ハネっちのミリブロ?

エアガンはyahooオークションでもyukichi10500のIDで出品していますので併せてご覧頂ければ幸いです。

パワー特性

2022-02-16 03:37:27 | 実験&考察(エアガン)

今回は流速カスタムのパワー特性についてのお話です。

カッコいい外観に左右調整ができる凝ったHOPシステムで海外製モデルにしては珍しく?命中精度も悪くないこのS&T M40A5、でも即サバイバルゲームに投入とはならなずに私の所に舞い込んでくるのには理由があります。

 

それは絶対的なアドバンテージ(優位性)に欠ける性能、0.20g弾ゼロHOP時に0.89J(画像左)あったパワーは0.28g弾HOP適正時で約20%(画像中)、0.30gでは半分程度(画像右)とどんどん下がってしまいます。勿論これはM40A5がまだ普通のエアガン(エアソフトガン)だからなのですが、これでは単発ボルトアクションのM40A5がフルオートの電動ガンに太刀打ちできる筈がありません。

 

そこで登場するのが流速カスタムです。私の「カスタム流速サイレント」をコッキング式のエアガンに施工すれば電動ガンの弾幕を超える遠距離からのスナイピングも可能で、弾数で勝負してくる敵に対しても質で対抗できるアドバンテージが生まれます。*画像中の発射音は銃口から直角に50cm離れた屋内で計測しています。

 

ただこの流速カスタムのパワー調整は注意が必要なのかもしれません。普通のエアガンのように漫然と合わせると実はオーバーパワーだったなんてこともあり得るのがこのセッティングの特性でもあるのです。

例えば今回のM40A5は前項画像のとおり0.28~0.30g弾HOP適正時に0.9J程度のパワーを発生させることができますが、これよりも軽い弾ではそのスペックを十分生かすことができません。

0.20g弾をゼロHOPで発射すると75%(画像左)HOPを作動させても85%(画像右)程度で、だから「ゼロHOPで98m/s」や「0.2g弾で0.96Jまで」なんてゲームレギュレーションにギリギリで合わせてしまうとピーク時で1.1~1.3Jものパワーを発生させることになってしまいます。

 

そのためこの特性を使ってパワーチェックをすり抜ける輩(やから)から知らずに作ってしまうヘボチューナーまで、この辺のルールが理解できないルーズな人たちの周りでは事件や事故が起こる可能性が常にあるのです。

「どんな弾の重さやHOPの位置でもパワーレギュレーションをクリアできる」のが正しい流速カスタムの最低条件、そして性能の良い流速カスタムであれば軽い0.2g弾なんか使う気にもならないハズなんですが・・・

 

以上、流速カスタムのパワー特性についてのお話でした。

 


爆音と静音

2022-01-17 17:59:32 | 実験&考察(エアガン)

エアガン(エアソフトガン)の飛距離を伸ばすのに欠かせない流速カスタム・チューン、失速せずに遠くまでスーッと飛んでいくあの重量弾を使った遠距離射撃を味わうともうノーマルには戻れません。そんな流速カスタムの発射音は大きい程に高性能なんて言う人もいますが実際のところどうなんでしょうか、今回はその辺のお話しです。

↑ 普通のエアガン(エアソフトガン)のセッティングを一言で表すと「高効率」、長いバレルに加速しやすい軽い弾を組み合わせることで圧縮するエアーが低圧でも十分なパワーを発生さることができます。パーツの強度や気密性能も程々でよく大量生産に向くこのセッティングは発射音も静かです。

 

 

↑ それに対して流速カスタムは短いバレルに実射性能を高めるために重量弾を組み合わせるのが基本で、バレル内の圧力を高めるためにシリンダー容量を増やして強いスプリングを使うのでノーマルセッティングより発射音は大きくなってしまいます。

 

画像左:ノーマル   画像右:パワーカスタムγ施工後 

↑ ただ発射音がこの内圧差だけで大きくなる訳でもありません。例えばマルイM4SOPMODをベースにした私の「パワーカスタムγ」の場合、空気抵抗や風の影響に強い0.30~0.33g弾を使ってHOP適正時に0.92Jの最大パワーを発生させることができますが、ノーマルの発射音97.7㏈に対して98.1㏈と殆ど変化がありません。

