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天道の真髄は如何に?

法律考第三十回 時効 その6

2007-12-04 11:00:45 | 憲法考

              取得時効第一回

所有権の取得時効の共通要件  

一定期間の「自主占有」があること  「樹種占有とは所有の意思を持ってそのものを占有すること」と定義されている。賃借人の占有には「所有の意思」は認められません。この場合は「他主占有」と言われます。この「他主占有」を「自主占有」に変えるには、以後、「自分の所有である」との宣言を外部に分かるようにしなければなりません(民法第185条参照)。 相続によって、土地の被相続人の「他主占有」を相続人が引き継いだ場合には、以前の判例はこの相続人の占有は「自主占有」とは認められないとしていましたが、近時、場合によっては認められるとの判例が出ています(最判昭和46年11月26日判時652号37頁)。 この土地の登記があいまいだったり、無かったりした場合にはこの判例も致し方ないものと認められようが、きっちりと登記と現状が確認できるものであれば、認められないものと私は考える。

占有が「平穏公然」に行われていること 占有が「平穏公然」に行われていることについては推定されます(民法第116条)。「平穏公然」の意味は何のトラブルも隠し事も無いと言うことです。

「他人のもの」であることの挙証責任  時効は証拠関係の不明確さを断ち切ってしまうものだとの説があり、このような挙証責任は無いとされる。(判例)最初に自分が買ったものだと主張し、後で取得時効を主張する矛盾も許された(大判昭和9年5月28日民集13巻857頁)。

占有の継続  後述

「他人」のものの占有であると言うその「他人」の範囲  一筆の土地の一部の取得は認められるか?公共用地の取得は認められるか?このことについてはこの連載で前述しています。

善意取得の特殊な条件』 

占有の初め善意・無過失であること 「善意・無過失」の意義は各自考えて貰いたい。後から「悪意」で占有し続けても取得時効は継続します。占有が「善意」であったことについて推定されますが、「無過失」については推定されません。ですから、「無過失」については占有者が挙証しなければなりません(民法第186条)。不動産の取引に当たって登記簿を調査しなかった者、子供に代わって取引をする者の法廷代理権の有無について調査しなかった者も過失があったものと看做した判例がある。一般的に、登記簿、構図、戸籍簿謄本などの公募などの確認の有無が、過失の有無と関係に大いに関係するのだ。

占有の継続 ある時点からある時点まで継続していると言うことの挙証は、ある時点とある時点でに占有があったことを証明すれば足りる(民法第186条)。前者の占有を継続して主張できるのだが、自分の占有が「善意」のものだったとしても、前者の占有が「悪意」の占有である場合は、後の占有者は自分の占有期間だけを主張できるし、前者の占有の期間も合わせて主張できるのだが、前者の占有の期間を合わせて主張する場合には、全体の占有期間は「悪意」であったものとされる(民法第187条)。

ここでの時効取得は不動産に限るものなのか? (即時取得)民法第192条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。 つまり、動産の即時取得のこの条文は、あくまで取引行為があったことが前提となるものであり、一般的な取得時効に関する取り決めとは異質のものであり、一般の時効取得には、当然、動産も含まれるものと解されている。


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