ヴァイオリン ~ 雑音ラプソディ ~

50代後半になって突然始めたヴァイオリン。
ヴァイオリンやピアノなど
音楽に関することを綴っていきます。

10/12ショパン 聴衆を「幻想」の世界に引きずり込む小林愛実

2021-10-12 | ピアノ
2次予選の小林愛実さん、今日は椅子の高さでのいざこざはなく、椅子に腰掛けると、高さや座り心地を実感して鍵盤に向かいます。

一曲目の幻想ポロネーズ、冒頭からスローなテンポで音を響かせ、じわりじわりと聴く人を引きずり込んで行きます。これはポロネーズではないのか、と疑問に思いながら聴いていると、ピアニストの「幻想」に巻き込まれてしまったのか、眠ってしまいました。
コンサート中は滅多に眠らない私が眠ってしまう時は、文字通り本当に眠い時と、演奏スタイルが好きではない時。
目が覚めたら、全てのプログラムが終わっていたので、録画演奏を後から聴くことに。

演奏後の本人のコメントで、幻想ポロネーズは、晩年のショパンの苦しみと自分の26年の人生を重ね合わせ表現したといいますが、私には個性が強くて、あまりショパンを感じませんでした。
技術的にも卓越しているし、聴衆を魅了する表現力も素晴らしいですが、コンクールでここまで自由に表現してよいのかと疑問に思っています。

この演奏スタイルでふと思い出したのが、ショパンコンクールで個性的な演奏をして予選落ちしたポゴレリッチ。
その審査結果に不満を持った当時の審査員のアルゲリッチは、審査を途中で放棄して帰国してしまったというエピソードがありますが、そのアルゲリッチは、今回、友人の審査員が病気で辞退したことに同調して、審査員を辞退したので不在。

時代は変わりましたので、今では受け入れられるかもしれませんが、ショパンに対して伝統的なスタイルを好む音楽家もいるでしょうから、審査員達がどのように審査したのか、とても気になります。
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10/11 ショパン2次予選 古海行子 編

2021-10-12 | ピアノ
ショパン国際コンクールの2次予選、3日目の夜の部のトップバッターに、古海行子さんが登場(日本時間10/12の0:05頃)。
スターピアニスト達の影に隠れてしまって、あまり話題に上っていなかったのですが、1次予選で演奏を聴いた時に、あまり感情を表に出さず、落ち着いたきれいな演奏をするところが印象的でした。

古海行子(ふるみ やすこ)
神奈川県出身。昭和音大大学院生、23歳。

ショパンコンクールに臨むに相応しい受賞歴です。
2019年 ショパン国際ピアノコンクールin ASIA プロフェッショナル部門金賞及びショパン協会賞受賞
2019年 パデレフスキ国際ピアノコンクール(ポーランド)第3位
国内外で演奏活動をし、日フィルや東京フィル等とも共演、CDも出している、いま注目の若手ピアニストだということを知りました。

演奏した曲は、
1. ポロネーズ5番 嬰ヘ短調 Op.44
2. ポロネーズ7番「幻想」変イ長調 Op.61
3. ワルツ(猫のワルツ)へ長調 Op.44
4. 舟歌 変へ長調 Op.60
ピアノはスタンウェイ。

1番目のポロネーズ5番。珍しいのですが、英雄ポロネーズほど演奏会で取り上げられることが少ないため、通称「悲劇的」と言われている曲です。然し、ショパンが、ポロネーズの中にポーランドの伝統的リズムのマズルカを組み入れた名曲中の名曲と言われている曲です。約10分。
低音の少し不気味なメロディーから両手オクターブのユニゾン、そして、この曲の特徴であるマズルカのリズムがドラマチックに展開して行きます。中盤に、左手で何度も繰り返されるマズルカのリズムが曲に効果を与えています。両手オクターブが多いので、体力と技術がいるようです。
なぜこの曲を1番目に選んだのか知りたいですね。



2番目の幻想ポロネーズ、ショパンが恋人ジョルジュ・サンドと別れ、肺結核と闘いながら書いた曲で、ショパンのポロネーズとしては最後の大作と言われています。こちらも難易度高く、体力も必要です。

少し暗めのポロネーズが2曲続きましたが、ショパンらしい、ポーランドらしい曲選ではないでしょうか。

古海さんはコンクール前、2019年迄までコンサート等多忙な生活を送っていましたが、コロナ禍で中止等が続き、ショパンの曲について勉強する時間が持てたことで新たな発見を得て、価値観が変わったそうです。ショパンの曲は、演奏者のパーソナリティを隠せないので、音楽について深く考え、自身の信念を表現したいと仰っていました。
演奏後のコメントでは、演奏しながら音楽と一体化し、自由でいられる瞬間を感じた、と言っています。
楽しんで弾かれていたのですね。とてもきれいな演奏でした。

今回のショパンコンクールは全体的にレベルが高く、審査員達も審査に苦慮している様子です。


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