吐露と旅する

きっと明日はいい天気♪

いくじなし

2014-03-19 20:51:51 | インポート
雨の降る日のバスの車内。
始発からバスに乗り込んだ私は、空いている席に腰を下ろして
読みかけの文庫本を読んでいました。

2つ目か、3つ目のバス停でバスが停車したとき
何人かの人たちがバスに乗り込んできたので、私は顔を上げました。

    うわ…。

一番向こうの、運転席の近くに、80歳は過ぎていると思われる、高齢のおばあちゃん。
そのおばあちゃんより少し手前に、70代半ばくらいと思われるおじいちゃん。
そして、そのもっと手前に、小さな子供を連れたお母さん。
更に、もっと手前に、スマホを手にしたギャル。
ギャルは、席が空いたら直ぐに座ろうという「イス取りゲーム」の雰囲気満々。

私が声を掛けて席を譲りたいのは、一番向こうのおばあちゃんなわけだけれど
声を掛けるには距離がありすぎるので、おじいちゃんでも構わない。
でも、おじいちゃんに声を掛けるには、お母さんを見なかったことにしなければならない。
でも、彼らと私の間には、ギャルがおる。
私が席を立った瞬間に、ギャルが素早くイス取りをしてしまうかもしれない。

しかし、そもそもこの席は、私のものではないのだから
バスを利用する、全ての人に腰をおろす権利がある。
スマホギャルも例外ではない。

どうする。
どうする、自分!?




結局、どうすることも出来ずに、座り心地の悪い席に座り続けた私は、いくじなしだ。