十二月六日、警視庁は、教え子の女子柔道部員に酒を飲ませて暴行したとして、アテネ、北京両五輪の男子柔道金メダリスト(北京五輪の表彰台で金メダルをかざす内柴選手の写真は、<asahi. com 08.8.11 03:02>から転載)の内柴正人容疑者を準強姦の疑いで逮捕した。同容疑者は、「今年1月に九州看護福祉大(熊本県玉名市)の客員教授に就任したが、合宿先のホテルで未成年の女子部員にセクハラ行為に及んだとして11月29日に懲戒解雇」(12月6日付『北海道新聞』夕刊・第1面)処分を受けていた。
本人は「合意だった」と主張しているようだが、飲酒で意識朦朧とした未成年を相手に合意もヘチマもなかろう。一義的には内柴容疑者個人の不祥事ではあるが、平生の女癖の悪さを知ってか知らずか、人柄を確かめもせず過去の栄光だけで、女子柔道部を指導するコーチから特任教授に任用した大学の責任も大きいと言わざるを得ない。懲戒免職処分にすれば一件落着、とはいかない。
柔道に限らず、異性を教える指導者には周囲から誤解を招かないように細心の配慮が求められる。欠点を有しない完全無欠の人間は存在しないが、破廉恥事件を起こすような重大な欠陥を有する人間が他人に<道>を教える資格はない。「全柔連や講道館は事件の進展を見た上で、指導者登録や段位の扱いを検討する」(12月7日付『讀賣新聞』第26面)というが、礼節を重んじる<道>としての柔道のイメージダウンは免れない。今後、女子柔道の指導のあり方が問われることになる。
内柴容疑者の出身地の熊本県では、授与した二つの県民栄誉賞を取り消し、受賞を記念した県庁内植樹の名前入りの二つの標石を撤去すると発表している。県の面汚しを県民はさぞかし苦々しく思っていることだろう。
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