ボッコは水泳選手。
小1の時からプールに通いはじめて、
2、3年生で、選手育成コース。
4、5年生で、選手コースで、毎日、毎日練習をしてきた。
選手は、辛いんだ。
毎日プレッシャーの連続だったんだ。
去年の夏は、全国大会でリレーに出るっていうんで、
大きな目標が目の前だったから、ものすごく辛い練習も、乗り越えられたんだね。
でも、
いろんなことがあったからね。
私のこともそう。
地震で不安になったのもそう。
春に兄さん達が上のクラスに行っちゃったのもあるかな。
それよりも、なによりも、
このところ、コーチがすごく怖かったんだ。
機嫌が悪かったように感じた。
ボッコには特に厳しくあたってたと思う。
ボッコは、のんびりした子だから、きっとイライラされたんだろうな。
イライラをぶつけてくるコーチだったと思う。
でも、コーチのせいじゃない。
そういうスイミングスクールだってわかっていて、続けていたんだから。
ボッコが耐えられなくなっちゃったっていう訳だ。
こないだの月曜日、いつものように練習が終わって家に帰ったんだ。
いつもより、強く怒られたようで、車でぐったりしてた。
がんばって泳いでも、言われたとおりのタイムがでなかったら、
めちゃくちゃ怖い顔できつい言葉を言われる。
でも、そういう愚痴はボッコからは聞いたことがない。
全部、近くにいた選手から聞いてる。
ひどいイヤミ混じりの罵声が掛けられる。
その日、様子が変になっちゃったんだ。
瞳孔が開いたままのような感じ。
ずっと目がぱっちり。
でも、私と目がまったく合わない。
それでも一生懸命、受け答えをしようとしている。
「どうしたの?」
「なんでもないよ。大丈夫だよ」
「大丈夫?」
「うん。大丈夫」
それからは、何をきいても、「大丈夫」「大丈夫」「大丈夫」
目が合わないし、目が開きっぱなしだ。
おどおどした様子もある。
でも、「なんともないよ」「なにもないよ」「大丈夫」
明らかにおかしい。
変だ。
これは大変なことになっちゃった。
すっごく心配になっちゃったよ。
ご飯は食べた。
それも、「食べなくちゃね」って。
お風呂だよって言ったら「お風呂入らなくちゃね」
「大丈夫」「大丈夫」
ボッコが壊れちゃう。
大変。
だめだ。きっと、プール、限界なんだ。
調子が戻らないまま、布団に入って、寝ちゃおうとするから、
これはこのまま寝たら、ココロがどうにかなっちゃうんじゃないかと心配になって、
寝そうなところをゆすって起こしたんだ。
「寝ないで、お話しよう」って。
ふっと、ほどけたみたい。
急にベッドの上に座り込んで、ぽろぽろ涙をこぼしだしたんだ。
正気に戻った。
ほっとしたー。
ここのところ、プールに行く前に緊張してか、よくお腹をこわしてたんだ。
プールに行っても、吐いちゃったり、お腹こわしたりで、途中トイレに行って・・・
そうすると、「帰れ」って言われたり、立たされてたり、
余計に辛くなるよね。
ますます、緊張するようになる。
ボッコが言っていた。
「他の人は、怒られると速くなるんだけど、僕は怒られると遅くなっちゃうんだ」
コーチがストップウォッチ持ったら、50メートル、制限タイム以内で泳がないとだめなんだ。
超えちゃうと、ひどく怒られるんだ。
ココロが萎縮しちゃうんだと思うよ。
緊張しちゃうんだろうね。
だって、怖かったんだから。
「明日、一緒に考えよう」って、その日は寝た。
で、火曜日。
違うスイミングの選手の母友と、お昼食べながら、お話し聞いてもらったんだ。
無理させたら、ボッコが壊れちゃうねって。
決めた。
やめよう。
ボッコが学校から帰ってくるのを、途中の道まで迎えに出て、
遠くからボッコが歩いてくるのが見えたんで、
駆けてったんだ。
「ボッコー!プール、やめちゃおう!!」
そしたらね、
ボッコ、にーーっこり、笑ったんだ。
うれしそうに、飛び跳ねてたんだ。
でね、家に帰ってから、夕方、
「やめていいって言ってくれてありがとう」なんて、言われちゃった。
その日は、スクールさぼって、
ちょっと遠い・・・って言っても、空いてれば15分ぐらいで行けちゃうプールに、
一緒に行ってきちゃった。
うん。
いつものプールはさぼっても、しっかり、泳ぎには行っていたのだ-。
プレッシャーもなく、自由に、楽しそうに泳いでたよ。
そして、次の日。水曜日。
夕方、親子そろって、退会。
校長先生にご挨拶してきた。
理由は・・・・
コーチへの愚痴は言わず、
「ボッコがついていけなくなりました」
私もコーチへのものすごい不満があったんだけど、
ひどいことされたからね。
でも、何も言わず・・・
だって、そういうプールなんだもの。言っても仕方がないことだから。
二人で、「さようなら」
さっぱりした。