「爆音」と言われる大きな発射音を伴う流速カスタムと同等以上の性能なのに発射音圧を抑えれる仕様が存在するのは一体なぜでしょうか? *音圧は銃口から直角に約50cm離れた屋内で計測しています。

↑ 前述したとおり流速カスタムでは重量弾を発射しますが、そのためにはノーマルよりも強い力=「高圧」を必要とします。しかしノーマルの気密強度のままでこれをやると大量のエア漏れが発生してしまいシリンダー容量は必要以上に確保しなければなりません。

そんなセッティングで高圧のエアーを発生させるためにはモーターが止まってしまうような高レートのメインスプリングを使ってピストンの前進スピードを恐ろしい程に加速させることになります。

そうです、あの強烈な発射音の大部分はピストンがシリンダーヘッドやメカボックスに激しく衝突している音なのです(汗) つまり高性能だからではなく無駄が多すぎるから発射音は大きくなっていただけで、きちんと作れば流速カスタムでも発射音はそこまで大きくはならないのです。

 

画像左:気密カラー   画像右:コンプレッション(加圧)テスト

↑爆音チューンは難易度の低い工法なので手軽にその効果を楽しめるのですが性能的には無駄の多いセッティング、対して気密性能を高めた高効率な流速カスタムはその分ワンランク上の性能を手に入れることができます。 大量生産されたノーマルやバイトのお兄ちゃんをこき使って作るショップカスタムにはない特別な一丁を作るには手間を惜しんではいけないのでした(笑)

以上、流速カスタムの発射音についてのお話でした。


カスタムバレルって

2021-12-01 16:05:39 | 実験&考察(エアガン)

エアガンに使われているインナーバレルについてのお話です。

まずインナーバレルとは銃身のこと6mmBB弾で規格がほぼ統一されているエアソフトガン(以下エアガン)には ↑ こんな感じの部品が入っており純正品の他にもパーツメーカーからも色々な商品が販売されています。

前回ご紹介したマルイM4 SOPMOD FIRSTカスタムにもこんなのが入っていました。真鍮製の純正バレルをへし折っているこのステンレス製カスタムバレルの売りはとにかく「頑丈」なことみたいです。

 

ただノーマルバレルが破損したなんて話は聞いた事がありませんのでアルミ製でも強度自体は十分、軽さを補うパーツも色々ありますのでワザワザ交換しなくてもいいような気もしますが、乱暴に扱う人にはそのぐらいの強度が必要なのかもしれません(汗)

 

このカスタムバレルは俗にいうタイト系バレルで純正6.08mmに対して6.03mmの内径で作られているようです。ただ大昔のプラ製バレルならともかく今の純正バレルを交換しても性能はそこまで変化しません。数値にして3~5%といったところでしょうか。それよりも内径が細くなる事でバレルの内壁にBB弾が当たりやすくなって命中精度が悪くなる弊害が問題になります。

ちなみにこのカスタムバレルは実際には6.01mmぐらいの超タイトバレルのようで、6.00mmの硬質ベアリングボールをそっとバレル内に入れてみると画像右の6.08mm純正バレルではコロリとすべり落ちるのに対して真ん中ぐらいで停弾してしまいます(画像左)試射でも一回りぐらいノーマルSOPMODより散るような印象でした。

 

古い話で恐縮ですが1988年にMGCからS&W M645というフィクスドガスガンが発売されたのをご存知でしょうか。搭載されていたサイクロンバレルはライフリングが刻まれた特殊なバレルで「バレル内に発生したエアーの渦でBB弾を回転させて命中精度を向上させる」ことを売りにしていましたが、実際にはBB弾は回転しておらずこの一流メーカーの大ウソで業界は大騒ぎになります。

