筆者の説く,PKOの変化は重要であると実感する。
南スーダンは韓国軍PKO部隊が小銃弾1万発の提供を受けた地点である。
ダルフール紛争などの事件でも知られている。一方の民族が他の民族を皆殺しにする事態からの
脱却に国連機構の介入は当然である。
朝日新聞の記事は暗に自衛隊指揮官の行動を批判する陰湿なものと理解している。
この射撃許可命令が日本国内の集団的自衛権 行使容認に深い影を落とすのを自覚している。
PKO派遣の原則は、今回の南スーダンでは厳守されたであろうかとの議論も必要であるが、
派遣される自衛隊が任務を完遂するに適切な法体系にあったのかと言う評価も重要と考える。
南スーダンへの派遣は、民主党政権が中共が派遣すると言う事に急いだ経緯があるやに聞き及ぶ。
PKO派遣が政治の都合が色濃く出てくる状況に無関心であってはならないと考える。
派遣の法が特措法である事も問題である。自衛隊の任務に合致しない法体系で派遣される自衛隊員も
不幸であると考える。今回の任務は、施設部隊であるが、輸送隊、衛生隊などの特定職種部隊の
派遣にも影響が大きい。
イラクでの航空機輸送にも集団的自衛権 との兼ね合いが問題になったと記憶している。
米国軍人の輸送に使われたとのことで、現地自衛隊は隠すようにしていたと聞くが、
派遣自衛隊の隠蔽に結びつく法体系は実情と合致しないと考える。文民統制との整合性が
崩れる事も心配の種である。
現在の南スーダンの心配事は、避難民の数が国連軍の実力以上に大きい事である。
もう一つは、政府軍よりも反政府軍のほうが実力が大きく、国連派遣軍の脅威となっている。
現地に安定した秩序の構築は、国連の呼びかけにも応じない事が憂慮される。
アジア、アフリカ勢の派遣が、欧米の有力な増援が出たとの情報も聞かない事にも懸念が生じる。
野口雅昭
2014年04月21日 22:15
南スーダンとPKOの自衛隊
http://blogos.com/article/84960/
本日の朝日朝刊の1面と2面に非常に重要な記事が出ていました。
記事は南スーダンに派遣されている自衛隊の件で、(南スーダンでは未だに 内戦状況が完全に回復しておらず、相当の死傷がが出ていて、又非常に多くの人が飢餓の危険に直面している事は最近も、このブログでも報告した通りです)、 1月に反政府軍が首都のジュバに反政府軍が迫り、PKOのメンバーとして駐留している自衛隊の宿営地(基地)付近で、銃撃戦が起こり、宿営地も攻撃を受け る可能性が出てきたので、自衛隊の現地司令官が全隊員に対し、武器と弾薬の傾向を命じ、「各自あるいは部隊の判断で、正当防衛や緊急避難に当たる場合には 撃て」と命じたと報じています。
そして記事は、本来非戦闘を任務とし。武力行使は自衛の場合に限るとしてきた国連のPKOも最近では、避 難民保護のためには武力行使をしても良いとの、国連憲章第7章に基づく強制措置の実行を認められたPKOが増えて、PKOの性格そのものが変化してきたの で、日本のこれまでのPKO特別法の枠内での協力は不可能になって来たと論じています。
そして、第2面の「記者の目」というコラムで、日本として自衛隊が現地で対応上するような事態を避けるためには、法改正か撤退か国民的議論が必要と論じています。
記 事の要点は以上ですが、確かにこの記事の言う通り、これまで憲法の制約と言う建前にとらわれて、国際的な常識とは相当かけ離れた制約を派遣自衛隊に課して きた我が国のやり方が現実の状況には適応できなくなっており、下手をすると現地の指揮官が良心的であればある程我が国の国内法との矛盾に苦しむことになる という状況が、現出しており、この問題の解決は一刻を争う問題であろうと思います(その意味では安倍総理の執念たる集団安全保障の問題よりも焦眉の急の問 題です)
国際的常識とかけ離れているという点について取り敢えず思いつくまま上げるだけでも
世界中どの国がPKOと本体業務(歩兵活動)を分けるためにPKFなどと言うでっちあげ言葉を理解するか?
