前回に、企業の利潤を最高する「最適雇用数」と其処から決まる「最適生産規模」を考えて来た。
今回は、「国民所得Y」と「物価P」との関係を導き出す。其の手法として労働者の「名目賃金W」と「実質賃金W/P」に注目して話を進める。
労働者の名目賃金が一定⇒物価上昇⇒実質賃金W/Pが下がる⇒実質的に労働者の賃金は減る⇒安い給料で労働者を使える⇒企業はより多くの労働者を雇用出来て生産を拡大⇒生産量Yの増加👉「物価Pの上昇⇒生産量Yの上昇」
逆に、
物価が低下⇒実質賃金W/Pが上がる⇒実質的に労働者の賃金は上がる⇒高い給料で労働者を使わ無ければ成らない⇒企業は労働者を解雇して生産を縮小⇒生産量Yの減少👉「物価Pの下落⇒生産量Yの減少」
👆のことを☟にグラフに表したものが総需要曲線(AS曲線)
(仮定)PとYが同じ方向に動く(物価が上がったら生産量も上がる)☜此の時、名目賃金W^(=給料の額面)が下がったら(☜物価が下がらず労働者の名目賃金が下がる)。
☟
「F'=W/P」で右辺(W/P)が減少⇒左辺F'も減る。
(F'=W/P」の時が利潤最大なので、此の等式は其の儘にして置く)
☟
「F’(N)が低下」⇒N増加⇒Yの増加⇒物価が変わら無くとも、労働者の賃金が下がれば生産量Yは増える。
此れを☟のグラフに表すとAS曲線が右にシフトする。
AS曲線を数学的に導き方を説明すると、
F'(N)=W/P→F'(N)=ΔY/ΔN=W/P
此処で、F'(N)は労働者を一人増やした時、生産量が何れ程増えるかを表す。ΔY/ΔNも同じことを分かる形で表した数式ということである。
例えば、ΔNが微小な0.001単位増えてΔYが0.005単位増えたとすれば、ΔY/ΔN=0.005/0.001であるが、ΔY=0.005は元々ΔN=0.001に対する増分であるから(例えば、食べる人が5人増えたことで10個餅を増やしたならば、一人当たり増えたことでの増分は、「10個/5人=2個/一人当たり」と成り、此れは一人当たり増えたことでの増分と成る)、結局、此れはNの単位当たり(実際は労働者一人当たり)のYの増分を表すことに成る。
話を本論に戻すと、
F'(N)=W/P→F'(N)=ΔY/ΔN=W/P
☟
P=W(ΔN/ΔY)=(ΔWN)/ΔY
上式は、形こそ変わったが、元々「利潤最大化の条件式」でP=(ΔWN)/ΔYを満たす様なN(雇用労働者数)を選べば、其の企業の利潤が最大に成る。
「(ΔWN)/ΔY」は「WN(賃金×労働者の数☜人件費)が何れ位増えるか」を表してる。
✱ 此処では、機械等の生産設備や原材料等は一定と考え、生産量を増やした時に追加に掛かる金は、人件費だけとの仮定の下で話を進めて居る。従って、
「(ΔWN)/ΔY」=「限界費用(MC)」を表して居る。
✱ 「限界費用(MC)」: 「生産を増やした時に費用は何れ位増えるか」
✱ ミクロ経済学でも、「限界費用(MC)」の理論は、企業の利潤最大化の条件として使われて居る。
P=(ΔWN)/ΔY=MC(限界費用)が成立して最適な雇用量Nが決まる⇒生産量Yも決まる☜企業が最適な水準を選んでいるときは、常に価格P=МCと成る。
処で、此処では「労働の限界生産力(生産性)が逓減する」との限定の下で話を進めて来たが、此の限定の下で「限界費用は逓増する」ことに成るのだ。
労働の生産性(労働の限界生産力)が暫時減って行くと、同じ人件費を払っても、⇒出来る生産量はどん々減って、MCは増加する⇒商品の生産単価が高く成る。
⇩
グラフ化
☝
利潤最大化の条件(MC=P)は崩さ無いので⇒先程の総供給曲線のグラフと同じことに成る。
労働の最適雇用水準を考慮して決まった国民所得Yと物価Pの関係が「総供給曲線(AS曲線)」である。
総供給曲線(AS曲線)は、「物価水準が此れ位の時に総供給ASは此れ位に成る」という関係を示す👈だが、此れだけでは、「実際の物価や生産量が具体的に決まら無い。」⇒其れ等を決めるには別に「需要曲線」が必要と成る。
つ づ く
※ 本投稿文中の綴りや語句の使い方や理論分析の誤りは、適当に解釈して貰うか、コメント欄で指摘して頂きたい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます