動産質権の唯一無二の対抗要件は「継続占有」である。 此れは、「第三者対抗要件」である。
この条文の規定は、「第三者に対する質権の対抗要件」であり、質権者が占有を失ったからと言って、質権を失うものではない。
※「質権設定者や債務者」が占有をしている場合は、質権者はこれ等の者と対抗問題は生じない⇒これ等の者に質権者は質権に基づく引渡しを請求することが出来る。さらに、「質権設定者の承諾」を得て、質物を賃貸出来ることのように、代理占有も可である。
第三者に質権の目的動産を奪われたときは、「対抗要件」を失ってしまうので、質権に基づく返還請求は出来無い⇒「占有回収の訴」(200条)によって取り戻すことになる。
※盗難・遺失の場合 占有物回復請求権」(193条)によって、奪われた、或いは遺失した動産を取り戻すことが出来無い⇒判例
※第三者の詐取された場合 設定者の所有権に基づく返還請求権を「代位行使」することが出来る。
第三百五十四条 動産質権者は、その債権の弁済を受けないときは、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができる。この場合において、動産質権者は、あらかじめ、その請求をする旨を債務者に通知しなければならない。
この実行方法として、「民事執行法の手続き」によって、質物を「競売」する方法と、「簡便な方法」とがある。此の「簡便な方法」とは、目的物の価格が低く競売をしては損失が出てしまうなど、極めて不合理な結果が見えている場合、債務者に通知した上で裁判所に請求し実行するものである。
此れは、「指図による占有移転」等が行われている場合、動産質権が重複する場合がある。
宝の持ち腐れを防ぐ為、占有権を持つ質権者に質物である不動産の「使用収益権」を認めた規定である。
※不動産質権の効力発生用件⇒「引渡し」、対抗要件⇒「不動産登記簿への登記」 (=登記があれば占有を失っても安心)
賃貸物不動産について質権を設定する場合⇒質権設定者である賃貸人が質権者の承諾を得た上で、賃借人に対して賃借人に対して当該不動産を以降質権者の為に占有することを通知すること(=指図による占有移転)によって、質権者は占有を取得する。
※「用法に従って」⇒住宅建物を商店として使用することは認められない。
※第三者への賃貸、制限物権(地上権等)の設定もおこなえる。
※使用収益による利息は、動産質権のような計算は不要となる。
使用収益権があることでの代替処置である。官吏費用についても、質権設定者が払うことになる。しかし、この条文の規定は任意規定であるから、契約で此れを変えられる。
第三百五十九条 前三条の規定は、設定行為に別段の定めがあるとき、又は担保不動産収益執行(民事執行法 (昭和五十四年法律第四号)第百八十条第二号 に規定する担保不動産収益執行をいう。以下同じ。)の開始があったときは、適用しない。
前条解説の通り。
「担保不動産収益執行」(民事執行法180条2項)の実行開始⇒不動産質権者自らの「申し立て」が必要。同時に同人に優先する第三者による「申し立て」を利用することも出来るが、この場合に於いても同時に、同人自らも「申し立て」しなければならない。テナントなど多く入って収益を上げられるビルなどは、収益を狙った方が得になる。
存続期間の経過による消滅は、冬季抹消をしなくとも第三者に対抗できる。
※同一不動産上に質権が競合した場合には冬季の前後による。
※満期となった最後の2年分のみが範囲となる。
※代価弁済
※法定地上権
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