よみがえるケインズ

ケインズの一般理論を基に日本の現代資本主義を読み解いています。
カテゴリーが多岐に渡りすぎて整理を検討中。

景気指標としての正社員新規求人件数 1/2

2024年04月22日 | 日本経済を読む
3月の米雇用統計 就業者数 前月より増加 市場予想を上回る NHK

 アメリカの3月の雇用統計が発表され、農業分野以外の就業者は前の月より30万3000人増加し、市場予想を上回りました。インフレの要因となってきた人手不足が依然として続いていることが示された形です。
 アメリカ労働省が5日発表した3月の雇用統計によりますと、農業分野以外の就業者は前の月と比べて30万3000人増加しました。21万人程度を見込んでいた市場の予想を上回りました。また失業率は前の月から0.1ポイント下がって3.8%となりました。
 労働者の平均時給は、前の年の同じ月と比べて4.1%、前の月と比べて0.3%それぞれ増加しました。
 アメリカではインフレは鈍化傾向となっていますが、その要因となってきた人手不足が依然として続いていて、雇用が強い状況が示された形です。
 FRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長は、利下げを急ぐ必要はないという認識を繰り返し示しています。
 市場ではこの雇用統計の発表を受けて利下げの時期が遅れるとの見方が広がりました。
 来週10日には消費者物価指数の発表が予定されていて、FRBの政策判断を見通す上で注目されそうです。



 アメリカの雇用統計は景気の指標として活用されている。就業者数が景気に敏感に反応するからだ。大統領選挙の時も現職は在任中に○○人の職を作ったと誇示し、対立候補は自分ならもっと作り出せるという。

 ひるがえって日本では景気の指標として雇用統計はあまり問題とされず、選挙でも触れられることはない。

 なぜだろうか?

 一つには政府が仕事を作るということに対するネガティブな印象があるように思う。その意味では日本はアメリカよりも新自由主義なのかもしれない。

 もう一つには日本では雇用統計が景気の指標となりにくいと思われていることがある。例えば景気が落ち込むほど就業者数は増える。これは家計補助的な労働の需要が高まるからだ。「夫の賃金が上がらないからパートに出る」という構造である。

 家計所得を維持するために労働市場に参入する人が増える。これが単純な就業者数が景気を表さない原因の大きな一つである。

では日本では雇用統計は意味がないのだろうか。もちろんそんなことはない。


正社員の新規求人件数は景気の指標として使いやすく正確である


 職業安定業務統計には「正社員の新規求人件数」という調査項目がある。職業安定業務統計はハローワーク窓口の取扱件数を集計したものである。新規とは過去一か月間に新規に集計された件数を表す。つまり正社員新規求人件数とは過去一か月間に何件正社員の募集が増えたかという数字だ。もちろん求人が満たされて取り下げらる件数も多いから単純には増えていかない。

 下の図は2012年からの新規求人件数の推移である。東日本大震災での落ち込みから回復過程とコロナでの落ち込みとその後の回復を表している。



 これが何を表しているのかは次回に回したい。



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