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嘉心の薄皮の桜餅は父の好物だった
父の最後の誕生日に苫小牧に行く前に買って行った
面倒だからやめようかと思ったけど万が一最後になったら後悔するって思って買って苫小牧に行くと案の定、父が喜んで母に渡すのも惜しんで1人で食べてたっけ
もし、父が生きていたらだいとのランドセル姿を見て3人にランドセルを買ってあげられたことを満足しただろう
2人が野球を始めたと聞いたらきっとカメラを持って練習を見に来たに違いない
母にはコロナのせいでしばらく会えていない
施設で何もかも忘れてもう自分が誰かもわからなくなっているらしい
もうわたしのこと完全に忘れた
生きているのに親に忘れられてしまうことは悲しい
母の晩年がこんなことになるとは想像していなかった
母を思う度辛くなる
母をこんなふうにしてしまったことは自分にも責任があるのではないか
父に対して後悔しないようにできるだけのことをしてきたのに
私は母が亡くなったら何もできなかった自分に後悔するだろうと思う
忘れられた今となってはもう家に連れて帰る事も出来なくなったのだから