ラジヘリ空撮

空撮用マテリアルの開発状況に係る情報発信や、現場での出来事及び、日常の情報発信を致します。

業務用の機体強度に付いて・・・パート5

2012-02-10 04:45:04 | マテリアル
また~・・・前回の続きである。

途中、気まぐれから・・・・違う話題で投稿したので・・・あの記事はもう終了したの?
と、思われた方もいるのでは無いかと思う。

前回の話では・・・大脱線して修復不能になってしまったので途中で止めざるを得なかった・・・反省。

因って、これからは、あまり脱線しない様に・・・減速比の話に戻したいと思う。

前回は確か・・・29ccに排気量を上げた事でエンジンのパワーが上がった・・・。

パワーが上がった分、ギヤ比を変更してバランスを取る必要があると言う様な話だったかと思う。


ヘリカルギヤを使用した場合、既に製作してしまった強化フレームに新たな加工を施す事無く、
使用する事の出来るギヤの歯数は、84枚である事は既に説明した。

その場合の減速比は、7.64:1になる。

メインローターを、1350rpm程度で回したいので・・・丁度都合がいい。

純正は、8:1なのだが・・・これでは、明らかにローギヤードである。

有り合せのギヤを流用して、実際にテストを行なってみると・・・
84Tのギヤは、非常にマッチングが良い。

実に・・・しっとりと飛ぶのだ。

その上・・・この回転域では、些かノイジーなゼノアエンジンの排気音も静かなのだ。

このギヤ比・・・個人的には気に入っているのだが、どうも他の業者に言わせると、
パワーが無いと言う。

別にスポーツフライトを行なおうと言う訳では・・・ない筈なのだが・・・?

自動車でも・・・・貨物車はそんなにパワフルに走らないと思うし、
又その必要も無いのである。

29ccに排気量を上げた事で、パワーもトルクも飛躍的に向上している。

折角エンジンのトルクが向上したのに、それを巧く活用しない手は無いのだが、
他の人達は、フレームを削ってでも・・・メインギヤが88枚の方が良いと言う。


まあ・・・色々な考えがあっても良いのだが・・・

もしかしたら・・・その人達は、今までの経験側から先入観を持っていて・・・
ガソリンヘリのエンジンは、高回転で回らなければならないと、
考えているのかもしれない節がある。

確かに、高回転でエンジンを回してしまった方が、多少キャブ調整が狂っていたとしても、
誤魔化せる側面も有るにはあるのだが・・・。

それでは・・・エンジントラブルの元。

キャブ調整は、極力適正な空燃比に調整する必要があるのだ。

そうでない場合は・・・長期間、安定したエンジン性能を保つ事は出来ない。

その他の理由として、もしかしたら・・・790mmのメインローターを使用している為に、
ピッチを高く設定する必要があるのかも?

ピッチを高く設定すれば・・・揚力も増加するが、同時に抗力も増えてしまう。


ここに弊社が・・・リフター800と言う、高揚力タイプのメインローターを
開発した理由がある。

揚抗比の高い特殊な翼型を採用する事で・・・ピッチを立てる事なく、浮き改善させているのだ。


但し、84枚のギヤを使用して、強風下(風速10m/s以上)で飛行させた場合には・・・
多少問題もある、

強風下で唯一問題になるのは、風に叩かれたりすると多少エンジンが
苦しくなる場合がある・・・と言う事である。


すると・・・総合的に減速比を判断した時、どうも最終的に86枚のメインギヤが良さそうだ。

このギヤ比で・・・メインローターを1350rpm付近で回転させようとすると、
現在のエンジン回転より、多少上げて10500rpmで回す事が出来る。

これは実際に作って・・・ヤッテみるしかない。

もしかしたらこのギヤ比・・・29ccエンジンを使う上で、新たなトレンドになるかも・・・。











弊社では・・・ヘリ以外のマテリアルも・・・。

2012-02-09 18:22:57 | マテリアル
この度、ある企業から・・・ヘンテコリンなオーダーを頂いた。

この企業には、数年前に、弊社のノウハウを凝縮した・・・つるべ式・・・と言う
撮影機材を、既に納入している。


この撮影機材・・・8mの収縮式のカーボンパイプの先に、雲台と言うカメラを固定する、
ジンバルジャイロが装着されている。

当然・・・身長の4倍以上、上空から撮影するので・・・モニターカメラも装備されている。

その上・・・無線式と有線式をケースバイケースで使い分ける事が可能な優れものである。


しかし、その納入先である企業から・・・改善要求があった。

雲台制御用のプロポに、モニターテレビを取り付けて欲しいと言う。

しかし・・・弊社では、機動性を損なわない様に・・・ヘッドマウントディスプレイも
納品している筈なのだが・・・?

そのヘッドマウントディスプレイ・・・一般的には、メガネ等に取り付けて使用する。

処が・・・納品しているヘッドマウントディスプレイは、電源を入れた時にだけ、
目の前に自動で出てくるスグレモノなのだ。

当然、電源を切れば・・・自動で収納する

何故・・・その便利なヘッドマウントディスプレイを使用しないのか?謎なのだが・・・?

