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昨日の朝、スマホを落としてしまいました。
朝の出勤途中での出来事です。
勤め先の、3階にある更衣室で、リュックから店内用のバッグに荷物を入れ換える時に気付いたのですが
真っ先に思ったのは、落とした場所。
もしかしたら、いつものうっかりで、家に忘れてきたのかもしれない。
それなら、1日くらいスマホなしでも不便はない。
でも、もし出勤途中に落としたのなら大変です。
壊れるとか、紛失する程度なら、自己責任でどうにかしますが
スマホには、家族や友人、知人の電話番号やメールアドレスが登録されています。
心悪しき人が拾って、それらを悪用したら...。
幸い、私は実際のシフトよりも早めに出勤することにしているので
実際のシフトまでには、まだ時間があります。
私は、急いで更衣室から飛び出しました。
運が良ければ、廊下や階段に落ちているかもしれません。
ひょっとしたら、従業員出入口の保安のおじさんが預かってくれているかもしれません。
でも、何処にもありません。
じゃあ、やっぱり外か。
まだ日が昇り切らない、寒くて薄暗い空の下。
しかも、つるつる滑る凍結した道路。
さっき歩いてきたばかりの道を走って戻りながら、私はスマホを探しました。
でも、何処にもありません。
誰かに拾われるくらいなら、いっそ車の下敷きになって壊れていれば良いのに。
そんなことを考えながら、とうとう私は家に着いてしまいました。
真冬だというのに、コートの中は汗だくです。
お願いだから、家の中に...。
まだ家にいた旦那さまとさっちゃんは、急に私が戻ってきたのでぶっくりです。
でも、勘の良いさっちゃんは、直ぐに私が何か忘れ物をしたに違いないと察したようで
テーブルの上や、パソコン周辺を、きょろきょろと見て歩きました。
そうです。
私がスマホを起きっぱなしにするのは、大抵その辺りなのです。
さっちゃんは、(...?)といった表情で、私を見ました。
探しているものが、見当たらないのです。
やっぱり、落としたんだ...。
私は、旦那さまに頼んで
取り敢えず au に連絡をして、スマホが使用を止めてもらうことにしました。
無いものは、無い。
私はもう一度勤め先に向かい、大急ぎで着替え、いつも通りに...
いつもより30分ほど遅く出勤しました。
いつもより遅い私の登場に、しかも、約30分走り続けたせいで、顔がほてって紅潮している私に
お店の人たちが心配して
「具合でも悪いの?」
と、聞いてきました。
具合はちっとも悪くないのですが、状況は極めてよろしくありません。
でも、そんなことぐらいで集中力を欠いてはいけません。
と、いうか、お仕事をする上で、とても不謹慎な話しはありますが
お仕事をしていることで、色々と良くない展開を考えてしまう不安が、少し紛れたのは事実です。
お仕事が終わってから、もう一度従業員出入口の保安のおじさんのところへ行って
スマホの落とし物がなかったか確認しましたが
やはり無し。
総務部に届く場合もあるので、総務部にも確認に行きましたが
やはり無し。
スマホを落としたのでは思われる区域から、最寄りの派出所までは少し距離があるので
取り敢えず、朝方一番人の通行量の多い、JRの駅の窓口にも聞いてみましたが
やはり無し。
さて、どうする。
区の警察に電話をしようか。
でも、もしかしたら、後でやっぱり自宅内で旦那さまかさっちゃんがスマホを見付けて
でも、肝心のスマホの持ち主(私)に連絡が取れないとおうことも有り得ます。
では、旦那さまに連絡をしてみよう。
私の頭の中のアドレス帳には、自宅と実家と旦那さまの電話番号しか登録されていませんが
(容量の問題で、それ以上は無理らしい)
緊急時には、一応なんとかなるシステムになっている様です。
しかし。
今度は、公衆電話が見当たらない。
そう言えば、携帯電話が普及して以来、公衆電話の利用率が激減したため
NTTが公衆電話を撤収しているって、以前ニュースでやっていたっけ。
だからって、駅の構内から撤収しなくても良いじゃないか。
ぶー、ぶー、ぶー。
そして、やっと見付けた緑色の公衆電話。
なんだかやけに懐かしい気がするぜ。
昔むかし、旦那さまとまだ彼氏と彼女だった頃
公衆電話から彼の家に電話をかけて、喧嘩をしたことがあったっけ。
原因と内容は全く覚えていないけれど、ありったけの10円玉をそそぎ込んで怒りをぶちまけ
最後の10円玉を知らせる、「プー」という通知音が聞こえても文句を言い続け
言葉の途中で電話が切れると
そんなに頭に来ているなら、そのまま会話と共にお付き合いも終了すればよいものを
10円玉を失ったお財布の中から、わざわざ100円玉をほじくり出して電話機に放り込み
再び電話を掛けると、律儀なことに彼も出る。
アホか、当時の我々。
とかなんとか、香ばしい思い出とともに、公衆電話から旦那さまに電話をすると
相手が私だと分かるなり、旦那さまが言いました。
「携帯、見付かったよ」
あっ、やっぱりあれから家の中で見付かったんだ。
良かったー。
と、安心したのも束の間
「 I 先生が電話をくれて」
「え?」
話が、見えない。
「 I 先生」
「それは分かるけど、なんで I 先生が出てくるの?」
妄想癖のある私の頭の中では、冬の、寒くて薄暗い雪の道
たまたま通り掛かった I 先生が
偶然、私が落とした携帯電話を拾い
待受画面の、可愛い可愛いさっちゃんの画像を見て
「おや、これはさとみではないか!」
と、親切にスマホを派出所に届ける姿が思い浮かびました。
