021年03月04日 (木)

江戸幕府の御用を務める絵師のなかで、最上位に位置するのが奥絵師です。旗本にも匹敵する身分で、将軍への直々の
お目見えOK、世襲もOK。絵の代金である報酬(画料)のほかに、家来持つための給与も支給されていました。



江戸幕府の御用を務める絵師たちの序列


江戸幕府の奥絵師は、狩野探幽、尚信、安信の3兄弟から続く家柄にほぼ限られていました。探幽は鍜治橋に、尚信は竹川町
(後に木挽町)に、安信は中橋に屋敷を拝領したので、それぞれ鍜治橋狩野家、木挽町狩野家、中橋狩野家と呼ばれています。

後に木挽町狩野家から分かれた浜町狩野家を加えたこの4家が奥絵師を名乗ることができました(※幕末には住吉家や板谷家も
奥絵師になります)。


この奥絵師の筆頭を務め、画壇の中心的な役割を担ったのが木挽町狩野家です。

奥絵師の仕事は膨大です。まず一か月のうち、決まった日付に出仕(登城)し、「御絵部屋」と呼ばれる部屋に交代で詰めます。
描くものは将軍のお好みの絵だけでなく、幕府から各大名家や朝廷、朝鮮国王への贈答品、姫たちの嫁入り道具、幕府役人たち
への褒美など多岐にわたりました。


ほかにも、全国の大大名から依頼される膨大な鑑定依頼をこなし、将軍やその子どもたちに絵を教え、江戸城や寛永寺の襖絵や
壁画の作画やメンテナンスまで担当していました。

しかも江戸城は数年おきに火事に見舞われたので、それらを考えると、とんでもない仕事量です。画家であり、鑑定士であり、
美術教育者であり、修理技術者でもあったわけです。



公用日記 (天保十二辛丑年秋冬)(部分) 狩野〈晴川院〉養信筆 江戸時代・天保12年(1841)
江戸城内で、第12代将軍・徳川家慶が見守るなか、大急ぎで襖絵を描く狩野〈晴川院〉養信とその兄弟・息子たち


これら膨大な仕事を当主だけでこなすことは不可能です。そのため各家は多数の弟子(=門人)を教育して組織的に対処していました。
木挽町狩野家は常時5、60人の弟子を抱えていたといいます。

この大工房は「画所(えどころ)」と呼ばれ、弟子の育成、絵の鑑定、絵の製作という3本を柱としていました。

 

では展示作品で最初は模写の記録から

雪舟の代表作の模本。(パンフレットから抜粋)

《四季山水図巻(山水長巻)(模本、部分)》 狩野〈栄川〉古信模写 江戸時代・享保10年(1725)
原本=雪舟等楊筆 室町時代・文明18年(1486)

徳川吉宗が狩野古信に命じて3セット描かせ、1つは狩野家の控え、残る2つは幕府と所蔵者である毛利家にそれぞれ収められた。
※作品はパンフに載っていましたが、私は見ていないので調べると、展示期間が2021年2月28日(日)
でだった!

 

 

次は瀟湘八景図、最初にキャプションを

なお、瀟湘八景図は、日本には画面の大小が異なる巻物が、2セット(計16図)入ってきたようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狩野家当主の草稿に、将軍吉宗が修正線を加筆したものです。

まあ、天下の将軍に、サラリーマン絵師は文句は言えないのですが、その日はやけ酒だったかも。

 

 

 

次は、中国の名画を狩野探幽と狩野常信が模写したもの。模写にも個性を感じます。

 

 

 

 

 

展示作品は以上です。 次に「1089ブログ」から参考になった記事を抜粋します。

posted by 金井裕子研究員(平常展調整室) at 2021年02月16日 (火)

―― なぜ模本が大切にされたのか

現代の私たちからみると、模本はコピーやニセモノといったような、マイナスな印象が強いかもしれません。
けれども、「写す」という行為は、創造を生み出すための原点で、今でも美術制作の基礎中の基礎と考えられています。
それは室町時代から江戸時代にかけて画壇を席捲した狩野派の画家たちにとっても同じことです。

そしてそれ以上に、作画上、絶対に模本が必要な理由がありました。それは江戸時代、彼らに期待された絵画がどのよう
なものだったかに関係します。

当時、絵の主な発注者である将軍や大名は、先例、特に吉例を何よりも重んじていたため、まず先例に準じた絵を描くこと
が求められました。加えて贈答用の絵画は、相手の格によって画題や、素材の種類、量までも決められていたため、絵師自
身のオリジナリティを発揮できる部分は非常に限られていたのです。

このような状況下ですと必然的に、先例、すなわち過去の古画や名画の情報を持たない絵師は御用を務めることが出来ません。
逆にいえば、これらをより多く保有している家がより有利になったのです。

そのため、どの家も積極的に鑑定を引き受け、模写する機会を増やし、それをまた次の制作に活かす、というサイクルを作り
出しました。また模写の際、古画や名画に対する感想や、当時の所蔵者情報なども記録するようになります。
各家の模本類は、このようにして集められた膨大な絵画情報の集積なのです。

木挽町狩野家は、江戸時代の狩野派の中でも中心的な役割を担い、将軍のお抱え絵師として全国に多大な影響力を持っていま
した。彼らの手元には全国の大大名からあらゆる古画や名画が寄せられ、大変な数の鑑定をこなしていたことが知られています。
この伝来資料を読み解くことで、江戸時代の絵画制作だけでなく、現在私たちが鑑賞している中世以前の絵画についても多くの
ことが明らかになると期待されています。

 

いかがでしたでしょうか。 私も勉強になりました。 江戸時代の狩野派の絵は形骸化して面白くない

狩野派を飛び出した(破門された)久住守景や、英一蝶の絵は面いのに、と思っていたのですが、こう

した理由があったのですね。

久し振りの勉強ブログに、肩が凝ったte-reoでした。

     補足 木挽町狩野家の系図

     

