寒さの中で
林の中で小鳥たちのつぶやきは続いていました
「だからね、違うのよ」
「何が違うのかしら?」
「あの方が木の実を私にくださるのはね、私が集めてくる小枝が際立って多くて柔らかだからだわ」
「え?それだけのことで彼はあなたに歌を歌って木の実を送ったってこと?」
「そうよ。でもね、それは共に卵を育てたいってわけじゃないのよ」
「どういう事!?」
「彼はかわいいオリーブ色のコルリのお嬢さんに、その小枝をプレゼントしたいのよ。一緒に巣を作りませんか!?ってね」
「あら、じゃああなたは働くだけ?」
「そういうことよ」
「腹は立たないのかしら?」
「あなたはご存知かしら?私の歌には存分なる含みがあるのよ。私の人生には本物の歌しかないってことよ」
「よくわからないわ」
「見返りなど要らないのよ。でもね、おもねりもしないの。私は私なのだから」
「不思議な言い分ね」
「それはね、いずれ私は誰にも侵されない幸せを得ると言うことなのよ」
「そういうものなの?」
「ええ。柔らかな細かな枝をたくさん集めることができる私は、知らない間に自分の巣も柔らかで優しい空間にすることができたのよ。そしてその巣には、疲れたり夢破れた鳥たちがやってきて羽を休めるの」
「そんな場所なの?」
「ええ。そして私は愛の歌をさえずる。それだけでいいことなのよ。誰がどうこうって言うくらい暇じゃないの。(笑)」
聞いていた鳥は
くくっと笑って飛んでゆきました。
寒い風がスーッと吹いて
鳥は首をすぼめました
そしてまた
やがてくるあたたかな春の日を思い浮かべながら
細かな枝を一生懸命集めておりました。
「春が迎えられたらそれだけでも儲けものだわ」
本当は一人きりなのでした
それでも無心に枝を集める事は
彼女にとっては
素晴らしい人生なのですから。