ショパン国際コンクール、1次予選で初めて進藤実優さんの演奏を聴いた時に妙に気になった指の動作。エチュード演奏時は、鍵盤に掴みかかるのではと思えるような指の動きに違和感を感じました。時には、指をそろえず一本指を立ててポーンと鍵盤を鳴らす。
2次予選の時になって気付きました。進藤さんは、決して鍵盤の上にを指を置いておかない。音を鳴らしたら、指をすぐに離して、手を上に上げる。鳴らす必要のない鍵盤には触らない。そうすることで、隣の鍵盤に指が引っ掛かることもなく、音が正確にきれいに響いてくる。
指先まで「全集中」の弾き方なのですね。
本日14日(木)の20:20に、進藤実優さんの3次予選 (Stage III)の演奏が始まりました。
演奏曲は、
1. マズルカ Op.17の4曲
2. マズルカ風ロンド へ長調 Op.5
3. ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op.58
1楽章 アレグロ・マエストーゾ
2楽章 スケルツォ
3楽章 ラルゴ
4楽章 フィナーレ・プレスト・マ・ノン・タント
マズルカは、自然に体がリズムに乗っていた様子でしたので、楽しんで弾いていたのかもしれません。
ピアノソナタ第3番の3楽章のラルゴ、進藤さんは見事に歌いあげていました。情感豊かで心を打たれました。とても19歳と思えない表現力です。
ソナタ第3番は、ショパンが、父親が亡くなったことを知り、悲しみに暮れ精神的に落ち込んでしまい、その後ジョルジュ・サンドの家に住むことになったことで回復に向かい、この曲を書いたと言われています。
悲しみから喜びに移り変わる心情を、進藤さん独自の解釈で描いたのでないでしょうか。