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

賀正 2021トーハクの展示からピックアップ

2022年01月01日 | 博物館レビュー

明けましておめでとうございます。

昨年の東京国立博物館の展示から、まだ採り上げていないもので、ブルッとした

ものをピックアップしてみました。

 

2021年3月12日(金)撮影

能「蘆刈」の面・装束と題されコーナから、能面を

能「蘆刈」は花咲く難波の浦を舞台とする夫婦愛の物語・・・そんな解説を読む

うるる、とくるものがありました。

 

 

 

2021年11月5日(金)撮影 アジアギャラリー(東洋館)3階の中国墳墓の世界から

古代中国の俑。 

左端の加彩女子俑の表情には、いつもクラっときます。

    

 

 

 

2021年11月5日(金)撮影

マレーシア・イスラーム美術館精選 特別企画 「イスラーム王朝とムスリムの世界」 / 東洋館 12室・13室
( 2021年7月6日(火) ~ 2022年2月20日(日))

このデザイン、色にグッときました。

 

 

昨年は投稿ペースが月2回ぐらいと低調だったので、少し上げなくてはと思っています。

手始めに、膨大なトーハクの展示作品から、パパっと選んでアップしてみました。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

根付 東京国立博物館のコレクションから

2021年08月24日 | 博物館レビュー

東京国立博物館の、根付コレクションを紹介するのは初めてになります。

というのは、今年3月、トーハクの高円宮コレクションを、コメントでご推奨

いただき、それで、トーハクに行った際(2021年6月16日)撮ってきました。

なお、高円宮コレクションがトーハクに初めて展示されたのは、2011年11月で

そのき撮ったものも(若干です)、見つかったので併せて載せています。

 

ところで、トーハクには、郷コレクションと高円宮コレクションという根付の

2大コレクションあります。 

本館2階第10室に展示されていた俗に”古根付”と分類される、郷コレクション

から紹介します。 キャプションです。↓

 

根付とは、印籠や煙草入れなどを帯から提げる際に、紐の端につけた留め具のことで

戸時代には広く愛用されていたが、明治以降の洋装化などに伴い、廃れてきた。

一方で、根付は欧米の美術コレクターの心を捉え、多くの根付が海を渡って行くこと

となり、郷氏は根付が海外に散逸することを懸念し、国内に良い作品を残し伝えるべ

く、収集を始めたそうだ。 郷氏の収集した根付はその体系的な内容と質の高さか

根付愛好者の間で「郷コレクション」と呼ばれ、高く評価されている。

郷コレクションには、江戸時代から明治期にかけての有名根付師の作品が満遍なく含ま

れているのが特徴。

※郷誠之助(1865~1942)氏は、第一次世界大戦後から第二次大戦前にかけて、日本
の経済
界を牽引した大実業家。経営危機に陥った幾多もの会社の再建に次々と成功し
貴族院議員や東京商工会議所会頭、日本貿易振興協議会会長などを歴任した。
氏が財界で活躍のかたわら25年余りをかけて収集した根付は、没後その遺志にしたが
って東京国立博物館へ一括寄贈された。

 

 

最初の作品は

<常盤牙彫根付>

常盤御前についてウィキペディアからの引用

”常盤御前は、源義朝の側室で義朝との間に3人の子をもうけた。 平治の乱で、義朝が謀

反人となって逃亡中に殺害され、23歳で未亡人となる。その後、子供たちを連れて雪中を

逃亡し大和国にたどり着く。その後、都に残った母が捕らえられたことを知り、主であっ

た九条院の御前に赴いてから(『平治物語』)、清盛の元に出頭する。出頭した常盤は母

の助命を乞い、子供たちが殺されるのは仕方がないことだけれども子供達が殺されるのを

るのは忍びないから先に自分を殺して欲しいと懇願する。その様子と常盤の美しさに心

動かされた清盛は頼朝の助命が決定していたことを理由にして今若、乙若、牛若を助命

たとされている。”

・・・そう、この根付は、常盤御前の逃亡時の姿を彫ったもの。 乳飲み子は、数え年2

歳の牛若丸、後の源義経。・・・こんなことは江戸時代の人にとっては常識だったのでし

う、でも、昭和生まれのワタクシには調べないとお手上げ 

高さ6cmほどです。  なんと細かい手技!

 

 

<人麻呂牙彫根付>

万葉の歌人、柿本人麻呂がモチーフ。 国芳の浮世絵に、このポーズに似た人麻呂が描かれていた

ので貼っています。 かなり、ジジーに描かれているので、格調高い和歌のイメージが、少し(´σ_` )

 高さ3.9cm

 

 

<親子亀牙彫根付>

親亀に子亀が2匹乗っている姿です。 高さ2.5cm。 奥の子亀がぼやけました。

 

 

<面寄牙彫根付>

お多福?の面が妙にリアル。    長径3.6cm

 

 

<蜆採木彫根付>

シジミは江戸時代、みそ汁などで朝食の定番。 江戸では多摩川河口の羽田付近で、良質のシジミが採れた。

独特の腰巻漁(爪のついた籠を腰で引いていく漁法)もあるのですが、この根付は手で掬って採っています。

座頭市のようなシジミ採りおじさんの迫力!

