〔判決の其の外の効力〕
(1)判決の法律要件的効力
確定判決の存在自体が民法其の外の法律で要件とされ、此れに一定の法律効果が結び付けられている場合のそうした効力を言う。
(判決で確定した権利の消滅時効)第174条の2 確定判決によって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、10年とする。裁判上の和解、調停その他確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利についても、同様とする。
2 前項の規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない。
(2)裁判の拘束力
当該手続内で外の裁判所を拘束する効力を言う。
裁判所法第四条 (上級審の裁判の拘束力) 上級審の裁判所の裁判における判断は、その事件について下級審の裁判所を拘束する。
(破棄差戻し等)第三百二十五条 第三百十二条第一項又は第二項に規定する事由があるときは、上告裁判所は、原判決を破棄し、次条の場合を除き、事件を原裁判所に差し戻し、又はこれと同等の他の裁判所に移送しなければならない。高等裁判所が上告裁判所である場合において、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときも、同様とする。
2 上告裁判所である最高裁判所は、第三百十二条第一項又は第二項に規定する事由がない場合であっても、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原判決を破棄し、次条の場合を除き、事件を原裁判所に差し戻し、又はこれと同等の他の裁判所に移送することができる。
3 前二項の規定により差戻し又は移送を受けた裁判所は、新たな口頭弁論に基づき裁判をしなければならない。この場合において、「上告裁判所が破棄の理由とした事実上及び法律上の判断は、差戻し又は移送を受けた裁判所を拘束する 」。
(移送の裁判の拘束力等)第二十二条 確定した移送の裁判は、移送を受けた裁判所を拘束する。
2 移送を受けた裁判所は、更に事件を他の裁判所に移送することができない。
3 移送の裁判が確定したときは、訴訟は、初めから移送を受けた裁判所に係属していたものとみなす。
(原判決の確定した事実の拘束)第三百二十一条 原判決において適法に確定した事実は、上告裁判所を拘束する。
2 第三百十一条第二項の規定による上告があった場合には、上告裁判所は、原判決における事実の確定が法律に違反したことを理由として、その判決を破棄することができない。
〇自縛力=自己拘束力を含めるとの考え方もある.
(3)波及効
社会的影響力の強い公害訴訟や消費者訴訟等の原告勝訴の判決が世論を造り、同様の問題の原告に有利に働く。
〔終局判決に付随する裁判〕
(1)仮執行宣言
(仮執行の宣言)第二百五十九条 財産権上の請求に関する判決については、裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をすることができることを宣言することができる。
2 手形又は小切手による金銭の支払の請求及びこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求に関する判決については、裁判所は、職権で、担保を立てないで仮執行をすることができることを宣言しなければならない。ただし、裁判所が相当と認めるときは、仮執行を担保を立てることに係らしめることができる。
3 裁判所は、申立てにより又は職権で、担保を立てて仮執行を免れることができることを宣言することができる。
4 仮執行の宣言は、判決の主文に掲げなければならない。前項の規定による宣言についても、同様とする。
5 仮執行の宣言の申立てについて裁判をしなかったとき、又は職権で仮執行の宣言をすべき場合においてこれをしなかったときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、補充の決定をする。第三項の申立てについて裁判をしなかったときも、同様とする。
6 第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、第一項から第三項までの担保について準用する。
(仮執行の宣言の失効及び原状回復等)第二百六十条 仮執行の宣言は、その宣言又は本案判決を変更する判決の言渡しにより、変更の限度においてその効力を失う。
2 本案判決を変更する場合には、裁判所は、被告の申立てにより、その判決において、仮執行の宣言に基づき被告が給付したものの返還及び仮執行により又はこれを免れるために被告が受けた損害の賠償を原告に命じなければならない。
3 仮執行の宣言のみを変更したときは、後に本案判決を変更する判決について、前項の規定を適用する。
通例、判決主文中に於いて一定の内容を実現し得る執行力を付与する形成的裁判である。
(仮執行の宣言)第二百五十九条
3 裁判所は、申立てにより又は職権で、担保を立てて仮執行を免れることができることを宣言することができる。
(仮執行の宣言の失効及び原状回復等)第二百六十条
2 本案判決を変更する場合には、裁判所は、被告の申立てにより、その判決において、仮執行の宣言に基づき被告が給付したものの返還及び仮執行により又はこれを免れるために被告が受けた損害の賠償を原告に命じなければならない。
3 仮執行の宣言のみを変更したときは、後に本案判決を変更する判決について、前項の規定を適用する。
(終局判決における執行停止の裁判等)第三十七条 受訴裁判所は、執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えについての終局判決において、前条第一項に規定する処分を命じ、又は既にした同項の規定による裁判を取り消し、変更し、若しくは認可することができる。「この裁判については、仮執行の宣言をしなければならない 」。
(2)訴訟費用の裁判
〇提訴手数料等裁判費用と期日出席の為の旅費等当事者費用
(訴訟費用の負担の裁判)第六十七条 裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における訴訟費用の全部について、その負担の裁判をしなければならない。ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる。
2 上級の裁判所が本案の裁判を変更する場合には、訴訟の総費用について、その負担の裁判をしなければならない。事件の差戻し又は移送を受けた裁判所がその事件を完結する裁判をする場合も、同様とする。
⇒当事者の負担割合は終局判決の主文に於いて明かにする→「敗訴者負担の原則」
〇弁護士に対する費用は、原則として訴訟費用に含まれ無い。
十 民事訴訟等に関する法令の規定により裁判所が選任を命じた場合において当事者等が選任した弁護士又は裁判所が選任した弁護士に支払つた報酬及び費用
裁判所が相当と認める額
【其の外の裁判】
「裁判」とは、裁判機関が自らの判断を決定の形式によって表示する訴訟行為である。
〇「判決」以外の決定~決定(弁論の併合決定等)、命令(裁判長の訴訟審査権に基づく却下命令等)の形式がある。
〇判決が重要事項に関する(必要的口頭弁論)
必要的弁論事項が妥当する
(口頭弁論の必要性)第八十七条 当事者は、訴訟について、裁判所において口頭弁論をしなければならない。・・・・・
〇決定や命令(任意的口頭弁論)
基本的確定以外の手続派生的な事項等を扱う
(口頭弁論の必要性)第八十七条 ・・・・・。ただし、決定で完結すべき事件については、裁判所が、口頭弁論をすべきか否かを定める。
(呼出費用の予納がない場合の訴えの却下)第百四十一条 裁判所は、民事訴訟費用等に関する法律 の規定に従い当事者に対する期日の呼出しに必要な費用の予納を相当の期間を定めて原告に命じた場合において、その予納がないときは、被告に異議がない場合に限り、決定で、訴えを却下することができる。
⇒決定が重要事項に関る例。
〇「命令の主体」
裁判長・受命裁判官・受託裁判官の何れかである。
〇「判決」、「決定」の主体
裁判所である。
(判決に関する規定の準用)第百二十二条 決定及び命令には、その性質に反しない限り、判決に関する規定を準用する。
〇「広義の裁判」~裁判所書記官による処分も含む。
(支払督促の要件)第三百八十二条 金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。ただし、日本において公示送達によらないでこれを送達することが出来る場合に限る。
続く。
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