◆◆【我「老子」の私見を綴る】◆◆ 忘知第四十八

忘知第四十八

爲學日益、爲道日損。損之又損、以至於無爲。無爲而無不爲。取天下常以無事。及其有事、不足以取天下。

学を為せば日に益し、道を為せば日に損す。之を損して又損し、以て無為に至る。無為にして為さざる無し。天下を取るは常に無事を以てす。其の有事に及びては、以て天下を取るに足らず。

志を持って日夜学問に勤しめば日増しに力がつくものだが、「大道」に従って日夜行いを戒めようと志す者は日増しに無用な知識や行いを削ぎ落として行ける。無用な知識や行いを削ぎ落として行ければ、あるが儘にして作為しない境地に至る。あるが儘にして作為しない境地に至れれば、失うものは最早無く何事も成し遂げられることになる。若し天下を治めようとするならば、自らは邪念を一切祓って公に果たすべき義務を為し、「大道」に従うことを世に遍く広めて天下に太平を齎さなければならない。あるが儘に任せず余計なことをするようでは、天下を治める資格など無いのだ。