高さ 2.4cm

 

 

<蛸壷牙彫根付>

象牙の質感が、タコにピッタリで、生きているように見えます。 これを腰帯に提げているのを見たら

ビクッだな。   高さ 5.2cm

今回の郷コレクションは、根付師「光広」を中心に展示されていました。

・光広または光弘(みつひろ)  文化七年~明治八年(1810~75)
姓大原。尾道に生まれ、大阪に住して牙彫をもって知られる。愚子、徳隣斎、切磋堂と号した。
(提物専門古美術商の堤物屋さんのWebサイトから引用)

 

 

いよいよ高円宮コレクションの紹介です。

コレクションが、トーハクで展示開始されたのは2011年11月。

私は、11月19日にトーハクに行って、5枚ほど撮影しました。

キャプション以下、5枚はその時のものです。

 

コレクション展示室は、2階の便殿と呼ばれる貴賓室の隣の部屋で、重厚な雰囲気があります。

でも見てください、この小ささ! キャプションの紙片よりも小さいので、キャプションも集合

表示。(おかげで作品とタイトルの照らし合わせが大変)

 

 

↑の下段、左から2番目の作品を何とか撮影して、拡大しました。

<ハンプティ・ダンプティ>

イギリスの伝承童謡(マザー・グース)の一つであり、また、その童謡に登場するキャラクターの名前

江戸・明治の根付とは、雰囲気が変わりますね。 高円宮コレクションは、キャプションにある通り

現代根付がメインです。

 

 

反対側の展示

以上が、2011年11月19日撮影分です。

 

 

ここからは、2021年6月16日(水)撮影。

<月の子>

見て、ドキッとしました。 文化が違うと、趣も相当に違う。

ロックの古典でキング・クリムゾンの1969年の曲に「Moon Child」があり、先ほど

聴いてみました。 月の子(少女の精霊)が漂い遊び、太陽の子を待つ・・・透明で

夢幻的な世界を感じました。 でも、この根付は、魔術的な要素を感じます。

 

 

 

<猫に鈴>

f:id:Melonpankuma:20170810174621j:plain
アッ、気付いてる!
                         ↑は、はてなブログの「常温常湿希望」(2017-09-08)さんから拝借しました。

 

 

 

<桃の節句>

 

 

 

 

 

 

<鯉>

 

 

<馬>

英国の作家です。 シンプルだけど馬の頭部と前足を感じます。

 

 

<ねこ、[緒締] ねこ>

緒締とは、袋などの口にまわした緒を束ねて締めるための具。


 

 

<ピーマンにてんとう虫>

作品はかわいいけど、ピンボケ写真だなと思って、カメラのExif情報を調べると望遠200mm、シャッター速度1/200秒

手振れ補正もONだし?  絞り開放で、ピントがピーマン表面の光の反射点になっているので、前後がボケたのか?

影の声:ボケたのはおまえの頭だろ・・・( ᵕ_ᵕ̩̩ )

 

 

 

<チェシャーネコ>

最初、読み間違いをして、チャーシュー猫と思い、チャーシューにお尻から飲み込まれている

シュールなイメージに浸っていました。

ルイス・キャロルの小説『不思議の国のアリス』(1865年)に登場する架空の猫なんですね。

 

 

<かちかち山>

キャプションに”動物めぐり”とあるのは、東博で「鳥獣戯画展」が開催されていて、それにちなんで

動物モチーフの作品に付けられていました。 私は「鳥獣戯画展」は予約が取れず、ヤケクソで本館

ほかの作品めぐりに勤しみました。

 

 

 

<海底火山の幽霊>

奇妙なタイトルです。 英語タイトル直訳だと海底火山、作品には目玉のようなものがあるし???

海底の噴気孔に棲む、生物のイメージ?

 

 

以下の作品は、作品番号を撮影画面に入れてないため、作品とキャプションの対応が

不明なものです。 色々調べて、なんとか推測して対応させましたが、自信の無いも

のもあります。

<けものみち>

<けものみち Animal Trail > 小野里三昧  2001年

 

 

<猿>

<猿 Monky and Yong>  鈴木玉昇 1989年  象牙  

 

 

<見えるの 次の世紀> 

この作品が特に自信がありません。 消去法で選んだキャプションですが、このタイトル名が・・・

表情はかわいい。 次の世紀を見ているのかなー?

<見えるの 次の世紀 Seeing the 21st Century> 立原 寛玉 2000年  象牙

 

 

<申>

<申 Monkey>  阪井正美 1994年  黄楊

 

<達磨>

<達磨Daruma>  宮澤宝泉 1998年   象牙

 

さて、根付を調べるのにとても参考になったのが、和楽webサイトの

【東京】この龍何センチに見える?細密彫刻「根付」を見るなら東博の展示がマスト!

記事を書いたのは 石水 典子さんで、東京国立博物館 学芸研究部調査研究課工芸室 研究員の福島修さんに

インタビューした興味深い話がでていました。 以下、内容を抜粋して、抄録を作ってみました。

★1971年に米国の根付コレクターであるロバート&ミリアム・キンゼイ夫婦が訪日し、当時の作家たちに
輸出するために求められた古典の写しである根付の制作ではなく、現代的で個々の作家性を発揮した根付
を作るように助言。「現代根付運動」が起こり、今の現代根付が作られるようになった。実用的に必要と
されない時代に移行しても、国内外のコレクターたちに注目され続け、作家もその期待に応えたことで、
根付は今も残っている。

★郷コレクションは、1つの箱に関連する作品が集まっている。展示によっては、その時々のテーマに沿
った選定をすることがありますが、郷コレクションの場合は箱それぞれにテーマ性があるため、それに準
じた選出をしています。 箱によって作品数は異なるため、例えば同じ作者の作品を集めた箱の内容をベ
ースにするなら、その作者に関連する作品を別の段から数点ピックアップしたものを合わせて展示してい
る。

★郷コレクションの中心となっているのが、江戸時代に出版された刀装具などの細密工芸の名工を紹介す
る手引き『装劍奇賞(そうけんきしょう)』に掲載されている根付師のものだといいます。
大坂の刀装具商で雑貨商だった稲葉新右衛門(1740〜1786)によって書かれた。

★『装劍奇賞』は、根付の職人が載っている最古の文献です。郷コレクションは、それに出ている作家の
作品が中心になる。郷氏は、『装劍奇賞』に紹介された根付師とその周辺、あるいはその系統の作品を1
つの箱に収めようとされていて、体系的に良いものを集めようという意図が伝わってくる。

