金魚cafe

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その手をにぎりたい

2015-07-29 00:14:52 | 読んだ本
柚木麻子著 小学館

BSプレミアムで放送されていた「ランチのアッコちゃん」を観て原作を読みたいと図書館に予約をしに行きましたらなんと20人以上も待ちの状態でいつになるやら。

同じ柚木センセーの「その手をにぎりたい」がありましたので借りてきました。

時代は遡って1983年から1992年のバブルが始まって終焉を迎えるまで。

栃木から東京で就職し、家業のかんぴょう農家の跡を継ぐため会社を退社しようとしていた青子、気を利かした社長さんが送別会にと銀座のお寿司やさんに連れて行ってくれました。

丁寧な下ごしらえをされた江戸前のお寿司が今まで食べたことがないほど美味しかった。

そしてお寿司をにぎってくれた職人一ノ瀬さんの手に惚れてしまった。

彼のにぎるお寿司は口に入れたとたんにほろほろとなるようにふんわりとにぎられているので直接手から渡される、そのとき触れた手がひんやりと冷たくて今までこんなに清潔な男の人の手は見たことがないほどでした。

生魚を触る手は冷たいほうがいいかもしれません。

私は手が温いものですからお店で魚のお刺身を買ってきて家で包丁で切るときお刺身を触らないようにするんですがどうしても触ったところが味が落ちてしまったような気がします。

魚の脂は人間の体温より低いので溶けてしまうので余計そうなのかもしれません。

一ノ瀬さんに出会ったがため、一ノ瀬さんのお寿司を食べてしまったがため彼女のその後は大きく変わります。

実家に帰らずお寿司が食べたいがためにバリバリ働く青子、バブルと共にイケイケドンドンの生活がスタートします。

こうやって読んでみるとバブルの時ってすごかったんだ~~。

私の地元はのんびりしたところでバブルといっても実感はなくて「ふ~~ん。東京はすごいなあ~。」とそんな感じでした。

影響がなかったかといえば周りがやたらと海外旅行に行く人が多くてハワイのチョコとおフランスの口紅のお土産をいっぱいもらったような。

そして男性は高級ブランデーをお土産でいただいてましたっけ。

なんであの頃肩パットが入ってる服が流行ったのか?

私に周りのバブルはそんなものでした。

バブルの前は座っただけで3万円も取られる銀座のお寿司やさんなんかに女性一人で食べになんてことはあまりなかったでしょうがあのイケイケドンドンでそういうお店にも出入りできるようになり、青子の性格まで押せ押せモードになっていきます。

一ノ瀬さんは世の中が変わってもひたすらカウンターの向こうでお寿司をにぎっています。

静と動の二人、恋愛ではないけれどお寿司で深~~くつながっていたような。

バブルも始まりがあれば終わりも来ます。

お寿司が食べたいがためがむしゃらに働いてきた青子に何が残っていたのか?

柚木センセーは1981年生まれと書いてありましたのでバブルは体験されてないのですね。

見てきたようにリアルで、バブルのときに全盛期だったトレンディードラマのようでした。

これ映画化かドラマ化していただけたらいいなあと。

青子役は誰でもいいですが、一ノ瀬さんは誰がいいかなあ。

美男子ではないのに目が離せない、空間占有率??

でも一ノ瀬さんは一重瞼なんですよね。