すっごくお世話になったけど、
すっごくいためつけられたのも本当。
親子そろってね。
ココロの成長に、ぜったいによくないと思ったんだもの。
私のココロに、ものすごく悪い影響があったんだもの。
これでいいんだ。
その日も、違うプールに行って、一緒に泳いで来たんだ。
それから、その次の日も。次の日も。昨日も。
ボッコは、泳ぎをやめたいわけじゃなくて、
あのコーチのところにはいられなくなっただけだからね。
選手は続けるって。
来月ぐらいから、所属変えて、違うスクールに通うようになると思う。
それまで、カラダがなまらないように、毎日自主トレしてるんだ。
せっかく行くんだから、私も・・・って、
ついつい、毎日泳いでいるよ。
夜は空いているプールなんだ。
たっぷり泳げる。
いつか、どや顔して、大会に出るようになるもんね。
いやしかし、
親子同じ時に、壊れかけのココロ。
なんとかつなぎ合わせたけど、あぶなかったな。
いろんな子どもがいるじゃんか。
「なにくそっ」って思って強くなる子もいるかもしれないけど、
毎日、だめ、だめ、ボケ、ボケ言われてたら、萎縮してしまう子もいるんだよ。
弱い子、甘えてる子はだめだっていうんなら、
ああ。やめて正解だよ。
きっと、ボッコの人格を認めてくれるコーチに会えるはずだ。
人には個性があるってことを知っているコーチに会えるはず。
人格を無視するな。
個性を認めろ。
それを生かす教育をしろ。
コーチたるもの、教育者だろ。
尊敬できる人であってほしい。
尊敬、まったくできない。
さようなら。
小1の時からプールに通いはじめて、
2、3年生で、選手育成コース。
4、5年生で、選手コースで、毎日、毎日練習をしてきた。
選手は、辛いんだ。
毎日プレッシャーの連続だったんだ。
去年の夏は、全国大会でリレーに出るっていうんで、
大きな目標が目の前だったから、ものすごく辛い練習も、乗り越えられたんだね。
でも、
いろんなことがあったからね。
私のこともそう。
地震で不安になったのもそう。
春に兄さん達が上のクラスに行っちゃったのもあるかな。
それよりも、なによりも、
このところ、コーチがすごく怖かったんだ。
機嫌が悪かったように感じた。
ボッコには特に厳しくあたってたと思う。
ボッコは、のんびりした子だから、きっとイライラされたんだろうな。
イライラをぶつけてくるコーチだったと思う。
でも、コーチのせいじゃない。
そういうスイミングスクールだってわかっていて、続けていたんだから。
ボッコが耐えられなくなっちゃったっていう訳だ。
こないだの月曜日、いつものように練習が終わって家に帰ったんだ。
いつもより、強く怒られたようで、車でぐったりしてた。
がんばって泳いでも、言われたとおりのタイムがでなかったら、
めちゃくちゃ怖い顔できつい言葉を言われる。
でも、そういう愚痴はボッコからは聞いたことがない。
全部、近くにいた選手から聞いてる。
ひどいイヤミ混じりの罵声が掛けられる。
その日、様子が変になっちゃったんだ。
瞳孔が開いたままのような感じ。
ずっと目がぱっちり。
でも、私と目がまったく合わない。
それでも一生懸命、受け答えをしようとしている。
「どうしたの?」
「なんでもないよ。大丈夫だよ」
「大丈夫?」
「うん。大丈夫」
それからは、何をきいても、「大丈夫」「大丈夫」「大丈夫」
目が合わないし、目が開きっぱなしだ。
おどおどした様子もある。
でも、「なんともないよ」「なにもないよ」「大丈夫」
明らかにおかしい。
変だ。
これは大変なことになっちゃった。
すっごく心配になっちゃったよ。
ご飯は食べた。
それも、「食べなくちゃね」って。
お風呂だよって言ったら「お風呂入らなくちゃね」
「大丈夫」「大丈夫」
ボッコが壊れちゃう。
大変。
だめだ。きっと、プール、限界なんだ。
調子が戻らないまま、布団に入って、寝ちゃおうとするから、
これはこのまま寝たら、ココロがどうにかなっちゃうんじゃないかと心配になって、
寝そうなところをゆすって起こしたんだ。
「寝ないで、お話しよう」って。
ふっと、ほどけたみたい。
急にベッドの上に座り込んで、ぽろぽろ涙をこぼしだしたんだ。
正気に戻った。
ほっとしたー。
ここのところ、プールに行く前に緊張してか、よくお腹をこわしてたんだ。
プールに行っても、吐いちゃったり、お腹こわしたりで、途中トイレに行って・・・
そうすると、「帰れ」って言われたり、立たされてたり、
余計に辛くなるよね。
ますます、緊張するようになる。
ボッコが言っていた。
「他の人は、怒られると速くなるんだけど、僕は怒られると遅くなっちゃうんだ」
コーチがストップウォッチ持ったら、50メートル、制限タイム以内で泳がないとだめなんだ。
