私権の享有
1.胎児の権利能力
人は生まれた時から死ぬまで私権を有する(民法第1条1項)とされていている。私権とは、私法関係において認められる権利の総称。財産権・身分権・人格権・社員権などを言い、公権と対峙する概念である。 赤ちゃんのからだが母体から完全に露出したことを以って、人の出生とされている。詰まり、胎児には私権は認められていないのだ。但し、1.不法行為に基づく損害賠償権(民法721条)、 2.相続(民法886条)、 3.遺贈(民法965条)の三つの場合に限って、胎児は生まれたものと看做されている。しかし、 もし、胎児が死産した場合には、上の1から3の条文の規定は適用されない。
2.外国人の権利能力
外国人と雖も、私権は享有されるが法律や条例での制限を受ける(民法第1条2項)。
胎児に権利能力があるといっても、誰かが胎児に代わって権利を主張してあげなければなりません。胎児の権利能力の効力を暫定的なものとして,目出度く生まれてきてはじめて権利能力が確定する停止条件(民法第127条1項参照)付きのものとした有力な判例があるのだが、学説は胎児と雖も権利能力を有するのであるが、もし、不幸にも死産になった場合にはその効力を失うとする解除条件(民法第127条2項参照)付きのものだとしている。何れにしろ、条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない(民法第128条)のだが、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することはできる(民法第129条)のである。停止条件説を採った判例では「胎児の損害賠償請求権につき、母その他の親族が胎児のために加害者となした和解は胎児を拘束しない」と言っており、胎児に対する代理を、認めてはいません。これでは、態々特例として「胎児を生まれたもの」とした条文が形骸化してしまいます。そこで、学説は胎児の親権者となるべき母親等に胎児の親権を認めるためにも解除条件説を採用したのです。
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