現在は、もはや電子メールはビジネスにはなくてはならないものであり、どこの会社も仕事でメールを使うのは通常のことといえます。
一方で、従業員が私的に社内で電子メールを利用して問題になることもあります。
そのため、会社によっては、従業員の電子メールの監視・閲覧等をするところもあるかと思います。
ただこの場合、実は、従業員のプライバシーもあるので、争いになるケースがあります。
たとえば、社内の鍵つき貸しロッカーの中を勝手に見られたらさすがにプライバシー侵害と思えますが、それと同じ問題であるという話になるわけです。
もっとも、裁判所では、プライバシー侵害を直ちには認めません。もともとビジネスへの利用であり、サーバー領域の貸与にすぎず、手段が相当である限りはプライバシー侵害とは認定されません傾向にあります。
モニタリングも含め、基本的には、プライバシーの侵害にあたらないとすることが多いとは思いますが、やはり就業規則上の電子メール利用規則やモニタリング等の告知など私的利用させない環境づくりとその徹底が必要だと思います。
こうした問題については、従前の「労働者の個人情報保護に関する行動指針」(平成12年旧労働省)「や「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針について」(平成16年7月厚生労働省)が参考になります。
結局は、過度の干渉はまずいとされ、私用防止という目的を達成するのに必要最低限度の範囲でという話しになります。
なお、こうした電子メールの私的利用は、もともとウィルス感染のおそれや業務停滞につながるから制限するという話であったとおもいます。
このうち、ウィルス感染防止という点では、最近では、電子メールの利用だけでなく、やはりPC周辺機器全般に対して配慮を行っていくべきあるとは思います。
ちょっと前には、USBから感染するウィルスもはやった時期がありましたが、最近の新しいところでスマートフォンのウィスルという話もあるぐらいです。
iPadも含め、今や電子端末を持っている人はかなりいて、しかも1台ではないという状況にもなっています。
こうした端末を利用して、会社PCにウィルスを感染させてしまうことも十分にありえます。
利用規則とその周知徹底はきちんとしておく必要がありますね。