超えちゃうと、ひどく怒られるんだ。
ココロが萎縮しちゃうんだと思うよ。
緊張しちゃうんだろうね。
だって、怖かったんだから。
「明日、一緒に考えよう」って、その日は寝た。
で、火曜日。
違うスイミングの選手の母友と、お昼食べながら、お話し聞いてもらったんだ。
無理させたら、ボッコが壊れちゃうねって。
決めた。
やめよう。
ボッコが学校から帰ってくるのを、途中の道まで迎えに出て、
遠くからボッコが歩いてくるのが見えたんで、
駆けてったんだ。
「ボッコー!プール、やめちゃおう!!」
そしたらね、
ボッコ、にーーっこり、笑ったんだ。
うれしそうに、飛び跳ねてたんだ。
でね、家に帰ってから、夕方、
「やめていいって言ってくれてありがとう」なんて、言われちゃった。
その日は、スクールさぼって、
ちょっと遠い・・・って言っても、空いてれば15分ぐらいで行けちゃうプールに、
一緒に行ってきちゃった。
うん。
いつものプールはさぼっても、しっかり、泳ぎには行っていたのだ-。
プレッシャーもなく、自由に、楽しそうに泳いでたよ。
そして、次の日。水曜日。
夕方、親子そろって、退会。
校長先生にご挨拶してきた。
理由は・・・・
コーチへの愚痴は言わず、
「ボッコがついていけなくなりました」
私もコーチへのものすごい不満があったんだけど、
ひどいことされたからね。
でも、何も言わず・・・
だって、そういうプールなんだもの。言っても仕方がないことだから。
二人で、「さようなら」
さっぱりした。
すっごくお世話になったけど、
すっごくいためつけられたのも本当。
親子そろってね。
ココロの成長に、ぜったいによくないと思ったんだもの。
私のココロに、ものすごく悪い影響があったんだもの。
これでいいんだ。
その日も、違うプールに行って、一緒に泳いで来たんだ。
それから、その次の日も。次の日も。昨日も。
ボッコは、泳ぎをやめたいわけじゃなくて、
あのコーチのところにはいられなくなっただけだからね。
選手は続けるって。
来月ぐらいから、所属変えて、違うスクールに通うようになると思う。
それまで、カラダがなまらないように、毎日自主トレしてるんだ。
せっかく行くんだから、私も・・・って、
ついつい、毎日泳いでいるよ。
夜は空いているプールなんだ。
たっぷり泳げる。
いつか、どや顔して、大会に出るようになるもんね。
いやしかし、
親子同じ時に、壊れかけのココロ。
なんとかつなぎ合わせたけど、あぶなかったな。
いろんな子どもがいるじゃんか。
「なにくそっ」って思って強くなる子もいるかもしれないけど、
毎日、だめ、だめ、ボケ、ボケ言われてたら、萎縮してしまう子もいるんだよ。
弱い子、甘えてる子はだめだっていうんなら、
ああ。やめて正解だよ。
きっと、ボッコの人格を認めてくれるコーチに会えるはずだ。
人には個性があるってことを知っているコーチに会えるはず。
人格を無視するな。
個性を認めろ。
それを生かす教育をしろ。
コーチたるもの、教育者だろ。
尊敬できる人であってほしい。
尊敬、まったくできない。
さようなら。
そんな事があったんですね!
確かに続けることは大事だけど 間違っていると気づけば方向転換も大事。
のびちゃんは子供さん達の事をほんとよく見てますね。
そしていつも子ども目線で考えてあげることのできるお母さん 。
普段は 甘えん坊のよわっちい泣き虫母さんでも いざというときはとっても頼りがいのある肝っ玉母さんに変身。
皆いい子に育つはずですね!
スクールを止めるときも コーチの不満も言わずに止めるなんて なんと潔い事。
きっとボッコちゃんのこと理解してくれるコーチに出会えるはず。
そして 今までの経験がきっと役に立つはず。
ガンバレボッコちゃん!
ガンバレのびちゃん!
のびちゃん。
とっても心配していたよ
いろいろあったんだね。
再び、ボッコちゃんと一緒に歩き出したようでホッとしました。
私だったら、のびちゃんと同じ行動を
とれるのか?
そんなことを考えさせられたよ。
いつも子供の目線で考えるのびちゃんの
足元にも及ばないけどね。
手探りだったり、
思いつきだったり、
ぴーんときたり、
そんな風に子どもと付き合っているんだけど、
いいのかなぁ。
肝っ玉母さんに、なれてたのかなぁ。
自信ないですよぉ。
これでよかったのか、どうなのか、
今後どうなるのか、わからないまま、過ごしてます。
でも、笑顔が増えた・・・
ってか、すごくおしゃべりでうるさくなったボッコを見ていると、
よかったんだな~って思いました。
けらけら、ずっと笑ってますよー!
ごめんにょ。
足元にもにもなんて・・・そんなぁ。
そんなことあるわけないっしょ。
・・・・
今度、ケーキおごります。(笑)