雑誌でも取り上げられたこの問題は「回転はしなくても、ライフリングのすき間から逃がされたエアーがバレルとBB弾の接触を防ぐことで命中精度は向上している”らしい”」という結論に至り、後に「バレル内の気流が命中精度を向上させる」的な理論に続きます。

そして発生した「タイトバレルとルーズバレルはどっちがいいの」論争?の結果、極端に隙間を減らしてパワー効率を優先するタイトバレルとあえてブカブカで精度を謳うルーズバレル、いったんは否定されたはずのサイクロンバレルも「ツイストバレル」として再登場してたりワケの分からないカスタムバレルが市場に溢れかえりますが、一方でエアガン製造メーカーが採用するバレルは6.05~6.10mm程度の内径で落ち着き技術的には成熟を迎えて現在に至ります。

という訳でせっかく入ってるこの6.03mm(実際には6.01mm)の超タイトバレルも取り外してノーマルの6.08mmバレルで施工させて頂くことになりました。せっかくお金をかけて交換されたご依頼者様には申し訳ないのですが使えないものは使えないのが技術の世界、とどのつまり今のノーマルバレルってよく考えて作られているんです。

 

以上、インナーバレルの内径についてのお話でした。

 


HOPの原理

2021-10-16 19:43:41 | 実験&考察(エアガン)

「HOPUP(ホップアップ)」とはBB弾にバックスピンをかける機構の通称、これが入ったエアガン(エアソフトガン)は入ってないものに対して2~3倍ぐらい飛距離が伸びる便利なシステムですが、今回はどうしてHOPをかけるとBB弾の飛距離が伸びるのかを説明してみたいと思います。

↑ まずは一般的なHOPの仕組みを見てみます。丸いのがBB弾で灰色の部品がチャンバーパッキン、射出力で前進するBB弾はパッキンの突起部分を通過する際の抵抗や摩擦で矢印の方向に回転(バックスピン)しながら発射されることになります。システムなんて大げさに言いながらも原理は簡単ですね~

↑ 回転しながら飛ぶBB弾は周囲の空気をかき回して渦を作りそれが気圧の差を作ります。そして気圧が下がる上方に向かって吸い上げらる力(揚力)が発生することになります。でも弾をフワフワ浮かせるのと飛距離にいったいどんな関係があるのでしょうか。

 

ところで弾速計に出てくる「m/s」の意味をご存知ですか?これは平たく言えば弾の”勢い”を示したもので、この場合は90m飛ぶのではなく「1秒間に90m飛ぶ勢いがある」という意味になります。

「勢いがあるのなら、実際に飛ぶんじゃないの?」

それが飛ばないんですよ

HOPがない(HOPを切った)エアガンの飛距離は大体20mぐらいでしょうか、角度をつけて撃てばもう少し伸びますがそれでも90mなんて絶対に無理です、でもなぜこんな現象が起きるのでしょうか。

↑ BB弾を指でつまんで地面に立っている様子を想像してみて下さい。その指を離すとどうなりますか?そのまま地面に落ちますよね、それを示したのが右端の「弾道0」です。

これに射出力が加わるとBB弾の落下地点はさっきよりも左にそれます、HOPがないエアガンから発射されたBBの弾道(弾道1)はこの状態です。そして「弾道1」が「弾道2」になれば飛距離は伸びた事になります。

では具体的に飛距離を伸ばすにはどうすれば良いのでしょうか、これには2つの方法があります。

1,弾の移動速度を上げる

いわゆるパワーアップです。弾速を上げることでBB弾が地面に接地するまでに移動距離を稼ぎますが、BB弾が接地するまでの時間は手から落としたのと同じです。

2,弾の落下速度を緩める

時速60kmの自動車で1時間走ると移動距離は60kmですが2時間だと120km、3時間だと180km・・速速が同じでも時間をかければ移動距離も伸びます、そしてHOPもこれと同じ原理で飛距離を伸ばしているのです。

地球上で発射されたBB弾には射出力の他に「重力」が働いています。だからHOPなしのエアガンは銃の高さからBB弾を落としたのと同じ時間しか弾が飛ぶ時間は稼げません。その時間はおおよそ1/4秒程度でしょうか、だとすれば銃口初速が90m/sの銃は22.5mしか移動できないことになります。