★東博の高円宮コレクションは、高円宮憲仁親王殿下が妃殿下と蒐集したコレクションから寄贈されたも
ので、内容は現代根付が250点と古根付が10点。本館にある高円宮コレクション室に展示されている。
1回に展示される数は50点で、年に4回展示替えが行われている。

★古根付には黄楊(つげ)や象牙が使われていることが多いのに対して、現代根付は素材が多様。さらに
海外の作家による作品も多いことは同コレクションの特徴。

★現代根付は色彩が幅広いですし、根付作家がさまざまな素材を『どう生かして使おうか』と腐心してい
る様子が伝わってくる。

★タイトルの付け方も気が利いていて、根付を見て作品名を見て、また根付を見るとそこで初めて合点が
いくといった意匠の面白さがあり、江戸の根付の『ひねり』に時代性を反映させ展開していった感じがす
る。

★根付の特徴の一つで、特に殿下が惹かれたという意匠の中に言葉遊びや洒落を忍ばせる「ひねり」。
作者が仕掛けたその「遊び」を造形から探し出すことも、根付鑑賞を面白くするポイントです。
今とユーモアの感覚が近い現代根付の方が、見ていてクスッと笑ってしまう頻度は高いかもしれません。

★殿下が根付を蒐集されるようになったきっかけですが、後の妃殿下である鳥取久子さんが1984年に殿下
を根付の店に連れて行かれたことが始まりだったとか。その日以来、殿下は根付に魅了され、集められる
ようになりました。

★現代根付には、ワシントン条約締結後に象牙の使用が難しくなり、代替品としての素材が模索されるよ
うになった厳しい時期もありましたが、その際も両殿下は根付作家に支援を行っておられました。

★根付は消えていってもおかしくない存在でした。根付は現代では必ずしも不可欠なものではないのに、
伝統文化として存続しています。職人にとっても非常に苦しい状況のなかで、一部の志ある方々が頑張っ
て存続させてきた世界ですから、両殿下が関心を持って根付の存在を広められてきたことは大変に意義あ
ることと思います

★根付作家の制作に多大な影響を与えてきた両殿下の高円宮コレクション。ひねりのある意匠や、現代根
付以降に用いられるようになったマンモスの牙の化石やマボガニー、タグアナッツといったバラエティー
に富んだ素材などに着目しつつ、蒐集されてきた背景も想像して鑑賞すると、きっと両殿下の根付に対す
る愛情も伝わってくるはずです。

★江戸時代の根付は、江戸文化の文脈で語られるべきもので、現代の我々の文化とは少なからず隔たりが
あります。現代の感覚で共感できるものもありますが、当時必須の教養や流行に親しんで初めて理解でき
るものも多いです。古根付と現代根付は全く違う背景で制作された別物として見るべきと思いますが、技
術的には古根付の延長線上に現代根付は生きています。造形として近いものがあるからこそ、両者それぞ
れの優れた発想のかたちが、全く違った感覚で表現されていることが見えやすい。ぜひ、見比べることで
感じていただきたい。

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京国立博物館 仏像,神像

2021年07月31日 | 博物館レビュー

東京国立博物館(2021.3.12見学)の紹介シリーズも

おひなさまと日本の人形」

埴輪、石人、土偶」

茶の美術」

まで来ました。遅れていますが、今回は「仏像」を紹介します。 

なお、今回は6月16日に、トーハクで撮ったものも加えました。

 

現在、東京国立博物館では特別展として

「国宝 聖林寺十一面観音菩薩 ―三輪山信仰のみほとけ」展
( 本館 特別5室   2021年6月22日(火) ~ 2021年9月12日(日)

が開催中で、私も行く予定です。

聖林寺の国宝 十一面観音菩薩立像は天平彫刻の名品で、日本を代表する仏像の一つとのこと

 

本日紹介する最初の作品も、十一面観音菩薩立像

本館2階の「日本美術の流れ」のなかに展示されていました。

 
最も古い作例の一つとキャプションにありますが、キャプション自体も古くなって、文字が消えかかっています。

十一面観音菩薩立像
 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山出土 銅鋳造、鍍金  飛鳥時代・7世紀  北又留四郎氏他2名寄贈

 

高さ20~30cmぐらいの小さな菩薩像でした。

 

6月16日、トーハク訪問時に、ちょうど那智山出土品の企画展が開催中だったので、展示の中から

〈菩薩半跏像〉を紹介します。

 

 

背景の色を消すため、パートカラー処理をしています。

 

 

斜め上からの撮影。 ピンボケしちゃった。ああああ

 

 

<菩薩立像>

何度も観てますが、一度見たら忘れられない、ユニークな菩薩像。

 

 

ご尊顔は、柔和なようでいて、ニヒルな感じも・・・市川雷蔵の”眠狂四郎”のイメージ   

 

体幹が薄い! 衆生救済で骨身を削られたのですね・・

 

 

<十二神将立像>

本館1階の彫刻ジャンルの展示室で、左から戌神、未神、巳神。 ポーズが面白い

 

たまたま昔の撮影画像を見ていたら、十二神将立像がありました。(2016.11.20撮影) 

左から、辰神、巳神、戌神。  未神が辰神に変わって、左端に。

 

 

 

一体づつ撮影し、顔部分を拡大。 戌神 十二支の一つ戌(いぬ)、うちのワンコも、こういうふうに凛々しくなってほしい。

 

<未神> 羊の姿が分からないのですが、頭髪にある巻きツノのようなものが、それかも。

 

<巳神> 今の若者にも似合いそうな、ヘアースタイルに拍手。

 

 