その理由は定かではないのだが・・・客先のニーズに応える事は商売の基本。

そんな訳で・・・早速製作してみたのだが・・・表は、こんな感じ。


裏は・・・こんな感じで・・・巧く出来た。


出来てみれば・・・こんな簡単な感じのモノなのだが・・・加工した挙句、無骨にならない様に
注意を払っている。

市場に無いモノを作ると言う事は・・・何と知恵と根気が必要な事か・・・。







雪が降り出す前に・・・

2012-02-09 07:33:44 | 撮影
ホテルを出た時・・・現場の方向に目をやった・・・。

北から・・・雪雲が押し寄せて来ているのが判った。

風花が・・・風に乗って、舞っている。


この時既に・・・本格的な降雪が、刻々と迫っていたのである。


現場に到着して見ると・・・既に2km位まで雪雲が迫って来ていて、
本来見える筈の山が、降雪で・・・まるで見えない。

時間的な猶予は・・・もう1時間も無いことを物語っていた。

現場は・・・俄然、緊迫して来た。


しかし・・・決して、舞い上がったりしてはいけない。


流石に焦るが・・・急いては事を仕損じる。

おまけに・・・現場には電線もあって危ない。



こんな時は決まって・・・何時もより、慎重に作業をする様に自分に言い聞かせるのだ。



撮影は、何とか・・・安全の内に、無事終了した。


悪天候の割には、今日も良い写真が撮れた・・・内心・・・安堵。

着陸と同時に、雪の降り方が・・・俄然、勢いを増して来た。

早々に・・・機材を撤収。

逃げる様に、現場を後にした。

途中・・・町の外れで昼食を摂った。

その時の写真である。でも・・・結構降っていたはずの雪が・・・あまり移っていないのは何故???


この勢いで降雪が続けば・・・高速道路も通行止めになる可能性が出てきた。

そうでなくても・・・雪が沢山降れば、大渋滞は避けられない。

この状況下で、長居は無用・・・逃げる様に高速に乗って・・・次の現場へ。

途中吹雪に遭いながら・・・ひた走った。


DJI NAZAが入荷した

2012-02-08 07:47:15 | 趣味
少し前に・・・中国のメーカーDJIから、NAZAと言うマルチローター用の姿勢制御装置が発売された。

弊社では、2社の国内代理店と取引している。

処が・・・内1社は、諸般の事情で取り扱わないと言う。

残るもう1社は・・・なかなか入荷しないのだという。

そんな訳で・・・なかなか入手する事が出来ない。


既に、ユーザーから注文を頂いていたので・・・これには参った。


供給してくれた代理店曰く・・・通常は、NAZA単体では販売しておらず、コンプリートで販売している
との事だったのだが・・・。

無理を言って・・・数個分けて頂いた。


しかし、このNAZA・・・何せ価格が安すぎるのである。

代理店の言う事は・・・最もだと思った。


苦労して仕入れても・・・利益など無いのである。

この価格帯・・・何とかならないものかね~・・・。


それにしても、気になるのは・・・今日の天気。

天気予報では・・・強風波浪注意報が出ている。おまけに・・・この後、雪になるらしい。

その上、夕方からは・・・雷注意報まで出ている。


上の写真は・・・弊社から860kmも離れた・・・ある駅前の様子をホテルの部屋から撮影してみた。

昨日・・・午後の2時ころ事務所を出発して・・・明け方このホテルに着いたのである。

この写真を撮影して、ブログを投稿している内に・・・窓の外は吹雪に・・・。

折角、苦労して来たのだから・・・何とか撮影して帰りたいと思うのだが・・・。

さて・・・どうなる事か・・・?


業務用の機体強度に付いて・・・パート4

2012-02-07 08:41:58 | マテリアル
例に因って・・・昨日の続きである。


本来模型機として販売されていた、有るメーカー製のガソリン機を・・・無理やり業務用に
コンバートした時の話である。


この話題も・・・今回で4回目となる。

まだ・・・前項を読んでいない方は、以前投稿したブログを遡って読んでほしい。


そんな訳で・・・メインギヤを新たに製作する事になってしまったのだが・・・新しい部品を、
あまり沢山作ってしまうと、全てを新しく作り直した方が、手っ取り早いし・・・寸法的な制約が無い分
無理なく全ての問題がクリアー出来てしまう。


