経営法務研究室2023

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所得税基本通達26-9(建物の貸付けが事業として行われているかどうかの判定)

2015-07-03 | その他


 大家さんが、確定申告する際、青色申告を考える人がいますが、全ての大家さんが同じように、青色申告を利用できるかというとそうではありません。

 大家さんが、貸している建物の規模によります。

 いわゆる5棟10室基準というものです。これは、所得税法基本通達26-9で整理をしています。



所得税基本通達26-9は、建物の貸付けが事業として行われているかどうかの判定について定めています。

『 26-9 建物の貸付けが不動産所得を生ずべき事業として行われているかどうかは、社会通念上事業と称するに至る程度の規模で建物の貸付けを行っているかどうかにより判定すべきであるが、次に掲げる事実のいずれか一に該当する場合又は賃貸料の収入の状況、貸付資産の管理の状況等からみてこれらの場合に準ずる事情があると認められる場合には、特に反証がない限り、事業として行われているものとする。

(1) 貸間、アパート等については、貸与することができる独立した室数がおおむね10以上であること。

(2) 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。                            』


所得税において「事業」レベルの建物の貸付けとそうではないレベルの建物の貸付けが区別されているのです。

これは、例えば、青色申告控除についていえば、「事業」的規模ならば65万円であるところ、そこまでに至らない規模ならば10万円となるという点などに具体的な違いとなってあらわれます。


その他にも「事業」的規模なら適用がありますが、それに至らない規模なら適用できない規定があります。

●青色申告控除を65万円(複式簿記による記帳が前提)
●賃貸料の不払いによる貸倒損失の計上
●災害による資産の滅失損等の計上
●青色事業専従者給与(事業専従者給与)の計上
●不動産所得について損失が生じた際に他の所得との損益通算
など


一応の目安に過ぎませんし、細かいところでは、他の基準により、5棟10室未満でも、「事業」的規模と扱われるケースもありますが、あくまでも基本的な整理として、上記基準があるということです。