アジアンギャラリー(東洋館)2階「西域の美術」コーナから

<菩薩像頭部>

クムトラ石窟はシルクロードのオアシス都市国家として栄えた亀茲(きゅうし)国の仏教遺跡で、地理的にはタクラマカン砂漠の北部。
モンゴル民族や漢民族などが入れ替わり支配し、9世紀になるとウイグル人によって支配され、しかし11世紀になるとイスラーム王朝のカラハン朝が侵攻し、石窟寺院の仏教美術は目や口を中心に破壊されてしまう。

この菩薩像は、頭部だけで、胴体部分はどうなっているのか気になりますが、様式的にはガンダーラ様式と、漢様式がミックスしたような感じで面白い。

 

 

 

<如来像頭部残欠>

前出の菩薩像から500年ほど後の制作になる如来像の頭部。

この慈愛に満ちたルックス、そして、この古色がいい!                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                

 

 

アジアンギャラリー(東洋館)1階 中国の仏教彫刻

<十一面観音菩薩像龕>  全高109.0 像高85.5

e国宝の解説から抜粋。

”宝慶寺石仏群は、インド・グプタ朝美術の影響を受けた写実的で豊かな肉体表現や、変化に富んだ装飾意匠などから盛唐期の
仏教彫刻の代表的作例として名高い。
 この石仏群は、唐にかわって周王朝を興した武則天(則天武后)が、長安3年(703)長安城光宅坊の光宅寺に建てた七宝台
を荘厳していたものであった。その後、西安(長安)安仁坊の宝慶寺(花塔寺)へ移され、同寺の磚塔・仏殿に収められたが
20世紀初頭大部分が国外へ流出した。”

中国史上唯一の女帝として君臨した武則天(ぶそくてん)が、仏教を利用し大政翼賛の目的で造立した石仏群なんだ。

武則天(則天武后)を調べると、なんとドラマティックな生涯! 映画などが作られているのも頷けます。

宝慶寺石仏群は創設時は、1120石余あったようですが、現在、確認されているもので32石あり、大半は日本にあるそうだ。

 

 

上半身を拡大。 うーん少し厳しめの眼。 鼻の部分の欠損が惜しい。

        

なお、解説にあるインド・グプタ朝美術の例で、日本の仏教美術に影響したことがわかります。

インド アジャンター石窟寺院の壁画         法隆寺金堂壁画(模本) 第6号壁 阿弥陀浄土図に描かれた

 〈蓮華手菩薩〉                    〈観音菩薩像〉               

                     

 

 

 

同じく、宝慶寺石仏群の <十一面観音菩薩像龕> 

柔和な表情です。

 

 

 

 

〈日光菩薩坐像〉

本館1階の彫刻ジャンルの展示室  6月16日に撮影。

月光菩薩は有名で、教科書などにも載っていましたが日光菩薩は、マイナーかな。

やんちゃな少年ぽい雰囲気。

 

 

 

 

 

 

 

〈息長足姫坐像〉 6月16日に撮影。

神功皇后、実在は明らかではないが、『日本書紀』では熊襲征伐や三韓征伐を行った凄い女帝(即位はしていない)

この女神像からは、なるほどと思えるような威厳と母性を感じる。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京国立博物館 茶の美術 「 破格から調和へ 17世紀の茶陶」

2021年06月25日 | 博物館レビュー

東京国立博物館 茶の美術 を集中して取り上げているシリーズ。

今回は、2020年11月4日に訪れたトーハク、目的は特別展「桃山-天下人の100年」でした。

特別展に入ってすぐ、狩野永徳の唐獅子図屏風、楓図屏風、長谷川等伯の松林図屏風の3作が並んで展示

おおー!と思わず息をのみました。(唐獅子図屏風だけが国宝ではありませんが、これは皇室所有のため)

茶器でも、〈国宝 志野茶碗 銘 卯花墻〉、〈重文 黄瀬戸立鼓花入 銘 旅枕〉など名品が並んでいま

た。この時代は、日本文化の爛熟期だったんだなー と改めて思います。撮影禁止だったのが本当に残念

 

そして、本館では、特別展との連携企画「 破格から調和へ 17世紀の茶陶」が特集展示されていました。

 

 

最初の写真は、特別展「桃山」を見終えて、本館へ行く途中、庭園に立ち寄ったときのものです。

茶室「転合庵」前の芝生から、本館の眺め。    13:11分撮影

 

 

 

逆に本館テラスから、転合庵を撮影。 上の写真から2時間後なので芝生が陰になっています。  15:13分撮影

 

 

 

特集のキャプションです。

 

 

 

 

【黒楽茶碗】

楽家初代の茶碗に比べると、趣が異なりますが、これはこれでいいな-と思います。

 

 

【黒楽茶碗 銘 かのこ斑】

 

 

 

【黄釉茶碗】

”きれいさび”の言葉通り、端正な茶碗です。

高取焼は郷里福岡の窯であり、小石原焼※の窯も近かったので、親しみを感じます。   ※ 宗家二代目が興した窯、小石原高取

 

 

 

【片身替釉茶碗 銘 深山路】

次は”きれいさび”の前世代となる内ケ磯窯の作品。 織部の雰囲気と、力強さを感じる

内ケ磯窯は、今は福智山ダムの湖底にありますが、 全長46.5 mの登り窯で、開窯当時(1614年)最新式・最大級の窯だった。

内ヶ磯窯跡の発掘調査によって、 作品に唐津焼や備前焼そして瀬戸焼 ・美濃焼などと同じ形・技術があることが分かっている。

1620年には、元唐津藩の武士で茶事を好み、焼き物の釉薬に詳しい五十嵐次左衛門が黒田藩に召し抱えられ、内ヶ磯窯で協同で

作陶に従事し始めた。 しかし、1624年に朝鮮から連れてこられた陶工の八蔵父子が帰国願いを出すと、藩主が激高し、八蔵

父子の蟄居、内ヶ磯窯の廃絶となった。 従って、内ケ磯窯で作陶されたのは、わずか10年ほどのことだった。 


 