國際社会ではPKFと言えば国連軍、すなわち停戦監視団と区別した部隊単位のPKFのことを指す
世界中どこの国が、その隊員が自己の判断で銃を使ウ(正当防衛)などと言う観念を許容するか?軍隊と言う組織の理念に反する
世界中どこの国も自己の宿営地が攻撃されたら、個人の身が危ないか否かに関係なく、当然自衛のための武力行使として反撃する、そうしなければ将来さらなる危険を招く
PKOには自衛隊の部隊以外にも種々の国の部隊が所属しているが、どの部隊に対する攻撃であれ、それが国連軍と言う部隊に対する攻撃である以上、自衛の為の武力行使の対象となる
世界のどの国も自己の宿営地に引き取った非武装の避難民に対する武力による攻撃に対しては業務の一環として武力で対抗する
等上げられ、我が国の観念とは大きくかけ離れています。
も ちろんこのような議論は従来の平和国家日本では、憲法第9条に反するなどとして、退けられてきて、反面日本としても国際的な貢献として何かをしなければな らない、ということからPKOに参加はするが、自ら恣意的な制限を課して、その範囲内なら参加するとしてきたのが、従来のPKOへの参加のあり方で、従来 でもそれでは馬脚が現れるという事態が生じる可能性が起きたこともあったが、何とか事態を糊塗しながらやってきたところ、今回アフリカでも最も不安定な国 へのpKO派遣と言うことで、この我が国のPKO派遣の矛盾に直面させられたということだろうと思います。
ここは正しく朝日の言う通り争急に国民的議論を経て、日本としても腹を決めてPKOへの対処を考える時期に来ていると思います。
因 みに、従来の朝日の「俺が日本の良識」という意識に胡坐を書いた論調であれば、嫌もおうも無く、平和国家日本の立場としては、そのような場合には当然撤退 すべきだと論じたと思うので、その点では流石の朝日も、現実の国際情勢を客観的に見る姿勢が少しは出てきたという意味では歓迎すべき論調だと見ています。
筆者の意見は当然のことながらPKO特別法の見直しと言うことです。
ここまで苦労しながら国際貢献の実績を積み重ねてきながら、ここで撤退と言う選択はあり得ないと思うからです。
そ れに中東、アフリカには未だ未だしじられないほど目茶苦茶な破綻国家が多く、それらの国及びその可哀そうな民衆を救うのが、国連PKOの役割であってみれ ば、我が平和日本もこれらの国や民衆のために平和的貢献をすることは国際社会の重要な一員たる責任ではないかと思うからです。
PKO基地襲われ48人死亡 南スーダン
2014.4.18 22:45 産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140418/mds14041822450005-n1.htm
【アルジェ=大内清】南スーダン東部ジョングレイ州の州都ボルで17日、国連平和維持活動(PKO)基地が武装集団の襲撃を受け、ロイター通信によると基地に避難していた住民ら少なくとも48人が死亡、多数が負傷した。PKO隊員2人にも負傷者が出た。
武装集団は国連に何らかの嘆願を行うデモ隊を装って基地に近づき、敷地内に押し入ろうとして発砲、駐留するPKO部隊も応戦し戦闘になった。
ボルの基地にはインドと韓国の部隊が駐留。同国のPKOには日本の陸上自衛隊も参加しており、首都ジュバに駐留している。
多数の黒人系民族で構成される南スーダンでは昨年12月以降、キール大統領派とマシャール前副大統領派の対立が激化して事実上の内戦に陥り、数千人が死亡 したとみられている。今年1月には停戦合意が成立したが、その後も戦闘や混乱が続き、各地のPKO基地には多数が避難していた。
今回襲撃された基地にはマシャール氏の出身民族であるヌエル人約5千人が保護されていたことから、武装集団は、対立する主要民族ディンカ人出身のキール氏を支持する勢力である可能性が高い。
南スーダンで陸上自衛隊PKO隊長が射撃許可 「正当防衛なら」
朝日新聞デジタル | 投稿日: 2014年04月21日 15時30分 JST |
http://www.huffingtonpost.jp/2014/04/21/pko-jgsdf_n_5184143.html
陸自PKO隊長が射撃許可 南スーダン「正当防衛なら」
南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣されている陸上自衛隊の派遣隊長が今年1月上旬、首都ジュバの宿営地付近で銃撃戦が起きた際、全隊員 に武器と銃弾を携行させ、「正当防衛や緊急避難に該当する場合は命を守るために撃て」と命じていたことがわかった。PKO施設内には多数の避難民がおり、 彼らが狙われた場合、自衛隊員に流れ弾が当たる恐れがあった。実際に発砲には至らなかったものの、射撃許可が出された経緯が明らかになるのは異例だ。
日本が派遣しているのは施設部隊で、通常は武器を携行していない。現行のPKO協力法などは正当防衛や緊急避難などの場合に限り、必要最小限度の武 器使用を認めている。一方、避難民など文民保護を目的とした武器使用は憲法が禁じる「海外での武力行使」につながりかねないとして認めていない。
経緯は、陸上自衛隊の井川賢一・南スーダン派遣隊長(45)が朝日新聞の単独インタビューで明らかにした。井川氏によると、宿営地付近で銃撃戦が起 きたのは1月5日。当時、中部ボルは反政府勢力が占拠しており、部隊には「首都の西側約200キロにいる反政府勢力が首都に向かって前進中」「南方からも 反政府勢力が北上している」との情報が寄せられていた。