それに・・・その時既に、この機体の改造と時を同じくして26ccエンジンの
ボアアップ計画も同時進行していた。

エンジンのパワーが上がれば・・・当然、減速比も再考する必要がある。

そんな理由から、純正の歯数で安易にギヤを新作すれば無駄になる事が予想された。

その訳とは・・・ローギヤードになってしまうのだ。

以上の話は・・・今から遡る事、数年前の事で現在の話ではない・・・念の為。


このボアアップシリンダー・・・本来は、空用エンジンのパーツではなかった。

そのシリンダーを、一部追い加工して・・・半ば無理やりに空用の26ccに組み付けたのである。

勿論・・・メーカーからは・・・そんな事は、止めてほしいと言われている。


理由は・・・何とか組み付ける事が出来そうだ・・・と言うだけで、26ccとは、
圧縮比も違えば、吸排気のタイミングも違うのである。

当然・・・訳も判らずに組み付ければ・・・おかしな事になる。

ユーザーの技術レベルは様々なので、メーカーの言い分も・・・至極当然の事だった。


しかし私は・・・何十年も前になるが、ガソリンエンジンの国家資格を取得していたので、
エンジンには多少の知識もあった。

その上・・・ピストンバルブの2サイクルエンジンである。

構造も単純な事から・・・そこは自己責任で、そのシリンダーを26ccエンジンに
組み付けてテストを実施したのである。

結果は・・・概ね良好・・・多少の改善点は浮上したものの、それ以上にパワーがかなり向上した。


この結果から・・・その時点で、メインギヤを新規で製作する事はリスクがある。

新しく製作したメインギヤが、無駄になる公算が益々大きくなってきた。

それに・・・ヘリカルギヤでメインギヤを製作するに当たり、純正と同じギヤ比で設計した場合、
外形が4mm弱、大きくなってしまう。

しかし、改造してパワーが上がった29ccエンジンを搭載すれば、もっとメインギヤの歯数を
減らす事が出来るのである。

純正のメインギヤと同じ外形にする為には、モジュール1のギヤで製作すれば計算上84Tになる。

結果・・・ハイギヤード化出来る事になり・・・パワー・トルク共に向上しているので、
その方が都合が良いと思われるのだが・・・こればかりは試してみないと判らない。

あてが外れて失敗すれば、沢山作ったメインギヤも・・・全て水の泡。


新しく部品を製作する為には、リスクもあるし・・・結構コストが掛るのである。

その為、メインギヤのギヤ比に付いては、更なる熟慮が必要であった。



そう言えば・・・かなり昔の事になるのだが・・・今は亡き、カルトと言うヘリメーカーがあった。

そのメーカーには、GSバロンαと言う機体があったのだが・・・。
この機体、後に空撮用としてロングテール仕様の機体が販売されたのだが・・それ以前の話である。


標準の機体では・・・13Tのピニオンギヤが装着されていたのだが、エンジンのパワー不足から
スパン790mmのローターが使用出来ない為に・・・弊社ではとりあえず、
TSKの10Tのピニオンギヤを流用してテストした。

処が・・・である。

そのギヤ比では、明らかにローギヤードになり過ぎて、エンジンが常に最高回転の90%付近で
回ってしまう。

その為・・・エンジンに、全く余裕がなかったのである。


後に販売されたロングテール仕様の機体でも・・・10Tのピニオンが装着されていた記憶があるのだが・・・。

これでは・・・エンジンを、良い所で巧く使う事が出来ないのでNGである。


そこで・・・弊社では11Tのピニオンギヤを製作する事にしたのである。

どうせ作るのだから・・・スターターシャフトも装着できる様にした。

ペイロードアップシャフトスターターセット・・・とか言って、
弊社から販売もしていたので、ご記憶の方もいるのではないかと思う。


結果的に・・・この減速比は、大成功であった。


その後・・・このクラスのガソリン機では、11Tピニオンが主流になった事は言うまでもない。


また、その頃のカルトのガソリン機には、リコイルスターターしか装着されていなかったのである。


たまたま時を同じくして・・・ある人からガソリンエンジンを搭載したスケールヘリの製作依頼があった。


依頼してきたのは・・・現在、世界遺産などをモーターパラで撮影している、矢○健夫氏である。


彼も昔は、ラジヘリで撮影を行っていて、当時そのメンテナンスを弊社で行っていたのである。

何でも・・・彼はそのスケール機を・・・タイヤのコマーシャルに使用すると言った。

ラジヘリを実機に見立てて撮影するとの事で・・・排気煙やリコイルスターターが
露出している様な機体は、NGだと言う事だった。


そこで・・・そのペイロードアップシャフトスターターセットを組み付けて、広告の撮影を行ったのだ。

リコイルスターターが取り外されたこの機体は・・・マフラーも巧く処理され、ガソリン機とは思えない様な、
スタイリッシュな外観に仕上がったのである。


このCMは、予定通り・・・北海道の各テレビ局で放映されたらしい。


後日、北海道の友人や、北海道に旅行に行った友人から・・・そのCMが実際に流れている事を聞いた。

あのCMに使われていたヘリは、実機ではないのか?と聞かれて・・・少し嬉しかったのだが・・・。

私は・・・そのCMを全く見ていないのである。


CMの内容は、確か・・・大草原に国籍不明のガンメタのBO105が、タイヤの付いていない
フォードモンデオワゴンを、パレットに吊った状態で飛来し、その車が大草原に置かれたタイヤと
合体し、雪原を走り去ると言う内容だった。

そのCM・・・見てみたかったな~・・・残念。


あれ~・・・一体何の話だっけ???

又、話が脱線して、変な方向に話がそれてしまった。

元の話題に話を修正するので・・・また次回。