 

 

 

茶室転合庵とゆかりのある 【耳付き茶入れ 銘 於大名】

 

 

 

【竹茶杓 銘 埋火】

 

 

 

 

 

【柿の蔕茶碗 銘 唐衣】

何かの本で読んだことがあるのですが、日本の茶事に使う高麗茶碗は、朝鮮の現地では出来損ない扱いで

飼い犬の餌用の碗などに使われていた・・・確かに、歪とかムラとか、欠点となるものに価値を感じない

と、餌茶碗も仕方ないところ。 日本人の見立て好きが、餌茶碗を格好の素材にしたのだった。

 

 

 

【魚魚屋茶碗 銘 さわらび】

 

 

【狂言袴茶碗 銘 浪速筒】

餌茶碗から一転、端正な茶碗。

そういえば過去に、朝鮮の陶磁をいろいろ見てきましたが、こんな形の茶碗は見なかった。

でも、模様とか釉薬の調子は、朝鮮陶磁だと感じます。 やはり、日本からの注文で焼いたのだなーと納得。

 

 

 

 

【古染付高砂手花入】

「謡曲 高砂」にちなんだ名称の花入れ、当時(江戸時代)は、謡は身分の別無く愛好されていたので

こんな名付けで、十分、伝わったのでしょう。 それにしても、水草が描かれた花入れ、どんな花を活

けたらと映えるのだろう、この季節だったら菖蒲かなー、捩花も面白いかも。

 

 

呉須赤絵花卉文鉢

呉須赤絵、漳州窯は景徳鎮窯の白とは違い、やや黄味がかっている。 どこにでもあるような感じのデザイン

つまらないのですが、400年前の茶人には鮮やかだったのでしょう。 料理を盛るとおいしく見えそうです。 

大量につくられたのですが、主に日本などへの輸出用で、中国本土にはほとんど残っていないとか。

 

 

【南京赤絵蓮鷺文手桶形茶器】

向付は、刺身や酢の物など、メインディッシュを盛った器。 手桶形のデザインは洒落ているし

絵柄は、クールで刺身などに合いそう。 

大阪、鴻池家は江戸期の日本を代表する豪商であり、鴻池善右衛門家は代々、茶人の当主を輩出

し、表千家とも縁が深かった。 替茶器・・・調べると、客の多い茶会などで、メイン茶器で

は、量が不足するのを補うためのサブの茶器とのこと。豪商の茶会は、たぶん、大規模で、向付

として使うより、替茶器として使い方が、都合がよかったのでしょう。

 

 

【祥瑞茄子香合】

いい雰囲気があります。 

茶事をしたことがない私は、茄子の糠漬け入れとして使いたい・・・なーんちゃって、怒られそう。 

 

 

【呉州染付人物文松皮菱香合】

側面の人物の描き方がユニーク。 それとキャプションにある評価番付、江戸時代は相撲の番付

真似た順位付けがよく用いられてました。 西前頭八枚目・・・Webで調べると、大関、関脇、

小結、前頭1枚目~となるので、トップの大関から11番目の位置です。東西があるので、トップから

22、23番目の位置になります。 

 

 

 

 

 

 

実物の展示は、他館貸し出しで、この時はなかったのですが、2019年10月21日に撮影したものが

ありましたので掲載。 このブルーの色調・・・うーんと唸ります。

・・・

 

 

馬蝗絆の伝承を記した史料

 

 

 

平重盛が所持したんだ。 

※阿育王山:中国、浙江(せっこう)省東部の山。281年、西晋の劉薩訶(りゅうさっか)が阿育王の舎利塔を建立した地。宋代には

 広利寺として五山(禅宗の寺で、最も格式の高いもの)のひとつに

なお、茶碗は2個あって、両方とも鎹が打たれている。 トーハクと、マスプロ美術館で所蔵。

 

 

 

色絵牡丹図水指】

仁清は、自分の作品にサインを入れた初めての陶工。  京焼を大成した、作家としての自負があったのでしょう。

仁清の作品は、現在、国宝2点、重文20点を数える凄さです。 その一つがこの水指。

個人的には金銀を用いて装飾過多の感があり、好みではありません。 大名の注文によるものだから仕方がないの

ですが。 ただ、牡丹の花と葉の水彩画のような趣はさすがだと思います。

 

 

【白釉建水】

こんな作品もつくっているんだ。 現代陶芸展で見るような、シャープでクールな作品。 

これは貴人からの注文ではなく、仁清が自分の芸術眼で作ったように思います。

 

【褐釉肩衝茶入】

この作品も、芸術家の眼が感じられる。

※数茶: 茶道で、銘を秘した数種の茶を飲みくらべ、のちにその銘をあてて勝負を決める競技。十服茶。闘茶。

 

【色絵紅葉賀図茶碗】

紅葉を寿ぐ宴”紅葉賀”の絵柄。 幔幕に菊や桐の紋があるのは、帝の催す行事であることを示し、光源氏が

青海波を舞うのですが、それは敢えて描かない留守模様。 これも貴人の注文制作でしょう。 茶碗のシル

エットが美しい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京国立博物館 茶の美術(2/2)

2021年06月06日 | 博物館レビュー

東京国立博物館   茶の美術(2/2)は、本館2階の茶の美術展示室の紹介です。

まず展示室冒頭のキャプションです。

トーハクでは、松平不昧や松永耳庵、広田不孤斎らのコレクションが主体で、それを季節ごとに取り合わ

せて展示されている。

 

松平不昧や松永耳庵、広田不孤斎についての説明。

 

 

まず、釜から

 

 

【山吹文真形釜】

 形、枯れた鉄肌、味があって素晴らしい。

 

 

 

【古染付騎馬人物文蓋置】

縁のところ、使い込まれて剥がれたのかな? と思ったら ⇒ 土と釉薬との技術的な問題があったらしい。

・・・それを、日本の茶の湯の先人たちは、虫食いとして、逆に見どころとした・・・ 

絵柄も雑といえば雑 ⇒ でも、それを飄逸と捉える。

・・・うーん、なんと自由な見方、はたまた、弱点を糊塗しただけ?

