魂魄の狐神

天道の真髄は如何に?

憲法考 第九回 日本国憲法第八章と道州制

2008-01-16 16:07:32 | 憲法考

 地方自治は何故必要なのか?「地方が自立する必要性」があるからでしょうか?「地方自治の自立」は手段の概念で目的の概念ではありません。地方自治の本旨は、「団体自治」や「住民自治」にあるとは屡く言われるところだが、これらは地方自治の役割とする目的であって、これらも「地方自治は何故必要なのか?」と言う答えにはなり得ません。

 各地域の中に生ずる様々の事柄を肌理細かく処理し解決することは、國政だけでは到底無理と考え、各地域の住民の意思を反映し、住民に直結した行政の必要性から地方自治があるのだ。地方自治体存立の必要性は、國全体の財政の効率性とは無縁のものであり、逆に道州制の導入は、國の中に住民の意思を反映し難い政府を造ることになり、到底住民と直結したものとは言い難い制度を造ることになるのだ。

 広義の福祉は、本来、持てる者が救済すること無しには、成り立た無い概念である。福祉政策を実行していくには、救済者の裾野を出来る限り広くしていくことが必要であり、ある程度広域であるからと言って、道州に自己完結的に行わすことになれば、当然、各地方に格差が生じ、國全体の経済にも歪みも生まれてしまう。

 我が日本國の経済を発展させるには、我が國が外國との競争に勝つことが必要で、内での競争を煽っている場合では無いのだ寧ろ、この日本の凋落を挽回する為には、「挙國一致」して力を併せなければならない筈だ。 況してや、国力の分断を齎し、國力が著しく低落しているこの時点で道州制を声高に叫んでいる輩の真意は何処にあるのか想像がつくと言うものだ!

 國が確りと責任を果たし、国民の福祉を担う自覚があれば、各地域の実情にあった肌理の細かい行政だけを自治体に任し、広域行政に関しては國が無駄の無い効率的行政に勤しめば良いのであって、自らのやるべきことを放棄して、楽しようなどとは不届千万であるのだ。

 変えるべき國の形はあろうが、自らの責任も果たさず逃げを打つような道州制の推進は、敵前逃亡であり、國力を弱めることになる国賊的行為である!

 国民は官僚や政治屋の「地方の自立」と言う内容の無いお題目に惑わされ、奴らの術中に嵌るようなことは夢にもあってはなら無いのだ。


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