いや、ちょっと待て。
I 先生なら、そもそも自宅の場所も電話番号も知っているし、旦那さまの連絡先も知っている(はず)
私の勤め先も知っているのだから、わざわざそんな回りくどいことなどしないだろう。
更に、 I 先生は車で移動することが多いのに
何が悲しくて、真冬の早朝にあんなところを歩かなければならないのか。
「ゆうこ、 I 先生のことを、『兄貴』で携帯に登録してない?」
ざーーーー(←血の気が引く音)
「誰かがゆうこの携帯を拾って、警察に届けてくれたんだけど
警察で、アドレス帳に『兄貴』で登録してあるから、お兄さんだと思って
I 先生に連絡が入ったみたいだよ」
ま…、まずい…。
非常に、まずい。
私は、スマホに友人、知人を登録するときは
今回のように、落としたり、紛失したときのことを考えて
家族以外は、性別や職業がうやむやになるように
苗字のみ、または、私が相手に抱いているイメージやあだ名で登録しているのですが
もちろん、いちいち相手にそんなことは伝えていません。
つまり、私は、これまでの I 先生とさっちゃんや私たち家族とこれまでの色々な出来事から
I 先生に対して、図々しくも、「頼りになるお兄さん」のようなイメージを持っているわけで
I 先生の電話番号やメールアドレスを、自分のスマホに「兄貴」として登録していたのです。
それが、ばれた。
さて、遺失物(落とし物、または忘れ物等のこと)を受け取った区の警察署。
落とし主に連絡をするために、アドレス帳を確認したのでしょう。
それは、【あ行】から。
そして、直ぐに見付かった「兄貴」
そりゃー、身内だと思うわな。
そして、警察署からいきなり電話を受けた I 先生 。
「妹さんが、携帯を落とされたようで...」
さぞかし、驚かれたことでしょう。
何故なら、 I 先生には、妹さんがいないからです。
当然、「私には妹はおりません」と答えたそうです。
次に驚くのは、電話をした警察の方でしょう。
でも、流石 I 先生、こんな奇妙なことをしでかす奴は...
もしかして...。
と、思い当たったのが、私。
どビンゴ。
お見事です、 I 先生!
こうして、 I 先生が旦那さまに連絡を取ってくれたお陰で
私は、旦那さまからスマホの無事を知ることが出来たのです。
こうして私は、午後には無事にスマホを受け取ることが出来ました。
安心すると、お腹が減るものです。
私は、警察署から歩いて15分ほどの場所にある、本格カレーのお店に行くことにしました。
いつも確実に暇そうなのに潰れない、なんだか気になるこのお店は
自宅と警察署の中間ほどに位置していて
駅からは少し距離があるため、カレー好きの私でも、なかなか行こうという気持ちが起こらないのです。
それでも、バスに乗ってお店の前を通過するときに
「なんだか気になる...」
と、そんな気持ちになってしまうお店なのです。
ドアを開けて中に入ると、お客はひとりもいません。
窓が少ないせいなのか、照明のせいなのか、昼でありながら変に薄暗い。
人気がなく、薄暗い店内に、細くてのっぽの男性と
背の低い、栄養状態の良い子供みたいな男性がふたり。
褐色の肌に、彫りの深いはっきりとした顔立ちは、そちらの国の人であろうと思われます。
ああ、「やっぱり」な感じ。
私が好きな、ほうれん草を使ったペースト状の「カレー」があったので、それを注文して
カレーとセットになっているナン以外に、ナンに野菜ペーストが入った、アルパロタも注文して
そう言えば、もう何時間も、ずっとお手洗いに行っていなかったことを思い出した私は
お店のお手洗いに入りました。
そして、個室に入った私は…。
目を、疑いました。
べべべ便器の中に、「大」がっ!
マジかー!?
カレー屋でコレかー!?
なんだかもう、不愉快を通り越して、声に出して笑っちゃいました。
まー、水洗ですし、流せば無かったことになるわけで。
こうして私は、何も見なかったことにして用を済ませ
ほうれん草とチキンのサグカレーを美味しく完食したのでした。
帰宅後、自宅の電話機を見ると、留守番電話のランプが点滅しています。
用件は、2件。
1件は I 先生からで、警察署から電話が来たことを伝えるもので
もう1件は...。
「もしもし、お父さんです
昼頃、お母さんの携帯に警察署というところから電話が来て
娘さんが携帯を落としたと思うのですが、ご本人と連絡を取ることは出来ますか? と言われたんだけど
何か思い当たることはありますか?」
警察は、 I 先生が身内ではなかったので、【あ行】で次に身内っぽい 、お母さんに連絡をした様です。
ところが、母は、「もしかして、これが噂のオレオレサギ!?」と、思ったらしく
「そんな人、知りません!」と、突っぱねたそうです。
父にしても、「警察署というところから」という辺り、母と同じ考えだったのでしょう。
ある意味正しい判断だけれど、お陰で警察はますます混乱したに違いありません。
実家の両親に、迷惑を掛けて申し訳ないと謝って電話を切ったあと
私は、 I 先生にも電話をして、まるで本人が目の前にいるかのように、全身でごめんなさいをしました。
I 先生は、笑っていましたけど、恥ずかしいやら、申し訳ないやら。
そして夜。
あくゆーずから緊急消臭(ちがうわ!)緊急召集を受けて、いつもの居酒屋に行った私は
早速、本日の仕入れたてのネタとして
携帯電話を落としてから I 先生に連絡をふるまでと
カレーのお店のお手洗いの事件を話して
みんなでゲラゲラと笑って、1日のトホホを流し、無理矢理「無かったこと」にしたのでした。