当時の大名や豪商など、茶の湯をステータスとしていた茶人は、こうした唐物を、茶会で使って、自慢して

いたのかな? 客人も古拙さを美として理解できることに満足だったかも?

景徳鎮は、車でいえばフェラーリ、ブランド信仰は、強烈だった。

日本の茶人たちからの注文制作で作られた茶道具、多分、高値で取引されたでしょうから、売り手の景徳鎮窯

方は笑いが止まらなかったか。

 

 

昔の中国で、夜間の勉学に用いる燈明の火皿を、蓋置に見立てたので、”夜学”という名称・・・茶の先人たちの名付けセンスがいい。

 

 

天啓赤絵は、天啓年間(1621~27)にはじまり、景徳鎮の民窯にて焼かれた赤絵。

官窯ものの高雅で精緻な仕上げとは違って、素早い運筆や画面デザイン、染付と赤絵のバランスがいい。 

 

 

今でいうと、アールブリュット/アウトサイダーアートのような感じの作品。

強いですね。

 

 

 

 

 

量産品なんですね、それゆえの素朴な趣が、茶人に高く評価された”とありますが

私は、可もなく不可もない作品です。 使うとわかる味があるのでしょう。

 

 

【竹茶杓  銘 稲羽州サマ】   ※上下がピンボケで見づらくてすみません。


たけちゃしゃく いなうしゅう
竹茶杓  銘 稲羽州サマ  
    片桐石州作  江戸時代・17世紀  竹  松永安左エ門氏寄贈

白竹を用い、すらりとした素直な姿に削られており、高い気品が感じられる。片桐石州は江戸時代前期の大名茶人。
「稲羽州サマ」と宛名を記した贈り筒が添えられている。かつて出雲の大名茶人・松平不昧が所持し、のちに松永
安左エ門(耳庵)の愛蔵品となった。


 

 

【書状(武蔵鐙の文)】

利休の書状です。 トーハクで見たときは、この書状の意味も解らず写真を撮っただけでしたが

Webで調べると、秀吉から切腹を命じられる8か月前で、秀吉との抜き差しなら状況が間接的に

にじみ出ていると思いました。

 
 
 
 
 
さて、この書状を書いたのが6月20日、この8か月後の  天正19年2月28日(1591年4月21日)に秀吉の命で切腹した。
 
Webで調べていく中で、このときの利休の心情を、捉えていると思った道教室乙亥会(おといかい)のブログ
 
を紹介させていただきます。
 
 武蔵鐙

今週は利休の文、武蔵鐙について勉強しました。

この文は利休と織部の歌のやりとりや呼び方から二人の仲の良さが窺えたり、

また伊勢物語を踏まえていることから教養の深さを垣間見ることが出来たり、

また竹の花入の記述等々、興味深い点が多い為ことに珍重されてきたものですが

この文を、利休が切腹する前年であることに重きを置いて改めて見ると

秀吉との確執がいよいよ極まり、死を覚悟した利休の心情が伝わってきます。

 

竹の花入の最高傑作、これ以上はないものが出来上がったと、これは自身の

侘び茶の大成であると言われていますがわび茶のみならず自らの集大成と、

今までを振り返り感慨に耽っているような表現です。

 

また、小田原攻めが長くかからないだろうから終わるまで駆けつけなくてもいい

と言いながら、すぐに陣中で茶を差し上げたいという文言。

蠅が多くて嫌だと、たわいもない愚痴をこぼしておきながら、最後に蠅を打つ音

も慰みであると、わざわざ冒頭に書き加えていること。

親しい人もなく、小田原の山の家に移った利休は、このところの秀吉との間柄

からも既に切腹を考えていたでしょう。

孤独で、死を身近に感じると、実に様々なことが頭を巡ります。

もうすぐ結末を迎えるであろう自分の人生はどうであったか、親しかった人たちは

何をしているだろうか

そして1か月前に斬首されたばかりの愛弟子、山上宗二のこと…

ふと弱気になりそうな自分を、最高の花入が出来たと、自己肯定してみたり、

織部と今度会った時はどうもてなそうかと考えることで気を紛らわせたり

それも終われば蠅にまで意識をやることで現実逃避を図る…

(因みに漫画へうげものではこの蠅を金蠅=秀吉と位置づけており、そう見ても面白いです)

そして何より心の慰みとして、こういった会話を、織部と直接交わしたい、

いつでも訪ねてほしいという切実なる願いがひしひしと伝わってきます。”

 

 

 

 

前述の利休の書状で、利休が作ったという竹花入れです。(3種あり、織部に送ったものとは異なる)

「武蔵鐙の文」は古田織部へ、「園城寺」は利休の次男へそれぞれ別個に伝来するが、転々とし

松平不昧のもとに、そして最後にトーハクに寄贈された。

この園城寺の竹花入れ、最初は秀吉に献上されたが、秀吉が投げ捨てたという伝聞がある。 仕方なく

利休が持ち帰り、次男に渡したもの。

 

 

 

【織部開扇向付】

利休と同じく、古田織部も既成概念を逆転し、破壊して、そこに立ち現れてくる斬新さに

今までにない美を見出している。 現代アートのスタンスと同様なものを感じる。

利休や武野紹鴎が推進した「破調の美」または「破格の美」という概念が息づいている。

 

 

【色絵祥瑞桃果宿禽文皿】

 

 

【黄瀬戸草花文平鉢】

 

 

【呉須赤絵丸文徳利】

 

 

【志野草花文四方酒吞み】

 

 