でも前述した「揚力」はこの「重力」とは相反する力、だからBB弾にHOPで揚力を発生させてやると落下までの時間を伸ばすことができるのです。HOPなしのエアガンに対して仮に3倍の時間が稼げれば67.5m、5倍だとなんと112.5mの飛距離が・・・、いやいくら何でもそこまでは飛ばないか(笑) 

 

バックスピンによる揚力でBB弾の滞空時間を伸ばして飛距離を稼ぐ、つまりはこれがHOPUPシステムの原理なのです。

 

 


BB弾の実際の重さ

2021-08-08 00:32:29 | 実験&考察(エアガン)

エアガンに使われているBB弾について書いてみたいと思います。

一般のエアガン(エアソフトガン)に使われている6mmBB弾には重さの表示があります。そして我々ユーザーはそれを基に自分のエアガンの性能にあった製品を選ぶのですが、表示が同じでもメーカーによって実際の重さには違いがあるようなので、私が持っているBB弾(0.25g弾)の重さを比べてみることにしました。

 

使用したエアガンはVFC M4 BABYをベースにした私のカスタムガン(パワーカスタムΔ)です。実験の性質上スペックを常に安定して発揮する必要があるのでノーマルの製品よりコンディションが整っているものを選んでみましたが、HOPの強さは普段設定している0.36g弾に合わせたままで計測しています。あとヘンなのが一緒に写ってますが気にしないで下さい(笑)

 

最初は東京マルイ製0.25gバイオ弾、性能につては最も定評がある製品です。ところが実測の重さは0.246gと表示よりも少し軽いようで、弾速計での計測値0.862Jも少し下がって実際には0.848Jとなります。ちなみに運動エネルギーは「弾速の二乗×弾の重さ÷2」の公式で求めることができます。

 

次はマルイと並んで性能に定評のあるマルゼン製0.25gバイオ弾です。こちらはマルイと違って公称値よりもやや重めの0.253g、ですので計測値の0.843Jよりも実際には高い0.854Jとなります。

 

続いて昔々に某雑誌がベタ褒めしていたエクセル製0.25gバイオ弾です。国産高品質を売りにしている筈のこのBB弾ですが結果はビックリの0.228g・・表示よりもかなり軽い弾のようです。計測値の0.839Jも大幅に下方修正して0.765J、ここまで違うと詐欺です・・

 

では海外メーカーはどうでしょうか。こちらはG&G製のプラ弾、お座敷シューター一押しの商品です。結果はピッタリ0.250gでパワーも修正なしで0.854Jとなりました。海外製だからって侮れないみたいです。

 

そしてG&Gのバイオ弾、サバイバルゲームでもお馴染みの弾です。こちらは同社プラ弾よりやや軽めの0.249gで、パワーは0.863Jの測定値をやや修正の0.860Jでした。同じメーカーでも種類が違うと重さも変わるようです。

 

「安くて良い弾」と言えばS&T製です。こちらのプラ弾は0.248でG&Gよりもやや軽め、と言ってもマルイ弾よりは重めにつくられています。パワーは計測値の0.864Jを修正して0.857Jでした。

 

最後はS&Tのバイオ弾、こちらはG&Gと違って0.248gとプラ弾と重さの違いはないようです。パワーは計測値の0.862Jを修正して0.855Jでした。

 

総評

国産メーカーは表記の重さに対して実測値が異なるものばかりでしたが、海外ブランド2社の4製品は表記と誤差の少ないもので、品質に関しては国産同等と言っても差し支えないようでした。また「軽さ=コストの安さ」であることを考えると軽さの度合いがそのメーカーの誠実さでもあるような気が・・

私が選ぶとすれば自分用には少し重めのマルゼン製でかな、人に勧める時は無難なマルイかG&Gで、お財布が厳しい時にはS&T、エクセルはもう絶対に買いません、といった結論ですが皆さんは如何だったでしょうか?

以上、BB弾の重さについて調べてみました。