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憲法考第10回 第3章 国民の権利及び義務(その3)

2008-02-12 22:23:56 | 憲法考

自由・権利の保持責任、乱用の禁止、利用の責任

日本国憲法第12条 この憲法が國民に保障する自由および権利は、國民の不断の努力によって、これを保持しなければなら無い。又、國民は、國民はこれを濫用してはならないのであって、常に國民の福祉のためにこれ利用する責任を負う。

 憲法が國民に「保障する」自由及び権利・・・・と言う文言の「保障する」とは、「責任をもって、國民の自由や権利を守ること」と言う意味である。

 ここでの「自由」とは、「國民各個人の意思の赴く儘に行動できること」を言うと私は捉える。更に、「権利」とは、「ある利益を主張し、これを享受することのできる資格。社会的・道徳的正当性に裏づけられ、法律によって一定の主体、特に人に賦与される資格」とする。

 とすると、この条文の一段落目では、「この憲法の規定によって、國民は自分の意思通りに行動出来、自身の利益を主張し、その利益を受け得る資格を社会一般の道理に基づき、法律上も護られるべきものではあるが、権利や自由などは棚牡丹式に得られたものでは無く、人類の長い歴史的葛藤があって漸く勝ち取ったものなので、憲法で保障されているからといって、これらを保持するためには弛まぬ努力を惜しんではならず、努々受動的態度で望んではなら無いと肝に銘じなければなら無い」としているのだ。

 この条文の二段落目では、「國民の行動や主張は、社会的・道徳的正当性やこの憲法の意思を具現する法律から外れることを厳に慎まなければならず、社会の構成員に等しくもたらされるべき幸福との均衡を絶えず念頭において行われなければなら無い」と言うことを言っていると解する。

 この条文を適用した最高裁の判例としては、

①権利の行使にあたったとしても、喩えその目的が正当であっても、その手段が秩序を破り、他人の基本的人権も尊重しないときには、その行為は公共の福祉に反するものだ。

②憲法で保障された、所謂基本的人権も絶対のものでは無く、自己の自由意志に基づく特別な公法関係上または私法関係上の義務によって制約を受ける。

③憲法第三章にいう自由権的基本的人権の保障規定は、公権力(國や地方公共団体など)と個人との関係を規律するもので、私人相互の関係を直接規律することを予定するものでは無い。

 続 く


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