【灰釉酒呑】

日本酒好きには堪らないぐい吞み。 古唐津で一度飲んでみたい・・・ささやかな願望。

 

 

【魚屋茶碗 銘さわらび】

 

 

【志野茶碗 銘 振袖】

 

2021年3月12日のトーハク茶の美術は以上ですが、今回、過去のトーハク茶の美術の写真を見返していたら

オオっと再発見したものが多く出てきましたので、次回はそれを紹介したいと思います。

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

久し振りの東京国立博物館 おひなさまと日本の人形

2021年03月21日 | 博物館レビュー

3月12日に行った東京国立博物館(略称:トーハク)、前回はハイライト写真でしたが

詳細を順次、紹介します。 最初はこちら ↓

担当された三田研究員のオンラインギャラリ-ツア-を見ると、ナルホドでした。 引用しながら

紹介します。

 

享保雛です。大きい! 内裏雛の大きさは高さ30cmほどあります。

内裏雛の体つきが少しおかしいと、オンライン解説で述べられていましたが、確かに男雛は、首長族

になっているし、女雛も下半身の膨らみが変、私は見学時には気が付きませんでしたが、研究者には

目につくのでしょう。

私は実は、両サイドの犬筥(いぬばこ)が可愛くて、そちらに目がいってました。


 

↓写真は、前回のハイライトで紹介した犬筥です。

犬は多産で、コロコロと出産も早いので、安産のお守りとして嫁入り道具になったとか。

ん? この犬、眉毛がある! 実は我が家の駄犬「ニキ」にも眉毛があるので・・・なぜかホッとした気分に。


犬筥1組
江戸時代・19世紀

 

次はおひなさまの歴史をたどるコーナ。

右端の二つの人形が天児(あまがつ)と這子(ほうこ)といい、千年以上前から宮中に伝わる人形です。 

這子は、その名の通り、伏せたらハイハイする形です。

 

 

 

雛人形の源流をたどると、子供を守ろうとした古代の魔除け厄除けの人形に遡る。(ピンボケ写真ですみません)

 

 

立雛です。  初期の雛人形は紙で作った簡単なものだった。


古式立雛1対
江戸時代・17~18世紀

 

 

 

立雛の制作技術が向上してきて、金色の盛り上げ彩色が用いられている。

 

 

古式次郎左衛門雛。  宮中で使われていたもので、衣装雛の源流となるもの。

なお、明治の工芸作家として有名な柴田是真が大切にしていたものとか。

 

 

 

 

 

 

今回、一番面白いと思った作品です。 


三河納雛1対
江戸時代・19世紀 西澤昂一氏寄贈

 

衣装人形です。 制作技術の向上に伴って、美術品として大人が鑑賞する人形が作られた。

上段左端がキャプションにある「吉弥」です。

驚くのは、衣装の下に裸がつくられている!(オンラインギャラリーツアーの説明から)

 

 

 

 

 


衣裳人形 婦人立姿1躯  江戸時代・18世紀 右も同じ

 

 

こちらは一昨年、前川富士子氏から寄贈を受けた「雛人形および雛道具」

 

 

犬の毛は、絹糸を一本一本くっつけた京都製の毛植え人形。 うちの女房も、フェルトを使って犬の人形を作っていますが

原型は、この時代からあるんだ。

 

 

この細密さ! ふーと溜息です。

 

 

女の子の表情が、少し厳しげですね。

 

 

将棋盤がありますが、オンラインギャラリーツアーの映像では、駒も並べていました。 わずか1mm強の駒で象牙製!

お膳の幅は5cmほど。

 

 

 

源氏物語蒔絵雛道具です。

 

 

 

トーハクの展示ケースに入らないので、今回はばらして展示していますが、雛檀に飾った姿が↓の写真。

 

 

日比谷家伝来の古今雛。

江戸時代は自分の好きな作家の人形を、めいめいが買い集めていたので、江戸製の同じ作者の一揃えの

人形は珍しいとのこと。

現在、販売されているお雛様セットは、近代になってデパートがつくったセット商品とのこと。

この展示も本日が最終日となりましたが、いかがでしたでしょうか?

トーハクでの人形の展示は意外と少ないので、私にとっては貴重な体験でした。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

久し振りの東京国立博物館ハイライト、寒緋桜とフクロウ

2021年03月13日 | 博物館レビュー

3月12日(金)久し振りに東京国立博物館に行ってきました。

さすがの作品群、堪能しました。 500枚以上撮ったのですが、ハイライトを先に4点ほど紹介し

詳しくは、追ってアップしたいと思います。

カミーユ・アンロ「蛇を踏む展」も紹介途中なのですが、時間がかかっていますので、東博を先

に紹介します。

 

ジャンル別展示 彫刻(本館 1階 11室)から

重文《十二神将立像(左から戍神、未神、巳神)》

鎌倉時代13世紀 京都・浄瑠璃寺伝来

 

 

日本の考古(平成館1階)から

《埴輪 両手を挙げる女子》

島根県松江市 岩屋後古墳出土 古墳時代・6世紀

 

 

 

ジャンル別展示(本館 1階 14室)

特集「おひなさまと日本の人形」から 

《犬筥》  江戸時代・19世紀

 

 

 

中国 墳墓の世界(東洋館 5室 )から

《加彩女子》中国 前漢時代・前2世紀 広田松繁氏寄贈  奥にはぼやけてますが、加彩男子  

 

 

 

見終えての帰り道、上野公園を歩いていたら、寒緋桜にフクロウが!

 

 

 

フクロウは、首を180度回転できるとか。 夜行性の猛禽類ですが、かわいい顔をしている。

 

 

状況はこうなっていました。 手綱のようなものを持った人が飼い主、移動用のケースから出してフクロウの休憩時間でしょうか?

すぐ近くの国立科学博物館で、「大地のハンター展」をやっているので、フクロウに勉強させに来た?

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする